有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要リスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(イ)経営環境について
① 競業環境について
当社グループの主要事業であるM&Aアドバイザリー事業は競争の厳しい分野であります。当社グループの売上は、日系大手証券会社のM&A関連売上と並ぶ規模にまで増加し、また、500名を超える役職員を日米欧にバランスよく配置した真のグローバルファームとして、独立専業の上場アドバイザリーファームとしては世界有数の規模に成長しております。当社グループといたしましては、利益相反のない独立系M&A専業アドバイザリーファームならではの複雑な案件や高難易度の案件を数多く手掛けており、品質面での優位性を強みに市場シェア向上を目指しておりますが、今後も日系大手証券会社や大手外資系投資銀行との競争状況が続くと予想され、更には中・小規模のアドバイザリーファームの新規参入により価格競争が激化する可能性があります。この場合、当社グループの経営成績、収益性に重大な影響が生じる可能性があります。
② M&A市場のボラティリティについて
当社グループの主要事業であるM&Aアドバイザリー事業は、日本においては、日本企業のグローバル成長戦略と共に、更なる事業拡大並びに企業価値向上を実現する手法としてM&Aが活用されることにより成長していくと思われます。また、欧米においては、M&Aは企業の戦略として完全に定着している中で、日本を始めアジア・欧州にも事業のベースを持つ当社グループの成長余地は大きいものと思われます。今後は、グローバルにビジネスを展開する企業において、日米欧を問わずクロスボーダー案件が更に増加してくるものと予想しております。よって、当社グループの事業基盤であるM&A市場が長期的に縮小するリスクは小さいものと考えております。しかしながら、M&A市場は景気動向並びに金融情勢に大きく左右され、常にブームとその後の反動での市場の縮小といった歴史を繰り返しており、日本においても同様の事態が生じる可能性が考えられます。特に、当社グループの予想に反して日本において市場の縮小という事態が生じた場合、世界の景気動向が悪化した場合並びに新型コロナウイルス感染症発生等の不確実性の高い事象が発生した場合には事業拡大を図ることができず、短期的に当社グループの収益性が低下するリスクを内在しております。
③ 法的規制について
日本において、現時点では、当社グループの事業を制限する直接的な法的規制は存在しないと考えております。今後、当社グループの事業を直接的もしくは間接的に制限する法的規制がなされた場合、また、従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社グループの事業展開は制約を受け、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があります。
また、米国においては、金融取引業規制機構(The Financial Industry Regulatory Authority)、英国においては金融行動監視機構(Financial Conduct Authority)の規則を含め、法的規制を受けております。かかる規制への違反があった場合、課徴金等の罰則の適用がなされるのみならず、当社グループの信用が毀損し、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があります。さらに米国や欧州における新たな法的規制の運用により同様に当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性が生じることも考えられます。
(ロ)当社グループの事業体制について
人材確保のリスクについて
当社グループは、経営理念である「For Client's Best Interest」に賛同した専門家集団の人的資本により成り立っております。優秀な人材を確保・育成し、各事業の中核的な人材としてその分野の経験者を配置することは、今後、当社グループが事業を拡大する上で重要であります。 特に、M&Aアドバイザーとして経験豊富で専門性の高い人材であるプロフェッショナルは当社グループの事業遂行上極めて重要であります。
従いまして、必要とする人材を十分かつ適時に確保できなかった場合、もしくは重要なプロフェッショナルの流出が発生した場合には、今後の事業展開も含めて事業拡大及び将来性に影響を与える可能性があります。
また、人材の獲得が順調に行われた場合でも、人件費、設備コスト等固定費が増加する事が想定され、その場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ハ)当社グループの業績について
① 業績の推移及びメガ案件に係る報酬の計上について
当社グループの業績は、M&Aアドバイザリー事業において、ひとつの案件で10億円以上の報酬であるメガ案件の獲得やその金額により業績が大きく変動する可能性があります。
② 成功報酬への依存度について
当社グループの主要事業であるM&Aアドバイザリー事業の売上は主に、着手金や作業時間に応じて請求する作業報酬並びにリテイナー契約に基づくリテイナー報酬などの基礎報酬及び案件が成約した場合にのみ受け取ることができる成功報酬から構成されております。よって、当社グループが取組むM&A案件が成約しなかった場合、当社グループの収益は減少することになります。当社グループは基礎報酬により会社経営に必要な固定費を概ねカバーできる体質となっておりますが、当社グループの収益性は成功報酬の多寡に大きく依存し、事業分野の多角化された大手金融機関と比較し、そのボラティリティは大きなものとなっております。
③ 販売先の構成について
当社グループは、「For Client's Best Interest」という経営理念を忠実に履行し、提供するサービスの品質を重視していることから、クライアント(販売先)数は、設立以降、着実に増加しております。当社グループのクライアントはグローバルにビジネス展開を行っている大手企業が中心となっております。また、M&A市場の拡大と有料会員組織であるGCAクラブの会員増加などを図っていることにより、クライアント数は今後拡大してくるものと予想しております。一方で、当社グループの収益の大半は、個別のM&A案件毎に締結される業務契約によるものであり、長期にわたるリテイナー契約によるものではありません。よって、当社グループの収益性は長期にわたり確保されたものではありません。上記予想に反した場合には販売先の拡大を図ることができず、当社グループの収益性が低下するリスクを内在しております。
(ニ)情報漏洩等に関するリスクについて
当社グループの事業にとって、企業情報並びに個人情報の管理は非常に重要であります。当社グループが保有する情報へのアクセス許可者の制限、外部侵入防止のためのセキュリティシステムの採用等、情報管理体制の強化及び定期的な社内研修により、漏洩防止策を図っております。しかしながら、何らかの原因により顧客情報が流出した場合、当社グループは信用を失うこととなり、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、情報漏洩に限らず、従業員による法令違反行為やクライアントとの契約に違反する行為によって当社グループの評判・信用を毀損し、当社グループの経営成績その他に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(ホ)インサイダー取引について
当社グループは、役職員による株式取引など、個別企業を対象とした資金運用取引を規制しております。しかしながら、大手金融機関においてもルール違反によるインサイダー取引が稀に発生し、大きな問題となっております。万が一、当社グループにおいて同様の問題が発生した場合、独立系M&Aアドバイザリーファームとして築き上げたクライアントとの信頼関係に甚大なダメージが発生いたします。また、当社グループはM&Aアドバイザリー事業及びその周辺事業に特化しているため、かかる問題が生じた場合、当社グループの経営に与える影響度は多角化された大手金融機関と比較し一層大きなものとなる可能性があります。
(へ)ストック・オプションの行使による株式の希薄化について
当社グループは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、当社グループの業績向上に対する役職員の士気を一層高めること等を目的として、ストック・オプション(新株予約権)を付与しております。これらのストック・オプションが行使された場合は、当社の1株当たりの株式価値は希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。当社グループは、上記目的のもとに今後も役職員に対してストック・オプションの付与を行うことを検討しておりますが、当該ストック・オプションの付与は、株式価値の希薄化を招く可能性があります。
(ト)海外での事業活動及び為替レートの変動
海外での事業活動には、通常、予期しない法律や規制の変更、産業基盤の脆弱性、人材の採用・確保の困難など、経済的に不利な要因の存在又は発生、テロ・戦争・その他の要因による社会的又は政治的混乱などのリスクが存在します。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの業績及び将来計画に影響を与える可能性があります。また、当社グループの海外事業の現地通貨建の項目は、換算時の為替レートにより円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。短期及び中長期の予測を超えた為替変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。
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