課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。

1.経営の基本方針

   当社グループは2017年9月に創業100周年を迎えるにあたり、新たなコーポレートミッションを策定しました。

    コーポレートスローガン  「かがやく“笑顔”のために」

    経営理念         「乳で培った技術を活かし 

私たちならではの商品をお届けすることで

              健康で幸せな生活に貢献し豊かな社会をつくる」

新しい100年に向けて、当社グループは、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。

 

2.中長期的な会社の経営戦略、経営環境および対処すべき課題等

当社グループは10年先を見据えた「森永乳業グループ10年ビジョン」を、2019年4月に制定しております。当ビジョンでは、「『食のおいしさ・楽しさ』と『健康・栄養』を両立した企業へ」「世界で独自の存在感を発揮できるグローバル企業へ」「サステナブルな社会の実現に貢献し続ける企業へ」を10年後の当社グループのありたい姿と定め、「営業利益率7%以上」「ROE10%以上」「海外売上高比率15%以上」を2029年3月期の数値目標に設定いたしました。

・「森永乳業グループ10年ビジョン」

 


 

・「中期経営計画 2019-21」(2020年3月期~2022年3月期)

この考えのもと、当社グループでは2019年に発表した中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)に掲げた経営課題に取り組み、事業基盤の強化を進めてまいりました。健康に貢献するビフィズス菌をはじめとする機能性素材の拡大、およびその素材や独自技術を活用したヨーグルトやアイスクリームなど高付加価値商品の伸長、また、ドイツ・ミライ社を中心とした海外事業の大幅な成長を達成してまいりました。加えて、工場の統廃合などによる生産体制の合理化、有利子負債の削減を中心とした財務体質の改善など、経営基盤の強化を着実に進めてまいりました。その結果、当中期経営計画策定時に設定いたしました、2022年3月期の連結数値目標であります売上高6,300億円、営業利益300億円(収益認識会計基準適用前)につきましては、売上高は新型コロナウイルス感染症の影響などもあり未達となりましたが、営業利益は概ね目標水準に近づくことができました。

  ・「新中期経営計画 2022-24」(2023年3月期~2025年3月期)

新たに策定いたしました、2025年3月期までの3年間の新中期経営計画では、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指し、「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」「効率性を重視した財務戦略」の3つを基本方針に定め、取り組んでまいります。また、合わせて「サステナビリティ中長期計画2030」を制定し、「食と健康」「資源と環境」「人と社会」の3つのテーマにより2030年の目標、KPIを定め、経営の根幹に据えるとともに、中期経営計画と相互に連動させながら取り組みを進めてまいります。

 

(資料1)「新中期経営計画 2022-24」全体像

 


 

(資料2)「サステナビリティ中長期計画2030」

 


 

中期経営計画の基本方針の1つ目であります「事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現」におきましては、これまでのBtoC事業とウェルネス事業を統合し、①栄養・機能性食品事業、②主力食品事業として再構成、③BtoB事業、④海外事業を含め新たな4本の柱を設定いたしました。4本の柱それぞれを拡大させるとともに、特に横断的な健康価値提供の加速、当社独自の機能性素材・菌体の再飛躍、海外事業のポートフォリオ変革を進めてまいります。事業活動を通じ「健康価値」と「おいしさ・楽しさ価値」を提供し、生活者の「健康」と「幸せ」に貢献してまいります。

基本方針の2つ目であります「将来を見据えた経営基盤のさらなる強化」におきましては、構造改革、戦略投資、資産活用の観点からそれぞれ取り組みを進めてまいります。構造改革として、外部環境変化への耐性強化、グループ経営の推進などに取り組みます。戦略投資として、研究開発機能の強化や、10年ビジョンを見据えた成長投資・環境関連投資などを実施する計画です。資産活用の観点では、知的財産基盤の強化や、国産乳資源活用の推進を図ってまいります。

基本方針の3つ目であります「効率性を重視した財務戦略」におきましては、成長投資の戦略的な実行、株主還元と財務体質にも留意した資金活用を目指すとともに、合わせて、資本効率の視点を重視したROE改善を進めてまいります。また、株主還元につきましては、引き続き安定的かつ長期的な配当を実施することを基本方針とし、配当性向の目標はこれまでの20%から30%に引き上げてまいります。合わせて総還元性向も意識した対応を検討いたします。なお、保有する自己株式につきましては、基本的には消却いたしますが、将来の柔軟な資本政策に備えて一部を保有いたします。

以上のビジョン・方針のもとで、次期(2023年3月期)を新たなステージに向かうための重要なスタートの1年と位置付け、取り組んでまいります。

なお、売上高や営業利益などの数値目標につきましては、急激な外部環境の変化を受け、現時点で中長期でのコスト影響を適切に算出することが困難であることから公表を延期いたします。

当社グループは今後も、笑顔あふれる豊かな社会の実現のため、私たちならではの価値を高め、その価値をお届けし続けることによって、より一層社会に貢献してまいります。

 

3.2023年3月期業績見通し

新型コロナウイルス感染症の影響は今後も続くと予想されますが、当社グループは生活必需品である食品を製造する企業としての使命を果たせるよう、従業員の安全と健康に引き続き最大限の配慮をし、できる限り商品の供給を継続すべく取り組んでまいります。また、原材料・エネルギー価格および物流コストにおいては、世界的な需要の高まりや円安の進行に加え、ウクライナ情勢の不透明感が加わり、従前の環境とは大きく異なる水準での上昇が見込まれます。これに対し、価格改定や、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、グループ全体でのコストの見直しなどをさらに推進させるなどの対応を図ってまいりますが、短期的な見通しのみならず中長期においてもコスト構造の大きな変化により、大変厳しい環境が見込まれます。

そのような中、新たに2023年3月期より3年間の中期経営計画をスタートいたしますが、初年度である2023年3月期の通期連結業績予想につきましては、大きなコスト影響を見込んでおり、大幅減益となる見込みです。売上高5,200億円(前年比3.3%増)、営業利益250億円(同16.1%減)、経常利益259億円(同16.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益158億円(同53.2%減)を見込んでおります。

 

 

 

2023年3月期

予想

対前年

増減率

2022年3月期

実績

連結売上高

520,000百万円

3.3%

503,354百万円

連結営業利益

25,000百万円

△16.1%

29,792百万円

連結経常利益

25,900百万円

△16.8%

31,127百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

15,800百万円

△53.2%

33,782百万円

 

 

(その他重要経営指標)

売上高営業利益率                   4.8%

ROE(自己資本利益率)              7.5%

海外売上高比率                     8.9%

 

(参考)「新中期経営計画 2022-24」における事業分野別(4本の事業の柱)業績見通し(2023年3月期)

 

2023年3月期

予想

対前年

増減率(差)

2022年3月期

実績

栄養・機能性食品事業 売上高

129,000百万円

4.8%

123,076百万円

栄養・機能性食品事業 営業利益

7,900百万円

△1,202百万円

9,102百万円

 

 

 

2023年3月期

予想

対前年

増減率(差)

2022年3月期

実績

主力食品事業 売上高

184,000百万円

1.5%

181,207百万円

主力食品事業 営業利益

9,000百万円

△1,762百万円

10,762百万円

 

 

 

2023年3月期

予想

対前年

増減率(差)

2022年3月期

実績

BtoB事業 売上高

87,000百万円

5.9%

82,149百万円

BtoB事業 営業利益

2,100百万円

△548百万円

2,648百万円

 

 

 

2023年3月期

予想

対前年

増減率(差)

2022年3月期

実績

海外事業 売上高

46,400百万円

5.8%

43,862百万円

海外事業 営業利益

5,300百万円

△983百万円

6,283百万円

 

     ※BtoB事業、海外事業の2022年3月期実績は、新中期経営計画における事業分野別の見直しに伴い調整

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