課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは『自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。』という企業理念のもと、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現することを目指しております。

(2)経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループを取り巻く環境は、国内では高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れによる酒類市場の長期的な縮小や、人材確保難による人件費、物流費の高止まりが続くなど、今後も厳しさを増してくることが予想されます。また、海外においても、米中の通商問題等に起因する緊張の増大と、世界的な人口増加による食料、資源価格の高騰は今後も続くものと想定されます。さらに本年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻およびこれに対応する各国の経済制裁は、世界的サプライチェーンに影響を与え、資源価格の高騰に拍車をかけることが見込まれます。また長期化する新型コロナウイルス感染症の影響への継続的な対応も求められます。

 一方で、国内のRTD市場では厳しい競争下ながらも市場の拡大が見込まれ、世界的な和酒・日本食市場は引き続き成長が期待されるほか、再生・細胞医療周辺産業やバイオ産業の市場規模は長期的な拡大が予想されており、当社グループにとって成長を見込める機会も数多く存在しています。また、様々な社会・環境課題への対応が世界的規模で求められ、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなってきています。

 このような状況を踏まえ、当社グループでは2020年5月に2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」を、またその実行計画の第1ステップとして「宝グループ中期経営計画2022」を策定いたしました。

 「宝グループ中期経営計画2022」の概要は以下のとおりであります。

 

「宝グループ中期経営計画2022」

基本方針

環境変化の兆しを掴みとり、強化すべき領域へ適切な経営資源の配分と投下を行い、収益力を高める多様な「価値」を生み出し続ける事業構造とグローバルなコーポレート機能の再構築を推し進めることで、国内外での持続的な成長の実現とグループの企業価値向上に向けて足元を固める。

定量目標(2023年3月期業績予想-2022年5月12日公表)

 2023年3月期 宝グループ連結

 ・売上高    3,010億円(中期経営計画定量目標 3,000億円以上)

 ・営業利益    300億円(     同      174億円以上)

 ・海外売上高比率   47.6%(     同        39%以上)

 ・ROE            8.7%(     同         7%以上)

事業戦略

<宝酒造>

 利益・利益率最優先の戦略へと転換し、和酒No.1企業としての市場支配力を活かしながら、各カテゴリー戦略の実行と、全社一体となったコスト削減と効率化の徹底によって、利益を創出し続ける企業体質へと進化する。

<宝酒造インターナショナルグループ>

 国内外のグループ会社との連携をさらに強めることで、グローバル和酒No.1の地位盤石化と海外日本食材卸事業における商品調達力などの事業基盤強化を進め、世界の和酒・日本食におけるリーディングカンパニーに向けて着実に前進する。

 さらに宝酒造と宝酒造インターナショナルグループにおいては、両者の協業をこれまで以上に推進し、輸出商品の開発と国内外への情報発信を強化することで、松竹梅を中心とした宝の和酒のグローバルブランド化を進めてまいります。

<タカラバイオグループ>

 「研究用試薬・理化学機器事業」と「CDMO事業」の両輪で持続的に成長するとともに、将来の飛躍的成長に向けて、創薬アライアンスの加速と臨床開発プロジェクトの新規創出をはかる。

 

財務方針

・健全な財務体質の維持をベースに、投資効率の向上を意識した成長投資を行うとともに、収益性や効率性を改善し、ROEの向上をはかる。

・持続的な利益成長を踏まえた適切な株主還元を実施する。

 

中期経営計画最終年度の取り組み

 当社グループは、安定した事業と成長性のある事業を併せ持つ当社独自の事業ポートフォリオにおいて、それぞれの事業がしっかりと自立してグローバルに展開していくこと、そしてコロナ禍において各事業で顕在化した弱みに速やかに対処し、本来の強みを伸ばすことで、環境変化に強い事業基盤の構築を目指してまいります。

<宝酒造>

 製品自主回収の反省に立ち、安全・安心の確立に向けた取り組みを強化します。そのうえで、高付加価値商品の開発・育成力を強化し、本中計の事業戦略である「利益・利益率最優先」を実行します。一方で原材料価格の高騰を踏まえ、コスト削減、効率化の追求を継続します。

<宝酒造インターナショナルグループ>

 事業拡大に向けたM&Aを含めた拠点拡大や、宝酒造とのグループシナジーを発揮し、市場ニーズを捉えた和酒を中心とした新商品開発を行うとともに、コロナ禍で取り組んだ販売チャネル多角化の継続・強化を進めます。また、サプライチェーンの混乱の中での安定供給や、海上運賃・人件費等の高騰への対応を強化するとともに、コスト管理、経営基盤の強化に努めることで、さらに成長を加速させます。

<タカラバイオグループ>

 新型コロナウイルスのPCR検査関連製品の売上減少を見据えて、一般向け研究用試薬の安定的成長、新製品開発力の強化やCDMOサービスの強化、早期上市に向けた遺伝子医療プロジェクトの推進および新たなパイプラインの開発に取り組みます。また、保有する資金を研究開発や設備投資などに積極的に投下し、将来の飛躍的成長に繋げていく方針です。

 グループ全体の経営を統括する当社は、グローバルに展開するグループ経営をリードし、国内外での事業成長を支えるためのコーポレート機能強化と効率性の向上を推進し、環境変化に強いグループとしての経営基盤の礎を築いてまいります。

 また、長期経営構想の策定に合わせ、社会・環境課題に対する当社グループの考え方を示す「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定しております。「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」では、当社グループを取り巻く社会課題について、ステークホルダーからの期待度と当社グループの事業への影響度を考慮し、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、持続可能な社会へ貢献するための取り組み方針を示しています。さらに昨年6月には同ポリシーに基づく具体的な中期目標を設定した「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」を策定し、その達成に向けて以下の重点テーマに取り組んでまいりました。

 ・2030年度CO削減目標の達成に向けた具体的計画の策定

 ・TCFDフレームワークに基づく開示

 ・人権リスクの特定と評価に向けた仕組み(人権デューデリジェンス・プロセス)構築

 当社グループは、これからも事業活動を通じた社会的価値の創造により、ステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 記載の数値目標は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を保証するものではありません。

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