(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は7,172百万円となり、前連結会計年度末に比べ877百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は2,081百万円となり、前連結会計年度末に比べ311百万円増加いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は5,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ566百万円増加いたしました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高10,337百万円(前期比4.3%増)、営業利益811百万円(前期比94.0%増)、経常利益は841百万円(前期比80.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益573百万円(前期比387.0%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。
翻訳事業は、売上高7,828百万円(前期比4.1%増)となりました。
派遣事業は、売上高1,212百万円(前期比1.3%減)となりました。
通訳事業は、売上高655百万円(前期比37.0%増)となりました。
コンベンション事業は、売上高220百万円(前期比26.1%減)となりました。
その他のセグメントは、売上高420百万円(前期比9.1%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,710百万円となり、前連結会計年度末に比べ720百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは830百万円の収入(前期は439百万円の収入)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益の計上838百万円及び減価償却費の計上38百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは54百万円の支出(前期は19百万円の収入)となりました。
主な要因は、差入保証金の差入による支出27百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは66百万円の支出(前期は141百万円の支出)となりました。
主な要因は、配当金の支払額66百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
翻訳事業(千円) |
3,835,122 |
97.3 |
コンベンション事業(千円) |
102,652 |
57.6 |
その他(千円) |
59,839 |
90.9 |
合計(千円) |
3,997,615 |
95.5 |
(注)1.内部取引については相殺消去しております。
2.派遣事業、通訳事業については、生産に該当する事項がないため記載を省略しております。
b.受注実績
当社の業務においては、受注時に翻訳内容(言語、納品日、納品形態等)は決定されますが、受注金額の算定基礎となるページ数、ワード数、文字数等が確定しないため、受注金額の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前期比(%) |
翻訳事業(千円) |
7,828,442 |
4.1 |
派遣事業(千円) |
1,212,296 |
△1.3 |
通訳事業(千円) |
655,136 |
37.0 |
コンベンション事業(千円) |
220,790 |
△26.1 |
その他(千円) |
420,660 |
9.1 |
合計(千円) |
10,337,326 |
4.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度における主な相手先に対する販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、いずれの相手先も当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当社グループの当連結会計年度の経営成績等
イ 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,311百万円となり、前連結会計年度末に比べ795百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が増加したことによるものであります。固定資産は861百万円となり、前連結会計年度末に比べ81百万円増加いたしました。これは主に繰延税金資産および投資有価証券が増加したことによるものであります。
この結果、総資産は7,172百万円となり、前連結会計年度末に比べ877百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は1,891百万円となり、前連結会計年度末に比べ296百万円増加いたしました。これは主に買掛金および未払法人税等が増加したことによるものであります。固定負債は190百万円となり、前連結会計年度末に比べ14百万円増加いたしました。
この結果、負債合計は2,081百万円となり、前連結会計年度末に比べ311百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は5,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ566百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上によるものであります。
ロ 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、断続的な緊急事態宣言により経済活動が制限され、一部の企業収益や個人消費が低迷するなど、厳しい状況で推移いたしました。ワクチン接種の進行により各種制限措置は段階的に緩和されたものの、新たな変異ウイルスによる感染再拡大に加え、本年2月にはウクライナ情勢が悪化するなど、先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
当社グループを取り巻く環境におきましては、翻訳事業ではテレワークの定着によって顧客企業の事業活動が正常化し、需要は堅調に推移いたしました。通訳事業では対面での会議・商談の自粛・制約が長期化する中、徐々にオンライン通訳サービスの利用が拡大しており、需要も復調傾向にあります。一方、コンベンション事業では国際的な人の往来に対する制限継続に伴う国際会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会等の度重なる計画見直しなどが影響し、厳しい状況が続いております。
このような環境のもと、当社グループは中核をなす翻訳事業の持続的成長を目指すとともに翻訳支援ツールや機械翻訳など最先端技術の積極的な活用を推し進め、企業のグローバル展開に伴う翻訳需要の獲得に努めてまいりました。また、通訳事業とコンベンション事業では既存の対面型サービスをデジタル化したオンライン通訳やオンライン会議支援サービスを積極的に提案することで企業のグローバルコミュニュケーションの機会創出を支援し、需要の取り込みを図ってまいりました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、コアビジネスである翻訳事業が堅調に推移したことに加え、通訳事業、語学教育事業の実績が前期を上回ったことから、売上高は前期比4.3%増の10,337百万円、利益面においては、翻訳事業の増収および生産性向上に伴う売上総利益率の改善により、営業利益は前期比94.0%増の811百万円、経常利益は前期比80.8%増の841百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比387.0%増の573百万円となりました。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来報告セグメントとして開示しておりました「語学教育事業」は、量的な重要性が低下したため、報告セグメントから除外し「その他」として記載する方法に変更しております。
また、前連結会計年度のセグメント情報は、当連結会計年度の報告セグメントの区分に基づき作成したものを開示しております。
(翻訳事業)
翻訳事業においては、需要の回復基調が続き、期を通じて概ね堅調に推移いたしました。
特許分野では、主要顧客である特許事務所への売上が好調に推移し、売上高は前期比10.2%増の2,316百万円となりました。医薬分野では外資製薬会社からの受注が好調に推移し、国内製薬会社との取引も順調に推移した結果、売上高は前期比1.0%増の2,904百万円となりました。工業・ローカライゼーション分野では自動車、機械など製造業の顧客を中心に需要が緩やかに回復しましたが、収益認識に関する会計基準を適用した影響により、売上高は前期比0.5%減の2,028百万円となりました。金融・法務分野では企業の管理系部署からの受注が順調に推移したことに加え、保険会社からの大型案件受注やIR関連資料の受注増加により、売上高は前期比14.7%増の580百万円となりました。
これらの結果、翻訳事業の売上高は前期比4.1%増の7,828百万円となりました。
(派遣事業)
通訳者や翻訳者を派遣する派遣事業においては、語学スキルの高い人材への底堅い需要に支えられ堅調に推移したものの、期間限定業務終了の影響などから、売上高は前期比1.3%減の1,212百万円となりました。
(通訳事業)
通訳事業においては、顧客企業における対面での会議・商談の自粛が長期化しているものの、オンライン会議の定着に伴う通訳需要を積極的に取り込み、売上高は前期比37.0%増の655百万円となりました。
(コンベンション事業)
コンベンション事業においては、「第19回国際EBウイルスシンポジウム 」や「第2回東アジア文化都市サミット」など延期となっていた案件の開催が徐々に再開したものの、大規模な国際会議やイベントの開催に伴う制限の長期化に加え、サービスのデジタル化に伴う案件の規模縮小が影響し、売上高は前期比26.1%減の220百万円となりました。
(その他)
その他のセグメントにおいては、語学教育事業において前期は通訳者・翻訳者養成スクール「アイ・エス・エス・インスティテュート」の講座で対面からオンライン実施に切り替えたことによる受講者数減少がありましたが、当期はオンライン講座が定着したことなどから、売上高は前期比9.1%増の420百万円となりました。
ハ キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.当社グループの資本の財源および資金の流動性
当社グループの資金需要は大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは、登録スタッフである翻訳者・通訳者等への仕入費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備資金需要につきましては、主に事務所等の建物附属設備や情報処理・翻訳制作工程に利用するための無形固定資産への投資等があります。
当社グループの現在の運転資金につきましては、内部資金より充当しておりますが、必要に応じて外部より調達することがあります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,710百万円であり、当連結会計年度末におけるリース債務を含む有利子負債の残高はありません。
c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
2023年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画において、新たな経営指標として売上高営業利益率9%および自己資本利益率(ROE)12%以上を定めております。当社グループはこれらの経営指標の達成に向け、さらなる収益性と資本効率向上を目指してまいります。
②重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
記載すべき重要な会計上の見積りはありません。
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