事業等のリスク

 

2 【事業等のリスク】

当社が展開する事業活動において、経済情勢、政治的または社会的要因等により影響を受ける可能性があります。有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況に重要な影響を与えると認識している主要なリスクは以下のようなものがあります。なお、文中には将来に関する事項及び対応策が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境の変化について

① 施設の休業に伴う影響

当社が行うビジネスは、主にスポーツクラブに来館いただくことを前提とした施設産業であります。したがって、新型コロナウイルス等の感染症の拡大により国や地方自治体から当社施設に対して休業要請が出た場合や、自然災害により施設を休業せざるを得ない場合は、業績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、施設の休業に伴い一般消費者の運動機会が減少することで、運動不足による健康二次被害等が新たな社会課題となっております。当社事業は、社会における健康インフラとして、社会の要請を受けながら営業を継続する使命があると捉えております。この使命を全うするため、当社グループにおいては、以下の対策を講じております。

1.感染症等の拡大への対策

  感染防止対策を徹底した、安全・安心の施設運営を行っております。2020年4月に政府が発出した緊急事

  態宣言の後、当社が加盟する一般社団法人日本フィットネス産業協会が作成した感染防止のガイドライン

  に沿って運営を行っております。

2.自然災害発生時の対策

  自然災害が発生した場合においても、当社施設が営業継続できるよう、最低年1回の施設点検及びメンテ

  ナンス並びに必要に応じた改修工事を実施しております。

  自然災害が発生した場合に早期復旧するため、施設保守及び管理にかかる取引先との連携を強化しており

  ます。東日本大震災や熊本地震の際には、取引先と連携し、施設の復旧をいち早く実現いたしました。

  自然災害が発生した場合には、地域の生活インフラとしての機能を果たせるよう、プール水の生活用水と

  しての活用や地域住民に対する浴室設備の開放等を行っています。

② 会員数の減少に伴う影響

当社が行うスポーツクラブ事業の対象顧客は、一般的な個人消費者が中心です。したがって、競合店舗の出店や個人消費の低迷などにより、会員数が減少した場合、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は「人生100年時代を豊かにする、健康のソリューションカンパニー」を長期ビジョンに掲げ、一般的な個人消費者だけでなく企業や健康保険組合等の法人、及び自治体に向けたビジネスを展開しています。また、オンラインレッスンサービスなど、施設への来館を伴わない健康づくり支援も実施しております。これらの取組みにより、会員数の減少にともなう売上高の減少リスクを低減しています。

1.スポーツクラブの魅力向上に向けた取組

  現在フィットネス業界において、24時間ジム等の多様なニーズに対応した小型業態の出店が相次いでおり

  ます。フィットネス会員の集客においては、総合型スポーツクラブのジムエリアを24時間営業に変更し、

  顧客の利便性を高める取り組みを進めております。また、コロナ禍において、スクール会員の集客は好調

  であることから、新たなスクール制フィットネスプログラムの開発及びその全国展開や、IoTの技術を活

  用した「スマートテニスレッスン」に加え、業界初となる「スマートスイミングレッスン」を導入するな

  ど、総合型スポーツクラブの強みを生かした魅力向上施策を行ってまいります。

2.法人や自治体に向けた取組

  当社施設が所在していない地域の法人や自治体との連携を強化し、オンラインレッスンサービスも活用し

  ながら、事業の拡大に取り組んでいます。従業員に向けた健康づくり等の健康経営に関する支援及び、自

  治体が保有するスポーツ施設等の運営受託、健康づくり等の事業受託、健康で住みやすく魅力的なまちづ

  くりの支援等の取組みを推進しています。

3.来館のみに頼らない新たな事業創出

  現会員(休会中の会員を含む)及び現会員以外の顧客に対し、スポーツクラブへの来館を前提としない、

  オンライン等を活用したビジネス創出に取り組んでいます。

 

(2) 経済状況および資金調達状況の変化について

当社は、事業成長を実現するために一定数の新規出店を行っています。総合型スポーツクラブ出店に際し、敷金及び保証金、設備投資及び開業経費等は1クラブあたり概ね3億円以上の資金が必要となります。また、既存施設の魅力向上のための改修工事にも投資しています。計画以上に新規出店が増えた場合や、急を要する改修工事により、資金需要が大きくなる可能性があります。

① 出店戦略への対策

1.総合型スポーツクラブの出店にあたっては、中期的な出店計画に基づいた資金計画を策定し、資金需要を

  コ ントロールしています

2.低投資・短期で回収が可能な業態(ジム&スタジオ、元氣ジム等)や施設の運営受託や開業支援等の投資

  を 伴わない拠点等、出店形態を多様化し、効率的な資本投下による成長を目指しております

② 資金の調達への対策

1.新規出店を含む新たな設備投資については、営業キャッシュフローの範囲内で実施しています。フリー

  キャッシュフローを増加させ、さらに新たな投資の実施による業績向上を図り、財務基盤を維持すること

  に より、必要なタイミングで新たな資金を調達できるよう環境を整えてまいります。

2.今後の事業展開を推進していくための必要な資金需要に対して、安定的かつ機動的な資金調達体制の

  築、財務基盤の一層の強化を図っております。

③ 金利の上昇への対策

経済環境の変化等により、市場金利が大幅に上昇し、当社の業績に影響を及ぼす可能性がありますが、市場金利の上昇に対しては、長期かつ固定での借入を主とし、必要に応じて金利を抑制させる手法を取り入れるなどの対策を取ってまいります。

④ 為替の変動への対策

当社は、子会社であるルネサンスベトナム社に対して、出資および貸付を行っております。大幅な為替変動が生じた場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。ただし、当社グループ外への海外通貨での出資や貸し付けは行っていないため、為替変動による影響は限定的と認識しています。

 

(3) 固定資産の減損について

① 新規出店に伴う影響

当社は事業を成長させるために新規出店を行っています。出店判断の際、立地特性や投資額について瑕疵があった場合、減損損失の発生により業績に影響を与える可能性があります。

新規出店に際しては、収支計画を策定し、投下資本の回収に関する一定の基準を設け精査することで、確実に事業成長に寄与する案件に絞って、出店を決定しています。

1.過去の出店における集客実績、業績推移等を元に収支計画の精度を高めています。

2.建築コストを低減化することによる損益分岐点の押し下げにより、リスクの低減に努めています。

② 計画の未達による影響

出店後、収支計画を下回って推移した場合、投資回収ができずに減損損失の発生により業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対して、日次・月次・四半期ごとのモニタリングを通じて計画通り、もしくはそれ以上の業績を達成するよう、軌道修正を行っています。

 

(4) 賃貸借契約について(リース含む)

① 営業施設の建物賃貸借契約について

当社の総合型スポーツクラブの新規出店にあたっては、原則として建物を賃借しております。なお、賃貸借期間は主に10年から20年の長期に亘るため、万が一、当社都合により賃貸借契約期間満了前に契約が終了した際には、賃貸人に対し何らかの保証を行う場合があります。なお、当社は、「地域を健康に!」を実現する企業として、長期に亘って、地域貢献することを目指しており、賃貸借契約満了後も契約の更新や再契約の締結により可能な限り事業を継続することを基本的なスタンスとしております。

② 敷金及び保証金について

当社が、土地建物賃貸借契約により賃貸人に差し入れている敷金及び保証金の残高は、当連結会計年度末で84億58百万円であります。この資産は、賃貸人の財政状況が悪化し、返還不能になったときは、賃料との相殺が出来ない範囲において貸倒損失が発生する可能性があります。なお、当社は貸倒損失を回避するため、定期的に賃貸人と面談を実施し、賃借人の財政状況の情報収集に努めております。

 

(5) 繰延税金資産について

① 繰延税金資産の回収可能性

当社では、将来の課税所得の見積りに基づき、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計算にあたっては、将来の業績予測を基礎として見積もっており、業績予測に含まれる将来の収益予測や営業利益予測は、様々な予測や一定の仮定に基づいて計算しております。したがって、今後経営状況の悪化等により、将来の課税所得が業績予測と異なり、繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 情報管理について

① 個人情報管理について

当社では、スポーツクラブ等に所属するお客様の個人情報を保有しています。万が一、個人情報の漏洩や不正利用が発生した場合、社会的評価が失墜することによる、中長期的な需要の低下により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、大量の個人情報が漏洩した場合、該当するお客様への損害賠償等による影響が生じる可能性もあります。
 個人情報の取り扱い及び個人情報漏洩による企業経営や社会的な信用への影響を十分に認識し、情報システムの構築、社内規程・マニュアルの整備、eラーニング(パソコン等を活用した個人学習)による従業員の教育活動の実施、及び内部統制監査室によるモニタリングを継続的に行い、情報漏洩を未然に防止するよう努めております。
 

(7) グローバルな事業展開について

① 海外事業に関する影響

当社グループの海外事業は、ベトナムにおいてスポーツクラブを展開しております。同国における感染症の拡大及び政治・経済情勢の影響により、クラブの営業が困難となった場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
 これらの影響に対しては、国内外における情報収集及び現地弁護士等との連携を通じ、その回避に努めています。
 ベトナム以外の各国においては、当社が培ってきたノウハウを現地企業と連携して事業展開を行っています。

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