課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、お客様に対する良質な食肉の提供と畜産業の振興を目指して、1931年に創業しました。創業の志を受け継ぎ、「商品と品質はプリマの命」の経営理念のもと、絶えざる製造技術の革新と新しいものづくりに挑戦し、食肉事業、加工食品事業へ食の領域を拡大してまいりました。

2021年4月より、当社グループの進むべき方向性を共有し、理解、浸透を更に深めるため、目指す姿を改定いたしました。

当社グループは安全・安心でおいしく、愛される商品とサービスによって健康で豊かな食生活と日々の感動を提供し、持続的な成長と企業の永続性の確立を目指します。そして、ライフスタイルや環境に寄りそった食文化と活気ある未来の社会に貢献してまいります。


 

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、中期経営計画において財務目標を定めております。2022年度を初年度とする3ヵ年中期経営計画(ローリングプラン)の着実な実行により、自己資本利益率(ROE)10%以上と総資産利益率(ROA)5%以上、配当性向30%程度を安定して達成し、持続的な成長と企業の永続性の確立、並びに事業を通じたステークホルダーへの貢献を目指してまいります。

 

2019年度

2020年度

2021年度

2022年度

連結売上高

4,180億円

4,335億円

4,195億円

4,410億円

連結営業利益

156億円

214億円

129億円

161億円

自己資本利益率(ROE)

10.0%

14.6%

9.0%

9.4%以上

総資産利益率(ROA)

4.4%

6.9%

4.5%

4.7%以上

配当性向

34.2%

30.2%

33.6%

30.0%程度

 

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

① 基本方針

当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」の実現に向けて、中期経営計画の基本方針として、「営業力・開発力・商品力の強化により、売上と利益の規模と質を高め、ESGを重視した経営を推進し、『いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社』になる」を掲げています。経営目標としては、2022年度売上高4,410億円、営業利益161億円を目指してまいります。

 

② 重点施策

方針1 ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化

新型コロナウイルス感染症の感染防止にあたり、従業員、取引先等の安全、健康を最優先として企業活動に取り組んでいます。当社グループは2020年度に重要課題(マテリアリティ)を特定しました。今後、重要課題の解決に向けた目標設定と活動計画を、策定・推進してまいります。従業員は企業の礎であり、成長の柱です。従業員が心身ともに健康で、働きがいのある職場づくりを目指した活動を継続展開し、変革意識の醸成と健全な企業体質を構築します。さらにコンプライアンス意識とガバナンスレベルの向上を実践し、情報開示の充実に努めます。

 

方針2 既存事業の領域拡大及び収益基盤の更なる強化

加工食品事業部門は、茨城工場を基盤としてコスト競争力、供給能力を高めております。加えて新工場の建設を鹿児島県で進行しており、供給能力の拡大と強みのある商品の市場定着を図ります。さらに、超高圧低温処理装置等の活用や当社グループの知見を結集して、価値ある商品の提供を目指します。

また、業務の標準化と自動化を進めて、デジタル技術を活用した効率的な業務プロセスの構築と、戦略的な情報管理の実現に向けた活動を進めてまいります。

食肉事業部門は、宮城県に養豚新農場を建設するとともに、既存農場のリニューアルと生産性向上を進めて国産豚肉インテグレーションを強化し、収益力の向上と安定供給体制を構築します。また、食肉事業の販売利益管理を徹底し、収益力の向上を図ります。

 

方針3 成長投資とグローバル展開

伊藤忠商事㈱及びグループ会社とのコラボレーションや業務提携等を主体として、日本国内及び海外の事業領域拡大を進めます。海外事業は、グループ会社の所在国及び周辺国への販売を進めておりますが、東南アジア市場を中心とした市場参入の礎としてシンガポール企業の買収を行っており、さらなる検討を進めてまいります。

 

(4) 経営環境及び対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症は、2年目を経過しても収束には至らず、当面は感染予防と経済活動とバランスを取った社会活動が継続すると考えられます。今後も以前と全く同じような日常生活に戻るとは考えにくく、新たな生活スタイルに沿った購買や消費行動が展開されると見込まれます。

業界としては、主原料はじめ小麦粉・食料油・包装資材等の副資材価格も高騰しており、原油高、円安に加え、物流費や労務費等の経費も上昇し、製造コストが大きな影響を受けています。また、沈静化していない、アフリカ豚熱(ASF)、豚熱(CSF)の疾病問題や、さらに飼料となる穀物相場も高値で推移しており、畜肉市場が大きく影響を受ける可能性が高く、注視していく必要があります。

このような状況のなか、当社グループは「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という目指す姿の実現に向けて、営業力・開発力・商品力の強化により売上規模と利益の質を高めるため、ESGを重視した経営を推進します。そのため、どのようなリスクや機会があるのかを中長期的な視点で把握し、施策を講じるために重要課題(マテリアリティ)を特定しております。その解決に向けた取り組みを推進し中長期的に企業価値を向上させることを目的として「サステナビリティ委員会」を設置し、当社グループの持続的な成長と社会課題の解決の両立に注力していきます。

『いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社になる』を基本方針として、中期経営計画の目標達成に向けて「ESGへの取り組みと持続可能な基盤の強化」と「既存事業の領域拡大及び収益基盤の更なる強化」を具体化するとともに「成長投資とグローバル展開」を通して永続的なグループの発展に努めてまいります。

 

「ESGへの取り組みと持続可能な基盤の強化」

重要課題(マテリアリティ)の解消に向けた目標と活動計画を策定し、課題解消を着実に推進してまいります。具体的には品質管理体制の強化による安全・安心な商品の提供、人材育成と働きがいの向上による変革意識の醸成、全社グループ経営の強化を図ってまいります。

 

「既存事業の領域拡大及び収益基盤の更なる強化」

<加工食品事業部門>

営業部門において得意先との関係強化の推進を継続してまいります。販売促進策としては東京ディズニーリゾート®の貸切イベントキャンペーンやプライベートキャンペーン、香薫20周年宝塚歌劇招待キャンペーンやテレビCMの全国放映を実施します。スモールワールズ TOKYOの展開、新たにジブリパークのパートナーにも参画、さらにはLINEに加えて公式Twitterも順調にフォロワーを増やす等、幅広い層への認知度アップに繋げてまいります。

生産部門においては、PI(プリマ・イノベーション)活動をグループ全体で推進・徹底を図ってまいります。また、「革新的生産技術開発(ものづくり)」を継続し、省人化・生産性向上に対応する最新設備の投入、新技術開発やHPP設備の活用を強力に推し進めるとともに、生産能力増強を行い、商品の競争力を高めることに注力してまいります。

 

商品開発においては、顧客視点での商品提案と市場への定着を進め、消費行動の変化に適応した商品の提案、消費者の需要を掘り起こす商品の開発をすすめてまいります。

 

<食肉事業部門>

商品別採算管理とグループを含めたトータル管理の徹底を継続するとともに、養豚事業を中核事業と位置づけ、更なる拡大と生産性向上、また、品質向上に取り組み、川上(肉豚生産事業)、川中(食肉処理・加工事業)、川下(食肉販売事業)の連携強化による収益拡大を推進してまいります。プリマハムグループとしての一貫した国産豚肉生産・販売体制を確立し、自社生産豚肉の販売拡大を目指します。また、消費者スタイルの変化に対応し、加工食品事業部門とも連携し、収益の改善・拡大を推進してまいります。

 

「成長投資とグローバル展開」

当社の親会社である伊藤忠商事㈱およびそのグループ企業とのコラボレーションを主体とした国内外事業展開にも取り組み、販売拡大に向けた企業提携等の具現化を進めるとともに、新しい事業モデルの構築を行ってまいります。また、AI、RPA、IT技術の積極的な活用と、業務の最適化・標準化を実現する情報システムの再構築を進めてまいります。

お客様に安全・安心な商品をお届けするために、厳格な原材料調達のもと、生産現場においてはHACCP、ISO22000、FSSC22000等の管理手法を基軸に、日々の品質管理の徹底・強化を図っております。環境保全の面ではグループ全体でのリスク管理や環境への配慮を強化する環境方針に沿って、温室効果ガス排出量の抑制や廃棄物の発生削減等に対し、取り組んでまいります。

 

これからも、内部統制機能とコンプライアンス体制のより一層の充実に努め、コーポレート・ガバナンス体制の強化を図るととともに、CSRの更なる推進として社会貢献活動、食育活動、地域との共生に配慮した事業活動にも積極的に取組むとともに、「いつも、ずっと、お客様に愛され、支持される会社」を目指し、企業としての継続的な経営革新を実行してまいります。

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