業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り
 当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 詳細につきましては、「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等]内、連結財務諸表注記」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営成績の状況

①事業全体の状況
 2021年は前年に引き続き、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染症の影響を大きく受けた1年となりました。世界的に新型コロナ変異株が流行し、経済の先行きが不透明な状況が続いています。この環境下において、キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」(略称:KV2027)に基づき、世界のCSV先進企業を目指した取り組みを推進しました。社会課題の解決を成長機会と捉え、祖業であるビール事業で培った発酵・バイオテクノロジーを、「食領域」から、「医領域」、「ヘルスサイエンス領域」へ展開することで、社会的価値と経済的価値の両立を図りました。

 

・食領域

主力商品への集中投資により強固なブランド体系を構築する一方で、新たな価値創造につながる商品・サービスの提供に注力した結果、新型コロナによる収益減少を軽減することができました。

・医領域

2019年から開始したグローバル組織体制への変革を継続し、グローバル戦略品が着実に成長しました。また次世代戦略品等の開発も、着実に進捗しました。

・ヘルスサイエンス領域

当社の強みであるR&D技術を生かした素材研究、商品開発を進め、これまでの取り組みが大きく実った年になりました。「免疫」領域の戦略素材「プラズマ乳酸菌」は、一般社団法人「レジリエンスジャパン推進協議会」が実施する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2021」において、「第1回STOP感染症大賞」金賞を受賞しました。これは素材の発見と機能性表示食品としての商品展開等を高く評価いただいたものです。また「プラズマ乳酸菌」配合の商品ラインアップも拡充し、健康志向の高まりとともに「プラズマ乳酸菌」関連事業の売上金額を、前年比1.5倍以上に伸ばし、お客様の健康課題の解決に貢献しました。

 

当社は、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点でも、社外から高い評価を得ました。「環境」においては、2020年2月に策定した「キリングループ環境ビジョン2050」に沿って、GHG排出量削減、再生可能エネルギー利用促進、プラスチック循環利用の促進等に取り組みました。その結果、環境省が主催する「ESGファイナンス・アワード・ジャパン」において、環境サステナブル企業部門の「金賞」を受賞しました。CDP気候変動及び水セキュリティにおいても、最高位の「Aリスト」を3年連続で獲得しました。「社会」においては、女性活躍推進に優れた上場企業として「なでしこ銘柄」に選定されたほか、特に優良な健康経営を実践する法人として「健康経営優良法人2021(ホワイト500)」にも5年連続で認定されました。さらに「ガバナンス」を中心に、ESG取り組み全般を高く評価いただき、「持続可能な開発目標(SDGs)」への企業の取り組みを評価する「日経SDGs経営調査」でも、3年連続の最高位を獲得しました。米国モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)社がESGの観点から評価を行う、MSCI ESGレーティングにて、世界のCSV先進企業と並ぶ「AA」評価を獲得しました。

 

また、「キリングループ2019年-2021年中期経営計画(略称:2019年中計)」で重要成果指標とする従業員エンゲージメントは、スコアが大幅に向上した2020年と同水準の結果となりました。先行きが不透明な社会情勢の中、CSV経営に取り組む意義の浸透を図ったことで、従業員の経営に対するエンゲージメントが高まり、2019年中計で掲げた目標を達成しました。

 

 

 

2021年実績

2020年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

1兆8,216億円

1兆8,495億円

△280億円

△1.5%

連結事業利益

1,654億円

1,621億円

33億円

2.0%

連結営業利益

681億円

1,029億円

△348億円

△33.8%

連結税引前利益

996億円

1,246億円

△249億円

△20.0%

親会社の所有者に帰属する当期利益

598億円

719億円

△121億円

△16.9%

 

(重要成果指標)

ROIC

4.2%

6.0%

 

 

平準化EPS

156円

136円

20円

14.7%

 

 

当年度の連結売上収益は、新型コロナウィルス感染症再拡大により、国内外で酒類・飲料の販売が影響を受けたこと、ライオン社飲料事業の売却等から、減収となりました。連結事業利益は、国内ビール・スピリッツ事業、ミャンマー・ブルワリー社等が減益となりましたが、オセアニア酒類事業に加え、協和発酵バイオ(株)、コーク・ノースイースト社などが増益となり、全体では増益となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、ミャンマー事業において減損損失を計上したこと等により減益となりました。

  重要成果指標である平準化EPS、ROICは、新型コロナウイルス感染拡大やミャンマーの政変などの外部要因の他、協和発酵バイオ(株)の品質管理問題の影響により、2019年中計の当初目標は未達となりました。しかしながら、昨年期初に公表した2021年度目標について、ROICは政変を背景とするミャンマー酒類事業の減損で未達成であったものの、平準化EPSは連結事業利益の回復や2020年に実施した自己株取得の影響などにより、目標を達成致しました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

セグメント別の業績は次のとおりです。

 

 

2021年実績

2020年実績

対前年増減

対前年増減率

連結売上収益

1兆8,216億円

1兆8,495億円

△280億円

△1.5%

 国内ビール・スピリッツ

6,613億円

6,514億円

99億円

1.5%

 国内飲料

2,444億円

2,522億円

△78億円

△3.1%

 オセアニア酒類

2,163億円

2,921億円

△759億円

△26.0%

 医薬

3,517億円

3,178億円

339億円

10.7%

 その他

3,479億円

3,360億円

119億円

3.5%

連結事業利益

1,654億円

1,621億円

33億円

2.0%

 国内ビール・スピリッツ

705億円

755億円

△50億円

△6.6%

 国内飲料

211億円

218億円

△7億円

△3.0%

 オセアニア酒類

266億円

221億円

44億円

20.0%

 医薬

612億円

590億円

22億円

3.7%

 その他

△140億円

△163億円

23億円

 

連結売上収益 対前年


連結事業利益 対前年


 

 

<国内ビール・スピリッツ事業>

国内酒類市場は、前年に続きコロナ影響で外食市場が低迷する中、家庭用市場は伸長し、特に酒税改正で減税となったビールカテゴリー市場が拡大しました。

キリンビール㈱では主力ブランドの「キリン一番搾り生ビール」缶商品や、健康志向の高まりを捉えた「キリン一番搾り糖質ゼロ」が好調でした。その結果、「一番搾り」ブランド缶商品の販売数量は、前年比2割増と大きく伸長しました。コロナ影響により自宅で過ごす時間が増え、在宅時間の充実も求められています。クラフトビールの缶商品「スプリングバレー豊潤<496>」は、この需要を捉え、発売から半年で100万ケースを販売し、クラフトビールとしては異例の速さで成長しています。自宅で本格生ビールを楽しめる「キリンホームタップ」も会員数を大幅に増やし、10万人以上のお客様に、工場直送の特別なおいしさを提供しました。外食市場では、飲食店の課題解決を目指し、新鮮でおいしい生ビールを提供できる「TAPPY(タッピー)」、1台でクラフトビールを4種類提供できる「Tap Marché(タップ・マルシェ)」等、キリン独自の価値提案を行いました。その結果、ビール類カテゴリーの販売数量は4.1%減少したものの、3年連続で市場推移を上回りました。家庭用が中心のRTDカテゴリーは、「キリン氷結®無糖」シリーズが大変好調で、「キリン氷結®」ブランドは過去最高売上を達成し、累計販売本数160億本を突破しました。「キリン本搾りTMチューハイ」や、素材や製法にこだわった高付加価値ブランド「麒麟発酵レモンサワー」も好調で、RTDカテゴリー合計の販売数量は前年比4.7%増となりました。

これらの結果、家庭用チャネルにおいてビール商品の販売数量が増加し、ビール類合計でも市場を上回って推移しました。売上収益はビールや発泡酒、RTD及びノンアルコール飲料の販売数量の増加により、1.5%増加し6,613億円となりました。また、事業利益は、長期的な視点でのブランド投資を強化したことにより販売費が増加し、6.6%減少し705億円となりました。

 

<国内飲料事業>

国内飲料市場は、4月以降、緊急事態宣言の段階的な解除で販売数量が徐々に回復しましたが、新型コロナ感染再拡大と天候不順によって、前年微増にとどまりました。また健康意識の高まりにより、特定保健用食品・機能性表示食品や、無糖・微糖商品が好調に推移しています。

キリンビバレッジ㈱では、「CSVを基軸としたポストコロナに向けた再成長」をテーマに掲げ、既存飲料事業に加えてヘルスサイエンス領域を事業のもう1つの柱に置き、積極的に投資しました。既存飲料事業では、無糖商品への需要の高まりを機会と捉え、「午後の紅茶」ブランドで展開する「おいしい無糖」シリーズのラインアップを強化しました。また「生茶」ブランドは、再生ペット樹脂を100%使用した「R100ペットボトル」やラベルレス商品を発売し、お客様の環境意識の高まりに応えました。ヘルスサイエンス領域では、「プラズマ乳酸菌」配合の飲料を、免疫機能の機能性表示食品を中心に展開し、「免疫ケア」習慣の定着に取り組みました。「iMUSE(イミューズ)」ブランドの強化に加え、免疫への関心が低い層にも手軽に摂取いただけるように「キリン午後の紅茶ミルクティープラス」、「キリン生茶ライフプラス免疫アシスト」を発売しました。その結果、「プラズマ乳酸菌」配合の飲料は、期中に上方修正した年間販売目標の500万ケースを達成することができました。

またコロナ影響等により厳しい市場環境が続く中、自動販売機ビジネスの構造改革や小型ペット商品へのさらなる注力により、収益改善に努めました。

これらの結果、販売数量の減少により売上収益は3.1%減少し2,444億円となりました。また販売促進費、広告費の削減を進めたものの、販売数量の減少及びチャネル構成比の変化等による商品・容器構成差異等の悪化を補いきれず、事業利益は3.0%減少し211億円となりました。

 

<オセアニア酒類事業>

2021年1月の乳飲料事業売却に伴い、ライオン全社の売上収益は大幅な減収となりました。酒類事業は、豪州・ニュージーランドの外食市場において新型コロナによる影響を受けました。一方で、10月中旬以降、段階的な行動規制緩和で市場が回復し、プレミアムビール・クラフトビールカテゴリーの販売数量は前年を上回りました。

ライオン社でも、クラフトビール事業は、将来の成長分野と位置付けています。豪州クラフトビール事業をより盤石なものにするために、豪州最大手の独立系クラフトビールメーカーであるファーメンタム社の株式を取得完了しました。米国クラフト事業では若年層に高い支持を得ているニュー・ベルジャン・ブルーイング社の「ブードゥー・レンジャー」が家庭用需要を的確に捉え、販売が好調に推移しました。さらに米国事業の規模拡大とシナジー創出に向けて、ベルズ・ブルワリー社の買収も発表しました。

その結果、円ベースの売上収益は26.0%減少し2,163億円となったものの、クラフトビール戦略の進展や、コスト削減の取り組みにより、事業利益は円ベースで20.0%増加し266億円となりました。

 

<医薬事業>

協和キリン㈱は、同社の2021-2025年中期経営計画の初年度として、2030年に向けた新ビジョンを掲げ、日本発のグローバル・スペシャリティファーマとしての成長の実現に向けて取り組みました。

2021年は、前年に引き続きコロナ影響で世界の治療環境が変化し、事業活動に制限がある中、協和キリン㈱は「Crysvita」、「Poteligeo」等のグローバル戦略品を着実に成長させました。また次世代戦略品である「KHK4083」や、がん領域の「ME-401(一般名:zandelisib)」等の開発も着実に進捗しています。一方で、グローバル戦略品の「KW-6002(一般名:Istradefylline)」は欧州での承認を得ることができませんでした。今後の申請・承認を控えた品目においても各国当局の判断を注視するとともに、適切な対応を行ってまいります。

これらの結果、グローバル戦略品を中心とした海外医薬品売上の増加により売上収益は10.7%増加し3,517億円となりました。また事業利益は、グローバル戦略品の販売に係る販売費及び一般管理費が増加したものの、売上収益増収に伴う売上総利益の増加により、3.7%増加し612億円となりました。

 

また、その他の主な各事業の業績は以下のとおりです。

 

(協和発酵バイオ㈱)

協和発酵バイオ㈱は、2019年末に製造方法逸脱による行政処分を受けて以来、品質を全ての業務の基本としてマネジメント体制を再構築してきました。2021年は再生から成長につなげる1年と位置付け、製造数量を段階的に回復させることで、お客様からの信頼回復に努めました。また12月末にコンシューマープロダクト事業をキリンホールディングス㈱へ移管し、BtoB事業への集中により、長年培ってきた最先端の発酵・バイオ技術を生かした新たな素材開発を加速させる事業体制を確立しました。コロナ影響による原燃材料の高騰等の課題もある中で、組織風土変革や収益性の高い品目への集中等の事業構造改革にも取り組み、2021年は黒字化を達成しました。これらの結果、売上収益は7.5%減少し530億円、事業利益は4億円となりました。

 

(メルシャン㈱)

メルシャン㈱は家庭用ワイン市場での飲用者拡大と収益性向上に取り組みました。コロナ影響をはじめとした環境変化によって、ワインの飲用スタイルも多様化する中、果汁の贅沢感やワインならではの余韻が楽しめるノンアルコールサングリア「モクバル」を発売しました。また高品質で自然環境等に配慮したオーガニックワインの展開も、お客様に好評いただきました。「シャトー・メルシャン」では椀子ワイナリーが「ワールド・ベスト・ヴィンヤード」に2021年も2年連続で選出される快挙を達成しました。しかしながら、売上収益は6.8%減少し579億円、事業利益は35.1%減少し23億円となりました。

 

(ミャンマー・ブルワリー社)

ミャンマーでは、新型コロナの感染再拡大や2月に発生した政変の影響により外食市場が大きく減退しました。また金融やサプライチェーンが混乱した影響もあり、ビール市場は2割弱縮小しました。さらに資材不足等による製造量の減少、営業活動の制限等により、ミャンマー・ブルワリー社の販売数量は、前年同期比約3割の減少となりました。これらの結果、売上収益は39.3%減少し193億円、事業利益は52.2%減少し66億円となりました。

 

(コーク・ノースイースト社)

 米国の飲料市場は、コロナ影響によりEC販売が拡大し、家庭用消費が大幅に増えたことや、新型コロナワクチン接種率向上に伴う外食市場の回復から、販売数量は増加しました。一方で、個人消費の回復に伴い商品・サービスの供給が追い付かず、インフレが起きました。コーク・ノースイースト社は、このような市場変化の中、価格改定や、継続的なコスト削減、業務効率化により、同社史上最高益を達成しました。これらの結果、売上収益は19.7%増加し1,549億円、事業利益は78.3%増加し165億円となりました。

 

 

  ③生産、受注及び販売の状況

(ⅰ) 生産実績

当年度におけるセグメントごとの生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

655,840

3.4

国内飲料

115,566

△3.7

オセアニア酒類

214,474

△24.0

医薬

148,755

△15.1

その他

227,519

0.1

合計

1,362,155

△5.3

 

(注) 1  金額は、販売価格によっております。

2  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 (ⅱ) 受注状況

当社グループの製品は見込生産を主体としているため、受注状況の記載を省略しています。

 

 (ⅲ) 販売実績

当年度におけるセグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

国内ビール・スピリッツ

661,326

1.5

国内飲料

244,386

△3.1

オセアニア酒類

216,258

△26.0

医薬

351,696

10.7

その他

347,902

3.5

合計

1,821,570

△1.5

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前年度
(自 2020年1月1日
 至 2020年12月31日)

当年度
(自 2021年1月1日
 至 2021年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

三菱食品㈱

223,675

12.1

225,518

12.4

 

  2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

   (3) 財政状態

①事業全体の状況

 当年度末の資産合計は、前年度末に比べ 126億円増加 して 2兆4,719億円 となりました。有形固定資産、のれん、無形資産については、ミャンマー酒類事業の減損損失を680億円計上したものの、ファーメンタム社の子会社化の影響や設備投資による増加等によって、前年度末に比べ175億円の増加となりました。また、棚卸資産が前年度末比301億円増加、営業債権及びその他の債権が前年度末比158億円増加しました。一方、オセアニア飲料事業の売却等により、売却目的で保有する資産が737億円減少しました。

 資本は、利益剰余金が173億円増加、その他の資本の構成要素が382億円増加し、前年度末に比べ 521億円増加 して 1兆1,480億円 となりました。その他の資本の構成要素の増加要因は、主に円安の影響によって在外営業活動体の換算差額が438億円増加した影響です。

 負債は、前年度末に比べ 395億円減少 して 1兆3,239億円 となりました。2021年6月に700億円の普通社債を発行した一方、グローバルキャッシュマネジメントシステムの導入に伴い、資金効率が向上したこと等により返済額を下回る調達額に抑制した結果、有利子負債が圧縮され、社債及び借入金が912億円減少しました。一方、協和キリン㈱の契約一時金の増加による影響等でその他の非流動負債は295億円、その他の流動負債は133億円増加しました。

  これらの結果、親会社所有者帰属持分比率は 36.2% 、グロスDEレシオは 0.62倍 となりました。

 

  ②セグメント情報に記載された区分ごとの状況

  <国内ビール・スピリッツ>

 当年度末のセグメント資産は、有形固定資産の設備投資等により、前年度末に比べ 84億円増加 して 4,328億円 となりました。

  <国内飲料>

 当年度末のセグメント資産は、政策保有株式の売却等により、前年度末に比べ 107億円減少 して 1,392億円 となりました。

  <オセアニア酒類>

 当年度末のセグメント資産は、オセアニア飲料事業の売却があったものの、ファーメンタム社の子会社化の影響や設備投資によって有形固定資産及び無形資産が増加したこと等により、前年度末に比べ 45億円増加 して 4,759億円 となりました。

  <医薬>

 当年度末のセグメント資産は、その他の金融資産の増加や、繰延税金資産の増加等により、前年度末に比べ 1,204億円増加 して 8,621億円 となりました。

 

 

 (4) キャッシュ・フロー

 ①キャッシュ・フロー及び流動性の状況

当年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前年度末に比べ122億円減少の1,495億円となりました。活動毎のキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の収入は前年同期に比べ545億円増加の2,193億円となりました。運転資金の流出が206億円増加し、税引前利益が249億円減少したものの、非資金損益項目である減損損失が478億円増加した他、協和キリン㈱の契約一時金による収入等により、小計では292億円の増加となりました。小計以下では法人所得税の支払額が250億円減少したこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは前年同期比で増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の支出は前年同期に比べ596億円減少の564億円となりました。減少の主な要因は、当年度にオセアニア飲料事業を売却したことに伴い子会社株式の売却による収入が前年同期に比べ429億円増加の429億円となったことです。一方、子会社株式の取得による支出は、当年度にファーメンタム社の子会社化、前年同期はニュー・ベルジャン・ブルーイング社の子会社化があったため、前年同期に比べ58億円増加の455億円となりました。有形固定資産及び無形資産の取得については、前年同期に比べ67億円減少の863億円を支出しました。また、政策保有株式の縮減に向けた取組みを引き続き推進したことにより投資の売却は221億円の収入となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の支出は前年同期に比べ1,280億円増加の1,805億円となりました。平準化EPSに対する連結配当性向40%以上の配当を継続しており、非支配持分を含めた配当金の支払いは654億円となりました。また、グローバルキャッシュマネジメントシステムの導入に伴い、資金効率が向上したこと等により返済額を下回る調達額に抑制した結果、当年度に有利子負債は964億円減少しました。

 

上記の結果、既存事業への投資と成長投資を進めつつ、安定的かつ継続的な株主還元・有利子負債の圧縮を通して資本構成の安定化を図ることができました。

2022年中計における財務戦略骨子として、「BS(バランスシート)・PF(ポートフォリオ)マネジメントによるキャッシュ創出」により生じる資金を、「成長ドライバー獲得への規律ある投資」と「機動的な株主還元施策」に振り向けていく方針を掲げております。これらの着実な実行により、2024年までの平準化EPS年平均成長率11%以上、2024年時点でのROIC10%以上という財務目標を達成し、企業価値の向上に繋げていきます。

 

②資本政策の基本的な方針

当社は、2022年中計にて策定した資本政策に基づき、事業への資源配分及び株主還元について以下の通り考えております。

事業への資源配分については、ヘルスサイエンス領域を中心とした成長投資を最優先としながら、既存事業の強化・収益性改善に資する投資を行います。また、将来のキャッシュ・フロー成長を支える無形資産(ブランド・研究開発・ICT・人的資本など)及び新規事業創造への資源配分を安定的かつ継続的に実施します。なお、投資に際しては、グループ全体の資本効率を維持・向上させる観点からの規律を働かせます。

株主還元についても、経営における最重要課題の一つと考えており、1907年の創立以来、毎期欠かさず配当を継続しております。「平準化EPSに対する連結配当性向40%以上」による配当を安定的かつ継続的に実施するとともに、自己株式の取得については、追加的株主還元として最適資本構成や市場環境及び投資後の資金余力等を総合的に鑑み、実施の是非を検討していきます。

資金調達については、経済環境等の急激な変化に備え、金融情勢に左右されない高格付けを維持しつつ、負債による資金調達を優先します。中長期的な目標達成に必要とされる投資に係る資金調達により支配権の変動や大規模な希釈化をもたらす資金調達については、ステークホルダーへの影響等を十分に考慮し、取締役会にて検証及び検討を行った上で、株主に対する説明責任を果たします。

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