文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、写真・CG・映像・イラストレーションなど視覚から訴求するものを「ビジュアル」と総称し、これらビジュアルを活用して伝達することを「ビジュアルコミュニケーション」と定義し、ビジュアルを活用・消費するマーケットにおいて事業を営んでおります。
ビジュアルコミュニケーション事業は、その事業領域を狭義の企業の広告マーケットのみに限定せず、より広義の企業のコミュニケーションマーケットと設定するなかで、コミュニケーション領域における戦略・企画立案、ブランドの構築、インナーコミュニケーション、コミュニティ形成、マーケティング活動など多岐にわたっております。
当社グループは、創業以来変わらず “人が中心” と考え、人の「感性・集合・進化」こそが創造の源であると捉えるなかで、当社グループに属する一人ひとりの表現力を結集し、企業や社会の本質的な価値や課題を見出し、ビジュアライズ(具現化)することで、「届けたい想いが伝わり、行動を促す」コミュニケーションをお客様と共に創造する「Co-Creation Partner」を標榜し、事業活動を展開しております。
当社グループでは、新たに「世界にノイズと美意識を」という理念を掲げ、課題提起を促す「ノイズ」と、期待を超えて課題解決を行う「美意識」にこだわり、コミュニケーションの本質は「伝える」のではなく「伝わる」こと、さらに「動かす」ことであるとの価値観のもと、これまでに培ったクリエイティブ手法の経験と知恵を活かし、コミュニケーションをお客様と共創することで、社会のビジュアルコミュニケーション活動に貢献してまいります。
(2)経営戦略等
当社グループが事業を展開するビジュアルコミュニケーションマーケットは、デジタル技術の進化やメディアの多様化によって常に変化しております。当社グループが影響を受ける広告業界においては、4マス広告からインターネット広告へという潮流は続くとともに、企業においては、オウンドメディアなどを通じて自ら情報を発信するコミュニケーション活動が活発化しております。
当社グループでは、このようなテクノロジーの進化やメディアの変化に柔軟に対応し、コンテンツマーケティングの時代において持続的な成長を実現するために、中長期的な観点から経営計画の策定に取り組んでおります。
2021年を初年度とする中期経営計画期においては、「新ワークフローの確立」「Co-Creation Partnerの実現」を基本方針に掲げ、「One amana!」のコンセプトのもと、“トップライン再成長”“原価削減”“ DX推進” を基本戦略に据え、あらためて内部統制強化に向けた継続的な取り組みを実施するとともに、利益創出に努め、収益構造の改善及び財務基盤の安定化を図っていくことで、お客様の「Co-Creation Partner」を標榜するビジネスモデルを支える経営基盤の再構築を推し進めております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、成長性と収益性を追求する観点から「事業付加価値額(売上高-外注原価)」を重要指標として採用しております。損益計算書における売上総利益(売上高-売上原価)の売上原価部分について、当社グループのマネジメントモデルでは、売上高に直接紐づく変動原価、売上高には必ずしも直接紐づかない固定原価に分類のうえ、指標管理を実施しております。変動原価とは、案件毎の制作費用であり、外注費・ロケ出張費・制作材料費などが該当し、当社グループでは「外注原価」と称して扱っております。固定原価とは、主に制作領域に係る人材や設備などの固定的費用であり、クリエイター人件費・スタジオ家賃・制作機材の減価償却費などが該当し、固定原価については、販売費及び一般管理費と合わせて「固定費」と称して扱っております。
提供するクリエイティブサービスが多岐にわたり、案件特性に応じて案件毎の利益率に幅があることや、営業と制作がオーバーラップするなかで事業展開しているビジネスモデルにおいて、「事業付加価値」と「固定費」の組み合わせに基づく適切な損益マネジメントの実行を意図しております。
(4)経営環境
当社グループが事業を展開するビジュアルコミュニケーションマーケットにおいては、テクノロジーの進化やメディアの多様化に伴い、企業自らが情報発信を行い消費者と直接コミュニケーションを図るコンテンツマーケティングの時代へと事業環境は大きく変化しております。また、新型コロナウイルス感染拡大とともに訪れたニューノーマルの時代においては、あらゆる人々の常識や価値観の大きな変容が求められると同時に、DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速度的に進むなかで、企業のコミュニケーションの在り様にも大きな影響を及ぼしております。さらに、5Gの標準化が進むアフターコロナを見据えたなかでは、アナログからデジタル、リアルからバーチャルといった転換に留まらず、よりパーソナライズされた体験の提供がコミュニケーションの質を高めていくと考えられており、コミュニケーションを支える価値あるコンテンツが大量に求められることを想定しております。
このような環境においては、表現力に溢れるコンテンツの提供等に競争力を有し、お客さまの「Co-Creation Partner」を標榜する当社グループにおいては、今後も市場の拡大が見込まれております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、テクノロジーの進化やメディアの変化に柔軟に対応して持続的に成長するために、中長期的な観点から経営計画の策定に取り組んでおります。
2021年を初年度とする中期経営計画期においては、「新ワークフローの確立」と「Co-Creation Partnerの実現」を基本方針に掲げ、あらためて内部統制強化に向けた継続的な取り組みを実施するとともに、収益構造の改善及び財務基盤の安定化を図っていくことで、お客様の「Co-Creation Partner」を標榜するビジネスモデルを支える経営基盤の再構築を推し進めております。
2021年度においては、想定以上に長引く新型コロナウイルス感染拡大の影響などを受け、売上高の再成長は計画から遅れているものの、コスト構造の見直しによる固定費の適正化の成果が顕在化したことなどにより、収益構造の改善が進み、最終的な純利益を計上しました。また、第三者割当による普通株式及び優先株式の発行による資金調達を通じて資本増強を図ることで、喫緊の課題であった債務超過を解消し、同時に、シンジケートローン契約に基づく借入を実施し、既存の有利子負債の一部借換え(リファイナンス)を行うことで、財務基盤の安定化を図りました。
2022年度においては、「新しいワークフローの確立」を重点テーマに設定し、ACP(amana creative platform:当社グループ独自のITプラットフォーム)の中心となるcompass(販売管理システム)のリニューアルを契機に、デジタル化による生産性の向上、ナレッジ活用による効率性と競争力の向上を実現するDXを推進し、利益創出と内部統制強化を支える仕組みを構築・運用してまいります。引き続き、中期経営計画に掲げた方針・戦略に基づく施策等を確実に遂行していくことで、さらなる収益力の向上を図り、財務基盤の安定化につなげていくことが、企業集団の対処すべき課題だと認識しております。
・さらなる収益力の向上
「One amana!」の方針に基づき整備された全社横断型の営業体制のもと、2021年から推進している当社グループにおいて「ADP(Account Design Program)」と称するクライアント企業毎の営業プログラムのPDCAをさらに展開し、注力クライアントの拡大・再設定、最適な人材・リソースの配置、有効な商材・サービスの提供など、選択と集中による営業戦略の更新を実施するなかで、グループの総合力を発揮した効率的な売上高の再成長を図ってまいります。また、新しいワークフローの確立を推し進めるなかで、十分なチェック・モニタリングが機能する仕組みを構築し、案件毎の利益管理を徹底するとともに、外部発注プロセスの再構築による発注先や発注額の最適化を行い、収益性向上を図ってまいります。さらに、2021年において成果が顕在化したコスト構造の見直しによる固定費の適正化を継続するとともに、受注高や売上高の推移等の進捗や予測に応じた適時の経営判断を実現する精度の高い利益管理体制を確立してまいります。
これらの施策を組み合わせることで、収益力の強化、利益の最大化を図ってまいります。
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