業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の再発令など、予断を許さない状況が続きましたが、ワクチン接種が進んだこともあり、徐々に経済活動の正常化に向けた動きがみられました。その一方で、地政学的リスクの急速な高まりによる経済活動への影響などもあり、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループを取り巻く事業環境は、人材関連業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により、雇用情勢が「売り手市場」から「買い手市場」へと急激に変化したことに加え、各業界においてDX(デジタルトランスフォーメーション)など技術革新の可能性への期待が急速に高まっており、それを受けて人々の価値観と働き方にも変化が訪れております。また、テレワークの定着など働き方が多様化する中で、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)など生産性向上への取り組みが求められております。

教育業界におきましては、少子化を背景に教育市場が縮小傾向にある中で、新型コロナウイルス感染症の影響から、教育のオンライン化が急速に普及するとともに、フリーランスや副業など働き方の選択肢が増加しており、それに伴い顧客の学習ニーズにも変化が生じております。また、ロボット・プログラミングを含むSTEAM教育市場は引き続き拡大基調にあり、オンラインを活用した自宅学習ニーズも高まっております。

介護業界におきましては、団塊世代が75歳に到達し、高齢化率が30%を超えると予想される2025年を控え、介護サービスに対する需要拡大が見込まれる一方で、介護職員不足の解消へ向けた人材確保と育成が依然として重要な課題となっております。

このような状況において、当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めるとともに、「ウィズコロナにおけるサービスモデル変革と事業のリストラクチャリング」をテーマに、ITツール開発・活用、サービスのコンテンツ化を推進し、当社グループの経営理念である、綱領「為世為人」、バリュープロミス「SELFing」に基づき、社会と人々に貢献すべく「人を育てる」事業、「人を社会に送り出す」事業を中心としたビジネスモデルの強化・発展に取り組みました。

 

以上の結果といたしまして、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ、3,133百万円増加し、46,320百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ、1,961百万円増加し、32,695百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ、1,172百万円増加し、13,625百万円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度末の経営成績は、売上高は、前期比0.6%増の86,292百万円となりました。利益面では、各事業における入国制限の影響などから、営業利益は前期比8.4%減の2,474百万円、経常利益は新型コロナウイルス感染症関連の補助金収入が前期に比べ減少したことから前期比16.7%減の2,711百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期に比べ減損損失の計上額が少なかったことから前期比14.4%増の1,646百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(人材関連事業)

人材関連事業におきましては、人材派遣では、人材需要の高まりを受けて、新規就業スタッフの獲得に努めるとともに、多様な働き方に対応すべく「リモートワーク派遣」などのサービス提供を推進いたしました。入国制限により、海外ITエンジニアの確保が難しい状況が続きましたが、ITエンジニアへのニーズは引き続き旺盛であるため、入国再開に備え、営業基盤の強化に努めました。また、企業におけるDX推進を背景に、RPA導入支援サービスでは利用企業数が700社を突破するなど、好調に推移いたしました。また、DX化推進サービスの拡大を図るべく、貿易業務管理システムなどの自社開発に強みを持つ株式会社エフ・ビー・エスを子会社化いたしました。

人材紹介では、当社グループの人材紹介事業を集約したことにより、ノウハウの結集によるサービス向上を図るとともに、経営資源の集中による業務の効率化を推進いたしました。

この結果、人材関連事業の売上高は前期比1.9%増の50,244百万円、営業利益は行政助成金関連の業務受託案件の減少や、スタッフ確保のための原価が増加したことにより前期比5.4%減の1,646百万円となりました。

 

(教育事業)

教育事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を徹底した上で、サービス提供を継続いたしました。

社会人教育事業では、WEB・IT・プログラミング関連講座の契約数が引き続き増加いたしました。また、自宅学習ニーズへ対応すべく、授業のオンライン化を推進いたしました。

全日制教育事業では、総合学園ヒューマンアカデミーにおいて、新たに開設したeスポーツやITカレッジなどの講座を中心に在校生数が増加いたしました。

児童教育事業では、ロボット教室の在籍生徒数が順調に増加いたしました。

国際人教育事業では、新型コロナウイルス感染拡大に伴う入国制限により、日本語学校へ入学予定の留学生の入国が遅延する中で、オンラインでの日本語教育の提供に努めました。

保育事業では、太陽光パネルを設置したスターチャイルド和田町ナーサリーを含む3ヶ所の認可保育所を神奈川県内に開設いたしました。また、法人向けサービスとして企業内保育の受託に注力し、新たに1ヶ所を開設いたしました。

この結果、教育事業の売上高は、入国制限の影響により日本語学校の在籍者数が減少したことなどから、前期比4.4%減の22,600百万円、営業利益は、オンライン授業の拡充などにより運営コストの削減に努めましたが、前期比35.1%減の467百万円となりました。

 

(介護事業)

介護事業におきましては、運営する施設において介護職員のマスク着用、消毒・換気などを実施し、新型コロナウイルス感染拡大の防止策を徹底しながら、安心して利用できるサービスの提供に努めました。

介護施設では、江戸川グループホーム・江戸川の宿(東京都)など合計6事業所を新たに開設いたしました。

小規模多機能型居宅介護施設やグループホームなどにおける新型コロナウイルス感染症の影響は引き続き軽微にとどまり、前期に開設した拠点を中心に施設利用者が増加し、好調に推移いたしました。デイサービスにおける稼働率は、新型コロナウイルス感染症第6波の影響を受けたことで、回復が遅れていることから、引き続き各施設の人員の再配置に注力いたしました。また、介護職員の定着率改善のため、入社時研修やOJTの強化、業務のIT化などに注力いたしました。

この結果、介護事業の売上高は、前期に開設した施設の利用者が堅調に推移したことなどから、前期比6.2%増の11,075百万円、営業利益は前期比31.7%増の243百万円となりました。

 

(その他の事業)

スポーツ事業におきましては、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、プロバスケットボールチーム「大阪エヴェッサ」のホームゲーム6試合が中止、4試合が無観客での開催、15試合が入場制限付きでの開催となったことから、チケット販売に影響が生じた一方で、SNS活用などオンラインでの取り組みを通じて、新規ブースター会員やスポンサーの獲得に注力いたしました。

ネイルサロン運営事業におきましては、東京都における3回目の緊急事態宣言発令を受けて、8店舗を休業いたしました。6月以降は感染防止策を徹底しながら全店で営業を再開いたしましたが、大半の店舗では時短での営業となり、顧客の獲得に影響が生じたため、各種コストの削減に努めるとともに、自社ブランド商品の拡販に注力いたしました。

IT事業におきましては、企業におけるDX推進を背景に拡大する需要を捉えるべく、営業体制の強化に努めました。

この結果、その他の事業の売上高は、前期比2.9%減の2,359百万円、営業損失は165百万円(前期は108百万円の営業損失)となりました。

 

 

②生産、受注及び販売の実績

a.提供能力

当連結会計年度における人材関連事業の派遣労働者の登録者数は、次のとおりであります。

2021年3月31日現在(人)

増加数(人)

減少数(人)

2022年3月31日現在(人)

475,237

20,997

2,282

493,952

(注)減少数につきましては、当連結会計年度において、稼働見込みのない登録派遣スタッフの登録を抹消したものであります。

 

前連結会計年度における人材関連事業の派遣労働者の登録者数は、次のとおりであります。

2020年3月31日現在(人)

増加数(人)

減少数(人)

2021年3月31日現在(人)

456,501

21,280

2,544

475,237

(注)減少数につきましては、当連結会計年度において、稼働見込みのない登録派遣スタッフの登録を抹消したものであります。

 

教育事業における受講生を収容できる教室数及び収容座席数は、次のとおりであります。

なお、当連結会計年度の海外の教室数および収容座席数には、当連結会計年度よりカナダ分を除外しております。

 

2021年3月31日現在

2022年3月31日現在

教室数(室)

収容座席数(席)

教室数(室)

前期比(%)

収容座席数(席)

前期比(%)

北海道・東北地区

29

685

32

110.3

750

109.5

関東地区

251

4,682

226

90.0

4,237

90.5

中部地区

49

1,078

48

98.0

1,062

98.5

近畿地区

189

3,581

169

89.4

3,472

97.0

中国・四国地区

29

591

38

131.0

529

89.5

九州・沖縄地区

85

1,702

85

100.0

1,563

91.8

海外(フランス他)

40

654

15

37.5

346

52.9

合計

672

12,973

613

91.2

11,959

92.2

 

b.受注実績

該当事項はありません。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比
(%)

販売高(千円)

構成比(%)

販売高(千円)

構成比(%)

人材関連事業

 

 

 

 

 

人材派遣事業

43,800,855

51.1

46,075,696

53.4

105.2

業務受託事業

2,649,392

3.1

2,203,831

2.6

83.2

人材紹介事業

1,701,785

2.0

1,247,754

1.4

73.3

その他附帯事業

1,157,769

1.3

717,082

0.8

61.9

小計

49,309,802

57.5

50,244,364

58.2

101.9

教育事業

 

 

 

 

 

社会人教育事業

9,536,585

11.2

8,104,815

9.4

85.0

全日制教育事業

6,456,336

7.5

7,092,092

8.2

109.8

児童教育事業

1,564,550

1.8

1,802,060

2.1

115.2

国際人教育事業

2,351,628

2.7

1,439,231

1.7

61.2

保育事業

3,720,777

4.3

4,161,966

4.8

111.9

小計

23,629,877

27.5

22,600,166

26.2

95.6

介護事業

10,430,592

12.2

11,075,178

12.9

106.2

その他

2,429,705

2.8

2,359,487

2.7

97.1

合計

85,799,978

100.0

86,279,197

100.0

100.6

 

人材関連事業における派遣スタッフ及び期間スタッフの月平均稼働人数は、次のとおりであります。

 

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

月平均稼働スタッフ数

11,821人

12,320人

104.2

 

教育事業における受講生の月平均人数は、次のとおりであります。

 

 前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

 当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前期比(%)

月平均受講生数

16,269人

14,514人

89.2

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 

(売上)

当連結会計年度の売上高は、教育事業とその他の事業において減収となりましたが、人材関連事業と介護事業において増収となったことから、前連結会計年度の85,811百万円から481百万円増加し、86,292百万円となりました。

 

(営業利益)

当連結会計年度の営業利益は、主に教育事業の減益により、前連結会計年度の2,702百万円から228百万円減少し、2,474百万円となりました。また、売上高営業利益率は、2.9%となりました。

 

(経常利益)

当連結会計年度の経常利益は、営業利益の減益に加え、補助金収入が減少したことなどから、前連結会計年度の3,253百万円から542百万円減少し、2,711百万円となりました。また、売上高経常利益率は、3.1%となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べ減損損失の計上額が少なかったことなどから、前連結会計年度の1,439百万円から207百万円増加し、1,646百万円となりました。また、売上高当期純利益率は、1.9%となりました。

 

セグメント毎の経営成績に関しましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当社グループでは、教育事業におきましては前受金として役務提供前に資金を収受し、人材関連事業及び介護事業におきましては役務提供後に売掛金の回収を行っており、それぞれキャッシュ・インの時期が異なっております。当社グループは、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、子会社の余剰資金を当社において集中管理し、運転資金または設備投資資金を必要とする子会社に配分して、当社グループの資金をできる限り効率的に活用しております。また、グループ全体の資金需要に応じて必要な調達も行っており、その結果、有利子負債の残高は10,844百万円となり、前連結会計年度末の8,455百万円から2,388百万円(前期比28.2%)増加いたしました。

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ2,647百万円増加し、25,496百万円となりました。

当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。

a.営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動による資金の増加は、1,826百万円となりました(前期は2,046百万円の増加)。これは主に、法人税等の支払が1,775百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が2,662百万円、減価償却費が938百万円あったことによるものであります。

b.投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動による資金の減少は、1,271百万円となりました(前期は1,022百万円の減少)。これは主に、教育事業の校舎の改修、保育事業の事業所の開設等の設備投資によるものであります。

c.財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動による資金の増加は、2,099百万円となりました(前期は1,674百万円の増加)。これは主に、長期借入金により6,002百万円を調達したものの、長期借入金の返済が3,464百万円あったことによるものであります。
 

(資本の財源及び資金の流動性)

当社グループの運転資金需要の主なものは、派遣スタッフの給与のほか、販売費及び一般管理費等の営業経費であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、事業の買収等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資、事業の買収等の資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は10,844百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、25,496百万円となっております。

 

なお、当社グループの主な経営指標は、次のとおりであります。

 

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

28.2

28.8

29.4

時価ベースの自己資本比率(%)

19.6

24.1

21.1

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

4.7

4.1

5.9

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

101.2

121.2

89.0

(注)1.自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

4.キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

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