業績等の概要
当社は2021年4月1日付で当社の完全子会社である株式会社キャリアデザインITパートナーズを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、2021年9月期第2四半期累計期間は連結業績を開示しておりましたが、2021年9月期第3四半期累計期間より非連結での業績を開示しております。そのため、比較分析について、前事業年度の業績は、吸収合併した完全子会社の第2四半期累計期間の業績を含んでおりません。
また、当事業年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日。以下「収益認識基準等」という。)を適用しており、当事業年度に係る各金額については、収益認識基準等を適用した後の金額となっております。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度(2021年10月1日~2022年9月30日)における我が国経済において、2022年9月に発表された日銀短観では、大企業・製造業の景況感は悪化傾向を示しており、ウクライナ情勢による資源価格の高騰、急激な円安の進行に加え、新型コロナウイルス感染症の再拡大等により依然として先行き不透明な状況が続いているものの、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きが進みました。2022年9月の有効求人倍率は1.32倍と伸び率は前回調査から上昇傾向で推移しており、「エンジニア」領域を中心に高い採用需要が継続するとともに、回復が鈍化していた「女性」領域においても採用を再開する企業が見られました。
このような状況において、当事業年度における当社の売上高は、期初の計画を大幅に上回る結果となりました。社会経済活動が正常化に向かう中、人手不足による採用需要の高まりにより、メディア情報事業における「エンジニア」領域は高い採用需要が継続し、前年同期比15.6%増、また新型コロナウイルス感染症の影響により回復が鈍化しておりました「女性」領域の売上高が右肩上がりに増加し、前年同期比43.0%増となりました。
コスト面については、売上高の増加に伴い取引件数が増加したことにより、求人企業における費用対効果を強化するために広告宣伝を追加し、大阪でのプロモーションを実施する等、広告宣伝費に約7億円の追加投資を行うことで業績のさらなる拡大を図りました。また当事業年度の経常利益については、前述の通り広告宣伝に投資を行ったものの、想定以上に売上高が増加し、期初の計画を大幅に上回る結果となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は、15,507,606千円(前年同期比64.3%増)、利益については、営業利益1,102,384千円(前年同期比683.3%増)、経常利益1,101,094千円(前年同期比609.1%増)、当期純利益793,589千円(前年同期比14.5%減)となりました。
<事業の種類別の業績>
当社は人材サービス事業の単一セグメントでありセグメント情報の記載を省略しているため、事業の種類別に記載しております。
①メディア情報事業
メディア情報事業は、Web求人広告・適職フェア等の商品・サービスを展開しております。
当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響により回復が鈍化しておりました「女性」領域の採用需要が増加するとともに、引き続き「エンジニア」領域の売上高が堅調に推移いたしました。その結果、職種別の売上高は「エンジニア」領域前年同期比15.6%増、「営業」領域同1.0%減、「女性」領域同43.0%増となりました。また、2026年9月期までの中期経営計画にて取り組んでおります新規重点施策にも注力しており、女性エンジニアの取り込み、関西エリアの拡販、Webマガジンにおける企業広告の取り込み強化、ダイレクトリクルーティング「Direct type」のWeb化等により、売上高は堅調に推移しております。なお、売上高の増加に伴い、求人案件数も増加していることから、集客面においては、スマートフォンアプリやAIを搭載した求人提案機能の改修・強化を実施するとともに、広告宣伝費の追加投資を実施し、登録者の獲得を強化したことにより『type』『女の転職type』ともに登録者ならびに応募者獲得は堅調に推移しております。
以上の結果、当事業年度におけるメディア情報事業の売上高は4,891,900千円(前年同期比24.5%増)となりました。
②人材紹介事業
人材紹介事業は、ご登録いただいた求職者の方に最適な求人案件をご紹介する登録型人材紹介を運営しております。
当事業年度においては、特に「女性」領域の採用需要が増加するとともに、引き続き「エンジニア」「営業」領域の成約件数が堅調に推移いたしました。また、中期経営計画の新規重点施策であるミドル領域の売上高についても堅調に推移しております。登録者獲得については、引き続き競合他社との競争が激化しておりますが、新規登録者数は回復傾向にあり、今後においても各種経路からの登録獲得を強化し、成約件数の増加を図って参ります。
以上の結果、当事業年度における人材紹介事業の売上高は2,919,280千円(前年同期比47.3%増)となりました。
③新卒メディア事業
新卒メディア事業は、新卒者を対象とする就職イベント・情報誌等の商品・サービスを展開しております。
当事業年度においては、主に新規案件の開拓を強化したことと、2024年度卒業予定の学生を対象としたイベントの拡販が順調に推移し、取引社数が増加したことにより売上高は順調に推移しております。イベントは引き続きオンラインでの開催をするとともに、求人企業の個社別の採用ニーズに合わせた個別セミナーの販売も順調に推移いたしました。
集客面においては、イベントをオンライン化したことにより、全国での集客の強化につながり、好調に推移いたしました。
以上の結果、当事業年度における新卒メディア事業の売上高は559,093千円(前年同期比23.1%増)となりました。
④新卒紹介事業
新卒紹介事業は、ご登録いただいた学生の方に最適な新卒採用案件をご紹介する登録型新卒紹介を運営しております。
当事業年度においては、新規案件と登録者の獲得が堅調に推移しており、2023年度卒業予定の学生については、IT業界を中心に成約件数が増加し、2024年度卒業予定の学生は就職活動が早期化の傾向を示しており、案件の開拓を強化したことにより成約件数が増加しました。
以上の結果、当事業年度における新卒紹介事業の売上高は242,510千円(前年同期比46.0%増)となりました。
⑤IT派遣事業
IT派遣事業は、当社にご登録いただいた登録者の中から、求人企業の採用ニーズに最適な人材を派遣する一般労働者派遣を運営しております。
当事業年度においては、引き続き強みとする「エンジニア」領域を中心に案件獲得を強化したことにより、派遣スタッフの新規稼働人数が好調に推移いたしました。また、登録者獲得については引き続き各登録経路を強化したことにより、新規登録者は順調に推移いたしました。
以上の結果、当事業年度におけるIT派遣事業の売上高は6,894,823千円(前年同期比137.3%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ802,896千円増加し、3,322,206千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の営業活動の結果得られた資金は、2,054,408千円(前年同期比1,420,495千円の収入増)でありました。これは、税引前当期純利益1,101,094千円計上し、減価償却費が365,241千円、未払金の増減額が306,856千円、売上債権の増減額△234,045千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の投資活動の結果使用した資金は、347,153千円(前年同期比84,730千円の支出減)でありました。これは、無形固定資産の取得による支出が319,554千円、有形固定資産の取得による支出が24,290千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度の財務活動の結果使用した資金は、904,359千円(前年同期比782,240千円の支出増)でありました。これは、自己株式の取得による支出が1,518,629千円、配当金の支払額が236,066千円、長期借入れによる収入が1,000,000千円あったこと等によるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績
当社は人材サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
①生産実績
当社の主たる業務は、Web・情報誌による求人情報提供サービス、人材紹介、人材派遣等の事業であり、いずれも製造会社のような生産設備を保有しておりません。
したがって事業の性格上、生産能力及び生産実績の記載は行っておりません。
②受注実績
生産実績と同様の理由により、記載を省略しております。
③販売実績
当事業年度の販売実績を事業別に示すと、次のとおりであります。
事業別の名称 |
当事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前年同期比(%) |
メディア情報事業 (千円) |
4,891,900 |
24.5 |
人材紹介事業 (千円) |
2,919,280 |
47.3 |
新卒メディア事業 (千円) |
559,093 |
23.1 |
新卒紹介事業 (千円) |
242,510 |
46.0 |
IT派遣事業 (千円) |
6,894,823 |
137.3 |
合計 |
15,507,606 |
64.3 |
(4) 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は5,002,934千円となり、前事業年度末に比べ920,065千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が802,896千円増加、売掛金が101,767千円増加し、その他が13,571千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は1,714,799千円となり、前事業年度末に比べ60,861千円減少いたしました。これは投資その他の資産が34,440千円減少、無形固定資産が21,282千円減少、有形固定資産が5,138千円減少したことによるものであります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は2,708,413千円となり、前事業年度末に比べ1,014,690千円増加いたしました。これは主に未払金が301,831千円増加、契約負債が211,410千円増加、未払消費税等が168,720千円増加、未払費用が123,270千円増加、未払法人税等が135,401千円増加、1年内返済予定の長期借入金が99,996千円増加、賞与引当金が28,058千円増加、短期借入金が58,000千円減少したことによるものであります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は1,048,765千円となり、前事業年度末に比べ832,194千円増加いたしました。これは主に長期借入金が808,341千円増加、退職給付引当金が22,807千円増加、資産除去債務が63千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は2,960,555千円となり、前事業年度末に比べ987,681千円減少いたしました。これは主に自己株式が1,461,781千円増加、利益剰余金が474,100千円増加したことによるものであります。
②経営成績の分析
経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照下さい。
③キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、Webシステム開発等の設備投資によるものであります。
当社の運転資金は、営業活動によって獲得した自己資金の充当を基本とし、資金需要等を考慮した上で外部資金調達手段として金融機関からの借入により調達することとしております。なお、当社は、運転資金の安定的かつ効率的な調達を行うため、借入限度額2,500,000千円のコミットメントライン契約を主幹事の株式会社三菱UFJ銀行と締結しております。当該契約に基づく2022年9月30日現在の借入れ実行残高はございません。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この 財務諸表の作成に当たって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いております が、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、 「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
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