当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度においては、前年度に続き、日本社会全体がコロナウイルス感染症の度重なる流行で不安定な状況におかれました。さらに原料やエネルギー資源の世界的な価格上昇や不足のため、貿易で立脚する我が国経済は厳しい状況に晒されました。食肉業界においても、6波に亘る感染拡大と、その対応策としての人流抑制措置により、事業活動に大きな制約を受けております。
このような状況のもと、当社グループは、「魅力あるスタミナ食品をもって世界に貢献する」、「企業の成長発展とともに、生活・文化の向上を図る」という社是に基づき、お客様に安全安心な食肉商品を安定的にお届けすることを優先課題として、事業の継続と発展に努めました。
食肉等の製造・卸売事業においては、需要の偏りと供給の不安定化による市場の混乱の中、安定的な事業継続を目指して諸施策を行いました。営業、製造それぞれの現場において、感染防止のための衛生管理の徹底、事業継続計画の実施などを行い、食品の流通に支障が出ないように業務を遂行いたしました。また、コロナウイルス感染症に関する社内啓蒙活動を行い、ウィズコロナにおける事業のあり方も模索しました。製品事業においては、生活様式の変化に対応した新たな製品の開発及び販売促進に取り組みました。
食肉等の小売事業においては、対策本部を設置のうえ、意思決定や情報共有を円滑に図るとともに、地域の方の毎日の生活を支えるという使命のもと、お客様に安全に安心して食品をお買い物いただくことができるよう日々の店舗運営維持に努めてまいりました。
食肉等の外食事業においては、度重なる緊急事態宣言と、まん延防止等重点措置により、首都圏や他の大都市圏における多くの店舗が休業や時短営業を余儀なくされる事態となりました。コロナ禍の自粛ムードも含め、今後も当事業を取り巻く環境は、厳しい状態が続くものと想定していますが、最優先すべきはお客様と従業員の安全との前提のもと、ソーシャルディスタンスの確保や消毒の徹底等店舗における感染予防策を徹底した上で営業を継続していく方針です。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、昨年に引き続き小売店向けの販売が好調に推移したことなどにより、3,588億2千4百万円(前連結会計年度比9.6%増)、営業利益は174億2千7百万円(前連結会計年度比38.2%増)、経常利益は179億9千9百万円(前連結会計年度比38.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は119億4千4百万円(前連結会計年度比19.9%増)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
a 食肉等の製造・卸売事業
売上高は3,279億1千7百万円 ( 前連結会計年度比10.5%増 )、 セグメント利益は169億1千6百万円 ( 前連結会計年度比41.4%増 )となりました。
b 食肉等の小売事業
売上高は249億5千2百万円(前連結会計年度比3.4%増)、セグメント利益は16億7千万円(前連結会計年度比16.2%減)となりました。
c 食肉等の外食事業
売上高は45億7千4百万円 ( 前連結会計年度比11.7%減 )、 セグメント損失2億9千4百万円 (前連結会計年度3億3千1百万円の損失)となりました。
売上高は13億8千万円 ( 前連結会計年度比0.2%減 )、 セグメント利益は3千6百万円 (前連結会計年度6千3百万円の損失)となりました。
(総資産)
当連結会計年度末における 総資産の残高は、1,815億1千8百万円 ( 前連結会計年度末比91億2千3百万円、 5.3%増 )となりました。
主な増減内容は、固定資産が2億4千8百万円増加に対して、流動資産が88億7千5百万円増加となっております。
(流動資産)
当連結会計年度末における 流動資産の残高は、1,112億8千5百万円 ( 前連結会計年度末比88億7千5百万円、 8.7%増 )となりました。主に現金及び預金が15億7千5百万円、たな卸資産が51億1千万円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における 固定資産の残高は、702億3千3百万円 ( 前連結会計年度末比2億4千8百万円、 0.4%増 )となりました。主に投資有価証券が6億6千6百万円増加した一方で、有形固定資産が2億2千8百万円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における 流動負債の残高は、417億1千4百万円 ( 前連結会計年度末比△68億5千4百万円、 14.1%減 )となりました。主に買掛金が15億5千6百万円及び短期借入金が22億9千2百万円及び未払法人税等18億8百万円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における 固定負債の残高は、336億4千7百万円 ( 前連結会計年度末比43億2千8百万円、 14.8%増 )となりました。主に長期借入金が47億2千6百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における
純資産の残高は、1,061億5千7百万円
(
前連結会計年度末比116億5千万円、
12.3%増
)となりました。これは主に,為替換算調整勘定が12億7千万円及び利益剰余金が98億2千6百万円増加したことによるものであります。
以上の資産、負債及び純資産の増減の結果、自己資本比率は54.7%となり、前連結会計年度末比3.7ポイント上昇しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度より14億9千1百万円増加して413億2千1百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、76億9百万円の収入(前連結会計年度は165億7百万円の収入)で、主な増加要因として税金等調整前当期純利益177億7千5百万円、減価償却費46億1千9百万円及び売上債権の減少額8億9千3百万円であります。一方、主な減少要因はたな卸資産の増加額49億6千3百万円、仕入債務の減少額16億7千9百万円及び法人税等の支払額73億9百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、74億5千3百万円の支出(前連結会計年度は6億7千7百万円の収入)で、支出の主なものは有形固定資産の取得による支出44億4千7百万円及び貸付による支出26億7千万円であります。一方、収入の主なものは貸付金の回収による収入5億9千5百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、4億7千万円の収入(前連結会計年度は73億2千6百万円の支出)で、収入の主なものは長期借入による収入97億円であります。一方、支出の主なものは短期借入金の純増減額23億4千7百万円、長期借入金の返済による支出45億2千8百万円及び配当金の支払額21億1千7百万円であります。
なお、キャッシュ・フローの指標は以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
(注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。
(注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.牛肉及び豚肉の枝肉を部位別に分割する加工は、生産実績に含めておりません。
当社グループは受注生産を行っておりません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っております。
a 経営成績
(売上高)
当連結会計年度は、食肉の生産から小売・外食までの食肉に関わる事業を一貫して取り組む垂直統合を推進することで、経営体質の強化と安定的な成長を目指しました。「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記述の諸施策を実施いたしております。
コロナ禍における各事業において、食肉等の製造・卸売事業は、営業、製造それぞれの現場において、感染防止のための衛生管理の徹底、事業継続計画の実施などを行い、食品の流通に支障が出ないように業務を遂行いたしました。また、コロナウイルス感染症に関する社内啓蒙活動を行い、ウィズコロナにおける事業のあり方も模索しました。食肉等の小売事業においては、対策本部を設置のうえ、意思決定や情報共有を円滑に図るとともに、お客様に安全に安心して食品をお買い物いただくことができるよう日々の店舗運営維持に努めてまいりました。食肉等の外食事業においては、最優先すべきはお客様と従業員の安全との前提のもと、ソーシャルディスタンスの確保や消毒の徹底等店舗における感染予防策を徹底した上で、行政の指導等を参考にしながら営業を継続しました。
以上の結果、 売上高は3,588億2千4百万円 となり、前連結会計年度比 313億4千5百万円 、 9.6%増収 となりました。
(損益状況)
売上原価は、3,027億8千6百万円 (前連結会計年度比 9.4%増 )となりました。売上原価率は、0.2ポイント下落し、84.4%となりました。
売上総利益は、売上高の増加などにより 560億3千8百万円 (前連結会計年度比 10.8%増 )となりました。
販売費及び一般管理費は、 386億1千1百万円 (前連結会計年度比 1.7%増 )となりました。
営業利益は、以上の要因により 174億2千7百万円 (前連結会計年度比 38.2%増 )となりました。
営業外損益は、前連結会計年度の3億8千1百万円(純額)の利益から5億7千2百万円(純額)の利益となりました。
特別損益は、前連結会計年度の24億2千4百万円(純額)の利益から2億2千3百万円(純額)の損失となりました。主に固定資産売却益が40億5千1百万円減少した一方で、減損損失が9億8千3百万円及び固定資産圧縮損が5億6千2百万円減少したことによるものです。
これらの結果、 親会社株主に帰属する当期純利益は119億4千4百万円 (前連結会計年度比 19.9%増 )となり、また1株当たり当期純利益は 377.82円 (前連結会計年度 314.96円 )となりました。
b 財政状態
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。
c キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
わが国における少子高齢化による食肉の需要規模の縮小や、食品の安全性に対する強い関心、また国際的な食料需給の安定問題など経営環境は厳しい状況が見込まれます。このような厳しい環境下において、円安や資源高による商品市況の変動や需要の減退により販売競争が激化し、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの主な運転資金需要は、原材料の購入、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、営業所、工場の生産設備等であります。
当社グループは、これらの資金需要に対する運転資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。
f 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(固定資産の減損)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
g 戦略的現状と見通し
当社グループは総合食肉企業グループとして食肉流通の川上から川下までの一貫した供給体制を築き、消費者に健康的で栄養価の高い食品を質・量・価格共に安定的にお届けすることで、食生活の向上と食文化の普及に貢献しております。経営戦略としましては、グループ経営の強化と効率化を図るとともに、新たな事業領域に挑戦することにより、グループをさらに活性化してまいります。
食品に対する安全と安心のニーズの更なる高まりへの適応、また企業の公明正大な活動と社会的責任の遂行とともに企業価値の増大を図ることにより株主をはじめ利害関係者との共存共栄を実現する経営を心掛けてまいります。
また、21世紀を勝ち抜く「強い会社」の実現のため、「コーポレート・ガバナンスの充実」と「スピーディな意思決定と業務執行」に重点をおき、法令順守の管理体制の充実・強化に努め、透明度と信頼度の高い経営システムを構築してまいります。
今後は、人類にとって貴重で大切な動物性タンパク質である国内外の牛・豚・鶏等の安全な食品を真心込めて取り扱う総合食肉企業として、「バラエティーミート世界一、食肉日本一」を目指し、食肉文化の国内外への一層の普及に努めてまいります。
お知らせ