(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「水と生きる」を掲げる会社として、自然を大切にし、社会を潤し、そして新たな挑戦を続けることを約束します。 また、社会情勢の変化や健康に対する消費者ニーズの高まりといった昨今の事業環境の変化を踏まえ、ビジョンを「お客さまとともに 新たなおいしさ、健やかさ、楽しさを創造し続けそれぞれの市場で最も愛される会社となることを目指します」と定めています。
(2)中期経営戦略
グローバル飲料業界において、消費者トレンドの一歩先をいく、ユニークなポジションの確立を目指します。
「既存事業で市場を上回る成長」に加え、「新規成長投資による増分獲得」により、2030年売上2.5兆円を目指します。
また、売上成長を上回る利益成長の実現を目指します。この目標を達成するために、以下の重点項目を中心に積極的に事業展開していきます。
<成長戦略>
First Mover - オーガニック成長
・コアブランド イノベーション
・新カテゴリーの創造
Game Changer - 非連続な成長
・新市場、新飲料モデルの開発
・M&Aを積極的に推進
成長を支える取組み
・センター オブ エクセレンスとDXの推進
・アジアパシフィックリージョンの新設
(2021年1月に新設済み)
<構造改革>
・日本の自販機事業構造改革
・欧州業務用ビジネス構造改革
上記に加え、サステナビリティ経営を推進することで、地域社会へ貢献していきます。
(3)中期経営計画(2021-2023)
中期経営戦略に基づく2023年までの目標は以下のとおりです。
オーガニック成長
(2020年を起点、為替中立)
売上収益
平均年率1桁台半ばの成長
営業利益
平均年率10%以上の成長
営業利益率
2023年 10%以上
※2022年には、売上収益、営業利益で2019年水準を超える
(2021年に、営業利益は2019年水準を達成)
成長投資
成長投資(M&Aを含む)に重点をおく
・最大ネットD/Eレシオ1倍が投資上限目安(約7,000億円)
・足元では2,000-3,000億円規模を投資枠として設定
(4)経営環境及び優先的に対処すべき課題
①各報告セグメントにおける取組み
2022年は、主要国における需要回復を着実に捉え、コアブランドイノベーションを更に推進することにより、各報告セグメントにおいて、売上成長を目指します。原材料価格の高騰による影響には、売上収益の最大化やコストマネジメントの徹底により対処していきます。
なお、当社は、海外事業の迅速な変革の加速と一体経営を行うべく、2022年1月1日付で海外組織の改組を実施し、「SBFインターナショナル」を新設しました。これに伴う報告セグメントの変更はございません。
[日本事業]
「自販機事業の構造改革」とともに、「コアブランドの成長加速」、「サプライチェーン構造革新」を事業戦略の重点領域とし、売上と利益を成長させていきます。マーケティング活動においては、今年は「サントリー天然水」、「BOSS」、「伊右衛門」及び「特茶」への活動を更に強化していきます。「サントリー天然水」は、独自のブランド価値である“清冽なおいしさ”を引き続き訴求していくことに加え、「サントリー天然水 スパークリング」シリーズ「THE STRONG」の活動も強化していきます。今年30周年を迎える「BOSS」は、既存の缶コーヒーのコアユーザーへの活動を推進するとともに、昨年リニューアルした「クラフトボス」は、“コーヒーシリーズ”と“紅茶シリーズ”を2本柱とし更に活動を強化していきます。「伊右衛門」は、3年連続での成長に向けて、「伊右衛門 京都ブレンド」、「伊右衛門 濃い味」も活動強化していきます。「特茶」は飲用習慣化の実現に向けて、一層マーケティング活動を強化するとともに、「特茶」独自の機能を訴求していきます。
[アジアパシフィック事業]
アジアパシフィックでは、市場回復を捉え、コアブランドイノベーションを継続することで、売上成長を目指します。ベトナムでは、エナジードリンク「Sting」や茶飲料「TEA+」等の主力ブランドの成長を図るとともに、営業活動強化にも継続して取り組みます。タイでは、ペプシブランドの強化や生産効率の更なる向上に加えて、高まる健康志向への需要の取り込みに向け、引き続き低糖商品の強化にも取り組みます。健康食品においては、主力の「BRAND'S Essence of Chicken」のマーケティング活動を強化します。オセアニアでは、引き続き主力ブランドであるエナジードリンク「V」に注力します。
[欧州事業]
欧州全体で、「Schweppes」のブランド活性化とともに、営業やサプライチェーンマネジメントの強化等の構造改革に取り組みます。フランスでは、主力ブランドである「Orangina」、「Oasis」のマーケティング強化に取り組むとともに、売上と利益を成長させます。英国では、「Lucozade Energy」への集中投資により、エナジーカテゴリー市場でのシェア拡大を目指します。スペインでは、「Schweppes」を家庭用市場及び業務用市場で活動を強化していくとともに、業務用ビジネスの構造改革を更に推進していきます。
[米州事業]
主力である炭酸カテゴリーの強化を進めるとともに、伸長する非炭酸カテゴリーの更なる拡大に取り組みます。また、価格政策やサプライチェーンの更なる強化を進め、成長を加速していきます。
②サステナビリティの取組み
当社が属するサントリーグループは、「人と自然と響きあう」という企業理念のもと、よき企業市民として最高の品質をめざした商品やサービスをお届けし、世界の生活文化の発展に貢献していきます。この企業理念の実現を目指し、グローバルにサステナビリティ経営を推進しております。引き続き、「環境目標2030」「環境ビジョン2050」の達成に向けた「水」と「温室効果ガス」に関する活動を強化するとともに、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言、「プラスチック基本方針」に掲げたペットボトルの100%サステナブル化に向けた活動、並びに、ダイバーシティ経営及び健康経営については、以下のとおり取り組んでおります。
[TCFD提言に基づく開示]
当社グループでは、気候変動によるリスクや事業への影響を特定し、適切に対応していく必要があると考えています。
2019年5月、金融安定理事会(FSB)により設置されたTCFD提言への賛同を表明したことを機に、TCFDのフレームワークに基づく情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の拡充を進めております。
(ガバナンス)
当社グループでは、年2回開催されるリスクマネジメントコミッティにおいて、気候変動を重要なリスク要因として捉え、議論し、対応状況をモニタリングしています。
気候変動における機会とサステナビリティ戦略については、サステナビリティ委員会において、中長期戦略の議論を行っており、温室効果ガス(GHG)排出削減への取組みもその一つとして議論しています。
リスクマネジメントコミッティ及びサステナビリティ委員会は常に連携を取っており、重要な意思決定事項については、取締役会で更なる議論を行い、審議・決議を行います。環境・社会課題に関わる戦略の進捗や事業のリスクと成長機会については、定期的に取締役会に報告を行い、当社グループの気候変動における機会とサステナビリティ戦略の方針・計画等について論議・監督を行っています。また、取締役会では、外部の専門家を講師とした研修、生産研究開発施設等における取締役会の開催や意見交換等を実施することで、サステナビリティに関する知見を深める機会を設けています。
(戦略)
水の供給リスクに関しては、自社工場のうち水ストレスが高い地域に立地する拠点から優先的に、取水・節水といった水マネジメントが適切に実施されているか、また、地域と共に水課題の特定・水資源の保全活動が実施されているかを調査し改善を行っております。
また、原材料安定調達のための戦略策定には、TCFDのフレームワークを活用し、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によるRCP2.6(2℃未満シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)及び国際エネルギー機関(IEA)によるシナリオ等を参照しながら、リスクと機会の把握を進めています。更に、「環境ビジョン2050」「サントリーグループサステナブル調達基本方針」等のサントリーグループ方針に基づいて、将来的な原材料調達のありたい姿を描き、現状とのギャップに基づいて対策を見出すことで、より広範囲の環境・社会的なサステナビリティ課題にも対応していくことを目指しています。
(リスク管理)
当社グループでは、「リスク」を「グループの戦略や目標の達成に影響を及ぼす潜在的な事象」と定義しています。リスクマネジメントコミッティ並びに各事業会社に設置したリスクマネジメント委員会及びリスクマネジメントチームを通じて、グループ全社を対象に重要リスクの抽出・評価を行い、当社グループにとって優先的に取り組むべきリスクを特定して対応策を検討し、毎年見直しを行っています。
■リスク抽出・評価のアプローチ
抽出されたリスクに対し、「リスクエクスポージャー(発生可能性×影響度)」及び「対策レベル(対策の準備の度合い)」の二軸で評価し、優先的に取り組むリスクを特定しています。
■特定したリスクの管理方法
特定した優先的に取り組むべきリスクについては、責任者及びモニタリング機関を任命の上、リスクへの対応策を実施します。対応状況はリスクマネジメントコミッティにおいて報告・議論し、抽出・評価・対策・モニタリングのPDCAサイクルを回しています。
(指標と目標)
サントリーグループでは、事業への影響が大きいと想定される気候変動及び水について、2030年を目標年とする中期目標として「環境目標2030」を、2050年を目標年とする長期ビジョンとして「環境ビジョン2050」を定め、取組みを進めています。
※1 製品を製造するサントリーグループの工場
※2 2015年における事業領域を前提とした原単位での削減
※3 コーヒー、大麦、ブドウ
※4 サントリーグループの拠点
※5 2019年の排出量を基準とする
水の取組みにおいては、サントリーグループでは、自然環境の保全・再生活動等、水に関わる様々な取組みをグローバルに推進しています。水を育む森を育てる「天然水の森」の活動を2003年から開始し、全国15都府県21ヵ所、国内工場で汲み上げる地下水量の2倍以上の水の涵養する約1万2千haまで拡大しており、引き続き当該活動を継続していく予定です。また2021年には水の保全やスチュワードシップ(管理する責任)をグローバルに推進する国際標準の権威ある機関「Alliance for Water Stewardship」と連携協定を締結し、水のサステナビリティ推進のリーダーシップを担う企業に就任しました。これを機に、更なる水への取組みを推進してまいります。
気候変動対策としてのGHG削減の取組みでは、サントリーグループは、世界各地域での再生可能エネルギー電力の導入を進めており、2022年末までに日本、米州、欧州の飲料・食品及び酒類事業に関わる全ての自社生産研究拠点63箇所で、電力を100%再生可能エネルギーに切り替えることを目指しています。また、内部炭素価格制度を順次導入し、2030年までに脱炭素を促進するための投資を実施する予定です。これらの取組みにより、2030年に想定されるGHG排出量を、約100万トン削減することを目指しています。
[ペットボトルの100%サステナブル化]
サントリーグループは、2012年に国内清涼飲料業界で初めてリサイクル素材100%のペットボトルを導入したことを皮切りに、従来よりもCO2排出量を低減する世界初の「FtoPダイレクトリサイクル技術」を開発する等、長年にわたって技術革新を進め、積極的に「ボトルtoボトル」水平リサイクルを実用化・推進してきました。
2019年に策定した「プラスチック基本方針」では、“2030年までにグローバルで使用するすべてのペットボトルに、リサイクル素材あるいは植物由来素材のみを使用することで、化石由来原料の新規使用をゼロにする”という「ペットボトルの100%サステナブル化」の目標を掲げています。
当社は、「ペットボトルの100%サステナブル化」実現へ向け、2022年、国内では2本に1本が「100%サステナブルボトル」になることを目指します。そして新たに、ペットボトルは資源として何度も循環できることを伝える新ロゴマーク『ボトルは資源!サステナブルボトルへ』を国内ペットボトル全商品へ2022年3月より順次展開し、啓発活動等消費者とのコミュニケーションを強化します。更に、日本で培ったペットボトルのサステナブル化技術を、海外子会社と協働して展開することで、サントリーの「ペットボトルの100%サステナブル化」を一段とグローバルで加速させます。
[ダイバーシティ経営及び健康経営]
サントリーグループは、新たな価値創造に挑戦する「人材育成」及び従業員一人ひとりが最大限に力を発揮する創造性あふれる「職場環境づくり」を、重要な対処すべき課題と認識し、労働安全の徹底はもとより、健康経営の推進、長期的視野での成長機会の提供に務めています。
サントリーグループでは、国籍や年齢等にとらわれることなく、人材の多様性を尊重し、多様な価値観や発想を取り入れ、活かすことでより大きな価値を創出する「ダイバーシティ経営」を基本方針としています。そして、誰もがサントリーグループの社員としての自覚と考動を持ち、自らの心を解き放ち自分らしくいきいきと働ける職場、仲間の個性や多様性を強みとして活かす組織の実現に向け、2021年11月より、新たに「DEI(Diversity, Equity & Inclusion)Vision Statement」を制定しました。
また、従業員・家族の健康がサントリーの挑戦・革新の源であるという考えのもと、2014年に「健康づくり宣言」、2016年に「健康経営宣言」を行いました。経営層が中心となり、「健康経営」への取組みを通して従業員と家族の“人間の生命の輝き”の実現を目指しています。
このような考え方のもと、当社においても、今後も従業員の健康で幸せに満ちた生活の実現をサポートし、DEI (Diversity, Equity & Inclusion)を積極的に推進してまいります。
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