課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営環境及び経営方針

 新型コロナウイルス感染症は、ワクチンの普及が進んでいるものの、変異株出現により収束までには時間を要するものと思われます。当社グループを取り巻く環境は、ロシア・ウクライナ情勢等による穀物等の供給不安と急激な円安進行から、多くの原料の価格が今年に入り歴史的高値で推移していることに加え、この影響で飼料価格安定基金負担金の大幅な増加が懸念されるなど、情勢変化が大きく、収益面において極めて厳しい1年になると考えております。また、CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病の発生、為替相場、燃料の高騰、物流業界の人手不足など、先行きの不透明感が非常に強い状況が続くことが想定されます。

 こうした状況下において、当社グループは、「Feedをはじめの一歩として、畜・水産業界の持続的発展に貢献し、食の未来を創造します」の経営理念に基づいて事業活動を行っており、畜・水産業界が将来にわたって発展し続けるために、私たちは常にお客様の目線でニーズと課題を捉え、チャレンジし続けます。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、第3次中期経営計画(2021年度~2023年度)を策定し、第2次中期経営計画にて強化した事業基盤をフル活用した収益拡大の実現と、持続的な成長を可能にするための更なる基盤構築と位置づけ、「経営統合の総仕上げ」を基本方針とし、コア事業である「畜産飼料」事業の更なる収益力強化、「水産飼料」「食品事業」「海外事業」の成長加速、ESG経営の推進と基盤強化を基本戦略に掲げ、飛躍の3ヶ年とすべく取り組んでまいります。

 

① 飼料事業

a.乳牛のゲノム解析や生乳脂肪酸組成分析など、技術を駆使したトータルサポートにより、養牛用飼料の販売数量の拡大を図ります。

b.養豚用飼料において健康維持・安定した発育を目的として新素材を採用した飼料を発売し、生産者の皆様のサポートをいたします。

c.既存工場における増産体制構築のための設備の増強並びにバイオセキュリティ対策強化を図ります。

d.環境負荷を軽減する製品開発、また、積極的なIoT技術の導入により効率・生産性の改善に寄与します。

e.養魚用飼料において、マレーシアほかアジア圏への輸出拡大を図ります。

f.原料相場変動のリスク低減のため、取引先との関係強化に努め、品質を維持しつつ産地多様化を模索することにより、リスクをヘッジしながら安定供給にも努めてまいります。

 

② 食品事業

コンシューマー商品の更なる新商品開発、安全衛生に配慮した設備の増強により、増産体制構築と効率的な経営を行います。また、農場会社では、農場バイオセキュリティを強化し、引き続き防疫対策に取り組みます。当社グループによる食のバリューチェーン(配合飼料から食品まで)として役割を果たし、消費者への知名度を向上させてまいります。

 

③ 海外事業

ベトナムにおいては、製造設備増強による増産体制構築、新規販売店を起用した販売エリアの拡大、製造委託による製造拠点の拡大、酪農大手企業への拡販に取り組んでまいります。

インドにおいては、養魚用飼料販売の営業人員の拡充による販売力向上、伸長しているエリアへの販売拡大等により収益の拡大を図ります。

 

④ その他

クロマグロ事業は、資源負荷のかからない完全養殖であり、重要な社会貢献を担っております。当社グループでは今後も持続可能な社会を目指し継続して取り組みを進めてまいります。

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

主原料であるとうもろこしは、原油価格の上昇に伴うエタノール需要の増加等による旺盛な需要の影響を受け価格が上昇しており、また、ロシア・ウクライナ情勢等による穀物等の供給不安から、小麦等多くの原料価格が歴史的高値で推移しております。その結果、飼料価格も上昇の一途を辿っており、飼料価格安定基金負担金の大幅な増加が業績に大きな影響を及ぼします。引き続き原料の品質を維持しつつ産地多様化を模索するとともに、飼料の価格抑制及び安定供給に努めてまいります。

新型コロナウイルス感染症は変異株の出現もあり、収束までには時間を要するものと考えておりますが、各事業所においてはBCP(事業継続計画)に則り業務体制を維持しており、製品の供給に支障がないよう努めております。また、在宅勤務体制の構築や時差出勤、Web会議システムの活用等、柔軟な働き方への対応を進めております。

飼料畜水産業界においても、CSF(豚熱)や鳥インフルエンザ等の疾病の発生により不透明な状況が続いていることから、各飼料製造工場及び関係会社である各農場において、獣医師チームが主体となり強固な防疫体制の構築を図っております。防疫マニュアルを策定し、有事の際に迅速な対応が取れるよう準備を整えております。

2022年度は第3次中期経営計画の2年目であり、引き続き「経営統合の総仕上げ」を基本方針とし、第2次中期経営計画にて強化した事業基盤をフル活用した収益拡大の実現と、持続的な成長を可能にするための更なる基盤構築を実現し、企業価値の向上を目指します。当社グループの強みである原料調達、配合飼料の製造・販売、畜水産物の販売までの一貫したサポート体制を更に強化することで競合他社との優位性を見いだせると考えております。

以上、様々な課題に対して「現場主義・顧客目線・製販一体+研究所」という行動指針の下、業務に邁進してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は、経常利益であります。

 第3次中期経営計画における計画値及び実績値は次のとおりであります。

 

 

2022年3月期

2023年3月期

2024年3月期

(計画)

(実績)

(計画)

(計画)

売上高 (百万円)

215,600

243,202

220,400

224,900

経常利益(百万円)

5,400

5,067

5,800

6,200

 

(5)新型コロナウイルス感染症の影響について

ワクチン接種は進捗しているものの、変異株出現により収束までには更なる時間が必要と考えております。

飼料事業においては、外食需要の減少から、主食用米の在庫過多により新規需要米(飼料用米)としての転用が多く発生している一方、国内発生原料の調達は逼迫しております。このような状況下においても社内外のネットワークを活かした情報共有やフレキシブルな代替原料への置き換え、取引先との強固な関係により引き続き安定した飼料の供給体制を構築してまいります。

食品事業における畜水産物の需要については、外出の自粛により、外食需要は減少しておりますが、一方で内食需要は増加しております。そのため、畜産物相場は、牛肉相場については外食需要が高いことから前年度は低下したものの、徐々に回復基調にあり、豚肉相場は内食需要に支えられ、前年度と同様に堅調に推移しました。鶏卵相場は2020年11月以降、全国各地で発生した鳥インフルエンザの影響により供給量が減少し、大幅な値上げで推移したこともあり、2021年度は前年同期比で上昇しました。

海外事業においては、ベトナム・インドで飼料の製造・販売を展開しており、都市封鎖等により企業活動が制限されることもありましたが、現地従業員への感染防止策を実施しながら事業継続しております。

こうした環境にあって、新型コロナウイルス感染症が当社グループの業績に与える影響は、軽微と考えておりますが、今後の動向により経営方針・経営戦略等の見直しが必要であると判断した場合は、速やかに開示いたします。

 

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