課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 今後、当社グループが企業価値を高め、成長シナリオを実現していくため、事業基盤、経営基盤の強化拡充を図ります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針・経営戦略等

 当社グループは、クルマの「価値(将来価値・現在価値)」を算出し、自動車に係る企業・金融機関とユーザーを、社内を、潜在的ユーザーを結び、クルマの購入・売却、所有・シェアに係るプロセスに変化をもたらすシステムを提供いたします。そして、あらゆる人や企業がクルマの価値を日常的に自然と意識できるよう、事業を構築するプラットフォーム企業を目指します。

 また、短中期の経営戦略として、

・クルマの価値解析エンジンの一層の進化(データ解析の深化)

・当該エンジンをユニット化した「RV Doctor」、「PV Doctor」及び「車種DB」を組み込んだプラットフォームの利用拡大

・自動車に係る企業の業務効率を高めるプラットフォームの提供拡大

に取り組んでまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、経営の基本方針に基づき、安定的かつ持続的な成長を兼ね備えた企業であり続けるために、財務体質の強化を図り、収益性と安定性を総合的に向上させるべく株主資本利益率(ROE)を重要な経営指標として捉えております。

 

(3)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、依然として新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、1年延期の末に開催された東京オリンピック・パラリンピックも海外からの大会観客受け入れ断念にとどまらず、国内観客においても、ほとんどの会場が無観客となったことで期待された経済効果は得られず終了しました。

 2022年に入り、新型コロナウイルス感染症の第6波が収束に向かったことで2022年3月21日にまん延防止等重点措置が全解除され、その後、感染増に転じた地域もあったものの、ワクチン接種効果の浸透等から厳しい環境が徐々に緩和される期待が高まっておりましたが、2022年2月24日のロシアによるウクライナ侵攻は収束せず、資源高を起点とするインフレや円安の加速など景気失速の懸念が急速に拡大しつつあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 このような社会環境の中、自動車業界全体においては、半導体の供給逼迫の影響を受け、世界的な減産となり、国内においても新車販売台数が約44万台減(前期比9.5%減)と3年連続のマイナス、2年連続で500万台割れとなり、新車販売店においては「受注残を抱えるも売上が上がらない」と言う状況が続き、業績や資金繰りへの厳しい影響が拡大しております。中古車市場においては、新車長納期化による下取りの停滞や中古車需要増により、中古車価格が高騰し中古車競売価格が過去10年の最高値を更新するも、登録台数は約364万台(前期比5.5%減)に留まりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①システム事業の推進

 当社のクラウド型BPO(*)サービスをより拡充・進化させ、個々のメニューを有機的に組み合わせて、収益の拡大・収益力の向上に努めます。具体的には既存ドメインである自動車ファイナンス市場への新たなサービスの開発や投入、成長ドメインである自動車流通市場への営業強化を図ります。

 * Business Process Outsourcing の略

 

②人材の採用と育成

 事業の継続と拡大、成長戦略の実現などすべての企業活動において、優れた人材の確保と育成が重要と認識しております。また事業規模の成長スピード、事業収益力の確実性を高めるには、組織の活性化や社内環境づくりが必要と認識しており、今後もさらなる優秀な人材の採用と育成、生産性を高める職場環境構築を図ります。

③企画力・技術力の強化

 技術の加速度的な進展のなか、「100年に1度の大変革」と言われる自動車業界における当社のドメインにおいても、戦略的なIT活用による事業運営、事業拡大、また新規事業への対応に対するニーズが高まってきております。今後もこのような顧客ニーズに十分に対応し、顧客に価値を提供し続けるために、企画力・技術力の強化は主要課題だと認識しております。これまでの当社固有の専門性や当社ドメインに対する企画力に加え、より付加価値の高いサービスの開発・提供を実現するため、顧客の新たなニーズに応える企画力、新技術への取り組みの強化に努めてまいります。

 

④経営環境変化への対応

 新型コロナウイルス感染症の世界的拡大、加えてロシア・ウクライナ問題による国際関係、社会、世界経済、日本経済への影響は未だ計り知れません。当社の事業活動においても少なからず影響があると判断しておりますが、その大きさや継続性、また直接的か間接的かと言う点などにおいて、影響は様々であり、まだ不明な点が多いと認識しております。当社では、これを事業環境・影響環境の変化としてとらえ、その変化に対応するため、前記3の「企画力・技術力の強化」とともに、営業においても環境に応じたスタイルへと柔軟に変化させ営業力の厚みを増すことで、負の影響の最小化を図り、更には転じて当社の強みとなるよう努めてまいります。現時点でのロシア・ウクライナでの事業活動はございません。

 

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