業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、写真・CG・映像・イラストレーションなど視覚から訴求するものをビジュアルと総称し、これらビジュアルを活用したコミュニケーション・コンテンツの提供等を通じて、お客様の商品やサービスの価値を可視化することで、「届けたい想いが伝わり、行動を促す」コミュニケーションをお客様と共に創造する、ビジュアルコミュニケーション事業を展開しております。

 

 当社グループでは、当連結会計年度を初年度とする中期経営計画において、あらためて内部統制の強化に向けた継続的な取り組みを実施するとともに、利益創出に徹底的にこだわることで収益構造の改善及び財務基盤の安定化に努め、お客様の「Co-Creation Partner」を標榜するビジネスモデルを支える経営基盤を再構築してまいりました。「One amana!」を掲げる経営方針に基づき、前連結会計年度から整備を進めた全社横断型の戦略的な営業体制のもと、グループの総合力を発揮してトップラインの再成長を図り、同時に、新たなワークフローの確立を推し進めるなかで、案件毎の利益設計の徹底、十分なチェック・モニタリング機能の運用、外部発注プロセスの最適化などを図ることで、利益創出と内部統制のさらなる強化を推進してまいりました。

 

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や行動制限措置の緩和等による回復が期待されたものの、新型コロナウイルス感染症の断続的な再拡大と緊急事態宣言の再発令等を受け、経済活動の持ち直しは限定的であり、依然として先行き不透明な状況で推移いたしました。

 当連結会計年度の売上高は17,748百万円(前期比2.8%増)となりました。第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比4.6%増となり、新型コロナウイルス感染拡大が本格化した前第2四半期連結会計期間以降における段階的な復調傾向を維持してきた一方で、新型コロナウイルス感染再拡大(第5波)の期間にあたる第3四半期連結会計期間において営業活動が制限を受けたことや、広告代理店等の一部のクライアントにおける内制強化が加速したことなどにより、当社グループの受注が停滞し、第4四半期連結会計期間の売上高は前年同期比1.6%減となりました。事業付加価値額(売上高-外注原価)は9,382百万円(前期比0.4%減)となりましたが、生産性の観点から重視している当社グループ稼働人員1人あたりの事業付加価値額は前期比16.5%増となり改善が進みました。また、制作業務に係る組織やスタジオ設備などクリエイティブリソースの最適化により固定的な売上原価についての流動化が図られたことで、売上総利益は7,723百万円(前期比7.1%増)となり収益性の向上が図られました。

 販売費及び一般管理費については、経営環境の変化に対応した事業及び組織のスクラップアンドビルドの推進により人員数の最適化を図ったことなどによる報酬・給与等の削減、業績進捗を勘案した賞与の抑制など人件費のコントロール、また、DX推進による働き方の進化を見据え、オフィス施設などを一部解約したことによる賃借料をはじめとした設備費の削減効果の発現、さらに、活動諸費の見直しなど経費削減を徹底したことにより、7,560百万円(前期比13.4%減)となりました。

 以上の結果、営業利益は163百万円(前期は1,523百万円の営業損失)となりました。さらに、為替差益、受取保険金、助成金収入などによる営業外収益139百万円、支払利息、シンジケートローンの組成に係る費用などによる営業外費用258百万円を計上し、経常利益は44百万円(前期は1,478百万円の経常損失)となりました。また、保有資産の効率化を目的とした投資有価証券の売却による投資有価証券売却益87百万円や、連結子会社の異動(株式譲渡)に伴う関係会社株式売却益15百万円などを特別利益に計上した結果、税金等調整前当期純利益は140百万円(前期は2,339百万円の税金等調整前当期純損失)となり、最終的な親会社株主に帰属する当期純利益は82百万円(前期は2,467百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末に比べ14百万円増加し10,504百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べ1,164百万円減少し10,129百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末に比べ1,178百万円増加し375百万円となりました。

 

 なお、経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

 当社グループはビジュアルコミュニケーション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末の期末残高に比べ105百万円増加し、2,095百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりです。

 

<営業活動によるキャッシュ・フロー>

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは520百万円の収入超過(前連結会計年度は529百万円の支出超過)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益140百万円に減価償却費501百万円、たな卸資産の減少額177百万円を加味した上で、売上債権の増加額129百万円、特別調査費用等の支払額129百万円等があったことによるものです。

<投資活動によるキャッシュ・フロー>

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは545百万円の支出超過(前連結会計年度は351百万円の支出超過)となりました。これは主として、スタジオ施設の再構築に伴う改修等による有形固定資産の取得による支出155百万円、ACP(amana creative platform:当社グループ独自のITプラットフォーム)の中心となる新販売管理システムの開発等による無形固定資産の取得による支出479百万円、投資有価証券の売却による収入89百万円等があったことによるものです。

<財務活動によるキャッシュ・フロー>

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは82百万円の収入超過(前連結会計年度は1,531百万円の収入超過)となりました。これは主として、短期借入れによる収入15,215百万円、長期借入れによる収入6,062百万円、短期借入金の返済による支出20,345百万円、長期借入金の返済による支出1,820百万円、株式の発行による収入1,089百万円等があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

A.生産実績

a.生産実績

 生産実績については、制作物の内容、金額及び制作プロセスの多様化により、実質的な生産実績の表示が困難であります。このため、生産実績の記載はしておりません。

 

 

b.仕入実績

 当社グループはビジュアルコミュニケーション事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ビジュアルコミュニケーション事業

417,088

82.8

合計

417,088

82.8

 (注)1 仕入実績の金額は、写真使用料及び商品仕入額等によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

B.受注状況

当社グループはビジュアルコミュニケーション事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ビジュアルコミュニケーション事業

16,267,199

93.3

2,032,145

73.2

合計

16,267,199

93.3

2,032,145

73.2

 (注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

C.販売実績

当社グループはビジュアルコミュニケーション事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ビジュアルコミュニケーション事業

17,748,490

102.8

合計

17,748,490

102.8

(注)1 数量につきましては、取扱品目が多岐にわたり表示が困難なため、その記載を省略しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

A.当連結会計年度の経営成績の分析

a.売上高及び売上総利益

 当連結会計年度の売上高は17,748百万円(前期比2.8%増)となりました。第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比4.6%増となり、新型コロナウイルス感染拡大が本格化した前第2四半期連結会計期間以降における段階的な復調傾向を維持してきた一方で、新型コロナウイルス感染再拡大(第5波)の期間にあたる第3四半期連結会計期間において営業活動が制限を受けたことや、広告代理店等の一部のクライアントにおける内制強化が加速したことなどにより、当社グループの受注が停滞し、第4四半期連結会計期間の売上高は前年同期比1.6%減となりました。なお、前連結会計年度(2020年12月期)における当社グループの財政状態に基づく与信観点から取引が一時保留となる機会損失も売上高の停滞に一部影響しましたが、当連結会計年度における当社グループの経営成績や財政状態の改善により、当該状況を解消していくことで、次期(2022年12月期)での回復が望まれます。また、前期比での売上高の増加は一定程度に留まったものの、アカウントベースドモデルを採用し、注力クライアント企業を設定のうえ継続的な関係構築を推進するなかで、効率的に売上高の拡大を目指す戦略そのものは成果を示しており、 次期(2022年12月期)に向けた全社戦略の礎を築きました。

 事業付加価値額(売上高-外注原価)は9,382百万円(前期比0.4%減)となりましたが、生産性の観点から重視している当社グループ稼働人員1人あたりの事業付加価値額は前期比16.5%増となり改善が進みました。

 さらに、制作業務に係る組織やスタジオ設備などクリエイティブリソースの最適化により固定的な売上原価についての流動化が図られたことで、売上総利益は7,723百万円(前期比7.1%増)となり収益性の向上が図られました。

b.営業損益

 販売費及び一般管理費については、経営環境の変化に対応した事業及び組織のスクラップアンドビルドの推進により人員数の最適化を図ったことなどによる報酬・給与等の削減、業績進捗を勘案した賞与の抑制など人件費のコントロール、また、DX推進による働き方の進化を見据え、オフィス施設などを一部解約したことによる賃借料をはじめとした設備費の削減効果の発現、さらに、活動諸費の見直しなど経費削減を徹底したことにより、7,560百万円(前期比13.4%減)となり、営業利益は163百万円(前期は1,523百万円の営業損失)となりました。

c.営業外損益及び経常損益

 為替差益、受取保険金、助成金収入などによる営業外収益139百万円、支払利息、シンジケートローンの組成に係る費用などによる営業外費用258百万円を計上し、経常利益は44百万円(前期は1,478百万円の経常損失)となりました。

d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益

 保有資産の効率化を目的とした投資有価証券の売却による投資有価証券売却益87百万円や、連結子会社の異動(株式譲渡)に伴う関係会社株式売却益15百万円などを特別利益に計上した結果、税金等調整前当期純利益は140百万円(前期は2,339百万円の税金等調整前当期純損失)となり、最終的な親会社株主に帰属する当期純利益は82百万円(前期は2,467百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 

B.当連結会計年度の財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は6,937百万円となり、前連結会計年度末に比べ52百万円増加しました。これは主として、現金及び預金の増加105百万円、受取手形及び売掛金の増加88百万円、たな卸資産の減少183百万円等によるものです。

 固定資産は3,558百万円となり、前連結会計年度末に比べ47百万円減少しました。これは主として、建物及び構築物の減少109百万円、工具、器具及び備品の減少64百万円、ソフトウエアの減少90百万円、ソフトウエア仮勘定の増加317百万円、のれんの減少58百万円、差入保証金の減少54百万円等によるものです。

 繰延資産合計は9百万円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円増加しました。これは、株式交付費の増加9百万円によるものです。

 この結果、総資産は10,504百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円増加しました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は3,537百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,865百万円減少しました。これは主として、短期借入金の減少5,130百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加476百万円、未払金の減少192百万円、資産除去債務の減少114百万円等によるものです。

 固定負債は6,591百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,701百万円増加しました。これは主として、長期借入金の増加3,781百万円等によるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は375百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,178百万円増加しました。これは主として、第三者割当による普通株式及び優先株式の発行による増資1,099百万円、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益の計上82百万円等によるものです。

 

C.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

D.経営者の問題認識と今後の方針について

 今後の成長に向けた問題認識、課題、今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社グループの運転資金需要のうち、主なものは、制作原価及び販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資

を目的とした資金需要は、設備投資、差入保証金の差入等によるものです。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入での資金調達を基本としております。

 なお、当連結会計年度末における有利子負債(リース債務を除く)の残高は7,219百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,095百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、会計方法の選択・適用、決算日における財政状態や経営成績に影響を与える見積りを必要といたします。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えております。

A.貸倒引当金

 当社グループは、売上債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しております。将来、取引先の財務状態が悪化し、その支払能力が低下した場合、追加引当が必要となる可能性があります。

B.資産の評価

 当社グループは、たな卸資産については、主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しておりますが、商品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しております。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

 当社グループは、長期的な取引関係維持のため一部の取引先等の株式を所有しております。この株式は、市場価格のない株式でありますが、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失、あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しておりますが、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要になる可能性があります。

C.繰延税金資産

 当社グループでは、合理的で実現可能な将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を十分に検討し、繰延税金資産を計上しております。将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の実際の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の実際の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の親会社株主に帰属する当期純利益を増加させる可能性があります。

D.資産除去債務

 当社グループは、オフィス、スタジオ等の不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に関し、「資産除去債務に関する会計基準」に基づき過去の実績等から合理的な見積りを行い、資産除去債務を計上しております。しかしながら、新たな事実の発生等に伴い、資産除去債務の計上額が変動する可能性があります。

 

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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