課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは「産業技術翻訳を通して、国内・外資企業の国際活動をサポートし、国際的な経済・文化交流に貢献する企業を目指す」ことを企業理念に掲げ、高い顧客満足度の得られるランゲージサービスを提供することにより、顧客の企業価値・競争力向上に貢献してまいります。また、すべてのステークホルダーの皆様の満足度を高め、透明性の高い経営を推進し、企業価値を向上させてまいります。

 

(2)経営環境

当社グループは専門特化型の翻訳サービスを提供する翻訳事業を中核に、翻訳者や通訳者などの人材を顧客企業に派遣する派遣事業、中小規模の国際会議や企業内会議における通訳の請負業務を行う通訳事業、国際会議・国内会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会の誘致・企画・運営を行うコンベンション事業を展開しております。

また、当社グループは、各事業が有する高い専門性や技術・ノウハウに加え、専門特化サービスの集合体としての強みを活かした付加価値の高いランゲージサービスを提供することで、顧客企業のグローバルコミュニケーション構築を包括的に支援しております。

翻訳業界では企業のグローバル展開を背景に市場は堅調に推移しております。近年ではAI技術の向上で機械翻訳の実用化が進んでおり人手翻訳の需要減少が懸念されておりますが、一方では機械翻訳を活用した新しい商品・サービスの開発も進んでおり、市場環境は大きな変革期を迎えております。派遣業界では企業の人材不足を背景に需要は堅調に推移しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴うテレワークの普及を背景とした顧客企業の需要の変化には引き続き注視が必要です。コンベンション、通訳業界では政府によるMICE(注)の誘致活動の活発化に起因する国際会議や通訳機会の増加を背景に需要は堅調に推移しておりました。しかし、同感染症の世界的流行によって国際会議(学会・研究会)やセミナー・シンポジウム、各種展示会やイベントには人数制限などの開催条件が課され、ビジネスでの人の往来も制限されている状況にあり、厳しい環境が続いております。

新型コロナウイルス感染症については、感染拡大の長期化により、収束時期が不透明な状況が続くと見込まれます。そのため、当社グループが展開する事業のなかでも特にコンベンション事業については、厳しい事業環境が続くと想定しております。しかし、同感染症の影響が抑え込まれれば、グローバルコミュニケーションの機会増加や企業の情報発信手段の多様化などによるランゲージサービスの需要が回復する可能性は十分にあると考えております。

当社グループはいかなる環境においても、その局面に応じた顧客ニーズに迅速かつ柔軟に対応し、グループの持続的な成長を目指してまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループが外部環境の変化や需要を的確に捉え、持続的な成長を続けるためには中核事業である翻訳事業を中心に、人材の育成に加えデジタル技術を活用したサービスの展開が不可欠だと認識しております。

 

① 翻訳事業

当社は設立以来、専門分野に特化した人手による翻訳サービスで成長してまいりましたが、機械翻訳の飛躍的な精度向上を受け、先の中期経営計画(2019年3月期から2021年3月期)では機械翻訳の戦略的な活用を重点施策に据え、中長期的な競争力を支える言語資産の蓄積と運用に向けた環境の構築に取り組んでまいりました。具体的には、分野特化型機械翻訳「製薬カスタムモデル」の開発・販売をはじめ、人手翻訳の技術・ノウハウと機械翻訳などのテクノロジーを組み合わせたサービスを提供するなど、重点施策を着実に推し進めてまいりました。

また、当社を取り巻く事業環境はワークスタイルの変化やデジタルテクノロジーの進化などによって大きく変化しており、社会の変容を的確に捉えた中長期の戦略構築に取り組んでいく必要があると認識しております。

企業のグローバル展開が加速し、外国語ニーズの拡大が見込まれる中、先の中期経営計画の成果と課題、経営環境の変化を踏まえ、この度、2023年3月期を初年度とする3ヶ年の中期経営計画を策定いたしました。

経営ビジョン「すべての企業を世界につなぐ 言葉のコンシェルジュ」は継続し、以下に示す基本方針・重点施策の遂行により、顧客ニーズの多様化・高度化に対応した高付加価値企業となることを目指します。

 

a.基本方針

ビジネス環境の変化やデジタル化の進展に対応しつつ、業界・ドキュメント別に最適化された言語資産の活用モデルを確立し、対象市場でのプレゼンスを高め、持続的な成長を実現する。

 

b.重点施策

イ ドキュメント集約メカニズムの構築

翻訳対象となるドキュメントを当社に集約することでコーパスや用語集といった言語資産の活用の幅を広げ、顧客の翻訳環境の改善を推進します。ドキュメントを集約するため、顧客企業内で発生するドキュメント種類ごとに翻訳サービスを最適化し、新たな専門特化領域を育成します。

また、翻訳の前後の工程であるドキュメントの作成や使用の場面でのサービス提供を強化し、顧客ニーズに幅広く対応できる体制を整備します。

 

ロ 業界・ドキュメント別言語資産活用モデルの確立

先の中期経営計画期間では英語を中心に分野特化型機械翻訳の作成に注力してまいりました。今後は機械翻訳の適用範囲を多言語に拡大するとともに、ドキュメント別・顧客別・プロジェクト別の機械翻訳モデル作成にも取り組み、さらなる機械翻訳の精度向上を目指します。

また、翻訳作業のデジタル化が加速する中、環境変化に合わせて、翻訳作業のみならず製作工程全般の改善を図り、さらなる生産効率の向上を目指します。

 

ハ 働き方改革や事業変革を支える経営基盤の整備

働き方改革など環境変化に対応した労働および職場環境の実現を目指します。また、事業活動へのIT技術の活用を推進すべく、デジタル人材の確保やIT技術への投資を積極的に行い、事業変革を支える経営基盤の強化を図ってまいります。

 

② 通訳事業およびコンベンション事業

当社グループは、 新型コロナウイルス感染症の拡大収束後に予想される顧客・市場・社会の変化に対応し、新たな提供価値を創出することを重要な課題と認識しております。同感染症拡大の影響で世界的な人の行き来に対する制限が長期化していることもあり、通訳業界とコンベンション業界ではオンライン通訳やオンライン会議運営支援などデジタルを活用したサービス提供が定着しつつあります。環境変化に伴い、当社グループもデジタル化に対応するサービス提供の基盤を構築し、技術・ノウハウを蓄積してまいりました。同感染症の拡大収束の時期を見通すことは難しく、不透明な事業環境が続いておりますが、引き続きコロナ禍で落ち込んだ収益力の回復に取り組み、外部環境の変化に対応した事業戦略を推進してまいります。

 

(4)目標とする経営指標

当社グループでは、お客様にご満足いただけるサービスの提供及び収益の安定化に向けて、売上高、営業利益、当期純利益の業績目標と営業利益率、自己資本利益率(ROE)の経営指標を定め、それらの向上に取り組んでおります。

 

(注)企業等が行う会議・セミナー(Meeting)や報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際会議・学術会議

  (Convention)、展示会・イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとった造語でビジネスイベント等の総称を

  指します。

 

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