業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等(以下「経営成績等」という)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、製薬企業のバリューチェーンを全面的に支援する独自の事業モデルPVC(Pharmaceutical Value Creator)を持続的成長の基盤として、“個々人の健康価値を最大化”する事業モデルPHVC(Personal Health Value Creator)への展開を目指しております。創業30年の節目にあたる2022年9月期を第三創業元年と位置付け、新規の創薬基盤技術による医薬品開発やデジタル化への対応を強化するとともに、ヘルスケア分野へ事業領域を広げ、予防から診断、治療、予後に至る疾患のトータルケアの支援等を推進してまいります。ポストコロナの事業環境を見据え、持続的成長に向けたグループ経営基盤の強化と飛躍を図っていく方針です。

 

2021年11月策定の中期計画(FY2022-2025)に掲げた重点課題①ヘルスケアビジネスの進展、②疾患予防・治療の研究開発から販売まで総合的な支援の強化、③社会的有益性の高い事業を通じたサステナブルな社会への貢献に対し、PVCモデルを展開する「製薬ソリューション」と、医療機関や自治体等を通じて個人の健康に寄与する「ヘルスケアソリューション」として推進してまいります。

 

[売上高及び営業利益]

当連結会計年度においては、中期計画の重点課題への取組みとして、デジタルと人材の両面から地域社会を支える自治体向けビジネスソリューションの提案や、医薬品開発及び製造等の新規受託案件獲得に向けた営業活動に注力しました。

2022年2月ロシアによるウクライナ侵攻により社会情勢が不安定となり、事業への影響が懸念される状況が続いておりますが、当連結会計年度での当社グループへの直接的に大きな影響はありません。

当連結会計年度においては、ヘルスケアソリューションセグメントにおける新型コロナウイルス感染症のワクチン開発及び接種支援業務等の大幅な伸長に加え、製薬ソリューションセグメントにおける各事業も堅調に推移したことにより、売上高108,461百万円(前連結会計年度比26.4%増)、営業利益は11,845百万円(前連結会計年度比140.7%増)と、前連結会計年度を大幅に上回りました。

 

 

 

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

増減率

(%)

売上高

 

85,788

108,461

+22,672

+26.4

 

製薬ソリューション

68,392

78,188

+9,796

+14.3

ヘルスケアソリューション

17,958

31,007

+13,048

+72.7

調整額

△562

△735

△173

営業利益

 

4,920

11,845

+6,924

+140.7

 

製薬ソリューション

3,127

4,752

+1,625

+52.0

ヘルスケアソリューション

3,159

8,660

+5,500

+174.1

調整額

△1,365

△1,566

△201

経常利益

5,091

13,450

+8,358

+164.2

親会社株主に帰属する当期純利益

2,023

8,387

+6,364

+314.5

※当連結会計年度の期首より収益認識に関する会計基準等を適用しております。影響額については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

セグメント別の業績は以下のとおりです。なお、当社グループの報告セグメントは、2022年9月期より「製薬ソリューション」及び「ヘルスケアソリューション」の2セグメントに変更しております。セグメント別の業績の前連結会計年度比増減額及び率につきましては、当該変更後の区分に基づいて比較しております。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

<製薬ソリューション>

製薬企業のバリューチェーンに対し、CRO(医薬品開発支援)事業、CDMO(医薬品製剤開発・製造支援)事業、Market Solutions(医薬品営業支援、オーファンドラッグ等の開発・製造販売・流通)事業を通じてソリューションを提供するPVC(Pharmaceutical Value Creator)事業モデルを展開しています。

売上高につきましては、全事業において伸長したことにより78,188百万円(前連結会計年度比14.3%増)、営業利益につきましても4,752百万円(前連結会計年度比52.0%増)と、増収増益になりました。

なお、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、従来の方法に比べて、売上高は2,819百万円増加、セグメント利益は242百万円増加しております。

 

CRO事業

・売上高は前期を上回る

・開発案件の引き合いが増加

・Science 37®とDecentralized Clinical Trial(DCT)促進と医薬品開発のスピードアップに向けたパートナーシップを締結、DCT(遠隔診療、訪問看護、ePROなど)を取り入れた試験が増加

・バイオアナリシス業務において、次世代バイオ医薬品や遺伝子治療薬など、モダリティの多様化が進む先端領域の創薬支援

 

CDMO事業

・売上高は前期を上回る

・新型コロナウイルス感染症拡大やジェネリック品質問題の影響に対し、安定供給の確保に向けたニーズが拡大

・製造におけるエネルギー、原料、包装資材などの価格が上昇

・納期の長期化などの供給不足リスクに顧客や調達先と連携して対応

・米国の業績回復遅れ、新規案件獲得に注力

 

Market Solutions事業

・売上高は前期を上回る

・MR派遣業務において新規案件の獲得と既存案件が順調に進捗

・尿素サイクル異常症治療薬グリセロールフェニル酪酸(海外販売名Ravicti®)の日本における開発開始

 

<ヘルスケアソリューション>

医療関連施設及び医療従事者等を総合的に支援するSite Support Solutions事業と、個人及び自治体等にヘルスケアの新たなエコシステムを用いたソリューションを提供するHealthcare Revolution事業で構成しております。

売上高につきましては、新型コロナウイルス感染症のワクチン開発及び接種支援業務に加え、陽性者フォローアップや抗原検査キット販売等のトータル支援による大幅な伸長により31,007百万円(前連結会計年度比72.7%増)、営業利益につきましても8,660百万円(前連結会計年度比174.1%増)と、増収増益になりました。

なお、収益認識に関する会計基準等の適用に伴い、従来の方法に比べて、売上高は474百万円増加、セグメント利益は39百万円減少しております。

 

Site Support Solutions事業

・売上高は前期を大幅に上回る

・新型コロナウイルス感染症のワクチン及び治療薬等開発、コールセンター案件の増加

・臨床試験(研究)をはじめとする医療機関向け支援ニーズも拡大

・アカデミアとの連携を促進

 

Healthcare Revolution事業

・売上高は前期を大幅に上回る

・新型コロナウイルス感染症のワクチン接種支援業務から自治体支援業務が大幅に拡大

・疾病予防・健康情報やIT技術を融合したビジネスの拡大に取り組む

‐ヘルスケア情報連携のためのデータ管理プラットフォーム開発を行う㈱オケイオスを持分法適用会社化

‐フレイル*検査キット「フレサイン」の発売やストレスチェックの実証実験など自己検査サービスを展開

  *身体的機能や認知機能の低下

 

[経常利益]

当連結会計年度の経常利益は13,450百万円(前連結会計年度比164.2%増)となりました。

なお、営業外収益として為替差益及び受取利息等1,830百万円、営業外費用として支払利息及び支払手数料等225百万円を計上しております。

 

[親会社株主に帰属する当期純利益]

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は8,387百万円(前連結会計年度比314.5%増)となりました。

なお、特別利益として資産除去債務戻入益139百万円、特別損失として減損損失及び固定資産除却損等1,550百万円、法人税、住民税及び事業税として6,066百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益として657百万円を計上しております。

減損損失につきましては、米国でCDMO事業を営むCMIC CMO USA Corporationが2019年10月に立ち上げた新施設の固定資産について、新型コロナウイルス感染症等の影響により当初の予定より操業開始が大幅に遅延しており、当連結会計年度において、当初見込んでいた期間内での回収が難しくなったことから1,386百万円を計上しております。

法人税等調整額につきましては、一部連結子会社での税効果会社分類の見直し及び将来減算一時差異の増加によって繰延税金資産が増加したことから、△3,071百万円を計上しております。

 

[財政状態]

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末比で16,397百万円増加し、107,590百万円となりました。これは主に、売掛金及び契約資産、繰延税金資産、有形固定資産、現金及び預金等の増加によるものであります。

負債合計は、前連結会計年度末比で9,614百万円増加し、66,320百万円となりました。これは主に、賞与引当金、契約負債、長期リース債務等の増加によるものであります。

純資産合計は、前連結会計年度末比で6,783百万円増加し、41,269百万円となりました。これは主に、利益剰余金と自己株式等の増加によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比で2,323百万円増加し、11,703百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、11,213百万円の収入(前連結会計年度9,804百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益、減価償却費等による資金の増加と法人税等の支払いによる支出等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、8,045百万円の支出(前連結会計年度6,685百万円の支出)となりました。これは主に、CDMO事業における有形固定資産の取得による支出等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,230百万円の支出(前連結会計年度6,348百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払いと自己株式の取得による支出等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

1) 生産実績

当連結会計年度のセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

前連結会計年度比(%)

製薬ソリューション

77,174

+10.9

ヘルスケアソリューション

30,048

+67.8

合計

107,223

+22.6

(注)1. 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 前連結会計年度比は、変更後の報告セグメントの区分に基づき算出しております。

 

2) 受注実績

当連結会計年度のセグメントごとの受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結

会計年度比

(%)

受注残高

(百万円)

前連結

会計年度比

(%)

製薬ソリューション

80,907

+19.2

74,742

+9.4

ヘルスケアソリューション

29,982

+35.3

16,139

△2.7

合計

110,890

+23.2

90,882

+7.0

(注)1. 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 前連結会計年度比は、変更後の報告セグメントの区分に基づき算出しております。

 

3) 販売実績

当連結会計年度のセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2021年10月1日

  至 2022年9月30日)

前連結会計年度比

(%)

製薬ソリューション

77,934

+14.2

ヘルスケアソリューション

30,526

+74.1

合計

108,461

+26.4

(注)1. セグメント間の取引については相殺消去しております。

2. 連結売上高の10%以上を占める相手先がないため、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合の記載を省略しております。

3. 前連結会計年度比は、変更後の報告セグメントの区分に基づき算出しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。ただし、将来に関する事項には不確実性があるため、実際の結果は、これら見積りと異なる可能性があります。

なお、2020年初頭から続く新型コロナウイルス感染症の拡大は世界中の社会・経済活動に深刻な影響を及ぼしております。現時点において、新型コロナウイルス感染症の拡大が当社グループの業績に与える影響は限定的であると仮定して、重要な会計上の見積りを行っております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況、②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

2023年9月期につきましては、以下の業績を予想しております。

                           (単位:百万円)

 

2023年9月期

売上高

95,000

営業利益

5,000

経常利益

4,700

親会社株主に帰属する当期純利益

2,900

 

③ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性の状況

1) 資金の流動性について

 資金の流動性につきましては、当社及び一部の連結子会社の資金を集中管理することにより、余剰資金の効率化を図っております。また、手許流動性確保のために、コマーシャル・ペーパー発行枠、当座貸越枠及びコミットメントライン契約等の調達手段を備えております。

2) 資金の調達

 当連結会計年度の資金調達は、調達コストとリスク分散の観点による長期と短期のバランスを勘案し、コマーシャル・ペーパー発行と金融機関等から短期借入と長期借入により、資金調達を行いました。

3) 資金の使途

  当連結会計年度の資金の使途は、主として、事業活動の維持拡大に必要な事業資金及び設備投資資金です。主な設備投資につきましては、「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」の記載のとおりであります。

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