文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが入手し得る情報に基づいて判断したものであります。
(1) 経営の基本方針
当社グループの主な事業は、「人材紹介業」(Recruitment Consultancy)であります。 当社グループ は、世界の各国で企業の発展を担う人材を数多くつなぐ(紹介する)ことで、人と企業と経済と社会をつなぎ、その成長に貢献し続けていきます。
つないだ人材の活躍によって、企業が躍進し、それが経済の発展につながる。経済が発展し、それが社会の発展につながる。
つないだお一人おひとりも、新しい場所で新しい人とつながり、そこでさらなる個人の成長につながる。
当社グループの志をつなぐことで、個人の発展、企業の発展、社会の発展、国の発展、そして世界の発展につながる。
当社グループはこの基本的な考え(Our Mission)に基づき、常に以下の企業目標を持って会社経営に取り組んでおります。
1.ハイクオリティを重視し、意識の高い仕事をすること
2.企業、求職者両者の満足度が最高水準である仕事をすること
3.常に改善、改革をスピーディーに行う会社であること
4.常にプロフェッショナルを志し、利益率と利益成長率において優良会社として
成長し続け、 株主・顧客・従業員が満足できる「魅力的」な企業を目指すこと
(2) 経営環境
当社グループの各報告セグメントの経営環境についての認識は次のとおりであります。
(国内人材紹介事業)
わが国における中間管理職やスペシャリストの流動化は、欧米諸国に比較すると低い水準にあるとされてきました。しかし近年では、日系企業の海外進出などのグローバル化、さらには政府による人材流動化の推進等により即戦力となる人材の中途採用が進み、人材紹介業が果たすべき役割も急速に拡大してまいりました。当連結会計年度に入ってからは新型コロナウイルス感染症が当事業に与える影響も低減しており、当社グループでは、「専門性が高いポジション」「ミドルマネージメントからエグゼクティブポジション」「グローバル人材のポジション」を中心に、大手企業から中堅中小に至る海外要員のニーズに応えられる体制作りに取り組むことで、この領域での市場シェア拡大に引き続き努めてまいります。
(国内求人広告事業)
当社グループの株式会社シー・シー・コンサルティングが手掛けておりますバイリンガル人材向けの求人広告市場におきましては近年、日系企業をはじめとするアジア各国勤務の求人案件も増加しております。同社と当社は、人材関連事業においてグローバル領域に注力している点を共通とし、人材紹介と求人広告という異なる事業モデルを展開していることから、相互補完によるビジネスシナジーを発揮できる関係にあります。当連結会計年度におきましては新型コロナウイルス感染症による求人減の影響が残りましたが、当社は今後も、同社との事業連携を深めながらグローバル領域における人材集客力の強化を図ってまいります。
(海外事業)
経済新興国の多いアジアにおきましては、日系企業の海外展開が進むにつれ、その現地法人においては経営の現地化が課題として浮上し、求人のトレンドも、日本からの駐在案件に替わって現地法人による直接採用が主流となりつつあります。また、当連結会計年度におきましては新型コロナウイルス感染症による求人減と入国制限の影響が東南アジアを中心に残りましたが、現地採用求人の職位向上とともに案件単価の向上も期待できる状況となっており、当社が日本国内で展開してきた事業領域のシフトによって結果的に海外案件でも単価の高い領域を手掛けられるようになったことに加え、求人の地域的な広がりもこれまで以上になっていることから、当社の経営判断で展開すべき海外地域を自ら決定できる体制を構築することが、結果的に国内マーケットでの当社の優位性に寄与する状況となっております。
(3) 中長期的な経営戦略と目標
当社は、2022年からの3ヶ年における中期経営計画を策定し、公表しております。この計画においては、これまでの新型コロナウイルスとの共存、そして、それに打ち勝つ施策を積み重ねてきた結果を踏まえ、国内人材紹介事業を中心に改革、改善、拡大を全社で推進し、将来につながる事業展開にスピードをもって取り組んでまいります。また、これと並行して、適宜M&A等も視野に入れつつグループ内事業ポートフォリオの拡充を進め、変化が激しく先の読みにくい市場においても規模の拡大を伴った収益性の向上を図り、株主還元の増加と長期的な世界市場のシェア拡大を目指してまいります。また、各報告セグメントの目標を次のように定めております。
(国内人材紹介事業)
国内人材紹介事業は、コンサルタントとマネージメントの増員と教育に取り組み、戦略子会社である株式会社JAC International、株式会社バンテージポイントとのシナジーを活かしつつ、拡大成長を目指してまいります。
(海外事業)
JAC Recruitment International Ltdを軸とする海外事業につきましては、注力マーケットの再構築と経営体制の強化を進めることで売上の再拡大を目指してまいります。
(国内求人広告事業)
株式会社シー・シー・コンサルティングが取り組む国内求人広告事業につきましては、前課金型から成功報酬型のビジネスモデルへと事業構造自体の転換を図ることで売上の再拡大を目指してまいります。
中期経営計画の数値目標
(注) 人材紹介コンサルタント数は国内人材紹介事業及び海外事業の期中平均値であります
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
2022年度の国内人材紹介事業は、中長期的な事業拡大を視野に、コンサルタントの増員・教育とマネージメントの強化に取り組みます。コンサルタントの大幅な増員には、採用体制に加え、早期戦力化と退職率低減を実現するための教育、さらにはマネージメントに対する教育も不可欠であり、これらの強化を経営一丸となって進めてまいります。また、求職人材の獲得も事業拡大の重要ファクターであり、これについては、当社事業の認知度向上のためTVCMも含む大規模広告の実施を計画しており、そのために前年度比大幅増となる予算を組み込んでおります。
海外事業につきましては、日系製造業を主要顧客とする東南アジアにおいては2022年度においても新型コロナウイルス感染症の影響を勘案しなければならない状況が続いております。しかし、その一方でサービス業を主要顧客とする欧州、シンガポール等は回復基調にあるため、コロナ禍で減少した要員数を早期に回復させて、事業の安定化を図ってまいります。
国内求人広告事業につきましては、成功報酬型商品の販売促進と、そのためのウェブサイト改革を推し進めることで売上の増加を図ってまいります。
また、当社では、女性の積極的な社会参画を率先して促進していくために、2025年末時点までに、当社の全管理職に占める女性社員の割合を40%に引き上げることを目標に定めております。2021年9月における同割合は27%となっており、全国平均の9%(帝国データバンク2021年調査)を大きく上回る数値となっております。当社は、当社経営の「Philosophy & Policy」のひとつとして「Fairness」を掲げ、「あらゆるものに関係なく、個人の能力と成果で評価される会社。JACで働く者にはいつもFairなチャンスが与えられている」ことを社是としてまいりました。こうした考えを背景として、LGBTQ社員も安心して働けるように同性婚や事実婚の社員も慶弔見舞金の対象にするなど、多様な社員が平等に活躍できる職場環境の整備を進めております。
当社グループは地球の温暖化防止に向け、インドネシアとマレーシアで11万本超の植林を実施してまいりました。これにより現在では、年間約450トンのCO2を吸収していると推定されております。また、当社東京本社では、2022年1月から使用する電力を再生可能エネルギーによって100%グリーン化することを目標に置いております。他にも、2019年6月に名刺の素材を古紙配合の再生紙からより環境負荷が少ない「LIMEX(ライメックス)」に切り替えたほか、社内に設置している自動販売機におきましても環境負荷が高いペットボトル容器を使った製品の販売を取りやめ、社内外で使用するクリアファイルについては素材を再生PPに切り替えるなど、3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進に務めております。
(5) 次期の見通し
2021年の年末から、国内外で新型コロナウイルス変異株(オミクロン株)による感染症の新規感染者数が急増し、国内では2022年1月に首都圏をはじめとする広い地域において再び「まん延防止等重点措置」が適用される事態となっておりますが、当社といたしましては、これまでのコロナとの共存、コロナに打ち勝つ施策を積み重ねてきた結果を踏まえ、国内人材紹介事業を中心に改革、改善、成長を全社で共有し、将来につながる事業展開にスピードをもって取り組んでまいります。具体的には、コンサルタントの増員と定着、その早期戦力化に向けた教育、マネージメント体制の再構築と充実、また、求職人材の登録促進に向けた広告宣伝の強化等に主眼を置いた予算としております。
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