(業績等の概要)
当社グループは、2022年2月期より、AI・RPA事業をDX事業に名称変更しております。
また、2022年2月期より、採用プロセスのDX化をより促進するため、事業管理区分の見直しを行い、従来「人材サービス事業」に含めていた採用ページコボット(旧 バイトルRHP等)について、報告セグメントの区分を「DX事業」に変更しております。なお、前年同期との比較情報については、変更後の区分方法により作成した数値を記載しております。
(1)業績
当社は1997年の創業以来、「私たちdipは夢とアイデアと情熱で社会を改善する存在となる」という企業理念のもと、インターネット求人情報サイトの提供を通じ、顧客企業の人材採用とその活用を支援するとともに、求職者一人ひとりが生き生きと働くことができる環境の構築に貢献すべく事業に取り組んでおります。
2020年2月期より、"Labor force solution company"というビジョンのもと、人材サービスとDXサービスの提供を通じて、労働市場における諸課題を解決し、誰もが働く喜びと幸せを感じられる社会の実現を目指しています。
当期の売上高は人材サービス事業の回復とDX事業の高い成長により、395億15百万円(前期比21.6%増)となりました。
費用につきましては、アルバイト・パート・派遣メディアにおけるさらなるシェア拡大と、バイトルPROの認知拡大のための先行投資として大規模な広告宣伝を実施いたしました。その結果、営業利益は56億2百万円(前期比23.4%減)、経常利益は53億20百万円(前期比18.2%減)となりました。
また、DX事業において、経営資源をSaaS型商品の開発・販売等に集中すべく、RPAツールライセンスの販売を終了することとし、当該ライセンス契約について、契約損失引当金繰入額2億21百万円を特別損失として計上しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34億87百万円(前期比473.9%増)となりました。
セグメント別の概況は、次のとおりであります。
① 人材サービス事業
人材サービス事業におきましては、アルバイト・パートの求人情報サイト「バイトル」、正社員・契約社員の求人情報サイト「バイトルNEXT」、総合求人情報サイト「はたらこねっと」、専門職の総合求人サイト「バイトルPRO」などの事業を運営しております。これらの事業においては、当社の強みである直販営業力や媒体力を活かし、ユーザー層及び顧客基盤を拡大することを目指しております。
2022年2月期第4四半期におきましては、市場がコロナ禍前の水準まで回復してきていない中で、「バイトル・バイトルNEXT」の売上高が、概ねコロナ禍前の水準まで回復しました。その結果、当セグメントの売上高は366億86百万円(前期比16.6%増)、セグメント利益は95億13百万円(前期比19.0%減)となりました。引き続き、さらなる市場シェア拡大に取り組んでまいります。
「バイトルPRO」は、2021年5月にサービス提供を開始しましたが、介護・保育・美容領域にくわえ、2022年3月には医療領域でも掲載案件数No.1を実現するなど順調に進捗しており、全業種合計の掲載案件数は同年4月に50万件を超えております。引き続き、当社の営業力や顧客基盤、プロモーションのノウハウ等を十分に活用し、人材不足が深刻な専門職領域におけるサービス拡大に取り組んでまいります。
② DX事業
DX事業におきましては、2019年9月より、中堅・中小企業に特化した商品設計で商材の機能を絞り、導入かつ継続利用しやすくパッケージ化したDXサービス「コボット」の提供を通じ、中堅・中小企業のDX化を支援しております。
当連結会計年度におきましては、営業推進体制の強化等が奏功し、応募者との面談スケジュールの自動調整等を行う「面接コボット」や「HRコボット」の販売が伸長したことにくわえ、職場紹介動画をはじめとするバイトルの独自機能を活かして企業の採用ページを作成する「採用ページコボット」を中心としたストック商品の販売が伸長いたしました。
その結果、売上高は28億28百万円(前期比172.3%増)、セグメント利益は7億42百万円(前期は4億42百万円の損失)となりました。
引き続き、商品の品質強化やCS業務の効率化を通じて解約率の抑制を図るとともに、アップセルを強化してまいります。また、複数のDX商品を組み合わせたセット販売を拡大し、営業効率の向上を図ってまいります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、165億69百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は104億82百万円(前年同期比45億76百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益49億96百万円、減価償却費24億52百万円、株式報酬費用7億83百万円、未払金の増加額14億87百万円、法人税等の還付額6億9百万円等が、売上債権の増加額13億20百万円等を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は38億50百万円(前年同期比57億92百万円の減少)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出33億7百万円、有形固定資産の取得による支出4億96百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は25億24百万円(前年同期比5億16百万円の減少)となりました。これは主に配当金の支払額31億99百万円等が、ストックオプションの行使による収入5億1百万円等を上回ったことによるものであります。
(生産、受注及び販売の実績)
(1)生産実績
当社の主たる業務は、インターネットを利用した求人情報掲載料及び看護師紹介事業の成功報酬による売上であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
(2)受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
人材サービス事業 |
36,686,654 |
+16.6 |
DX事業 |
2,828,635 |
+172.3 |
合計 |
39,515,290 |
+21.6 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)セグメント情報」の「1 報告セグメントの概要(3)報告セグメントの変更等に関する事項」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの名称及び区分の変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントの区分に基づき算定しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における連結財務諸表の流動資産の合計は226億53百万円であり、前連結会計年度末と比較して48億71百万円増加いたしました。主な増加の要因は、現金及び預金の増加41億6百万円、受取手形及び売掛金の増加13億20百万円であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における連結財務諸表の固定資産の合計は198億円であり、前連結会計年度末と比較して17億13百万円増加いたしました。主な増加の要因は、有形固定資産の増加2億66百万円、無形固定資産の増加9億6百万円、投資その他の資産の増加5億40百万円であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における連結財務諸表の流動負債の合計は80億32百万円であり、前連結会計年度末と比較して44億55百万円増加いたしました。主な増加の要因は、未払金の増加15億10百万円、未払法人税等の増加21億27百万円、賞与引当金の増加3億47百万円、その他流動負債の増加3億42百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における連結財務諸表の固定負債の合計は14億32百万円であり、前連結会計年度末と比較して3億18百万円増加いたしました。主な増加の要因は、契約損失引当金の増加1億65百万円、その他固定負債の増加1億15百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における連結財務諸表の純資産の合計は329億89百万円であり、前連結会計年度末と比較して18億10百万円増加いたしました。主な増加の要因は、資本剰余金の増加14億15百万円、利益剰余金の増加4億71百万円であります。
(2)経営成績の分析
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(1)業績」をご参照ください。
(3)経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の事業には、景気の変動等による人材ビジネス市場規模への影響や競合他社の状況、法的規制等、経営成績に重要な影響を与えうる様々なリスク要因があります。詳細につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
(4)2023年2月期の見通し
2023年2月期のマクロ環境につきましては、不安定な国際情勢やそれに伴って資源の供給・価格動向等に関して不確定要素が存在するものの、ワクチン接種の進捗等により新型コロナウィルス感染症が収束に向かうものと思われます。
そのような中、人材サービス事業においては、2022年2月期にシェア向上を図って実施した大規模な広告宣伝投資が奏功し、需要の回復と相まって売上高が増加し、コロナ禍前の水準以上に回復することが見込まれます。
また、DX事業においては、当社営業人員による拡販を継続するとともに、品質強化や営業・CS業務の効率化により、引き続き売上高・営業利益ともに大幅に増加する見込みです。
(5)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(業績等の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
②資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要の主なものは、営業活動に係る資金支出では、営業人員を中心とした人件費、求職者および顧客企業向けの広告宣伝費の支払いであります。投資活動に係る資金支出には、継続的な成長のために不可欠な商用サイト・アプリ等の開発費、DXツールを組み合わせたパッケージ商品の研究開発費などがあります。
また、既存事業および新規事業分野において事業シナジーが見込まれる国内外のベンチャー企業等への出資を積極的に実行しております。2020年3月には、案件発掘機能のさらなる強化、投資検討プロセスの高度化を図るため、投資総額90億円のコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)ファンド「DIP Labor Force Solution 投資事業有限責任組合」を組成しております。
これらの資金は営業活動から得られるキャッシュ・フローによって充当できておりますが、加えて資金調達の機動性及び安定性の確保を図るため、取引金融機関3行と総額300億円のコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ円滑な資金調達が可能な体制を構築しております。
株主の皆様への利益還元につきましては、経営の重要な課題の一つとして位置づけており、配当性向50%以上を基本方針として継続的な株主還元に努めてまいります。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移につきましては、以下のとおりであります。
|
2018年2月期 |
2019年2月期 |
2020年2月期 |
2021年2月期 |
2022年2月期 |
自己資本比率(%) |
72.4 |
74.0 |
74.3 |
84.4 |
76.4 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
662.9 |
323.4 |
345.0 |
447.0 |
445.3 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
- |
- |
- |
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍) |
36,689.5 |
- |
- |
- |
- |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注)1.2020年2月期は個別財務諸表に基づく数値を記載しております。
2.キャッシュ・フロー対有利子負債比率については、期末有利子負債残高がないため、記載しておりません。
3.インタレスト・カバレッジ・レシオについては、2019年2月期から2022年2月期は利払いが発生していないため、記載しておりません。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりでありますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
① 固定資産の減損
当社グループは、固定資産の評価にあたり、グルーピングをサイト別に行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討を行っておりますが、事業計画や市場環境の変化等により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
② 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性について、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
将来の不確実な経済状況の変動等により見直しが必要になった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 投資有価証券
当社グループは、時価を把握することが極めて困難と考えられる非上場株式等を保有しております。これらの評価において、発行体の超過収益力等に毀損が生じた際に、これを反映した実質価額が取得価額の50%程度以上下落している場合は、減損処理を行うこととしております。
定期的なモニタリングや協業拡大に向けた支援を行っておりますが、投資先の業績動向により、これらの投資の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
なお、非上場株式等の評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
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