業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、「広告業を通して地域社会への貢献」を理念とし、1)各戸配布型フリーマガジン『地域みっちゃく生活情報誌(R)』(以下、地域フリーマガジン)などの各種ハッピーメディア(R)(自社媒体)を発行するメディア事業、2)広告・宣伝や集客などの販売促進及び企業・団体への経営ソリューション商材提供などを行うセールスプロモーション事業、3)その他EC事業を営んでおります。

当連結会計年度(2021年4月1日~2022年3月31日)は、新型コロナウイルス感染症の世界的な猛威が二年目となり感染規模も一段と拡大する一方、ワクチン接種やウイルスの変異などで重症化リスクが一部低減し、人の移動や集会への規制が緩和されるなど、感染拡大防止措置と経済活動の段階的な再開が、順次及び同時に進行する一年となりました。このような状況のもと、当社グループは、社是「人が命、人が宝、人が財産」に基づき、「コロナ禍を理由とした人員削減は、絶対に行わない」というコロナ禍一年目の経営の決意を固持し、関係者や従業員の安全に留意しつつ、全社グループ一丸となって業績回復に努めました。

広告業界においては、世界各国でプラットフォーマーによるビッグデータや広告費の寡占、およびトラッキングによる個人データの過度な収集とターゲティング広告での活用などが問題視されつつも、日本では「(2021年の)インターネット広告費(約2兆7千億円)が、マスコミ四媒体広告費を初めて上回る」、「(インターネット広告媒体費の一部の)マスコミ四媒体由来のデジタル広告費が、初めて1,000億円を超える」(電通調べ)など、デジタル化の潮流が勢いを増しています。当社グループが事業を展開するフリーメディア(フリーペーパー/フリーマガジン)のセグメントは、リアルな媒体(紙)をリアルに配布(ポスティング)するため、原材料費、印刷・製作費、配布費が必要であり、特に中小規模の事業主が主な広告主/スポンサーとなる地域広告では、メディアとしての将来性・収益性を疑問視する風潮も一部ありました。しかし、当社グループがコロナ禍の2年間で再確認したことは、自社メディアの意義を信じ、「地域の世帯に元気の出る情報をお届けする」ことに愚直であり続ければ、読者から、そして広告主からも必ず支持を頂ける、ということです。コロナ禍・デジタル化だから人員削減・省力化ではなく、コロナ禍だからこそ当社理念、当社事業の意義、当社メディアの価値や商品性、広告主や地方自治体等の持つ課題などについて、全社員が常に認識を一にし、地方経済の再起動にかかるソリューション提案を行う準備・態勢を整え、実施いたしました。その結果、当社グループの主力商品であり、VC加盟社とともに全国展開をしている地域フリーマガジンは、2021年6月、関西ぱどと資本業務提携を行い、同社のVC加盟により、短期的な経営目標であった月間発行部数 1,000万部を達成いたしました。

一方で、紙媒体やリアルな配布に固執することなく、特にレスポンスのこだわりや利便性の向上を趣旨として、「紙媒体とインターネットの共創」による自社メディア価値の向上に取り組みました。具体的には、今年度の経営テーマを「地域にDX化を!」と定め、「フリモ」アプリの運用や、求人広告「まちJOB」などの機能拡充、および、全国選りすぐりの商品を簡便に取り寄せできる「フリモール」開設など、地域フリーマガジンとインターネットのコラボレーション/ハイブリッド化をすすめました。また、販促にかかる広告提案以外に、コロナ禍への対策や営業活動の制限などで経営課題を抱える事業主向けに、効率的な業務や経費削減に資するDX商材の提供にも積極的に取り組みました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は7,060,764千円(前年同期比7.8%増)となりました。利益面では、期初に見込んだ上半期の黒字化は果たせなかったものの、通年での売上高の回復と原価管理による売上総利益率の改善、および販売費及び一般管理費の抑制により、下半期においては、上半期の営業損失額(60,974千円)を上回る、142,930千円の営業利益を計上したことから、当連結会計年度の営業利益は81,956千円(前年同期は292,349千円の営業損失)となり、経常利益は、持分法による投資利益の計上等により120,670千円(前年同期は274,404千円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は101,243千円(前年同期は367,912千円の同純損失)となりました。

 

メディア広告事業及びその他(EC事業)の経営成績は次のとおりであります。

a.メディア広告事業

メディア広告事業は、当社グループが自社メディアとして発行するハッピーメディア(R)の全国展開を図るため、地域フリーマガジンの発行拠点である編集室とセールスプロモーション部門が一体となって、全国56拠点で営業を展開しております。編集室では主に、地域フリーマガジンのほか、園児のいる家庭向け『ままここっと』や、学生向けの地元企業情報『Start!』など読者や世帯をターゲットにした各種自社メディアの、企画・編集、広告営業及び発行を行っています。また、セールスプロモーション部門は、自社メディアの広域営業に加えて、地域フリーマガジン発行における地域情報やノウハウを活かした、マスメディアやネット広告等の各種媒体への広告出稿、印刷物などの販促ツールなどの企画製作、イベント・セミナーなどの集客、事業主の経営支援となるDX商材の提案提供、およびシティプロモーションなど、マーケティングにかかる各種ソリューションの提案や提供、及び運営支援を行っています。

主力である地域フリーマガジンの2022年3月末時点の状況(VC加盟を含む)は、29道府県(前年同期は28道県)、月間発行部数1,032万部(同873万部)となり、主な県の県内世帯到達率は、岐阜県89.8%、愛知県67.3%(うち名古屋市71.2%)、三重県81.0%、滋賀県76.6%、鳥取県69.4%となっております。

2021年4月に運用を開始した「フリモ」アプリは、「半額祭」をはじめとする地域フリーマガジンとの連動企画の実施により、上半期において10万件を超えるダウンロード数となり、2022年3月末時点では20万件を超えています。アプリ利用者にさらなる機能向上を図りつつ、アプリを通して得られるクーポン利用状況等の解析により、地域の広告主に対してより効果的な広告提案を実施してまいりました。

このような状況のもと、メディア広告事業における売上高は6,559,903千円(前年同期比8.9%増)となり、セグメント利益は418,178千円(前年同期比307.1%増)となりました。

 

b.その他(EC事業)

通信販売事業では、大型家具の売上が好調に推移しましたが、コロナ禍におけるステイホーム(巣ごもり)消費需要が落ち着き、主に家電の販売が減少しました。

このような状況のもと、その他(EC事業)の売上高は500,861千円(前年同期比5.3%減)となりましたが、その他の販売費及び一般管理費が減少し、セグメント利益は4,532千円(前年同期は30,991千円のセグメント損失)となりました。

 

なお、収益認識会計基準等の適用による影響額は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等の注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりです。

 

(注)発行部数、県内世帯到達率、ダウンロード件数は2022年3月末現在

 

当社グループの当連結会計年度末における総資産は、3,979,448千円(前連結会計年度末から118,097千円の増加)となりました。流動資産は2,702,435千円(前連結会計年度末から64,743千円の増加)となり、これは主に、受取手形及び売掛金が11,696千円減少したものの、現金及び預金が69,231千円増加したためです。固定資産は1,277,013千円(前連結会計年度末から53,354千円の増加)となり、これは主に、投資有価証券が68,035千円減少したものの、関係会社株式が102,574千円、無形固定資産のその他が25,771千円増加したためです。

当連結会計年度末における負債の残高は、2,206,578千円(前連結会計年度末から62,125千円の増加)となりました。流動負債は1,724,352千円(前連結会計年度末から221,663千円の減少)となり、これは主に、1年内返済予定の長期借入金が59,949千円増加したもの、短期借入金が140,000千円及び未払消費税等が138,285千円減少したためです。固定負債は482,226千円(前連結会計年度末から283,788千円の増加)となり、これは主に、リース債務が3,504千円減少したものの、長期借入金が287,395千円増加したためです。

当連結会計年度末における純資産の残高は1,772,870千円(前連結会計年度末から55,972千円の増加)となりました。これは、その他有価証券評価差額金が45,271千円減少したものの、利益剰余金が101,243千円増加したことによるものです。この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は44.6%(前連結会計年度末から0.1ポイントの増加)となりました。 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、467,592千円(前連結会計年度末から232,324千円の増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕

営業活動の結果使用した資金は、5,583千円(前年同期は8,196千円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益124,292千円、減価償却費40,558千円及び売上債権の減少21,269千円等資金の増加要因があった一方、未払消費税等の減少137,385千円、法人税等の支払額34,825千円及び持分法による投資利益の計上26,484千円等資金の減少要因があったためです。

〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕

投資活動の結果得た資金は、41,377千円(前年同期は256,884千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入により783,875千円、関係会社株式の取得により76,090千円及び無形固定資産の取得により42,929千円を支出したものの、定期預金の払戻により946,968千円の収入があったためです。

〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕

財務活動の結果得た資金は、196,530千円(前年同期は324,104千円の収入)となりました。これは主に、長期借入金の返済により162,655千円及び短期借入金の減少による140,000千円を支出したものの、長期借入れにより510,000千円の収入があったためです。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当社グループは、メディア広告事業を主体としており生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

b. 仕入実績

連結会計年度の仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

メディア広告事業

3,629,648

+5.3

その他

386,508

+1.6

合計

4,016,156

+4.9

 

 

c. 受注実績

当社グループは、受注生産を行っていないため受注実績の記載はしておりません。

 

d. 販売実績

連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

メディア広告事業

6,559,903

+8.9

その他

500,861

△5.3

合計

7,060,764

+7.8

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

キャッシュ・フローの分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは、事業活動のための資金の財源として、主に手元の資金と営業活動によるキャッシュ・フローによっており、事業拡大を継続するために必要な運転資金及び設備投資のための資金を金融機関からの借入により調達します。当連結会計年度末時点において、有利子負債残高は1,143,881千円、資金の手元流動性については現金及び預金残高が1,722,655千円と月平均売上高に対し2.9ヶ月分となっており、資金の流動性は確保されていると考えております。

 

③ 連結財務諸表の作成に当たって用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

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