当社の研究開発活動は、畜産飼料の製品開発と品質管理を行う「研究所」及び水産飼料の研究開発や飼料物性などの研究開発を行う「水産研究所」で行っております。両研究所では、試験研究、製品開発について研究施設、人員を集約して、国内・国外の最新の情報を取り入れて、より効率的でスピードアップした質の高い研究開発を充実した施設のもとで進めております。
「研究所」は、畜産研究室と品質管理室の2室があります。畜産研究室は、福島リサーチセンター(福島県田村郡小野町)といわきリサーチセンター(福島県いわき市)において、レイヤー、ブロイラー、豚、乳牛、肉牛の新製品及び新技術開発のための研究開発活動を行っております。また、鹿島リサーチセンター(茨城県神栖市)に小動物課を配置し、実験動物飼料、養蜂飼料の品質管理や技術対応、営業支援を実施しております。品質管理室は、鹿島リサーチセンターにおいて、飼料並びに食品の品質と安全管理に関する業務を行っております。分析業務においては、ISO17025(試験所の能力に関する国際規格)を取得しており、より信頼度の高い分析による品質管理を行っております。
「水産研究所」は、愛媛県南宇和郡愛南町にあり、小型の陸上水槽及び海面の生簀で魚類及びエビを飼育し、水産飼料の研究開発を行っております。
なお、当連結会計年度の研究開発費は飼料事業を中心として
セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。
飼料事業においては、次の研究開発活動に取り組んでおります。
(1)養鶏用飼料
養鶏用飼料では、最新の栄養学に基づく新技術開発と、農場生産コスト低減等の研究成果を採卵鶏用、ブロイラー用、種鶏用の製品に応用しています。2021年度は、前年に引き続き鶏糞量の低減、畜産物の差別化に関するノウハウ蓄積、窒素・りんなどの環境負荷物質の排出低減に関する試験研究、また、卵殻質や飼料要求率などの成績改善について取り組み、得られた知見は製品への応用や技術資料として活用しております。
(2)養豚用飼料
養豚用飼料では最新の育種情報や栄養技術を国内市場の動向に対応させた、きめ細かい製品開発に取り組んでいます。2021年度は、混合飼料「ビジレックス」と豚人工乳「フィード・ケア」を新発売しました。「ビジレックス」は豚の発育や健康に役立つとともに、農場バイオセキュリティの向上にも寄与する製品です。「フィード・ケア」は当社の腸管健康理論に加えて「ビジレックス」を採用することで、離乳後のストレスが高い時期において、より健康な発育をサポートする人工乳です。
また、環境負荷低減として、飼料要求率の改善や低タンパク質飼料の開発による窒素排出量の抑制研究も行っています。
その他、IoTによる養豚産業への貢献を目的に、大学や企業との共同研究にて画像解析による体重推定システムや飼料タンク残量推測システムの開発に取り組んでおります。
(3)養牛用飼料
酪農及び肉牛生産において、生産性向上と生産コスト低減は常に重要課題として取り組んでおります。乳牛用飼料においては、当社独自の飼料設計技術及びその技術に基づいた製品の開発、さらにロボット搾乳や乳牛のゲノム解析という新たな分野の研究に取り組み、酪農家の皆様への技術サポートを行っております。肉牛用飼料では、増体成績、枝肉成績の向上に寄与する研究を継続し、脂肪交雑や繁殖改善に関する技術開発を進めております。
2021年度では、産褥期サプリメント「メガチャージ」を発売いたしました。分娩後のエネルギー不足とアシドーシスになり易いという問題を解決する製品です。
また、温室効果ガスとして牛からのメタン発生が世界的な課題となっており、当研究所でもメタン発生を抑制する飼料の研究に取り組んでいます。
(4)水産飼料
水産飼料では、最新の栄養学的知見や研究成果をもとに、成長性、肉質向上、生産コスト削減、IoT技術の活用といったテーマを掲げて製品開発に取り組んでおります。SDGsの観点からは、クロマグロの完全養殖や天然資源への依存度を下げた飼料開発を実施しております。
特に水産飼料において、持続的な養殖生産のために海洋資源の保護及び原料の安定供給の観点から魚粉及び魚油の依存度を下げることは最重要課題であり、様々なアプローチから脱魚粉・脱魚油化を推進する研究開発を継続しております。
2021年6月にはマス用魚粉低減新飼料として「星河」を発売、お客様から好評を受けております。また、2020年度に発売したマダイ用魚粉低減飼料「フォースONE」の知見を活かし、他銘柄に関しても積極的な魚粉低減を進めています。
当社では、今後もより一層の低魚粉化を進めるうえでの様々な課題に取り組み、従来の高魚粉飼料に負けない性能を持った更なる魚粉低減飼料の開発に挑戦し続けます。
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