業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日から2021年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が断続的に発令され、経済活動が制約される状況が続いております。また、同感染症は新たな変異株が出現するなど収束に時間を要しており、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが主に関連する住宅産業におきましては、当連結会計年度の住宅着工戸数は85万戸(前期比5.0%増加)という結果となり、需要の持ち直しの動きが見られましたが、新型コロナウィルス感染症の影響は、半導体や物資の供給遅延、建築資材の高騰を誘発しており、新築住宅やリフォームの着工遅延、建築価格の上昇が顕著になっていることから、建築需要の減少につながる可能性が懸念されております。

当社グループは、このような外部環境の変化を新たな成長市場の創出機会と捉えて、2021年2月に中期経営計画(2021年~2025年)を発表し、住宅ライフサイクル全体(設計から工事、アフターメンテナンスまで)の最適化に貢献することを通じて、世界的な課題である脱炭素社会の実現を目指すために、各事業においてデジタル技術を活用した新しいサービスの立ち上げに向けた準備を進めてまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は4,696百万円(前期比7.2%増)、営業利益437百万円(前期比0.9%減)、経常利益370百万円(前期比20.3%減)となりました。一方、政策保有株式であるENECHANGE株式の一部売却に伴う投資有価証券売却益622百万円の発生により、親会社株主に帰属する当期純利益658百万円(前期比50.2%増)となりました。

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

 

a. D-TECH事業

 当連結会計年度においては、新設住宅着工戸数が増加したことにより設備設計分野における売上が増加したものの、建築設計分野において一部得意先からの受託が減少した影響により、売上高は2,249百万円(前期比1.0%増)となりました。これに対して、東京・沖縄・中国(シンセン・吉林)の各拠点におけるデジタル技術を活用した業務効率化に継続的に取り組んだことで営業費用(主に人件費)が減少した結果、営業利益は498百万円(前期比7.7%増)となりました。

 

b. H-M事業

 既存得意先における預かり顧客数及び受電件数が堅調に増加したことでインバウンドサービスの売上が増加した結果、売上高は1,345百万円(前期比9.6%増)となりました。一方、当社グループが有する住宅メンテナンス機能及び住宅履歴情報を活用した新サービス(CRMクラウドサービス)の立上げに向けたシステム開発関連の投資を実施した結果、営業利益は288百万円(前期比12.1%減)となりました。

 

c. E-Saving事業

 太陽光発電システムや蓄電池等の省エネ設備に関する工事請負を主な事業内容とする株式会社ENE's(旧・システムハウスエンジニアリング株式会社)を2020年3月に連結子会社としたことに伴い、前第2四半期より報告セグメント「E-Saving事業」を追加しております。

 当連結会計年度は、連結子会社化した株式会社ENE'sの業績寄与が通年に及んだこと、そして、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社の合弁会社であるTEPCOホームテック株式会社からの工事請負が増加したことにより、売上高792百万円(前期比49.7%増)、営業利益は25百万円(前期比91.8%増)となりました。

 
d. システム開発事業

 2020年10月にENESAP事業をSBパワー株式会社に対して事業譲渡したことに伴い、システム利用料及び付随する受託開発売上が減少したことから、売上高は308百万円(前期比21.9%減)、営業損失は37百万円(前期は営業損失26百万円)となりました。

 

② 資産、負債及び純資産の状況

(流動資産)

流動資産は前連結会計年度末に比べて23.4%増加し、3,061百万円となりました。これは主として、現金及び預金が506百万円増加したことによるものです。

(固定資産)

固定資産は、前連結会計年度末に比べて13.5%増加し、3,315百万円となりました。これは主として所有株式の時価評価により投資有価証券が542百万円増加したことによるものです。

(流動負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べて10.3%増加し、666百万円となりました。これは主として未払法人税等が107百万円増加したことによるものです。

(固定負債)

固定負債は、前連結会計年度末に比べて25.9%増加し、660百万円となりました。これは主として所有株式の時価評価により繰延税金負債が133百万円増加したことによるものです。

(純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べて18.2%増加し、5,050百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益658百万円)を計上し、所有株式の時価評価によりその他有価証券評価差額金が292百万円増加した一方で、配当金による取崩し(267百万円)を計上したこと等によるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ473百万円増加し、当連結会計年度末残高は1,794百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は230百万円(前連結会計年度は513百万円の収入)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益990百万円及び減価償却費151百万円を計上した一方で、投資有価証券売却益の計上に伴う投資活動によるキャッシュ・フローへの振替622百万円及び法人税等の支払額が295百万円発生したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は483百万円(前連結会計年度は411百万円の支出)となりました。これは主として、投資有価証券の売却による収入626百万円を計上した一方で、新たに投資有価証券の取得による支出100百万円が発生したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は267百万円(前連結会計年度は267百万円の支出)となりました。これは配当金の支払による支出267百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、受注生産形態をとらないものが多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

  (販売実績)

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前期比(%)

D-TECH事業

設備設計(給排水・電気)

1,849,838

107.7

建築設計

270,576

69.7

エネルギー設計

129,365

105.0

小計

2,249,780

101.0

H-M事業

メンテナンス対応業務
顧客情報管理業務

1,345,551

109.6

E-Saving事業

省エネ設備設置工事の請負業務

792,270

149.7

システム開発事業

システム開発受託業務
アプリケーションサービス提供業務

308,685

78.1

合計

4,696,287

107.2

 

(注) 1  上記の金額に、消費税等は含まれておりません。

2  セグメント間の取引はありません。

3  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、次表の金額に、消費税等は含まれておりません。

 

相手先

前連結会計年度

(自  2020年1月1日

至  2020年12月31日)

当連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

パナソニックホームズ株式会社

561,797

12.8

575,149

12.2

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表作成に当たりまして、当社グループの経営陣は連結決算日における資産・負債の数値及び偶発債務の開示並びに連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。また、経営陣は過去の実績や状況に応じ、合理的妥当性を有する要因に基づき見積り及び判断を行い、その結果は、他の方法では判定しにくい資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数値についての判断の基礎としております。見積りには特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営成績等の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は4,696百万円(前期比7.2%増)となりました。

 D-TECH事業の売上高は、新設住宅着工戸数が増加したことにより設備設計分野における売上が増加したものの、建築設計分野において一部得意先からの受託が減少した影響により、売上高は2,249百万円(前期比1.0%増)となりました。

 H-M事業の売上高は、既存得意先における預かり顧客数及び受電件数が堅調に増加したことでインバウンドサービスの売上が増加した結果、売上高は1,345百万円(前期比9.6%増)となりました。

 E-Saving事業の売上高は、2020年3月に連結子会社化した株式会社ENE'sの業績寄与が通年に及んだこと、そして、東京電力エナジーパートナー株式会社と当社の合弁会社であるTEPCOホームテック株式会社からの工事請負が増加したことにより、売上高は792百万円(前期比49.7%増)となりました。

 システム開発事業の売上高は、2020年10月にENESAP事業をSBパワー株式会社に対して事業譲渡したことに伴い、システム利用料及び付随する受託開発売上が減少したことから、売上高は308百万円(前期比21.9%減)となりました。

 (売上原価、販売費及び一般管理費(以下、「営業費用」という。))

当連結会計年度の営業費用は4,258百万円(前期比8.1%増)となりました。

 D-TECH事業の営業費用は1,750百万円(前期比0.8%減)となりました。東京・沖縄・中国(シンセン・吉林)の各拠点におけるデジタル技術を活用した業務効率化に継続的に取り組んだことで、営業費用が減少しております。

 H-M事業の営業費用は1,057百万円(前期比17.4%増)となりました。当社グループが有する住宅メンテナンス機能及び住宅履歴情報を活用した新サービス(CRMクラウドサービス)の立上げに向けたシステム開発関連の投資を実施した結果、営業費用が増加しております。

 E-Saving事業の営業費用は766百万円(前期比48.6%増)となりました。連結子会社化した株式会社ENE'sの業績寄与が通年に及んだことにより、営業費用が増加しております。

 システム開発事業の営業費用は346百万円(前期比17.9%減)となりました。2020年10月にENESAP事業を譲渡したことに伴い、営業費用が減少しております。

各報告セグメントに配分していない全社費用は337百万円となりました。

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益437百万円(前期比0.9%減)となりました。

D-TECH事業の営業利益は498百万円(前期比7.7%増)となりました。

H-M事業の営業利益は288百万円(前期比12.1%減)となりました。

E-Saving事業の営業利益は25百万円(前期比91.8%増)となりました。

システム開発事業の営業損失は37百万円(前期は26百万円の営業損失)となりました。

(営業外損益)

当連結会計年度の営業外収益は7百万円となりました。為替差益3百万円補助金収入2百万円等を計上しております。一方、当連結会計年度の営業外費用は74百万円となりました。持分法による投資損失72百万円等を計上しております。

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は370百万円(前期比20.3%減)となりました。

(特別損益)

当連結会計年度の特別利益は622百万円となりました。投資有価証券売却益622百万円を計上しております。

当連結会計年度の特別損失は2百万円となりました。固定資産除却損2百万円が計上しております。

(税金等調整前当期純利益)

当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は990百万円(前期比47.9%増)となりました。

(法人税等)

当連結会計年度の法人税等は332百万円となり、法人税等の負担率は33.6%となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益658百万円(前期比50.2%増)となりました。

 

b. 財政状態の分析

当連結会計年度のにおける財政状態につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ②資産、負債及び純資産の状況」に記載のとおりであります。

 

c. 経営成績に重要な影響を与える要因

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

d. 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、事業活動のための適切な流動性の確保と健全な財政状態の維持のため、営業キャッシュ・フローの創出に努めております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。これらの資金需要につきましては、基本的に営業キャッシュ・フロー及び自己資本を主な源泉と考えております。ただし、当社グループの成長のための資金需要が生じた場合に備え、金融機関との間で当座借越契約を締結しております。

当連結会計年度のにおけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

 

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

自己資本比率

84.8

80.3

87.5

79.1

79.2

時価ベースの自己資本比率

453.6

193.2

357.8

160.2

109.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率

インタレスト・カバレッジ・
レシオ

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 

e. 経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、目標とする経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)を掲げております。今後、人々の住まいと暮らしを支える住宅・エネルギー分野のインフラ事業を目指すことで持続的な利益成長を実現しつつ、株主資本を有効活用(配当及び自社株買いによる株主還元を含む)することにより、ROEの向上に努めてまいります。

 当連結会計年度のROEは14.1%となりました。ROE関連指標は以下のとおりであります。

 

 

2020年12月

2021年12月

売上高(百万円)

4,380

4,696

当期純利益(百万円)

438

658

自己資本(百万円)

4,273

5,050

売上高当期純利益率(%)

10.0

14.0

総資産回転率(回)

0.97

0.80

財務レバレッジ(%)

121.2

126.3

ROE(%)

11.8

14.1

 

 

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