業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績)

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が著しく制限されていたものの、ワクチン接種の促進や緊急事態宣言の解除を受け、段階的な経済活動の再開とともに個人消費や設備投資に回復の兆しも見られましたが、感染力の強いオミクロン株などの変異種による感染者が急速に世界中に増加するなど、依然として厳しい状況にあります。先行きについては、新型コロナウイルス感染症の影響だけでなく、ロシアの軍事侵攻によるウクライナ情勢を巡る地政学的リスク、天然ガスや石炭等発電用燃料の供給不足による原燃料価格高騰、米国のインフレ懸念による金融引き締めや円安の進行等、世界経済の動向を注視する必要があります。

この様な経済環境のもと、当社グループが属するセールスプロモーション市場におきましては、2021年の日本の総広告費が、前年比110.4%と大きく前年を上回りました。前年同様、感染拡大に伴う緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などに伴い、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、インターネット広告費の成長の加速が広告市場の成長へと繋がりました。巣ごもりや在宅が生活に定着したこともあり、多方面でDX(デジタルトランスフォーメーション)が一気に進みました。インターネット広告市場では、OTT(動画コンテンツ)、Eコマースビジネスが急拡大したことにより、広告主によるOTTサービスへの動画広告の出稿の増加やEコマース領域では、動画配信サイトやSNSがショッピング機能を持ったり、動画と組み合わせたライブコマースが好調であることから成長を続けております。

この様な環境に対応するため、当連結会計年度における当社は、前連結会計年度において成果を出したコンテンツライセンス活用による高利益構造の構築、デジタルを活用したデータドリブンマーケティングによる継続的取引企業の拡大、これまでに築き上げてきた調達力・品質管理能力・システム設計能力などの強みを最大限生かしたBPO・コンサル領域の拡大を中心に積極的に取り組むとともに、新たに人気コンテンツを活用したNFT(非代替性トークン)を取り扱うなど、ウィズコロナ、アフターコロナの時代に合わせた新たなサービスの提供にも着手しました。また、案件の複雑化・複合化による工数増加やプロジェクト管理型案件のマネジメントといった課題に対応するため、社内においてもDXを推進し、プロジェクトマネジメントの強化や業務の電子化による生産性向上施策にも着手しました。以上に加えて資本業務提携先である株式会社レッグスが2022年1月に株式会社CLホールディングスに商号変更し、持株会社体制へ移行したことにより、当社もグループの一員として今まで以上に経営や事業における連携を密にして意思決定のスピードを上げ、シナジー効果を最大限に創出することで、顧客の商品やサービスに新しい価値を付加していく価値創造の長期的なパートナーとなることを目指していきます。

次に、業界別の販売状況といたしましては、飲料・嗜好品業界及び情報・通信業界において売上が大きく伸びました。飲料・嗜好品業界では人気コンテンツライセンスを活用した商品化や、それにSNSやLINEなどのデジタル領域のプロモーションを絡めた長期に渡る大型プロモーション施策を受注できたこと、情報・通信業界では、首都圏におけるOOH広告、インフルエンサーによるサンプリング品の街頭配布、ポスティングなどを含めた大型案件を受注できたこと、また前年度から注力しているライブ配信サービスにおけるオンラインイベントの企画、グッズ制作、運営の受託業務が好調であったことから、販売高が増加しました。一方、流通・小売業業界では、前連結会計年度においては、デジタルポイントを活用した施策が好調でしたが、クライアントが自社内で対応するようになり、新しく人気コンテンツを活用した書籍物販ビジネス等を開始しましたが、当初想定していたデジタルポイント施策による売上の不足を補うことができず減収となりました。

これらの結果、当連結会計年度における連結業績は、主に飲料・嗜好品業界及び情報・通信業界において売上を伸ばすことができましたが、流通・小売業業界向けの売上を補うに至らず、売上高は11,261百万円(前年同期比3.1%減)と減収となりました。販売費及び一般管理費は中長期の売上拡大に向けた人員の増強やDX推進に関連するシステム投資により2,687百万円(同3.1%増)となり、営業利益は501百万円(同9.1%減)、経常利益は559百万円(同8.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は435百万円(同13.9%減)となりました。

また、当社グループが行っている連結決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りについての、新型コロナウイルス感染症が及ぼす影響については、第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。

なお、当社グループは、顧客の営業上の課題に基づいたセールスプロモーションの企画及び提案を行う単一の事業分野において営業活動を行っておりますので、セグメント情報の記載は行っておりません。

 

(生産、仕入及び販売の状況)

当社グループは、顧客の営業上の課題に基づいたセールスプロモーションの企画及び提案を行う単一の事業分野において営業活動を行っており、単一セグメントであるため、セグメント別の情報は記載しておりません。

 

a 生産実績

当社グループの販売するセールスプロモーショングッズは広範囲かつ多種多様であり、同様の製品であっても仕様が一様ではなく、またポケットティッシュ以外の受注商品の製作につきましては全て外注先に委託しております。なお、当社グループで販売するポケットティッシュについて、その多くを当社の連結子会社である㈱岐阜クリエートにおいて生産しております。当連結会計年度における、当社グループで生産しているポケットティッシュの生産実績を示すと、次のとおりであります。

品目

生産高(千個)

前年同期比(%)

ポケットティッシュ

78,253

109.5

合計

78,253

109.5

 

(注) 千個未満は切り捨てております。

 

b 仕入実績

当社グループでは価格競争力を強化するため、一部の商品について中国より直接購買を行っております。当連結会計年度における、当社グループにおける国内での仕入実績及び中国からの仕入実績を示すと、次のとおりであります。

地域

仕入高(千円)

前年同期比(%)

国内仕入

7,494,882

96.4

海外(中国)仕入

520,927

93.6

合計

8,015,810

96.2

 

 

 

c 販売実績

当連結会計年度における、当社分類による顧客所属業種別に販売状況を示すと、次のとおりであります。

分野

販売高(千円)

前年同期比(%)

流通・小売業

2,109,041

77.6

飲料・嗜好品

1,588,852

131.9

情報・通信

1,487,999

161.6

自動車・関連品

1,440,286

92.4

ファッション・アクセサリー

867,656

120.9

外食・各種サービス

830,528

80.0

化粧品・トイレタリー

680,499

75.0

金融・保険

556,636

150.3

薬品・医療用品

353,916

47.8

食品

307,950

88.5

不動産・住宅設備

200,224

94.4

その他

838,151

94.7

合計

11,261,744

96.9

 

(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の販売高については、当該会計基準等を適用した後の金額となっております。

 2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社セブン-イレブン・ジャパン

1,638,188

14.1

876,417

7.8

 

 

(財政状態)

(流動資産)

当連結会計年度末における流動資産の残高は6,138百万円(前連結会計年度末6,613百万円)となり、474百万円減少しました。主な要因は、現金及び預金が331百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が997百万円減少したためであります。

(固定資産)

当連結会計年度末における固定資産の残高は820百万円(同974百万円)となり、154百万円減少しました。主な要因は、投資有価証券が103百万円、繰延税金資産が28百万円減少したためであります。

(流動負債)

当連結会計年度末における流動負債の残高は944百万円(同1,871百万円)となり、927百万円減少しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が437百万円、未払法人税等が209百万円減少したためであります。

(固定負債)

当連結会計年度末における固定負債の残高は312百万円(同282百万円)となり、30百万円増加しました。主な要因は、退職給付に係る負債が25百万円増加したためであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の残高は5,701百万円(同5,434百万円)となり、267百万円増加しました。主な要因は、利益剰余金が剰余金の配当により147百万円、収益認識会計基準等の適用により期首残高が4百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益435百万円の獲得により増加したためであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して331百万円増加し、2,899百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動による資金の増加は457百万円(前連結会計年度は616百万円の増加)となりました。主な要因は、仕入債務の減少額が437百万円、法人税等の支払額が346百万円となりましたが、売上債権の減少額が997百万円となったこと等により増加したためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動による資金の増加は17百万円(同133百万円の増加)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出が21百万円となりましたが、投資有価証券の売却による収入が37百万円あったことにより増加したためであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動による資金の減少は149百万円(同148百万円の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払による支出が147百万円あったことにより減少したためであります。

 

(2) 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、賞与引当金等各種引当金及び法人税等であり、継続して評価を行っております。

なお、見積り及び判断・評価については過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループでは、経営指標とする連結経常利益率10%を目指す上で既存事業においては、顧客のニーズに対する対応力を高め、高付加価値化を進めることを最重要課題として取り組むとともに、競合優位性の高い当社の提供サービスについて仕組み化し参入障壁を作ることで顧客とパートナー化を目指すこと、それと同時に新規事業の拡充及び新規市場への進出を視野に入れながら、事業に取り組んでおります。具体的な展開方法としては、IP(コンテンツライセンス)を起点とした複合的なプロモーション提案力やデジタル分野における営業力を高めて、グッズを含めた受注案件数及び受注確立をあげていくことで既存事業の拡充に努めるとともに、新規事業の拡充においては、アライアンス強化による新規サービスの開発、データ分析力の向上、マーケティングサービスのラインナップの拡大、版権元との関係性、これらを強化することで、受注生産型の体制から、当社独自のサービス、商品を開発し、当社独自の新しいサービス創出のための事業の多角化を検討してまいります。

当連結会計年度の経営成績等は、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通り、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るう中、売上高、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は減収減益となりました。既存事業の拡充を図るため、関係値が既に深く、今後も戦略的に深耕したい顧客を戦略顧客と定め、営業力を高めながら受注金額の拡大に取り組んでまいりました。その結果、戦略顧客については、全体売上に占める割合が50%以上を占めるまで伸長し、長期的なパートナー化が着実に深耕しております。またサービスとしては当社が注力しているデジタルプロモーション、コンテンツライセンスを用いたプロモーションが成果を上げたことだけでなく、コロナ禍において拡大しているオンライン配信プラットフォームやフードデリバリー企業と組んだり、NFT(非代替性トークン)や書籍の物販にもチャレンジし、その過程で新しいサービスも生まれ、実績にも繋がりました。一方でコロナ禍において営業活動がWEB商談中心となったため、関係値の浅い顧客と接点を持つことが難しくなり、新規の顧客開拓を含め、こうした顧客において関係値拡大が図れなかったこと、景品のみの受託が年々減少傾向にあること、昨年好調であったデジタルポイント施策がクライアントの自社内で対応となり、その穴埋めができなかったこと等が課題として挙げられます。次期については、2022年6月24日開催の第48期定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認され、決算期(事業年度の末日)を毎年3月31日から毎年12月31日に変更することを決議いたしました。従いまして、決算期変更の経過期間となる第49期は、2022年4月1日から2022年12月31日までの変則的な9ヶ月決算となります。   

マーケティングで新しい価値を創る会社を実現していくため、引き続きコンテンツライセンス活用による高利益構造の構築、デジタルを活用したデータドリブンマーケティングによる継続的取引企業の拡大、これまでに築き上げてきた調達力・品質管理能力・システム設計能力などの強みを最大限生かしたBPO・コンサル領域の拡大に積極的に取り組んでいき、仕組み化と機能強化をさらに進め、「IP×デジタル×リアル」を軸とした独自のポジションを築いていきます。それに加え、プロモーション物販などの新市場開拓、NFTやSDGs関連グッズなど新商品開発を行っていきます。また当期に本格的に開始した社内のDX化をさらに進め、プロジェクトマネジメントの強化や業務の電子化による生産性向上に繋げていくことにより、競争力の強化とサービスの高付加価値化への対応し、安定した経営基盤の確立を推進して参ります。それと同時に、営業活動の多様化に伴い、変化に対応するための人材育成の投資を継続し組織力の底上げを行い、競争力の強化とサービスの高付加価値化への対応を推進することにより連結経常利益率10%を目指して参ります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、当期において緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の度重なる発令があったものの、社会生活の変化に応じたサービスを提供することにより業績が堅調に推移したことから次期においても引き続き、経済活動や人々の暮らしに変化が出て、それに伴い顧客のセールスプロモーション施策が変わっても、情報をタイムリーに収集しながら、マーケットや顧客の変化に合わせてサービスを投入し、柔軟に対応していきます。次期の業績については、売上97億円、営業利益5.2億円、経常利益5.2億円及び親会社株主に帰属する当期純利益3.5億円を見込んでおります。

また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、事業活動のための適切な資金確保、流動性並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項として考えております。また、当連結会計年度末の現金及び預金残高は4,002百万円であり、十分な流動性を確保している状況であることから、健全な財務状況と認識しております。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得