業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり、重要である会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

この連結財務諸表の作成において、損益または資産の状況に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 

(2) 経営成績

当社グループは、2016年5月に中長期的な成長シナリオを定め、2019年3月期より中期計画として「飛躍」の達成に向けて、各事業における「変革と革新」及び「人材教育の徹底」を推進することで、グループシナジーを最大化し、模倣困難な競争優位性を確立することに取り組んでまいりました。

 

SMO事業においては、SMOを発進とするCRC・CRAハイブリッド型総合臨床開発支援企業への変革を推進するとともに、医薬品の開発動向の変化を見据えて専門医療センターや大学病院等の基幹病院との提携を拡大し、様々な疾患・領域やクリニック・専門病院などあらゆる環境に対応可能なCRCの育成に取り組んでまいりました。

CRO事業においては、海外事業を本格化させ、その拡大を図るとともに、国内では再生医療や先端医療開発支援のCROへの変革を推進し、SMO事業及び先端医療事業とのグループシナジーを活かした総合的な医薬品開発の支援体制の構築に取り組んでまいりました。

先端医療事業においては、基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いた先端医療の実用化や治験国内管理人(ICCC:In-Country Clinical Caretaker)サービスによる日本における先端医療開発の促進に取り組むとともに、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した製品の開発やOEM(受託製造)の推進など、より多くの人がより身近に最先端の技術を利用することができる製品の研究・開発・製造に取り組んでまいりました。

メディカルサポート事業においては、クリニックモールの運営による安定した収益を確保するとともに、グループ各社の施設整備支援を行うことで、各事業の推進・拡大のサポートに取り組んでまいりました。

また、グループ戦略として、SMO事業及びCRO事業の拡大により創出される資金を原資として、先端医療事業における医薬品や先端医療技術の開発、メディカルサポート事業のノウハウを活かした各事業のさらなる拡大のための設備投資等を進めてまいりました。

 

当連結会計年度においては、SMO事業において基幹病院との提携が拡大し、がん領域の試験の受託が増加するとともに、新規に受託した大型案件が順調に進捗したことにより大きく業績に寄与いたしました。また、海外のCRO事業において、米国及びアジア地域の製薬企業からの新規試験の受託が堅調に推移するとともに、国内の臨床試験実施施設においても新規試験の受託が拡大しました。

SMO事業及びCRO事業の業績が伸長したことにより、当連結会計年度における売上高は過去最高となり、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益もそれぞれ過去最高益となりました。

また、先端医療事業においては、基盤技術であるセンダイウイルスベクターを用いたCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)ワクチンの開発を推進し、国内初となる経鼻接種によるウイルスベクターワクチンの実用化を目指して臨床試験の実施に向けた準備を進めています。また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売が堅調に推移するとともに、OEM(受託製造)の受託拡大にも取り組んでいます。

 

その結果、売上高は15,693百万円前年同期比21.6%増)、営業利益は2,764百万円前年同期比158.8%増)、経常利益は2,562百万円前年同期比89.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,961百万円前年同期比42.8%増)となりました。

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

SMO事業

当セグメントにおきましては、引き続き医薬品開発における疾患領域がアンメット・メディカル・ニーズの高いがんや難治性疾患等にシフトしているため、専門医療センターや大学病院等の基幹病院との提携を広げております。また、がんや難治性疾患等の試験と比較して相対的に1試験あたりの規模が大きい生活習慣病等のプライマリー領域の試験の受託も推進しており、当連結会計年度においては、新たに受託した大型案件が開始し順調に進捗したことにより業績が大きく伸長いたしました。

また、医薬品・医療機器等の開発はグローバル化や開発期間の短縮化が進むとともに、開発手法の変化により、臨床試験に対するニーズの多様化が続いています。当社グループのSMO事業では、医薬品開発を取り巻く環境の変化及び複雑化・高度化する臨床試験に迅速かつ柔軟に対応するため、より一層の人材教育の徹底を図っています。さらに、当社グループにおいて、治験情報統合管理プラットフォーム「aSBo Cloud System」を開発し、医薬品開発の生産性、効率性、透明性の向上に取り組むなど、医薬品開発環境のさらなる発展を目指して事業を推進しています。

その結果、売上高は8,979百万円前年同期比49.5%増)、営業利益は4,083百万円前年同期比105.5%増)となりました。

 

CRO事業

当セグメントにおきましては、日本・オーストラリア両国にて保有する臨床試験実施施設において、欧米や日本を含むアジア・オセアニア地域の製薬企業等の早期段階の医薬品開発を支援しています。また、国内において、医師主導治験や臨床研究の支援、企業主導治験のモニタリング等の開発業務の支援を行っています。

海外においては、米国及びアジア地域の製薬企業からの新規試験の受託が堅調に推移し、業績が伸長いたしました。

国内においては、統計解析分野の強みをさらに強化するための体制整備を推進し、医師主導治験を中心とした新規試験の受託が拡大しました。また、国内の臨床試験実施施設においても新規試験の受託が拡大し、業績が伸長いたしました。

その結果、売上高は4,815百万円前年同期比49.7%増)、営業利益は378百万円前年同期比339.8%増)となりました。

 

先端医療事業

当セグメントにおきましては、COVID-19ワクチンの開発において、国内初となる経鼻接種によるウイルスベクターワクチンの実用化を目指し、臨床試験の実施に向けた準備を進めています。虚血肢治療製剤(DVC1-0101)の開発においては、実施していた医師主導治験が終了し、試験結果の解析を行っています。

また、iPS細胞培養上清液を化粧品原料として使用した「iPSスーパーネイタントアプリケーション」の販売が堅調に推移するとともに、OEM(受託製造)の受託拡大を推進しています。

一方で、COVID-19ワクチンをはじめとする研究開発に注力し、その経費が増加しています。

その結果、売上高は858百万円前年同期比19.1%減)、営業損失は439百万円前年同期は営業利益11百万円)となりました。

 

メディカルサポート事業

当セグメントにおきましては、開発事業者や不動産会社などと連携して、駅からのアクセスや地域の医療機関の需要など、様々な条件を満たす主に新築の物件を厳選してクリニックモールを開設しています。また、クリニックモールでの開業を検討する医師に対して開業支援を手がけるとともに、開業後の医療機関に臨床試験を紹介するなどその経営を多角的に支援しており、収益は堅調に推移しています。

その結果、前連結会計年度に不動産取引による売上及び利益を計上していることから、売上高は1,024百万円前年同期比60.7%減)、営業利益は221百万円前年同期比31.2%減)となりました。

 

その他

その他の事業におきましては、上記以外の事業等により、売上高は15百万円前年同期比16.1%減)、営業損失は40百万円前年同期は営業利益42百万円)となりました。

 

 (注)売上高は外部取引のみの合計であり、セグメントの営業利益は、セグメント間の内部取引による利益を含んだ合計であります。

 

生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

SMO事業

9,144

153.6

合計

9,144

153.6

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 上記金額は販売価格によっております。

3 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

SMO事業

11,260

156.3

10,854

126.8

合計

11,260

156.3

10,854

126.8

 

(注) 1 CRO事業、先端医療事業、メディカルサポート事業、及びその他は、提供するサービスの性格上、受注状況の記載に馴染まないため、記載しておりません。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高 (百万円)

前年同期比(%)

SMO事業

8,979

149.5

CRO事業

4,815

149.7

先端医療事業

858

80.9

メディカルサポート事業

1,024

39.3

その他

15

83.9

合計

15,693

121.6

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しております。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、100分の10以上の販売先がないため、記載を省略しております。

3 当連結会計年度において、メディカルサポート事業における販売実績の著しい変動は、前連結会計年度において販売用不動産の売却があったことによるものであります。

 

(3) 財政状態

総資産につきましては、前連結会計年度末より 5,699百万円増加 し、 26,588百万円 となりました。これは建物及び構築物、並びに現金及び預金が増加したことが主な要因となっております。なお、建物及び構築物の増加については一部を建設仮勘定より振替えております。

負債につきましては、前連結会計年度末より 4,250百万円増加 16,426百万円 となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。

純資産につきましては、前連結会計年度末より 1,449百万円増加 10,162百万円 となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上により増加した一方、その他の包括利益累計額の減少が主な要因となっております。なお、その他の包括利益累計額の減少は、その他有価証券評価差額金が減少したこと等によるものであります。

 

セグメントごとの財政状態は、次のとおりであります。

SMO事業

当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて1,505百万円増加し、5,364百万円となりました。これは売掛金が増加したことが主な要因となっております。

当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて163百万円増加し、2,361百万円となりました。

 

CRO事業

当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて1,506百万円増加し、4,308百万円となりました。これは有形固定資産のうち、主に建物及び構築物が増加したことが主な要因となっております。

当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて1,368百万円増加し、3,265百万円となりました。これはリース債務及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。

 

先端医療事業

当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて451百万円増加し、2,075百万円となりました。

当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて786百万円増加し、1,807百万円となりました。

 

メディカルサポート事業

当セグメント資産は、前連結会計年度末と比べて1,323百万円増加し、9,450百万円となりました。これは建物及び構築物が増加したことが主な要因となっております。

当セグメント負債は、前連結会計年度末と比べて1,273百万円増加し、7,832百万円となりました。これは短期借入金及び長期借入金が増加したことが主な要因となっております。

 

(4) キャッシュ・フロー

当連結会計年度末のキャッシュ・フローについては、営業活動により2,630百万円増加し投資活動により2,918百万円減少し財務活動により2,677百万円増加した結果現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、期首残高3,859百万円よりも2,512百万円増加し6,371百万円前年同期比65.1%増)となりました。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、2,630百万円前年同期は374百万円の取得)となりました。

これは、税金等調整前当期純利益の計上2,586百万円が主な要因となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、2,918百万円前年同期は1,468百万円の支出)となりました。

これは、有形固定資産の取得による支出2,042百万円投資有価証券の取得による支出1,743百万円が主な要因となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は、2,677百万円前年同期は2,754百万円の取得)となりました。

これは、長期借入金の借入による収入3,801百万円長期借入金の返済による支出1,519百万円が主な要因となっております。

 

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの資金状況における運転資金及び設備投資資金につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等からの借入金により資金調達をしております。資金計画につきましては営業活動により得られた資金を有効活用しております。当社は、当事業年度末現在の現金及び現金同等物、今後の営業活動によって得られるキャッシュ・フロー並びに既存の調達による資金が、当面の営業活動を維持するのに十分な水準であると考えております。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年3月

2021年3月

2022年3月

自己資本比率(%)

47.2

41.5

38.1

時価ベースの自己資本比率(%)

101.9

141.1

87.5

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

8.9

23.5

4.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

8.6

4.8

25.8

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1 いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

3 キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

4 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利息を支払っている全ての負債を対象としております。

 

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