(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における売上高は17,748百万円と前連結会計年度に比べて2,637百万円(17.5%)の増加となっております。
営業利益は4,195百万円と前連結会計年度に比べて1,666百万円(65.9%)の増加、経常利益は7,078百万円と前連結会計年度に比べて3,432百万円(94.2%)の増加となり、親会社株主に帰属する当期純利益は7,127百万円と前連結会計年度に比べて3,465百万円(94.6%)の増加となりました。
当社グループのセグメント別業績は次のとおりであります。
(a) CRO事業
売上高は17,047百万円と前連結会計年度に比べて2,539百万円(17.5%)の増加となり、営業利益は、5,035百万円と前連結会計年度に比べて1,642百万円(48.4%)の大幅増加となりました。
(b) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
売上高は12百万円と前連結会計年度に比べてほぼ横ばいとなり、営業損失は746百万円(前連結会計年度:営業損失708百万円)となりました。
(c) メディポリス事業
売上高は563百万円と前連結会計年度に比べて11百万円(2.0%)の増加となり、営業損失は17百万円(前連結会計年度:営業損失54百万円)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)は前連結会計年度末に比べて2,731百万円(37.5%)減少して、4,548百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は5,952百万円と前連結会計年度に比べて1,206百万円(25.4%)の増加となりました。
主な内訳は、税金等調整前当期純利益8,183百万円、減価償却費1,177百万円、為替差益1,348百万円、関係会社株式売却益1,096百万円、持分法による投資利益1,439百万円、前受金の増加額1,611百万円及び法人税等の支払額1,014百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は4,268百万円と前連結会計年度に比べて3,999百万円(1,488.8%)の増加となりました。
主な内訳は、定期預金の預入による支出3,672百万円、有形固定資産の取得による支出1,543百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入1,084百万円及び投資有価証券の取得による支出521百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は4,911百万円と前連結会計年度に比べて2,440百万円(98.8%)の増加となりました。
主な内訳は、長期借入金の返済による支出3,492百万円及び配当金の支払額826百万円であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
CRO事業 |
17,566,158 |
118.5 |
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
98.5 |
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
報告セグメント 計 |
18,106,256 |
118.0 |
その他事業 |
299,830 |
192.8 |
合計 |
18,406,086 |
118.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(b) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前期比(%) |
受注残高(千円) |
前期比(%) |
CRO事業 |
23,220,925 |
141.7 |
19,724,160 |
146.7 |
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
103.6 |
- |
- |
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
- |
- |
報告セグメント 計 |
23,761,023 |
140.5 |
19,724,160 |
146.7 |
その他事業 |
264,470 |
176.2 |
- |
- |
合計 |
24,025,493 |
140.9 |
19,724,160 |
146.7 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
(c) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前期比(%) |
CRO事業 |
16,943,913 |
117.4 |
トランスレーショナル リサーチ事業 |
12,062 |
98.5 |
メディポリス事業 |
528,035 |
102.9 |
報告セグメント 計 |
17,484,011 |
116.9 |
その他事業 |
264,470 |
176.2 |
合計 |
17,748,482 |
117.5 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当連結会計年度においては当該割合が10%以上の販売先がないため、記載を省略しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年4月1日 至 2021年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
アステラス製薬㈱ |
2,002,656 |
13.3 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、次のとおりであります。
(a) 概要
医薬品業界は、国内外において研究開発のスピードアップと効率化を目指したアウトソーシングが引き続き堅調です。このようなトレンドを受け、当社は顧客から選ばれ続けるパートナーとなるべく、顧客ニーズを満たす迅速な対応とサービスの向上並びに継続的な質の向上に注力しております。
なお、新型コロナウイルス感染症による当連結会計年度の業績への影響は軽微であると判断しております。
(b) CRO事業
前臨床事業において国内ナンバーワンCROとして顧客満足度をさらに高めることに注力し、信頼と品質で選ばれるCROを目指すとともに、新しい創薬モダリティに対応した、新しい技術分野におけるサービスも強化しております。当社がこれまで実施してきた以下の取組みが成果を表してきております。
・CROとして唯一構築できている「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」が新たな創薬モダリティの研究開発の本格化等により重要性を増し、海外顧客からの受注増に繋がっております。
・新たな創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な最新鋭装置を導入し、試験評価系を早い時期から構築してきたことが、上記「自社グループ内における大型実験動物繁殖・供給体制」構築と相乗効果を発揮し、新たな創薬モダリティに関連した受注に繋がっております。
・大手製薬企業との創薬段階における包括的研究受託契約も順調に推移し、既に複数の企業から創薬段階の研究を受注しております。
2022年3月期受注高につきましては、過去5年間の年次平均成長率が18.2%となり、同期末受注残高とともに過去最高を更新いたしました。当社では長年培ってきた技術とノウハウにより、従来よりも著しいリードタイムの短縮を実現し、臨床試験の早期開始に貢献しております。そうした中、試験室は高稼働となり、内部業務プロセスのイノベーションによる経費節減と合わせて高利益率を維持しております。国内製薬企業からの受注も堅調に伸長しておりますが、2022年3月期で特筆すべき特徴は、海外顧客からの受注の大幅伸長です。海外製薬企業からの受注額は総受注額の27.4%となり、過去5年間の年次平均成長率は52.2%を超えております。以下の3点の競争優位性を背景にグローバル製薬企業からの継続的受注に成功しております。
・20年間における米国での前臨床事業運営で培ったノウハウと信頼
・米国において勤務経験を積んだ人材資産の活用
・新規創薬モダリティに対応した試験評価系の確立
特に、当社が世界で唯一構築している「自社グループ内での大型実験動物の繁殖・供給体制」とサプライチェーンマネジメントにより安定的な実験動物の供給を実現しており、このことが顧客に高く評価され、大型試験の受注へと繋がっています。今後もサプライチェーンマネジメントを強化するとともに東南アジアにおける当社グループ施設の繁殖体制を強化し、日本国内においても十分な繁殖体制を確立させます。加えて、顧客ニーズに完全に応えられる体制を構築するため、施設の拡張や研究スタッフの増加を進めております。
(c) トランスレーショナル リサーチ事業(TR事業)
経鼻投与基盤技術の応用性評価を行うためのフィージビリティ試験や応用領域の拡大を図るための改良技術研究に関わる結果に基づいて、経鼻吸収による全身作用を企図した複数の候補化合物の新規事業化検討を進めてまいりました。併せて、高い噴射性能に加えて、使い勝手の更なる向上や製造コストの更なる低減を目的とした新規投与デバイスの基本設計を概ね完了いたしました。未充足医薬品市場を確実に予測しつつ製剤開発を進め、フィージビリティ試験を繰り返すことによって、経鼻神経変性疾患レスキュー薬を開発品として決定しました。この開発は、2020年10月に設立した連結子会社である株式会社SNLDが引継ぎ、第Ⅰ相臨床試験を開始しました。当社が2016年6月に設立し、当社とのライセンス契約の下で経鼻偏頭痛治療薬を開発中のSatsuma社は、2019年9月に米国ナスダック市場に上場を遂げ、安全性と有効性に関する第Ⅲ相臨床試験を米国で進めております。Satsuma社に対しては、創設以来当社から技術支援と助言、更に資金面での支援を継続して行っており、上市に向けた開発の最終段階にあります。これら2つの開発品に関しては、臨床試験遂行のため、相応の出資が必要であります。鼻から脳へと薬物を送達させる技術(Nose-to-Brain送達技術)研究においては、アカデミアとも連携し、分子イメージング法なども活用しながら、血中から脳へと移行し難い有効成分が、注射よりも高効率に脳へと移行することを確認しています。現在、脳移行性をさらに高めるための製剤や投与デバイスの改良研究を進めています。
新型コロナウイルス感染症が全世界で猛威を振るっている状況において、当社は経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおります。このアジュバント製剤に関する研究は、注射用途と鼻粘膜用途としてそれぞれ実施しており、様々な応用展開が期待できます。今後、ワクチン開発会社や研究機関との連携を深め、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを目指しております。
また、子会社の株式会社Gemsekiにおいては、同社を無限責任組合員としたファンドによる投資事業を活発化しており、本年度は6社に対して出資を行いました。
(d) メディポリス事業
当社は、鹿児島県指宿市の高台に103万坪(3,400,000㎡)の広大な敷地(メディポリス指宿)を保有しており、この自然資本(約9割が森林)を活用した環境に配慮した社会的利益創出事業を行っています。具体的には、再生可能エネルギーを活用した発電事業、人々の健康の実現(Wellbeing)をメインコンセプトとしたホテル宿泊施設の運営(ホスピタリティ事業)などを行っております。
発電事業は、2015年2月に地熱発電所が稼働以来、順調に発電を継続しており、当連結会計年度は過去最高発電量を記録しました。また、新規発電プロジェクトとして、ホテルで浴用や床暖房に使用している泉源の余剰蒸気を活用した温泉発電所の建設が完了し、2023年3月期中の稼働に向けて準備を進めています。
ホスピタリティ事業は、お客様のニーズに合わせる形で宿泊施設(合計宿泊部屋数74室)を宿泊棟ごと、機能ごとに3つのホテルに分けており、それぞれヒーリングリゾートホテル「別邸 天降る丘」、中長期滞在型施設「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」、メディポリス国際陽子線治療センターの患者専用宿泊施設「HOTELフリージア」が稼働しております。「別邸 天降る丘」はCOVID-19の影響で高級リゾートを好む観光客が激減している影響を受けていますが、客室数が15室と少数であり、スタッフを他部門に異動させることで効率化をはかっていることから、経営に与える影響は軽微です。「指宿ベイヒルズHOTEL & SPA」は33室を有し、COVID-19を回避したい中長期滞在を希望する宿泊者に人気があり、リピーターが着実に増えております。患者専用宿泊施設の「HOTELフリージア」は26室が75%以上の高稼働状況となっています。
(e) 財政状態の分析
当連結会計年度における前連結会計年度末からの財政状態の変動は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ2,340百万円(6.3%)増加し、39,312百万円となりました。流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,354百万円(9.2%)増加して16,134百万円となりました。固定資産は、投資その他の資産のその他が増加したことなどから、前連結会計年度末に比べ985百万円(4.4%)増加して23,178百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末に比べ1,544百万円(7.3%)減少し、19,589百万円となりました。流動負債は、前受金が増加したことなどにより前連結会計年度末に比べ1,458百万円(12.2%)増加して13,373百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少などにより、前連結会計年度末に比べ3,002百万円(32.6%)減少して6,215百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益を7,127百万円計上しましたが、投資有価証券の時価評価額が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ3,884百万円(24.5%)増加し、19,723百万円となりました。
(f) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは、GLPやGCPといった法的規制に対する適合性の調査等で高い評価を受けております。しかしながら、クライアントの創薬開発競争が激化し国際化、高度化及び大型化していく中で、当社グループは、サービスの質を継続的に高めていくと共に、グローバル化し複雑化していく顧客ニーズに対し的確に対応しつつ成長を維持していくために、設備、人材面での投資が不可欠となっております。人材の育成には時間を要する部分があり、また施設に対する投資も規模の経済性の観点からも先行的に行う必要が生じます。
とりわけ、日本よりもはるかに巨大な市場を有する米国等の海外クライアントからのニーズに迅速かつ的確に対応していくためには、海外の規格や法的規制に対応可能な体制を整えることが戦略的に重要であると考えております。海外の規格や基準に適合性をもつためには、十分なる準備や適合性に関する調査への対応が必要であります。
従って、事業のグローバルな競争力の向上と事業規模拡大のためには、これらに継続的に取り組む必要があり、その結果、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(g) 戦略的現状と見通し
CRO事業は、中長期的な視点で国内外の顧客からの要望に対して、確実に応えられる体制構築に取組んでおります。抗体医薬、核酸医薬、遺伝子治療、再生医療などの新規創薬モダリティ分野の研究支援では、最新装置の導入及び評価系の構築などの投資へも積極的に取り組んでおり、他施設では実施困難な案件を受託できております。また、新型コロナウイルスに対するワクチンあるいは治療薬の研究・開発についても、当社のリードタイム短縮などの取り組みを顧客に評価いただき、多くの案件を受託しております。
TR事業は、当社独自の経鼻投与基盤技術であるNDSを用いた既存薬剤の投与経路変更による医薬品開発など、パートナー企業とのアライアンス構築を進めており、特に国外の製薬企業との、複数の候補薬剤ライセンスアウト・共同開発交渉を継続します。また、経鼻偏頭痛治療薬第Ⅲ相臨床試験を継続しているSatsuma社に対し、知財のライセンス供与元としてさらなる技術支援をしてまいります。
子会社SNLD社では、当社TRカンパニーが業務委託契約を結び、ハンズオンで開発をサポートしています。経鼻神経変性疾患レスキュー薬の第Ⅰ相臨床試験を準備するとともに、それに続くポートフォリオとして、NDSに親和性のあるレスキュー薬として主に中枢神経作動薬を調査中です。
また、子会社Gemseki社は、創薬シーズ・技術に関するライセンス仲介事業をグローバルベースで積極的に展開すると共に、投資事業を推進してまいります。
メディポリス事業では、従来の地熱発電事業に加えて、既存の泉源を活用した温泉発電の設置を進めております。ホテル事業は、新型コロナウイルス感染対策に注力し、三密対策を徹底して安心して宿泊できる体制整備、部屋数を限定した高級志向のウエルネスリゾートホテルの開設など、新たなスタイルでの営業を行っております。その他、メディポリス指宿の資源を最大限活用すべく、地熱由来の電力を使用したグリーン水素製造を含む様々な取組みを検討しております。
(h) 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、ここ数年の世界的な新薬開発における国際化、大型化、高度化等の動向に鑑みますと、環境の変化に対応して経営施策を機動的かつ柔軟に展開していくことが要求されております。
CRO事業においては、海外顧客からの引き合いは引き続き活発に推移しており、グローバルな大手製薬企業からも継続的な受注に成功しております。この20年間、米国前臨床事業運営で培ったノウハウと米国での勤務経験を積んだ人材資産を活用して、海外顧客からの受託拡大を実現しております。
これら顧客ニーズに応えている大きな要因は、当社が世界で唯一構築している「自社グループ内での実験動物(霊長類)の繁殖・供給体制」、サプライチェーンマネジメントであります。新型コロナウイルス感染の蔓延などによる医薬品開発への実験動物需要増加が世界的に顕著となっており、その供給不足がCRO業界の課題となっております。当社では長年にわたり確立してきたサプライチェーンにより、以前と同様に安定的な実験動物の供給を実現しております。今後もこれらサプライチェーンマネジメントの強化施策を実施してまいります。その一環として、中国における実験動物繁殖・供給施設であるSNBL CHINAを中国上場企業のPharmaronグループとの合弁事業とすることで拡充し、カンボジアの当社グループ施設の繁殖体制強化とともに、さらなる繁殖・供給能力の増大を企図しております。今後も効率的かつ効果的に各種実験を適切なタイミングで行えるオンリーワンの事業価値を継続して提供してまいります。
TR事業では、経鼻投与の新たな応用領域として、Nose-to-Brain送達技術の研究開発を世界に先駆けて加速しております。中枢疾患におけるアンメットメディカルニーズは非常に高く、その治療薬開発は製薬企業における重点注力領域となっています。血液脳関門(Blood Brain Barrier)の存在により、静脈注射でも脳内に送達できない薬物について、Nose-to-Brain送達技術の応用が期待されています。今後の目標は、アカデミアとの共同研究推進させること、そしてそれらのデータを基に複数の大手製薬企業と共同研究やフィージビリティ試験の契約を結ぶことです。またNDSに関しては、どのように投資を回収し収益をあげうるか、出口戦略の練り込まれた事業開発が必要であると認識しています。
昨今の医薬品開発においては、低分子医薬品から抗体医薬・核酸医薬、さらに再生医療・遺伝子治療へと創薬モダリティの多様化が進んでおります。当社グループは、こうした業界の動きに一早く対応し、常に新たな創薬ニーズに応えるべく取り組んで参りました。特に再生医療分野においては、京都大学iPS細胞研究所との共同研究に基づくiPS細胞を用いた治療に向けた安全性試験に関する研究開発経験を活かして受託しているほか、重要投資先である株式会社リジェネシスサイエンスを通じたライセンス事業にも取り組んでおります。
今後とも創薬モダリティの多様化により生じる顧客からの様々な新規ニーズに迅速に対応し、付加価値の高いサービスを効率的に提供してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a) 資金需要
当社グループの資金需要は、主に設備投資等の投資及び運転資金等となっております。設備投資等の投資を行うにあたっては、案件ごとに投資の回収可能性や収益向上の点から検討を行い、重要なものについては取締役会での決議を経て決定するなど、社内の所定の手続に従って決定しております。計画については、第3設備の状況 3設備の新設、除却等の計画(1)重要な設備の新設等に記載のとおりです。
(b) 資金の源泉
営業キャッシュ・フローからの収入で賄いきれないものについて、借入により調達しております。また、設備投資の一部についてファイナンス・リースを利用しております。なお、当連結会計年度における現金及び現金同等物等の残高は4,548百万円となっております。
(c) 有利子負債
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は9,281百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定
当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。
以下「連結財務諸表規則」) に基づいて作成しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響は、収束時期を見通すことが依然困難な状況にあるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断及び見積りの変更は見込んでおりません。
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