当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、持ち直しの動きが続いているものの、新たな変異株の感染拡大による全国的なまん延防止等重点措置の発令により、先行き不透明な状況で推移しました。
当業界におきましては、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の長期化による外食需要の減退や、原材料価格の高騰によるコストの上昇など、かつてない厳しい状況が続きました。
このような中、当社グループは、「2030年の目指す姿」として掲げたニッポンハムグループ「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けたマイルストーンとして2021年4月からスタートした「中期経営計画2023」において、4つの経営方針である、(ⅰ)収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト(ⅱ)海外事業における成長モデルの構築(ⅲ)新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供(ⅳ)ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化、に基づく事業展開を推進してまいりました。
国内では、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇に対し、引き続きお客様へ高品質で安全・安心な商品をお届けするため、一部商品の規格変更と納品価格の改定を実施いたしました。更には、引き続き新型コロナウイルス感染症対策の徹底により安定供給体制を維持するとともに、新たな生活様式の定着や食の多様化、SDGsの達成を目的としたESGなどの社会課題への意識の高まりを背景として、プラスチック使用量の削減による環境負荷低減を目指した新包装形態『エコ・ピロタイプ』の「シャウエッセン」や「環境にやさしいエコなロースハム」などの環境対応商品を新たに発売いたしました。また、持続可能な社会の実現に向けた次世代素材として、大豆などを使用したプラントベースドミートである「NATUMEAT(ナチュミート)」シリーズのリニューアルと新商品の投入を行いました。更には、食物アレルギー管理栄養士による無料オンライン栄養相談や、食物アレルギーに関するお役立ち情報をワンストップで提供する食品業界で日本初となる、食物アレルギーケア総合プラットフォーム「Table for All 食物アレルギーケア」サービスの提供開始などに取り組みました。加えて、当社グループのたんぱく質の安定供給に向けた取組みや、人々に役立つたんぱく質の情報を発信するコーポレートアンバサダーとして新庄剛志氏を起用し、「Vision2030」の実現に向けた当社グループの取組みの発信を強化してまいりました。更には、2023 年の新球場開業を見据えた北海道プロジェクトや、経営基盤強化のためのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、ROICの向上に向けた最適な事業ポートフォリオを追求するため、グループ会社の株式譲渡や経営資源のより効率的な活用のためのグループ会社の経営統合などに取り組みました。
海外では、加工事業の主原料価格の高騰に対応した生産効率の改善と価格改定に努めました。豪州やウルグアイの食肉事業においては高値相場の中、付加価値商品としてのブランド牛の取組みを強化するとともに、需給バランスに対応した工場の適正稼働を行うことで、安定的な販売に繋げました。また対日向け食肉輸出事業においては各国で現地パッカーとの連携を強化し、安定した食肉供給に努めました。
グループ横断の施策については、「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けたグループ従業員への周知活動や「中期経営計画2023」の各種施策に連動したKPIマネジメントによるROIC経営の推進に努めました。経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、対前年同期比6.1%増の1,174,389百万円となりました。事業利益は対前年同期比8.2%減の48,116百万円、税引前当期利益は対前年同期比7.9%増の51,366百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は、非継続事業からの当期利益9,105百万円などにより対前年同期比47.3%増の48,049百万円となりました。なお、当社は2022年2月9日の「連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ」並びに「連結子会社の異動(株式譲渡)に伴う株式譲渡益の計上及び業績予想の修正に関するお知らせ」にてお知らせしたとおり、当社の連結子会社であったマリンフーズ株式会社及び同社の子会社などに関連する水産事業を非継続事業に分類しております。これに伴い当該事業に関わる売上高、税引前当期利益を、当連結会計年度において、比較年度である前連結会計年度とともに非継続事業に区分しております。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は次のとおりです。
当社グループは、第1四半期連結累計期間より、新たな事業領域への拡充を図る目的で、球団事業及び新規事業などを「その他」に区分して開示しております。また、加工事業本部には、非継続事業に区分した水産事業を含めております。
〔加工事業本部〕
ハム・ソーセージ部門の売上げについては、主力の「シャウエッセン」での環境負荷低減を目指した新包装形態『エコ・ピロタイプ』の投入や、SNSを活用した広告の投入により若年層顧客の獲得を図りましたが、昨年の新型コロナウイルス感染症の影響をカバーできず、量販チャネル向けは前年を下回りました。業務用チャネル向けについては、感染状況が落ち着いてきたことによる需要増により前年を上回りました。
加工食品部門の売上げについては、主力の「石窯工房」がスナック需要の拡大により大きく伸長したことや、常温で保存可能な新商品「あじわいレンジ」の上乗せなどにより、量販店チャネル向けは前年の水準を維持しました。さらにエキス・一次加工を含む業務用チャネル向けも回復し、売上げは前年を上回りました。
乳製品部門の売上げについては、主力の「バニラヨーグルト」が好調に推移したことに加え、業務用チーズの外食チャネルや食品メーカー向けの売上げが伸長したことにより、前年を上回りました。
水産部門の売上げについては、ダイスサーモンを中心とした自社工場製品や寿司種の拡販に努めたことにより、量販店チャネル向けが好調に推移したことに加え、寿司店を中心とした外食チャネル向けも伸長したため、前年を上回りました。
加工事業本部全体の売上げにつきましては、新型コロナウイルス感染症による影響の一巡と消費行動の変化により、業務用商品の売上げが前年を上回ったことに加え、コンシューマ商品の売上げが前年の水準を維持した結果、前年を上回りました。
加工事業本部全体の利益につきましては、原材料価格や燃料費などが想定を上回る急激な上昇となったことに加え、数量増加に伴う労務費の上昇やDX構築に向けた先行費用が増加したことで、減益となりました。
以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比1.5%増の496,700百万円、事業利益は対前年同期比18.3%減の14,679百万円となりました。
〔食肉事業本部〕
販売部門においては、輸入牛肉・輸入豚肉などの調達価格が上昇する中、販売価格への反映に努めたものの、消費者の節約志向が継続し、減益となりました。このような厳しい環境の中、各チャネルに対しては、高騰する輸入食肉の代替として、国産ブランド食肉の提案を強化し販売量を維持しました。また、食肉輸出における輸出コンソーシアムの活用や、国産鶏肉「桜姫」については、発売20周年に向けた取組みとして、3月には新たな加工品「桜姫からあげ」を発売するなど、販路や利益の拡大に努めました。
調達部門においては、調達国の内需拡大・コンテナ不足・入船の遅れが継続したことによる輸入食肉の調達価格の高騰に加え、調達量においても不安定な状況が続きました。このような状況の中、当社グループの幅広い調達ネットワークや物流網を駆使しつつ、代替国の商品や代替部位の提案を強化することにより安定供給に努めた結果、増益となりました。
生産部門においては、内部コストの改善や自社処理工場の稼働率向上、社外調達の拡大などに継続して取り組みましたが、飼料価格や燃料費の高騰が大きく影響し、減益となりました。
以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比4.1%増の683,301百万円、事業利益は対前年同期比13.7%減の35,573百万円となりました。
〔海外事業本部〕
アジア・欧州事業においては、加工品販売がタイ・台湾で順調に推移したことに加え、トルコでの鶏肉販売や英国での食肉輸出も好調を維持したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、タイで加工品原料高により苦戦したものの、トルコでの販売価格の高値維持や英国での輸出増により、増益となりました。
米州事業においては、米国での豚肉輸出や量販店での加工食品の販売、チリでの豚肉輸出が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、米国での輸出用豚肉原料価格や加工食品原料価格の高値継続により、減益となりました。
豪州事業においては、オーストラリアでの牛集荷頭数に苦戦する中、輸出及び内販ともに販売が好調に推移したことに加え、ウルグアイにおいても販売が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、オーストラリアでは牛集荷価格の高値が継続したものの、販売が好調に推移したことや工場稼働の効率化などに取り組んだことにより、増益となりました。一方、ウルグアイでは中国向け輸出停止の影響により、減益となりました。
以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比19.7%増の267,623百万円、事業利益は2,409百万円(前期は104百万円の事業損失)となりました。
〔その他〕
球団事業である北海道日本ハムファイターズにおいては、2021年レギュラーシーズンをパシフィック・リーグ5位で終えました。新型コロナウイルス感染症による入場者数の制限による影響は継続したものの、感染症対策の徹底で主催試合を開催できたことにより、売上げ、利益ともに前年を上回りました。新庄新監督の下でスタートした2022年レギュラーシーズンは、引き続き感染防止対策を最優先に、安全・安心な観戦環境の整備に努めてまいります。
中央研究所で取り組んでいるヘルスサポート事業においては、機能性食品素材のオンラインによるセミナー配信や商談など積極的な販売促進活動を行いました。また、健康食品においては、新商品の機能性表示食品「IMIDEA(イミディア)」のデジタルとリアルをミックスさせた広告活動を行い、認知度拡大に努めました。
新規事業においては、「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向け、「エンタメ事業」「ウエルネス事業」「エシカル事業」の3つの切り口によるサービス提供の準備を進め、「ウエルネス事業」においては、国内食品メーカー初となる食物アレルギーケア総合プラットフォーム「Table for All 食物アレルギーケア」サービスを2022年2月より開始いたしました。
以上の結果、当期のその他の売上高は対前年同期比17.4%増の13,809百万円、事業損失は1,569百万円(前期は1,778百万円の事業損失)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比3.6%増の1,029,782百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比28.2%増の144,607百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比10.2%増の909,213百万円となりました。資産の部では、棚卸資産が前年同期末比11.2%増の119,980百万円、生物資産が前年同期末比38.9%増の32,755百万円、その他の金融資産が前年同期末比63.4%増の24,648百万円となったことなどにより、流動資産は前年同期末比13.2%増の414,306百万円となりました。非流動資産は、有形固定資産が前年同期末比6.0%増の345,022百万円、使用権資産が前年同期末比20.1%増の46,090百万円、無形資産及びのれんが前年同期末比43.9%増の15,269百万円となったことなどにより、前年同期末比7.7%増の494,907百万円となりました。
負債につきましては、未払法人所得税が前年同期末比33.4%減の6,494百万円、退職給付に係る負債が前年同期末比10.9%減の12,951百万円となりましたが、有利子負債が前年同期末比9.1%増の211,407百万円、その他の金融負債が前年同期末比64.8%増の42,810百万円となったことなどにより、前年同期末比10.1%増の419,659百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が40,323百万円増加したことなどにより、前年同期末比10.5%増の479,069百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.2ポイント増の52.7%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末と比べ1,543百万円増加し、85,374百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 33,387百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加22,655百万円、法人所得税の支払額21,045百万円などがありましたが、税引前当期利益51,366百万円、減価償却費及び償却費36,464百万円などにより、33,387百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、82,518百万円の純キャッシュ増)。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 22,837百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、事業の売却に伴う収入16,628百万円などがありましたが、固定資産の取得44,473百万円などにより、22,837百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、57,827百万円の純キャッシュ減)。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 12,162百万円の純キャッシュ減
財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加17,065百万円、借入債務による調達27,462百万円などがありましたが、現金配当9,610百万円、借入債務の返済47,490百万円などにより、12,162百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、14,934百万円の純キャッシュ減)。
a. 生産実績(製造原価ベース)
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要な会計方針及び見積りの内容及び新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
2021年4月よりニッポンハムグループは、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」」“たんぱく質を、もっと自由に。” を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指しております。
「中期経営計画2023」の進捗と取組みは以下の通りとなります。
全社としての取り組みは、重点事業への経営資源集中、最適ポートフォリオを追求し、マリンフーズの株式譲渡を実施しました。また最適生産体制の構築のため一部エリアで、生産拠点の再編にも着手し始めました。
「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」については、加工事業においてコロナ禍による原材料価格高騰を受け、価格改定を実施しました。製造工程では、シャウエッセンの高生産ラインを集約し効率化を追求しました。同時に加工事業本部に組み込まれた宝幸やルナ、日本ピュアフードとのシナジー効果が一部発現しました。またサステナビリティ追求として、環境に配慮した包材への変更としてシャウエッセンの包装形態を変更し包装資材重量 28%削減、年間CO2排出量約4,000トン削減につなげていきます。
食肉事業では、穀物相場が高騰し飼料価格が上昇する外部環境のなか、自社処理工場の生産性改善に努めました。調達環境が不安定な中、調達エリアを拡大し、輸入食肉の調達網を拡大しました。また国内においても国産鶏肉と豚の社外からの調達も強化しました。付加価値のある食肉ブランドの拡販に取り組みました。
「海外事業における成長モデルの構築」を掲げた海外事業本部では、北米において原材料価格が高騰し、コロナ禍での製造の安定稼働が難しい中、加工品販売が伸長しました。豪州の牛肉事業では生体価格が高止まりするなか、ブランド食肉の拡販に努めました。
「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」では、D2Cによる新たな商品・サービスによる新しい価値の提供を始めました。具体的にはエンタメ事業では食のエンターテインメントサイト「Meatful」、ウエルネス事業では食物アレルギーケアの総合プラットフォーム『Table for All 食物アレルギーケア』への参入を開始しました。
「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」では、DXを推進し全社システム構築「Connect」に着手しました。生産性向上実現するDXとして、各事業本部でAI引き当て、AI荷繰りの導入を進めています。また、AIを用いた豚の健康や発情状況を判定するスマート養豚が、PIGLABOとして実装段階に入ってきました。人財においても、ダイバーシティの推進、DX人材の育成・確保を進めています。
「中期経営計画2023」1年目としては、売上高1兆1,800億円、事業利益480億円、売上高事業利益率4.1%、ROE6.8%、ROIC5.1%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては。売上高1兆1,744億円、事業利益481億円、ROE10.5%、ROIC5.0%となりました。今後も続く不透明な外部環境への機敏な対応を高めることが引き続き課題と認識しております。
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
〔加工事業本部〕
加工事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢による今後の需給動向が不透明な中、原料、燃料価格の高騰や人件費・物流費の上昇など、厳しい環境が続くことが予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」「マーケティング視点での事業拡大」「環境対応と収益性の両立」「事業の軌道化」「成長戦略を支える基盤強化」の5つの方針に沿って、事業戦略を実行してまいります。「全体最適視点での筋肉質な製造収益構造の確立」では、全社視点での最適な製造体制の構築や商品ポートフォリオの最適化、ライン統廃合による合理化、技術革新による生産の標準化などに、「マーケティング視点での事業拡大」では、顧客視点でのマーケティングプロセスの実践や既存ブランド・育成ブランドの拡大と定着、組織統合によるシナジーの発揮などに、「環境対応と収益性の両立」では、包装資材使用量やCO2排出量、食品ロスの削減などに、「事業の軌道化」では、課題事業の収益性向上に、「成長戦略を支える基盤強化」では、組織風土改革や人財育成・獲得、内部統制の高度化などに取り組んでまいります。
〔食肉事業本部〕
食肉事業本部につきましては、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響に加え、国内における家畜の疾病、異常気象による生体価格や飼料価格の変動、自由貿易協定の拡大や新興国の需要増加など、国内外における食肉の需給バランスが目まぐるしく変化していくと予想されます。その中で、「中期経営計画2023」においては、「調達力の強化」「販売力の強化」「基盤強化」を基本方針とし、「調達力の強化」では、国内食肉は、自社農場の生産性向上を図るとともに、社外との連携強化や提携などにより安定調達を目指してまいります。輸入食肉は、高品質・安定調達のための既存調達先との連携を強化するとともに、調達リスクを分散するため、新規調達国の開拓を進めてまいります。「販売力の強化」では、重点チャネル攻略によるシェア・収益の拡大、ブランド食肉や付加価値商品の開発による競争力・粗利益率の向上に、「基盤強化」では、人財育成と機能配置の最適化により個を強化するとともに、食肉マーケティング推進室を中心として社内の他部門との連携を図り組織を強化することにより、国内販売シェアを高めてまいります。
〔海外事業本部〕
海外事業本部につきましては、引き続き新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢の影響を最小限に抑え、国内への安定供給に向けた調達先の確保に努めるとともに、「中期経営計画2023」においては、「既存事業の構造改革」「対日向けの加工品・食肉の開発と供給体制の強化」「国外での加工品販売の強化」「成長戦略を支える基盤強化」を基本方針として、構造改革による安定的収益基盤の強化を進めつつ、対日向け・現地内販それぞれの販売拡大を図るとともに、人財育成とガバナンス体制の強化に取り組んでまいります。
また、当社グループの永続的な発展に向け、機能戦略の最重要課題として、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に取り組むとともに、部門を横断する4つの経営課題(事業横断戦略、新規事業、北海道プロジェクト、コーポレートコミュニケーション)についても、全社視点で取り組んでまいります。
新型コロナウイルス感染症拡大による今後の影響につきましては「第2事業の状況 2事業等のリスク ③自然災害や突発事故及び社会的な制度等のリスク」に記載しております。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。
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