課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「わが社は、『食べる喜び』を基本のテーマとし、時代を画する文化を創造し、社会に貢献する。」「わが社は、従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場として存在する。」という2つの企業理念を掲げております。安全・安心で高い品質の食品の提供を通じて、お客様の楽しく健やかなくらしに貢献していくことを経営の使命とし、様々な事業を展開しております。「食べる喜び」とは、おいしさの感動や健康の喜びを表しており、食シーンの提案や食文化の創造、スポーツを通した健康づくりの応援などにも積極的に取り組んでまいります。また、当社グループの事業は、生命を育み、その恵みを大切にして食品にすることで、将来にわたって食料の安定供給を図る社会的に重要な事業であると考えております。その事業に携わることで、従業員が喜びを感じ、やり甲斐をもって仕事を行うことは、お客様にも喜ばれる商品・サービスの提供に繋がるものと考えております。

その基盤として、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」のさらなる充実と、2021年4月に見直しを行ったニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」への取り組みを推進してまいります。当社グループがこれらについての取り組みを進めることが、持続可能な社会の実現に貢献し、当社グループの企業価値を高めることにつながると考えております。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、2021年4月よりスタートした「中期経営計画2023」(2021年4月1日~2024年3月31 日)の最終年度において、連結売上高1兆2,200億円、事業利益610億円、事業利益率5.0%、ROE8.0%以上、ROIC6.0%以上の目標を掲げております。

(注) 1 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。

     2 「中期経営計画2023」並びにその見直し・修正計画など(以下、「当中期経営計画」)は、現時点で入手可能な情報や、合理的と判断した一定の前提に基づいて策定した計画・目標であり、潜在的なリスクや不確実性などを含んでいることから、その達成や将来の業績を保証するものではありません。また実際の業績等も当中期経営計画とは大きく異なる結果となる可能性がありますので、当中期経営計画のみに依拠して投資判断を下すことはお控え下さい。なお、将来における情報・事象及びそれらに起因する結果にかかわらず、当社グループは当中期経営計画を見直すとは限らず、またその義務を負うものではありません。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題

当社グループは、2021年4月に「中期経営計画2023」およびニッポンハムグループ「Vision2030」を策定しました。

今後の経営環境を見通しますと、新型コロナウイルス感染症に伴う新たな生活様式の定着や食ニーズの多様化、グローバル経済の拡大による需給バランスの変化、世界の人口増加による食糧不足、SDGsに代表される地球環境や社会課題への意識の高まり、AI(人工知能)やDX(デジタル・トランスフォーメーション)などによるデジタル革命やフードテックの拡大、国内での人口減少・高齢化による市場規模の縮小など、これまでにない大きな変化となっており、当社グループにおける経営課題も一層高度化かつ複雑さを増し、将来に向けたビジネスモデルの変革が求められております。

このような環境下において、2021年4月よりスタートしました「中期経営計画2023」は、経営理念の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿であるニッポンハムグループ「Vision2030」をマイルストーンとして位置付け、その達成に向け、既存事業の強化と構造改革、持続可能性の追求、成長領域における事業育成について中長期視点で取り組んでまいります。また、ニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題として特定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の取り組みを「中期経営計画2023」における各施策とリンクさせ、実行力を高めてまいります。これらを支える経営の基盤として、引き続き「高次の品質No.1経営」の推進と「コーポレート・ガバナンス」の継続的な強化に取り組んでまいります。

 

 


<ニッポンハムグループ「Vision2030」>“たんぱく質を、もっと自由に。”
 ニッポンハムグループ「Vision2030」は、これまでの提供価値である「安全・安心」「おいしさ」に加え、常識にとらわれない「自由」な発想で「たんぱく質」の可能性を広げることで、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出し、毎日の幸せな食生活を支え続けたいという当社グループの想いを「2030年におけるありたい姿」として表現しております。

 

<ニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」>

①たんぱく質の安定調達・供給

世界的な人口増や気候変動などに伴い、たんぱく質の供給難が予測されておりますが、ニッポンハムグループはたんぱく質の安定調達と供給を目指します。これまでの品質に対する安全・安心への取組みに加え、サプライチェーンにおける環境や人権・動物福祉などの社会側面を配慮しつつ、多様なたんぱく質への取組みを推進してまいります。

②食の多様化と健康への対応

ライフスタイルなどの変化に伴い、食においても多様な対応が求められております。様々なニーズに合わせた商品の開発とサービスの提供により、楽しく健やかなくらしに貢献してまいります。

③持続可能な地域環境への貢献

気候変動や食品ロス、海洋プラスチックなど地球環境を取り巻く様々な課題がある中、ニッポンハムグループの事業は自然からの恵みをいただくことで成り立っており、バリューチェーンを通じて温室効果ガスや食品ロス、プラスチックなどの課題解決に向けての取り組みを推進してまいります。

④食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄

ニッポンハムグループは「良き企業市民」として食やスポーツなどを通じた繋がりを深め、共に歩み・発展することで愛され信頼される企業を目指してまいります。

⑤従業員の成長と多様性の尊重

ニッポンハムグループは「従業員が真の幸せと生き甲斐を求める場」となることを目指しております。ひとりひとりを尊重し、それぞれが持てる力を発揮・活躍できる環境づくりを推進してまいります。

 

「持続可能な地球環境への貢献」に関する 定量目標(中長期環境目標)

 

2030年度目標

化石燃料由来CO2排出量の削減 ※

2013年度を基準に46%以上削減(国内事業所)

廃棄物排出量

2019年度を基準に5%削減(国内処理・製造工場)

廃棄物リサイクル率

2030年度に92%以上(国内事業所、2019年度84.1%)

用水使用量

2019年度を基準に5%削減(国内処理・製造工場)

認証パーム油使用比率

2030年度に100%切替(国内外拠点)

 

※家畜由来等の温室効果ガスについては、削減に向けた研究開発を行ってまいります。

 

<TCFDフレームワークに基づく情報開示>

 ニッポンハムグループは「Vision2030」の実現に向けて優先的に解決すべき社会課題を「5つのマテリアリティ」として再特定しました。

 企業理念の実現に加え、持続的な社会の実現のためにも、気候変動への対応は不可欠です。2015年の「パリ協定」、2018年のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)「1.5℃特別報告書」、2021年のCOP26で採択された「グラスゴー気候合意」を経て、気候変動対応の重要性はますます高まっています。このような状況を受け、当社は世界の主要食肉企業に先駆けて2020年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明し、2021年10月のTCFD中間開示を経て、今回の開示に至りました。詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載しておりますので、ご参照ください。(https://www.nipponham.co.jp/csr/environment/climate/)

 2022年度以降は、リスク・機会の分析を深めるとともに対応策の検討・推進を行い、関連情報の開示を進めてまいります。

 

<経営方針>

①収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト

ニッポンハムグループの調達力や販売力のさらなる強化、全体最適視点での製造収益構造の確立、マーケティング視点での事業拡大に取り組んでまいります。

②海外事業における成長モデルの構築

有望領域として定める地域における加工品の販売や、対日向けの加工品・食肉の開発・供給体制の強化に取り組んでまいります。

③新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供

各事業本部で取り組む新たな価値提供に加え、D2C(Direct to Consumer)を活用した新規領域やスポーツ事業に積極的に取り組んでまいります。

④ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化

各部室におけるミッション遂行に加え、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、全社戦略の立案と推進機能の強化、人財マネジメントの強化などに取り組んでまいります。

 

<部門横断推進戦略>

①事業横断戦略

ニッポンハムグループの永続的な発展に向け、事業本部を越えてグループ一体となった総合力を発揮する全社共通戦略を企画・実行してまいります。

②新規事業

将来の環境変化を見据えた新たな成長領域への取り組みを加速し、具体的な事業化を目指すとともに、挑戦する風土の醸成にもつなげてまいります。

③北海道プロジェクト

グループの拠点が多数立地する北海道において、2023年の新球場の開業に向けて本業とのシナジーを創出するとともに、地域の発展に貢献してまいります。

④コーポレートコミュニケーション

コーポレートコミュニケーション機能を強化し、ステークホルダーとの戦略的コミュニケーションの展開によりレピュテーションの向上に取り組んでまいります。


 

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