当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。
本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであり、潜在的リスクや不確定要因はこれらに限られるものではありませんのでご留意下さい。
(1)住宅市場の動向に関するリスク
当社グループの事業は主たる得意先が住宅会社であることから、住宅市場の動向が当社グループの受託状況に影響を及ぼします。住宅市場は、景気、金利、地価等の動向、雇用環境、税制及び補助金等、様々な変動による影響を受けます。特に、大幅な金利上昇、雇用環境の変化等により、施主様の住宅購買意欲が減退し、当社の得意先である住宅会社の受注が大幅に減少した場合、当社グループの業績にも影響を及ぼす可能性があります。
(2)法的規制に関するリスク
当社グループの得意先・取引先は、主に住宅・建設業界の事業者が中心であり、建築基準法、建築士法、電気事業法、特定商取引法など関連する各種法令により規制を受けております。これらの法規制は当社の業務を直接的に規制するものではありませんが、当社が取引を行うに当たり当該法規制を把握することが必要であります。
そのため、将来においてこれらの法的規制の強化や新たな規制の制定が行われた場合には、当社グループの事業活動が制限される可能性や、これらの規制を遵守するための費用増加につながる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(3)知的財産権に関するリスク
当社グループは、現時点において、当社グループの事業活動に影響を及ぼすような特許権、商標権その他知的財産権が第三者によって取得されているという事実は確認しておりません。しかしながら、将来の当社の事業活動に関連して、第三者が知的財産権の侵害を主張し、当社の事業が差し止められたり、損害賠償など金銭的な負担を余儀なくされた場合、または第三者の知的財産権につき実施許諾が必要となりロイヤリティの支払いが発生したり、あるいは実施許諾が得られない場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(4)海外における事業リスク
当社グループにおける中国の子会社である艾博科建築設備設計 (深圳)有限公司、艾博科建築設備設計 (吉林)有限公司は、日本の得意先向けに設計図面を作図する生産拠点(CADセンター)として重要な位置を占めております。また、中国及びその他海外市場での事業拡大を図るべく、様々な取り組みを進める方針です。
海外事業の展開にあたっては、①当社グループにとって悪影響を及ぼす法律の改正、規制の強化、②テロ・戦争の勃発、伝染病の流行等による社会的・経済的混乱、③物価水準の上昇による現地人件費等の増加、等のリスクが内在しており、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)外国為替相場の変動に関するリスク
当社グループにおいては、外貨建(人民元及び香港ドル)取引による収入及び支出が発生しており、またそれに伴う外貨建て資産及び負債を有しております。外国為替相場の変動による影響を極力低減するため、必要な範囲で為替予約取引を利用したリスクヘッジを実施しておりますが、外国為替相場が急激に変動した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)人材の確保に関するリスク
当社グループにおける主力事業であるD-TECH事業及びH-M事業は日本(東京・沖縄)及び中国(深セン・吉林)にて多数のオペレーターを抱える労働集約的な事業であることから、人材の確保・育成が重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループでは、新卒・中途採用共に多様な採用活動を実施し、人材の確保に努めると共に、入社後は各階層及び各職種に応じた教育研修の整備に努めておりますが、必要な人材を確保・育成できない場合には、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、日本(東京・沖縄)及び中国(深セン・吉林)において人件費が上昇した場合、当社グループの業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは業務の生産性向上を目的として業務プロセスの見直し及び作業の自動化や効率化を実現する情報システムの開発を継続的に実施しております。しかしながら、当社グループの対応よりも急激に人件費が上昇した場合、当社の業務運営や業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)新規事業への参入に関するリスク
当社グループは、今後も持続的な成長と収益源の多様化を進めるために、日本国内及び海外において新規事業の創出と育成を積極的に推進する方針です。しかしながら、新規事業を開始した際には、その事業固有のリスク要因が加わると共に、新規事業を遂行していく過程では、急激な事業環境の変化をはじめとして様々な予測困難なリスクが発生する可能性があります。その結果、当初の事業計画を達成できない場合は、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
(8)持分法投資損益による業績変動に関するリスク
当社グループでは、戦略的業務提携の一環として大手企業との間で合弁事業を行っており、現在の持分法適用会社としては、TEPCOホームテック株式会社、広東聯塑艾博科住宅設備設計服務有限公司、深圳艾科築業工程技術有限公司の3社があります。各社は各々の事業に関する方針のもとで経営を行っており、これらの持分法適用会社の業績・財政状態の悪化により、当社グループの業績・財政状態が悪影響を受ける可能性があります。
(9)情報システムに関するリスク
当社グループのサービスは、インターネット接続環境及び社内外のコンピューターネットワーク等のインフラが良好に稼動することに依存しております。事業の安定的な運用のために、システムの重要度に応じて、コンピュータ機器・通信回線の二重化やバックアップ取得等の安全対策を実施し、またネットワーク機器の導入やウィルス対応などの各種セキュリティ対策を行っております。特に、多数の施主様の情報をお預かりしているH-M事業では、当社の情報資産を安全に管理するため、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を整備しており、国際規格であるJIS Q 27001:2014(ISO/IEC 27001:2013)の認証を取得しております。
しかしながら、機器やソフトウェアの不具合、人為的ミス、回線障害、コンピュータウィルス、クラッカー等による悪意の妨害行為、あるいは、停電、自然災害によるシステム障害など、その障害等の程度によっては当社の対策が有効に機能しない可能性があり、その場合には、当社グループの業務運営、財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報管理に関するリスク
当社グループでは、事業の性質上、得意先から多数の施主様の個人情報をお預かりし、その情報を得意先と共有し、有効活用することで事業運営を行っております。個人情報の漏洩や不正使用を防止するため、安全対策に関するルールを定め、適正な情報管理を行うための体制を整え、全社員を対象とした教育・研修を継続的に実施することにより、厳格な情報管理を徹底しております。
その結果、当社の個人情報マネジメントシステムはプライバシーマーク(JIS Q 15001)の認証を取得しており、個人情報の取扱いには留意しておりますが、万が一これらの情報の漏洩や不正使用などの事態が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用失墜等により当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(11)自然災害等に関するリスク
地震、大雨、洪水などの自然災害・異常気象や、インフルエンザ等の感染症、大規模事故、テロ・暴動、その他予期せぬ事態が発生した場合、当社グループの社員・事業所・設備やシステムなどに対する被害が発生し、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。
そのため、当社では、災害対策マニュアルの策定、基幹業務に対する事業継続計画の策定、建物・設備・システム等の耐震対策(データ等のバックアップを含む)、防災訓練、必要物資の備蓄、国内外の拠点や関係会社との連携・情報共有などの対策を講じて、各種災害に備えています。ただし、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、このような事象の発生時には当社の業務運営、財政状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)将来的な気候変動に関するリスク
当社グループでは、気候変動に関するリスク及び機会を重要な経営課題のーつと認識し、持続可能な社会の実現に向けて「HCDs:Housing Carbon Neutrality Digital Solutions」をパーパスに掲げて、住まい・暮らし・地球環境をデジタル技術で支えることを目指しております。
当社は、2022年3月、「TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース)」提言への賛同を表明いたしました。TCFD提言への賛同を機に、気候変動がもたらす事業へのリスクと機会について、分析と対応を一層強化し、関連情報の開示を推進していくとともに、2050年の脱炭素社会実現に貢献する取り組みを進めてまいります。
①ガバナンス
当社グループは、サステナビリティ経営をグループ全社で横断的に推進するため、「サステナビリティ委員会」を設置しています。「サステナビリティ委員会」は、当社グループの環境課題に対する実行計画の策定と進捗モニタリングを行い、取締役会ではその内容について、論議・監督を行っています。
<環境マネジメント体制図>
<環境マネジメント体制における会議体及び役割>
②戦略
異なるシナリオ(平均気温上昇1.5℃、4℃)における財務影響及び事業インパクトを評価するとともに、気候関連リスク・機会に対する当社戦略のレジリエンスを評価することを目的として、シナリオ分析を実施しております。
事業/財務影響評価
大:事業戦略への影響または財務的影響が大きいことが想定される
中:事業戦略への影響または財務的影響が中程度と想定される
小:事業戦略への影響または財務的影響が小さいことが想定される
気候変動に関するリスクは、当社グループ経営に少なからずマイナスの影響を与えうると想定されるものの、当社グループの事業は情報システムを活用したソフトサービスが中心で、温室効果ガスの排出量が少ない事業であること、また、多様な事業からなる事業ポートフォリオによりリスク対応が可能であることから、グループ全体に与える財務的なネガティブリスクは限定的と分析しております。
むしろ、多様な技術・事業によって、気候変動に関する新たな事業機会を獲得できるポテンシャルがあると認識しており、財務的な影響としてはネガティブリスクよりも事業機会の獲得に伴うポジティブな影響の方が大きいと捉えております。
当社グループにおける気候変動に関するリスクと機会の一覧については、下記のとおりです。
■リスク
表1 気候変動リスクに関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ E-Saving事業は、TEPCOホームテック(持分法適用会社)及び、ENE's(連結子会社)の事業活動を示します。
■機会
表2 気候変動機会に関する財務的な影響及び当社グループの対応方針
※ なお、当社グループにおける気候変動リスク及び機会に重要な影響を与える項目のひとつとして、我が国における長期的な電源構成に関する政策方針が挙げられます。この度の開示においては、2021年10月に公表された第6次エネルギー基本計画における電源構成を前提に検討しておりますが、今後、再生可能エネルギーや原子力発電の活用について様々な議論がなされることが予想されるため、今後ともエネルギー政策動向について注視してまいります。
③リスク管理
当社グループは、リスクを「環境変化の中で、組織の収益や損失に影響を与える不確実性」と定義しています。
リスクには、プラス面(機会)、マイナス面(脅威)の両面があり、企業が適切に対応することより、持続的な成長につながると考えています。
また、当社グループは、リスクを戦略の起点と位置づけ、全社的に管理する体制を構築することが重要であると考えています。「総合リスク対策委員会」では、外部環境分析をもとにリスクを識別・評価し、優先的に対応すべきリスクの絞り込みを行い、当社グループの戦略に反映して対応しています。
当社グループは、「総合リスク対策委員会」で特定したリスクのうち、環境課題に係るリスクについて、「サステナビリティ委員会」の中でより詳細に検討を行い、各グループ会社・事業部と共有化を図っています。
各事業会社・事業部では、気候変動の取り組みを実行計画に落とし込み、一同で論議しながら実行計画の進捗確認を行っています。
その内容について、「総合リスク対策委員会」および「サステナビリティ委員会」において、進捗のモニタリングを行い、最終的に取締役会へ報告を行っています。
<リスク管理プロセス>
<リスク管理体制>
④指標と目標
当社グループにおけるScope1・2の温室効果ガス(以下、GHG)排出量実績は、下表のとおりです。
(※)上記排出量は、マーケット基準(Scope2を算定する際に、電力会社やメニューごとのGHG排出係数を用いる方法)にて算出しております。
GHG排出原単位は、連結売上高1億円当たりのGHG排出量(Scope1・2の合計)です。
<過去3年間のGHG排出量実績推移>
<GHG排出量に関する当社グループの分析>
1.基本的な傾向としては、事業拡大に伴って事業活動・拠点が増加することで、排出量も増加傾向にあります。
2.なお、2020年度の排出量が前期比で減少しているのは、2020年度にコロナ禍による世界的な活動自粛の影響を受けて、日本・中国いずれも操業が低下したことが主たる要因です。
3.また、GHG排出量(総量)は増加傾向にありますが、連結売上高当たりのGHG排出量は減少傾向にあります。
<GHG排出量に関する当社グループの目標>
前述した実績の推移を踏まえて、当社グループは今後の取り組みとして下記の事項を進めてまいります。
1.Scope1・2におけるGHG排出量については、デジタル化による業務効率向上を推進することで、GHG排出量の削減に努めてまいります。また、GHG排出量の削減を行う上では、連結売上高当たりの排出量(GHG排出量原単位)をKPIとして設定し、定量的な管理を実施する方針です。
2.Scope3におけるGHG排出量についても、今後集計の精緻化を図るとともに目標設定に向けて取り組んでまいります。
3.当社グループにおけるGHG排出量を削減するにあたり、再生可能エネルギーの調達やJクレジットの導入についても併せて検討いたします。
4.当社グループにおけるGHG排出量の削減に努めるとともに、脱炭素社会に貢献するサービスを提供することで取引先企業におけるGHG排出量を削減することについても注力してまいります。
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