事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社は、リスクを「シミックグループリスク管理規程」において「会社に物理的、経済的もしくは信用上の損失または不利益を生じさせるすべての可能性」と定義し、グループリスク・危機管理責任者を中心にグループ横断的にリスクの存在とその影響度を事前に把握の上、適切に管理する方法を策定、実行しております。また、事業機会に関連する戦略上のリスクについては、CEOを中心とする経営執行上の会議体でリスクと機会の観点から十分に検討を行っており、その検討結果は、取締役会へ報告の上、議論されております。

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性がある主要なリスクは、以下のようなものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点において予見できない他の要因の影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)顧客の動向に関するリスク

当社グループは、PVCモデルを展開する「製薬ソリューション」と、医療機関・自治体等を通じて個人の健康に寄与する「ヘルスケアソリューション」を事業として展開しております。「製薬ソリューション」においては、製薬業界の経済環境及び製薬企業の経営方針の影響を強く受ける特性があります。したがって、製薬企業が有効性や安全性の観点から新薬候補品の開発を中止する、あるいは新薬の承認が得られず製造及び販売ができなくなる等の不測の事態が発生した場合には、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。「ヘルスケアソリューション」においては、疾病動向やヘルスケア関連企業・団体の方針の影響を受ける可能性があります。

当社グループは、製薬企業の開発、製造、営業・マーケティングのバリューチェーンを広範に支援する事業を展開するとともに、海外からの日本市場参入や国内異業種からのヘルスケア事業参入及び国・地方自治体への支援を通じて、顧客の多様化を図ることによりリスクの低減に努めております。

 

(2)法規則、行政動向に関するリスク

当社グループの事業は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(略称:医薬品医療機器等法)及び同法に関連する厚生労働省令等により規制を受けているため、行政施策の変更が、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、業界団体等への参画を通じて、薬事規制やグローバル規制に関する最新の情報収集に努めるとともに、これらの情報を基に役職員へ教育・トレーニングを実施することでリスクの低減に努めております。

 

(3)競合に関するリスク

当社グループの属する業界においては、異業種及び海外同業他社の新規参入による競争の激化や、M&Aや資本提携を通じた寡占化の影響を受けることが考えられます。この結果、当社グループが顧客を失う可能性、もしくは当社グループの提供するサービスの価格が、顧客の維持・確保のため低下を余儀なくされ、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、製薬企業の開発、製造、営業・マーケティングのバリューチェーンを広範に支援する事業モデルPVCと、さらに製造販売業等の許認可を組み合わせたIPMビジネスを活かして、顧客の幅広いニーズに対応することで差別化を図り、競争力の維持向上に努めております。

 

(4)海外展開に関するリスク

当社グループは、米国、アジアを中心に海外展開をしておりますが、各国の政情、薬事行政等の動向及び人財確保が順調に進まない場合、当初想定した事業利益を確保できず、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、各国の政情や法令及び諸規則について、業界団体や現地の法律事務所をはじめとする専門家からの情報収集・情報交換を行っております。人財確保においてもグループ内人事部門間で情報共有を行っております。また、各地で問題が発生した場合には、現地子会社と連携し、迅速な課題解決を図る体制を構築しております。

 

(5)自然災害等に関するリスク

当社グループが事業展開している地域や拠点において、災害(地震、台風、火災等)・疫病等が発生し、人的・物的被害の発生、業務停止及び遅延が生じた場合、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、「シミックグループリスク管理規程」に基づき、役職員の安全確保と事業の継続を基本方針とした事業継続計画(BCP)を整備し、定期訓練の実施等を通じて、災害発生時の事業への影響を最小限とするための取組みを行っており、特に新型コロナウイルス感染症対応については、感染状況などを踏まえた感染拡大防止と事業への影響の最小化に努めております。

 

(6)気候変動対策に関するリスク

当社グループでは、各拠点における購入電力のみならず医薬品の製造施設等一部の拠点で化石燃料に由来するCO2を排出しております。脱炭素への取組みに対する社会的要請が高まる中、炭素税の賦課やCO2排出規制の強化が行われた場合には、エネルギー価格の上昇や省エネルギー設備への転換に係る追加的な投資等の影響により、事業コストが増加する可能性があります。また、気候変動対策に関する法規制や顧客からの要請に対し、所要の水準を満たせない場合には、行政罰や入札からの排除、取引停止による事業機会の逸失や取引条件悪化の生じる可能性があります。さらに、当社グループの気候変動対策や関連情報の開示を含む取り組み姿勢がステークホルダーに評価されない場合には、顧客との関係悪化はもとより人財の採用難や資金調達難等を通じて、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、法規制や顧客からの要請される基準を満たすため、製造施設では、CO2排出量削減に資する燃料の切り替えや再生可能エネルギー由来電気を進めております。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に基づき、気候変動に関連する課題について「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の観点から検討を深め、取組みを強化してまいります。

 

(7)金融情勢の変化に関するリスク

金融システム不安、信用収縮、流動性の低下などの金融情勢の変化により、当社グループが必要とする資金の調達が困難となり、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、事業資金の効率的かつ安定的な調達を図るため、経済・金融市場の状況に応じた手元資金の確保を行うとともに、金融機関との間でコミットメントライン契約を締結するなど資金調達枠の確保に努めております。

 

(8)安定供給に関するリスク

当社グループは、医薬品の製造支援事業や希少疾病用医薬品等を販売する事業を展開しております。医薬品は、安全で有効な製品を確実に製造し患者様へ安定的に提供する必要があります。グループ内の製造施設やグループ外の製造もしくは物流施設等において、品質不良や事故・災害等の問題が発生することや、世界情勢変動により製品や原材料等の供給が休止もしくは著しく遅滞した場合、当社グループにおける製品の供給に影響が出ることにより、当社グループの信用が失墜するとともに、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、高品質な医薬品供給を実現するため、グローバル基準のGMP(医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準)に準拠した製造及び品質管理を行うとともに、規制当局並びに製造販売業者から定期的なGMP査察並びにGMP監査を受け、製造委託先については当社グループによる定期的なGMP監査を実施しております。また、事業継続計画(BCP)を定め、安全在庫の確保、現サプライヤーとの情報共有体制の構築と新規サプライヤー探索、製造工程の見直し検討を行い、有事の際の速やかな業務復旧並びに医薬品安定供給と品質確保を可能とする体制を整備しております。

 

(9)安全性に関するリスク

当社グループは、希少疾病用医薬品等を販売する事業を展開しております。患者様に予見できない重篤な副作用が発現した場合には、使用方法の制限、販売の停止、製品の回収等の措置を取る可能性があり、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、国内外の安全管理情報(副作用情報等)を収集し、客観的に評価・検討・分析した結果を速やかに医療現場へ情報提供することで医薬品の適正使用を推進しております。また、役職員に対し安全管理情報についての研修を毎年実施し、患者様の安全性リスクの最小化に努めております。

 

 

(10)環境上の規制に関するリスク

当社グループが、万一不慮の環境問題を惹き起こし関係法令等の違反が生じた場合、関連費用等のため当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを低減すべく、当社グループでは、法令を遵守し、事業継続のために必要とされる環境関連の許可、認可、登録並びにこれらに伴う所定業務及び報告等を適切に実施しております。加えて、国内全工場がISO14001に基づきEMS(環境マネジメントシステム)を導入しており、有害物質の漏出防止や地球・地域の環境改善を推進し、ISO14001環境マネジメントシステム適合事業所の認定を受けております。また、『環境方針』に基づき、年度毎に環境に関する目標と活動計画を定めて役職員に周知するとともに必要な教育・トレーニングを実施しております。

 

(11)製品・サービスの品質に関するリスク

当社グループは、高い品質の製品・サービスを継続的に提供することを品質方針として掲げております。受託サービス業務において、被験者や患者様の安全性に影響する情報の不適切な取扱い、治験薬や医薬品の不適切な管理、実施計画書や手順書の不遵守、製造過程における異物混入等が当社グループの責任において発生した場合、当社グループの信用が失墜し、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、顧客から要求される基準を満たしかつ関連法規制を遵守するため、厳格な品質管理と製造管理のもとで、高い品質の製品・サービスの継続的な提供とともに、製品の品質、有効性及び安全性の確保に努めております。また、情報の不適切な取扱い、製品の不適切な管理、実施計画書や手順書の不遵守など、製品・サービスの品質へ影響を及ぼすことが顕在化した場合、またはその可能性が予見される場合、是正処置/予防処置を講じ、リスクを最小化するためのシステムを構築した上で、役職員に対し教育・トレーニングを実施することで、再発防止に努めております。

 

(12)コンプライアンスに関するリスク

当社グループには、役職員の故意又は過失による法令違反が発生した場合、社会的信用が失墜し、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを低減すべく、当社グループは、法令を遵守し、社会倫理に従って企業活動を行うための基本的な指針「シミックグループ行動規範」を定めるとともに、シミックグループ方針・規程を整備し周知徹底しております。また、行動規範及び各グループ方針・規程に基づく考え方をより具体的に示したコンプライアンスハンドブック「CMIC WAY」を作成し、イントラネットに掲載しシミックグループの役職員に周知しています。更に、定期研修を実施することで、役職員の意識が向上し、コンプライアンスに基づく業務遂行できるよう努めております。役職員のコンプライアンスに対する認識は、コンプライアンス意識調査を定期的に実施することで確認しております。コンプライアンス違反の発生または懸念がある場合に備え、「シミックグループ内部通報窓口」を設置し、懸念を相談しやすい職場環境を整備し、コンプライアンス上の問題の早期発見、対処、発生防止等に努めております。

 

(13)ITセキュリティ及び情報管理に関するリスク

当社グループは、顧客、個人情報及び受託業務に係る情報を厳格に管理しております。また、ITシステムの障害発生に備えて、パソコン及びサーバーの不正プログラム検出能力の強化と常時監視を行っております。しかしながら、想定できないサイバー攻撃やウイルス感染等によって業務に重大な影響を及ぼす可能性があり、また結果として、顧客、個人情報及び受託業務に係る情報が流出した場合、当社グループの信用が失墜し、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを低減すべく、当社グループでは、「防御力の強化、検知・駆除力の強化、ガバナンスの強化」を三本柱とした包括的なITセキュリティ対策を実施しております。ハードウェアやソフトウエアの対策に加えて、ITセキュリティや情報管理の重要性の周知徹底を目的とした教育・トレーニングを役職員に対して定期的に実施しております。サイバー攻撃によるインシデントが発生した場合には、CSIRT(=Cybersecurity Incident Response Team)を中心に迅速な実態把握を行ったうえで、事業や業績への影響を最小化するための対応を行っております。また、サイバー攻撃に起因して発生する様々な損害に対応するため「サイバー保険」に加入しております。

 

 

(14)人財に関するリスク

当社グループの事業拡大にあたっては、ヘルスケア・医薬品関連の研究開発、製造、販売、経営管理等に関する専門的な知識・技能を有する優れた人財が必要とされております。こうした優れた人財の確保や教育研修が順調に進まない場合、または優れた人財の多数が流出した場合において、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、企業価値を創出する源泉は人財であるという認識のもと、優れた人財を採用し、育成することが企業の持続的成長に不可欠であると考えております。そのため人財のスキルアップやその能力を最大限発揮できる職場環境の整備に取り組んでいます。今年度より、全従業員を対象に、研修やワークショップを通じてヘルスケアに関する知識と実務経験を認定する「ヘルスケアプロフェッショナル認定制度」を導入し、新型コロナウイルス感染症の蔓延する環境下や地震・災害など有事の際において、ヘルスケア領域で活躍する人財の育成、強化を図っています。また、人種・性別・障がいの有無にとどまらず、多様な人財を採用し、一人ひとりの違いを尊重し価値を見つけることが、企業の成長に不可欠であると考え、ダイバーシティを経営の重要課題として取り組んでおります。

 

(15)固定資産の減損に関するリスク

当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準等に従い、定期的に保有資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行っております。その結果、固定資産の減損損失を計上することも予測され、当社グループの経営成績や財務状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、重要な設備投資の実行に際して、精緻な採算性評価プロセスを経て意思決定を行うとともに、実行後のモニタリングを行うことで、減損に関するリスクの低減に努めております。

 

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