事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 法的規制について

当社グループ国内企業の事業は、「薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)」及びそれに関連する厚生労働省令等による諸規制を受けております。前臨床事業においては、実験動物の調達にあたって、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」、動物の輸入届出制度等による諸規制を受け、試験実施施設は「医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準」(GLP)に基づく各省庁の専門査察官による定期調査(試験施設のGLP適合性確認のための調査)の対象となっております。臨床事業においては、「医薬品の臨床試験の実施の基準」(GCP)を厳格に遵守して臨床試験を実施することが義務付けられております。

また、当社グループの在外企業においては、国内と同様に所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けております。

当社グループの事業において、何らかの要因によりこれらの諸規制に抵触する事象が生じた場合には、事業展開に支障が生じる可能性があります。この場合、当社グループに対する製薬企業や医療機関等からの信頼が損なわれ、受託試験が中止あるいは削減され、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 製薬業界の動向による影響について

当社グループは、製薬企業等の委託を受け前臨床試験及び臨床開発を行っております。このため、当社グループの経営成績は、製薬業界の研究開発活動並びに前臨床及び臨床試験実施等の動向に大きな影響を受けております。

日本、米国、欧州における前臨床及び臨床試験データは、新薬の承認申請において相互に利用することが可能になっており、近年においては国内大手製薬企業が海外において前臨床、臨床試験を行うケースが増加しております。また、近年、製薬業界は研究開発における新薬開発競争力の強化を狙いとして合併・再編が進められており、わが国の製薬企業等の研究開発能力は、欧米大手製薬企業との規模の格差に起因して、相対的に低下することが懸念されます。

そうした中で、当社グループは国内においてもFDA(米国食品医薬品局)査察をはじめとする海外のGLP法令に対応可能な試験施設としての要件を備えるなど、成長性のある欧米市場の需要を取り込む体制を構築しております。加えて、将来の市場拡大を見据え、アジア地域を含めたグローバル展開の強化も推進していく方針であります。しかしながら、世界的に製薬業界における前臨床・臨床試験に対する取り組みに変化が生じた場合、また当社グループが製薬業界の変化に対して十分な対応が出来ない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 自然災害等による影響について

当社グループは、国内に保有する法規制に適合した研究施設において、前臨床試験の受託業務を行っております。

これらの地域における台風、地震、火災など大型の自然災害の発生・罹災や伝染病の流行等により、施設・機器の損壊及び従業員の就業状況に支障を来たす事態が生じた場合には、予定していた受託試験の実施スケジュールの変更を余儀なくされます。その結果、施設の稼働率低下、収益計上時期のずれ込み、施設の補修等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、これらのリスクに備え、事業継続計画(BCP)を含む危機管理計画書の策定・訓練の実施、損害保険の加入、耐震対策、燃料等の備蓄機能の強化など、従業員の安全と安定的なサービス提供のための体制を整備し、リスクの低減に努めております。

 

④ サプライチェーンマネジメントについて

自然災害、事故、パンデミックの発生等により当社の原材料調達先などのサプライヤーに被害や操業の一時停止が生じた場合、また、サプライチェーンにおけるコンプライアンス違反や環境問題などへの対応が遅延した場合、原材料の調達が困難となり当社事業活動に制限が生じることで、業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社は、これらサプライチェーンに係るリスクに備え、サプライヤー行動規範の制定、損害保険の加入、事業継続計画(BCP)の策定、備蓄機能の強化、サプライヤーとの情報共有体制の構築など、安定的なサービス提供のための体制を整備しております。

また、サプライチェーンにおけるコンプライアンスや環境問題など当社だけでは解決できない課題に関しては、サプライヤーと協力して課題解決に努めています。

 

⑤ 気候変動について

気候変動は、企業活動に影響を与える重要な課題であると認識しています。当社は、2020年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、気候変動対策を含めた当社の環境経営に係る対応・管理を担っている環境委員会において、TCFDフレームワークを活用した気候変動による長期的な影響についてのシナリオ分析を実施しました。

その結果、当社の主事業であるライフサイエンス事業(医薬品の開発支援)においては、気象災害の激甚化に伴う操業停止、サプライチェーンの寸断や原材料調達コスト・アクセスの悪化等の物理的リスクは大きな事業リスクであり、医薬品供給能力の低下という社会リスクにも繋がると評価しています。

一方で、当社は安定的な再生可能エネルギーとして期待されている地熱発電所の稼働や全社的な省エネの取組みなど、SDGsやESGが注目される前から気候変動対応に係る取組みを推進しており、脱炭素社会への移行リスクは比較的小さいと評価しています。

当社では、これらのリスクに備え、2030年にカーボンニュートラルを達成するという目標を設定し、脱炭素社会への移行を推進しています。

 

⑥ 前臨床事業に係るリスク要因について

(a) 実験動物の取得について

当社グループが行う前臨床試験において使用される実験動物には、サル、イヌ、ウサギ、ラット、マウス等が含まれます。サルを除いた諸動物は、多産かつ妊娠期間が比較的短く、取得に関して特に大きな障害はありませんが、実験用に用いるサルは、一回当たりの出産頭数が1匹で、妊娠期間も5か月近くあり、成熟するのに2年ほどかかることから、他の実験動物と比較して繁殖が容易ではありません。

当社グループにとって最も重要な実験動物はカニクイザルであり、前臨床事業の拡大に伴い必要とされるカニクイザルの数量も増加しており、今後もこのような傾向が続くと予想されます。当社グループは、この需要に対応すべく複数の国からの輸入体制を整備しておりますが、今後、我が国又は輸出国の法規制改正や伝染病の発生、新型コロナウイルス感染症等により、カニクイザルの確保及び輸入に支障が生じた場合、円滑な試験実施に支障が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(b) 前臨床試験における霊長類の優位性について

現状、実験用霊長類はヒトとの遺伝子類似性が9割以上もあることから、前臨床試験における優位性は高いとされており、前臨床試験における当該需要は、拡大する傾向にあるものと考えております。しかしながら、霊長類以外の動物もしくは評価系においてヒトでの安全性評価に対する優位性が認められた場合、競合他社との十分な差別化が図れず、当社グループの事業戦略、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(c) 研究施設における感染症等の発生について

実験動物の調達、特に霊長類の輸入にあたっては、動物輸入届出制度等の規制のもと、農林水産省動物検疫所に輸入届出書と衛生証明書の提出が義務付けられており、輸出国では、日本の農林水産省の審査を受けて認可された施設において厳格な輸出検疫を受け、基準を満たした個体だけが輸入されております。さらに、国内では農林水産省に認可を受けた指定動物(霊長類)検疫施設にて、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定められた厳格な検疫を実施した上で試験に使用しております。実験動物は、試験施設において、外部と遮断され、圧調整により相互の汚染が防止された室内で、新鮮な空気を定められた換気回数で入れ替え、温度・湿度ともに一定に制御された環境下にて飼育されております。また、GLP基準に基づく研究施設は、試験従事者等の入退出管理を含めて、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。

また、当社グループの在外企業においては、所在する各国における関連法律・制度による諸規制を受けておりますが、いずれも国内と同様に、安全管理・衛生管理には万全の態勢を構築しております。

しかしながら、施設内のトラブルや感染症(新型コロナウイルス感染症を含む)等、予期せぬ事態が生じた場合には、適正な試験の進行に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(d) 動物愛護について

当社グループでは、製薬企業等から実験動物等を用いた前臨床試験を受託し実施しておりますが、GLP基準に適合した業務遂行を行うと共に、実験動物を用いるに際しては「動物の愛護及び管理に関する法律」、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」等の適用法令及び動物実験に関する指針を遵守し、実験動物の適正な管理を行うと共に、実験動物の苦痛の軽減に務め、試験に用いる実験動物数の削減につながる代替法の開発にも注力しております。

しかしながら、生命の尊厳等の観点から動物実験全体を否定する立場もあり、動物愛護の風潮が高まる等により実験動物の利用に対して社会的評価が著しく低下した場合、当社グループのイメージに悪影響を与え、前臨床事業の円滑な遂行に支障を来たし、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 臨床事業に係るリスク要因について

(a) CRO業界における競争の激化の可能性について

日本国内におけるCRO業界は市場規模が拡大しているものの、今後もその成長性に着目した新規参入が予想され、業界に市場競争の激化が考えられます。このような競争激化の結果、当社グループの提供するサービス価格の低下や売上の減少を余儀なくされる可能性や、要員獲得競争による人件費の上昇の可能性があります。その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(b) 被験者の健康被害について

治験に係る被験者に健康被害が生じた場合には、治験依頼者である製薬企業等が治療に要する費用やその他の損失を補償することがGCP省令で義務付けられておりますが、当社の過失によるものである場合には、製薬企業、医療機関等から損害賠償請求を受ける可能性があります。また、係る訴訟が社会問題に発展した場合には、当社グループの信用が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 研究開発活動について

昨今の医薬品開発においては、低分子医薬から、中分子医薬、抗体医薬、核酸医薬、再生医療、遺伝子治療や抗体薬物複合体等へと創薬モダリティの多様化が進んでおります。また、製薬企業によるアウトソースの範囲は拡がっており、研究要素の強い開発初期段階の委託案件が増えてきております。当社CRO事業におきましては、創薬モダリティの多様化や委託案件の高度化にも対応できるよう、サイエンスレベルの向上や装置を含めた最先端技術の導入を進めております。特に中分子医薬品、核酸医薬、再生医療、遺伝子治療や抗体薬物複合体等の新規創薬モダリティの有効性・安全性評価に必要な装置の導入と評価系の構築は積極的に進めております。また、必要に応じて、企業や大学等の研究機関等との共同研究開発や技術提携等を行いながら、対応力の向上を図っております。当社TR事業におきましては、経鼻投与基盤技術の事業化機会を最大化するために、その3つの応用領域、応用化合物もしくは応用疾患に最適化した製剤及び投与デバイスの改良研究や臨床開発段階への進展に向けて鋭意研究開発を進めております。関係会社においても研究開発活動(後述⑫を参照)を展開しており、株式会社SNLDでは経鼻神経変性疾患レスキュー薬の臨床試験を開始しております。

また、経鼻ワクチンに関する研究と併せて、ワクチンの効果を高めるためのアジュバント製剤に関する研究に取り組んでおります。アジュバントには、ワクチンの効き目を高めたり、ワクチンに含まれる抗原の量やワクチン接種の回数を減らしたりする効果があるため、新型コロナウイルス感染症など世界的な流行が起きて一度に大量のワクチンが必要になったとき、作製できるワクチン数を増やすことができます。このアジュバント製剤に関する研究は、注射用途と鼻粘膜用途としてそれぞれ実施しており、様々な応用展開が期待できます。今後、ワクチン開発会社や研究機関との連携を深め、ワクチンの開発推進に当社も独自技術で寄与していくことを計画しております。さらに、経鼻製剤や投与デバイスの製造については、受託製造会社との連携を強化しており、製品化を見据えた研究開発活動を推進しております。

当社グループの2022年3月期における研究開発費は425,075千円でありますが、こうした研究開発活動に費やした費用が、当社グループに十分な成果や収益をもたらすという保証はありません。

 

⑨ 知的財産権について

当社グループの事業において、研究開発活動に関わる成果を特許やその他知的財産権として確保することは、事業推進上重要であると考えております。しかしながら、当社の研究成果を全て権利化できるという保証はなく、また、保有している特許や将来取得する特許によって当社グループの権利を確実に保全できるという保証もありません。

有価証券報告書提出日現在、当社グループの開発に関連した特許権等の知的財産権について、第三者との間で訴訟やクレームが発生したという事実はありません。当社グループにおきましては、このような問題を未然に防止するため、事業展開に際しては弁護士への相談や特許事務所を活用して知的財産権の侵害等に関する事前調査を実施しておりますが、知的財産権侵害問題の発生を完全に回避することは困難であります。また、仮に当社グループが第三者との間の法的紛争に巻き込まれた場合、当該第三者の主張の正当性の有無にかかわらず、解決には多大な時間及び費用を要する可能性があり、場合によっては当社グループの事業戦略や財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑩ バイオベンチャー企業との提携について

当社グループは連結子会社及び持分法適用関連会社に対する投融資の他、当社グループの企業戦略に則り、当社事業とのシナジー効果を期待して、国内外のバイオベンチャー、ヘルステック企業等と資本提携関係を結んでおります。

投融資に際し社内諮問機関にて審査を実施し、投融資後も提携先の経営陣との対話を通じて財政状態及び事業進捗のモニタリング、提携先とのシナジーの検討を実施しております。

提携先企業の財政状態及び事業計画の変更等により投資の回収可能性が懸念される事態が生じた場合には、当社として投資に対する評価損を計上することとなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ トランスレーショナル リサーチ事業について

独自の経鼻製剤技術と投与デバイス技術から成る経鼻投与基盤技術の研究開発を実施しており、より効果的な全身作用を企図とした鼻からの薬物吸収に関する応用、より効果的な感染予防を企図した鼻からのワクチン接種に関する応用、及びより効果的な中枢作用を企図した鼻から脳への薬物送達に関する応用を含む3つの応用領域について創薬を行っております。これまでの研究開発によって、鼻粘膜からの薬物吸収を促進する製剤技術や、使い勝手が良く噴霧性能に優れ、目的に応じて鼻腔内の送達部位を調節できる投与デバイス技術が構築されつつあります。また、経鼻ワクチンに関する研究については、ワクチンの効果を高めるための、注射用途と鼻粘膜用途のアジュバント製剤をそれぞれ研究しており、様々な応用展開を計画しております。さらに、経鼻製剤や投与デバイスの製造については、受託製造会社との連携による開発体制の強化を推進しております。併行して、これらの技術について、製薬企業との共同研究、共同開発やライセンス供与について交渉を進めております。

これらの事業については、出口戦略を入念に立てて取り組んでおりますが、多大な研究開発費と長期の研究期間が必要であり、且つ確実に収益がもたらされるという保証はなく、その進捗等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、治験を実施する場合において、被験者に健康被害が生じた場合には、当社の過失によるものである場合には、GCP省令に基づき、損害賠償請求を受ける可能性があります。

 

⑫ 関係会社について

連結子会社である株式会社SNLDにおいては、当社からライセンス供与を受けて経鼻投与による神経変性疾患レスキュー薬の臨床開発を行っています。当連結会計年度においては、パーキンソン病に対する経鼻レスキュー薬(開発コード:TR-012001)の国内第1相臨床試験を開始しました。併せて、経鼻ワクチンを含む新規経鼻投与のポートフォリオ創生を指向しております。当事業については、確実に収益をもたらすという保証はなく、その進捗等により当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

株式会社メディポリスエナジーが鹿児島県指宿市にて展開する地熱発電事業は、火災、爆発、事故、自然災害、落雷や天候等の自然現象などに起因する操業上のリスクを伴っており、これらの事故・災害等が発生した場合には、多大な損失を被る可能性があります。当社グループは、可能かつ妥当な範囲において、事故、災害等に関する保険を付していますが、それによってもすべての損失を補填し得ない可能性があります。

その他の関係会社においても研究開発型企業があり、研究開発活動に対して資金を投下しておりますが、十分な収益化が図られる保証はありません。

 

⑬ 情報セキュリティ管理体制について

前臨床及び臨床試験に係る秘密情報の管理について

当社グループの事業では、製薬企業等から預託された開発品目の情報等(以下「秘密情報」)を得て前臨床及び臨床試験を実施しております。秘密情報については、事前の承諾なしに第三者に開示、譲渡、貸与、漏洩してはならない旨を規定した秘密保持契約を製薬会社等と締結しており、当社グループでは秘密情報を厳重に管理すると共に、役職員に対しては、個別に秘密情報の保全を義務付ける機密保持契約を締結し、在籍中、退職後を問わず、厳重に機密保持が遵守されるように注力しております。しかしながら、万が一、当社グループより秘密情報が第三者に流出した場合には、製薬企業等からの信頼が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、セキュリティインシデントを想定した訓練を定期的に実施するとともに、社内ネットワークへのウイルス拡散を防止するため、パソコン毎にセキュリティソフトウェア製品を導入しております。加えて、ランサムウェア等による情報漏洩対策として、パソコン毎にEDR(Endpoint Detection and Response)製品を導入しております。また、モバイルやクラウドの利用拡大に対処すべく、当社のセキュリティモデルを従来の境界型セキュリティモデルからゼロトラストセキュリティモデルへ切り替え可能なサービス導入を行っております。

 

 

⑭ 人員の確保、育成について

当社グループの事業推進にあたっては、医学、薬学、化学、理学、獣医学及び農学等の専門性が求められることから、博士、修士並びに医師、獣医師、薬剤師、看護師、臨床検査技師等の有資格者、かつ医療業務への従事経験を有する者が不可欠となります。また、昨今のAI・ビッグデータ・IoTといったデジタル化の流れを受け、IT技術や変化する経営環境に適応するためのマネジメントに優れた人材も多く必要とされております。

当社グループは今後も事業の拡大に伴い、積極的に人材の確保、育成を図る方針でありますが、こうした人材の確保や教育研修が当社の計画どおりに進むという保証はなく、人員の確保、育成が順調に進まない場合、当社グループの事業推進に支障が生じ、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、現在在籍するこれら人材の流出が生じた場合にも同様のリスクがあります。

なお、当社グループの事業拡大の進捗によっては、人員の増加による固定費負担が増加し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 有利子負債への依存について

当社グループでは事業拡大の必要資金の多くを金融機関からの借入により調達しており、当連結会計年度末における連結決算における有利子負債残高(リース債務、短期借入金、長期借入金の合計額)は9,281,811千円であり、総資産比で23.6%と相応の水準にあります。また、2022年3月期には126,646千円の支払利息が生じております。

また、当社グループでは、今後の金利上昇リスクを回避するため、長期借入金の大半は固定金利による調達等を実施しておりますが、今後における金融機関借入(借換えを含む)等においてはその時点の市場金利によることとなることから、当社グループの経営成績等は今後の金利変動に影響を受ける可能性があります。

今後も、国内及び米国等における設備資金並びに金融機関借入の約定返済を中心に相応の資金需要が生じるものと考えております。今後の資金調達に関しては資本市場からの調達と金融機関借入(借換えを含む)等のバランスを考慮しつつ、実施していく方針でありますが、これが当社グループの希望する条件で実行できる保証はなく、当社グループの事業展開の制約要因となる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 為替の変動について

当社グループでは、海外製薬企業等からの試験受託や実験動物等の輸入仕入に関わる外貨建取引の決済に際しては為替相場の影響を受けております。また、連結子会社25社中8社は在外子会社であり、連結に際しては為替相場の影響を受けております。従って、為替の動向によっては当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑰ 業績の季節変動等について

過去3期間における当社グループの業績の上半期及び下半期の状況は下表のとおりであります。

当社グループの業績は、顧客である製薬企業等の検収が年度末である期末に集中する傾向にあることから、売上高は下半期に偏重する傾向にあります。しかしながら、利益面では、各期における個別又は複数の売上計上案件の利益率の差異及び計上時期並びに連結子会社における事業の進展状況その他の要因により変動しており、過年度においては必ずしも下期偏重は生じておりません。今後においても、当社グループの業績は、これら各種要因等により変動が生じる可能性があります。

 

 

 (単位:千円)

 

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

上半期

下半期

上半期

下半期

上半期

下半期

(連結決算)

 

 

 

 

 

 

売上高

6,389,274

8,171,809

7,003,509

8,107,038

7,961,465

9,787,016

営業利益

1,078,583

1,149,668

1,161,431

1,368,103

1,969,403

2,226,205

経常利益

1,258,675

1,862,629

1,305,248

2,340,092

2,529,491

4,548,701

親会社株主に帰属する当期純利益

877,251

1,673,127

1,139,293

2,522,562

3,503,725

3,623,904

(単体決算)

 

 

 

 

 

 

売上高

5,750,647

7,416,782

6,400,350

7,141,529

7,507,000

9,063,039

営業利益

907,898

924,103

1,019,602

968,102

2,000,046

1,931,609

経常利益

777,085

2,505,626

836,421

1,924,419

2,208,601

4,121,823

当期純利益

613,729

△3,295,352

721,517

2,137,402

1,968,540

3,279,121

⑱ 固定資産の減損について

当社グループでは、当連結会計年度におきまして固定資産の減損損失を225,219千円計上しております。今後も、資産又は資産グループに減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合は、回収可能性を評価し、回収不能見込額を減損損失として計上する可能性があります。固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しているため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

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