(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
第54期(2021年4月1日から2022年3月31日)におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、1年延期の末に開催された東京オリンピック・パラリンピックも海外からの大会観客受け入れ断念にとどまらず、国内観客においても、ほとんどの会場が無観客となったことで期待された経済効果は得られず終了しました。
2022年に入り、新型コロナウイルス感染症の第6波が収束に向かったことで2022年3月21日にまん延防止等重点措置が全解除され、その後、感染増に転じた地域もあったものの、ワクチン接種効果の浸透等から厳しい環境が徐々に緩和される期待が高まっておりましたが、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は収束せず、資源高を起点とするインフレや円安の加速など景気失速の懸念が急速に拡大しつつあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような社会環境の中、自動車業界全体においては、半導体の供給逼迫の影響を受け、世界的な減産となり、国内においても新車販売台数が約44万台減(前期比9.5%減)と3年連続のマイナス、2年連続で500万台割れとなり、新車販売店においては「受注残を抱えるも売上が上がらない」と言う状況が続き、業績や資金繰りへの厳しい影響が拡大しております。中古車市場においては、新車長納期化による下取りの停滞や中古車需要増により、中古車価格が高騰し中古車競売価格が過去10年の最高値を更新するも、登録台数は約364万台(前期比5.5%減)に留まりました。
当社グループは当期におきまして、前期に引き続き、継続的な事業の成長を目標として当社の基本商品である「RV Doctor」、「PV Doctor」、「車種DB」を組み込んだプラットフォームの利用拡大、自動車販売事業者向け販売支援システム「CA Doctor」の拡販、お客様のニーズに対応した新機能追加や新商品開発の推進に取り組みました。
その結果、当期における売上高は1,302,170千円(前期比14.6%増)と4期連続の増収になりました。利益面については、営業利益は553,435千円(前期比26.7%増)と5期連続の増益および3期連続の最高益更新、持分法投資利益等を加減した経常利益は555,027千円(前期比17.9%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、特別利益として子会社株式の売却益など54,837千円を計上した結果、422,443千円(前期比7.9%増)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による当期の業績への大きな影響はありません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、税金等調整前当期純利益の計上、減価償却費の計上、法人税等の支払額、投資有価証券の取得による支出及び配当金の支払等により、1,977,833千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金397,717千円(前期比11.2%増)となりました。
主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益609,830千円の計上及び、減価償却費100,218千円の計上によるものであります。主なマイナス要因は、法人税等の支払額245,487千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は300,141千円(前期は110,559千円の収入)となりました。
これは主に、投資有価証券の取得による支出193,267千円及び無形固定資産の取得55,431千円による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は109,012千円(前期26.4%増)となりました。
これは、主に配当金の支払額108,876千円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
該当事項はありません。
2.受注実績
該当事項はありません。
3.販売実績
当社グループでは、システム業務の単一セグメントであるためセグメント区分は行っておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
(a)財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産の額は3,600,716千円となり、前連結会計年度末に比べ318,309千円増加しております。これは、主に投資有価証券が222,532千円増加したとこによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の額は549,493千円となり、前連結会計年度末に比べ14,511千円減少しております。これは、主に役員退職慰労引当金が26,082千円増加した一方、未払法人税等が52,416千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の額は3,051,222千円となり、前連結会計年度末に比べ332,820千円増加しております。これは、主に配当金の支払いによる減少108,876千円がありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上422,443千円があったことにより、利益剰余金が316,458千円増加したことによるものであります。
(b)経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ166,165千円増加し、1,302,170千円(前年同期比14.6%増)となりました。これは主に、システム業務支援の売上高が、自動車流通業界の新規顧客層の拡大及び自動車ファイナンス業界を中心とする既存顧客の売上拡大によって伸長したことによるものであります。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ166,031千円増加し、1,120,770千円(前年同期比17.4%増)となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、給与手当等の増加により、前連結会計年度に比べ49,274千円増加し、567,334千円(前年同期比9.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における営業利益は、前連結会計年度に比べ116,7571千円増加し、553,435千円(前年同期比26.7%増)となり、営業利益率は、4.1ポイント増加し、42.5%となりました。
(経常利益)
営業外収益15,952千円を計上した結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度末に比べ84,077千円増加し、555,027千円(前年同期比17.9%増)となりました。
(当期純利益)
法人税等合計を191,807千円計上した結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度末に比べ30,988千円増加し、422,443千円(前年同期比7.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(a)キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。
(b)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、データ購入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、主に当社システム開発費用によるものであります。
当社は、運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することに努めております。運転資金は、自己資金を基本としております。当連結会計年度末における借入残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,977,833千円となっております。
なお、当社はシステム業務の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は記載を省略しております。
③重要な会計方針及び見積り
当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、以下のとおりであります。
・繰延税金資産の回収可能性
当社グループの連結財務諸表に計上されている繰延税金資産は、将来減算一時差異について、将来の収益力に基づく課税所得により回収が見込まれる金額に対して認識していますが、将来の課税所得の見積額の変動に伴い、回収可能と考えられる繰延税金資産の額が変動する可能性があります。
・引当金等
引当金については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基礎となる重要な事項、4会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
・投資有価証券の評価
当社グループは、当社の事業戦略において、当社事業の拡大や成長につながると判断した企業の株式を取得する可能性があります。その場合、当該有価証券の評価は、市場取引価格等の市場情報、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチ、コスト・アプローチなどの一般的な株式価値評価アプローチについて検討し、対象に合った評価方法を採用し、採用した算出手順に基づき決定しています。
具体的には、市場性のある有価証券については、市場における市場価格により評価しています。市場価格のない株式等については、将来キャッシュ・フローの割引現在価値、類似取引事例との比較、1株当たり修正純資産価値、及び第三者による鑑定評価等により評価しています。
また期末時に市場価格のない株式等については原価法を採用し、その評価は1株当たり純資産と取得原価を比較して1株当たり純資産が著しく低下した場合に減損の要否を検討することとしております。
経営者は、当社が保有する投資有価証券の評価は合理的であると判断しておりますが、特に市場価格のない株式等の評価には、その評価要素に不確実性が含まれるため、予測不能な前提条件の変化などにより評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来当社及び連結子会社における評価額が変動する可能性があります。
当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の影響が継続するものとして、会計上の見積り及び仮定の設定を検討しておりますが、現時点において重要な影響を与えるものではないと判断しております。ただし、今後の状況の変化によって判断を見直した結果、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
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