業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 財政状態及び経営成績の分析

①経営成績の分析

新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)は、社会構造に様々な変化をもたらしました。また、変異株による感染拡大も未だ継続しています。こうした状況において当社グループでは、「ビジネスを通じて、医学・医療・介護の発展に貢献し、国民の健康長寿に寄与する」という企業理念に基づき、感染拡大防止と医療機関や介護施設の支援に全力を尽くしてまいりました。特に感染防止製品の提案や安定供給についてはこれまで以上に気を配るとともに、社員の安全確保に気を配るために多様な働き方に対応できる環境整備も進めてまいりました。

主力事業である医療器材事業の業績に影響を与える手術件数は、コロナ前の水準に徐々に回復しつつあります。これは医療機関や研究機関のたゆまない努力によって、新型コロナウイルスの実態が徐々に明らかになってきたことと、その対策が確実に実施されてきたことによるものです。当社グループもこうした動きに対応すべく、医療機関への感染防止製品の提案や、ICTを活用した新サービスの開発に挑戦し続けました。こうした活動は、成長の軸である消耗品のシェア拡大という形で、一定の顧客評価を得ていると考えています。また、医療機関の建て替えに伴う設備備品の需要が想定以上だったことも、当期の業績に影響を与えています。

 

当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しています。また、収益認識に関する会計基準等の適用につきましては、収益認識に関する会計基準第84項に定める原則的な取扱いに従って、前連結会計年度の連結経営成績を遡及適用しています。

ただし、以下の〈医療器材事業〉における商品分類別売上高については、適時性を重視し収益認識会計基準適用前かつ管理会計に基づく集計値を元に分析を行っています。そのため、商品分類別売上高の合計は医療器材事業の売上高と一致していませんが、これによる分析の正確性への影響は軽微であると判断しています。

 

 

<医療器材事業>

 医療器材事業の商品分類別売上高は下記の通りです。

 <医療器材事業 商品分類別売上高>                                単位:百万円

 

前期

当期

増減

 

金額

構成比(%)

金額

構成比(%)

金額

増減率(%)

手術関連消耗品

43,597

44.5

44,882

42.7

1,285

2.9

整形外科消耗品

21,985

22.4

23,076

21.9

1,091

5.0

循環器消耗品

18,022

18.4

19,716

18.8

1,694

9.4

消耗品 小計

83,604

85.3

87,674

83.4

4,070

4.9

設備備品

14,367

14.7

17,416

16.6

3,049

21.2

商品分類別売上高 合計

97,971

100.0

105,090

100.0

7,119

7.3

調整額

△1,426

△2,876

△1,450

△101.7

医療器材事業 合計

96,545

102,214

5,669

5.9

 

 

当初、医療機関ではコロナに関する十分な知見が無かったため、コロナへの対応を最優先に考えて慢性期疾患等の手術件数を抑制してきました。しかし、医療機関の役割分担や連携体制が進んできたこと、ワクチン接種率が向上したこと、医療機関内の感染対策が進んだことなどにより、手術件数は2021年秋ごろから増加傾向に転じています。当社はこうした医療機関の動きをサポートすべく、グループの総力を挙げてサービス提供活動に取り組んでまいりました。その結果、医療器材事業の消耗品の売上高は前期比4.9%増となりました。その内訳は以下のとおりです。

手術関連消耗品の売上高は、一部顧客における失注の影響で眼科領域が前期比11.9%減となりました。また、コロナ関連で需要が急増していたPPE(※1)を含む感染対策製品は、価格の高騰が落ち着きを見せたことにより同5.6%減となりました。しかし、主力の外科製品が同11.0%増と第1四半期からの増加傾向を維持していることに加え、重点領域として取り組んでいる糖尿病製品を含む内科製品が同15.7%増、麻酔・手術室消耗品が同3.9%増と堅調に推移しました。その結果、手術関連消耗品は同2.9%増となりました。

(※1)マスクや手袋などの個人用感染防護具

 

整形外科消耗品の売上高は、コロナによる影響を強く受けた主力の人工関節関連製品が、前期比3.7%増と増加に転じました。これは、2021年秋ごろより手術件数が徐々に回復していること、ロボットを用いた手術が急速に普及していることなどが要因です。また、比較的緊急性が高い脊椎関連製品は同11.3%増、外傷・スポーツ・関節鏡(※2)関連製品は同3.7%増となりました。その結果、整形外科消耗品は同5.0%増となりました。

(※2)膝や肩の関節内にカメラを挿入して行われる低侵襲手術

 

循環器消耗品の売上高は、新規顧客開拓の進んだカテーテルアブレーション(※3)関連製品が前期比20.6%増と業績を大きく牽引しました。また、心臓ペースメーカなどの不整脈治療用インプラント関連製品も同6.3%増、コロナの影響を大きく受けていた心臓虚血治療関連製品も8.8%増と堅調に推移しています。その結果、循環器消耗品は同9.4%増となりました。

(※3)頻脈の原因となる心筋組織を焼灼もしくは凝固する治療

 

設備備品の売上高は、医療機関の建て替えに伴う設備備品が想定を超えて獲得できたこと、コロナ対策の補正予算などによって陰圧装置(※4)や空気清浄機など少額備品の販売が引き続き好調であったことなどにより、前期比21.2%増と今期の業績を大きく牽引しました。

(※4)感染が疑われる患者の周囲を陰圧状態にすることでウイルスの拡散を防止する感染防護機器

 

その結果、医療器材事業は、売上高1,022億14百万円(前期比5.9%増)、営業利益18億88百万円(前期比33.8%増)となりました。

 

 

<SPD事業>

SPD事業は、コロナの影響により新規受託につながる営業活動が捗りませんでしたが、既存受託施設における感染対策製品のニーズは引き続き高い水準を維持しています。その結果、売上の増加が販管費の伸びを大きく上回ったことから、売上高は47億32百万円(前期比5.4%増)、営業利益は1億70百万円(前期比27.8%増)となりました。

 

<介護用品事業>

介護用品事業は、コロナの影響により在宅医療・居宅介護に対する関心が高まるなかで、当社のきめ細やかな営業活動が評価され、主力の介護用品レンタル売上高は前期比5.0%増と順調に推移しました。その結果、売上高は23億71百万円(前期比2.4%増)となりました。また、レンタルの利益率改善を引き続き推し進めたことにより、営業利益は1億71百万円(前期比18.0%増)となりました。

 

以上の結果、当期の連結売上高は1,079億59百万円(前期比5.8%増)、連結営業利益20億73百万円(前期比34.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益15億35百万円(前期比55.2%増)となりました。

 

(仕入及び販売の状況)

(1) 仕入実績

区分

金額(千円)

前期比(%)

医療器材事業

92,145,119

105.8

SPD事業

2,169,755

103.6

介護用品事業

1,299,587

100.1

合計

95,614,462

105.7

 

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

(2) 販売実績

区分

金額(千円)

前期比(%)

医療器材事業

101,009,898

105.9

SPD事業

4,578,404

104.9

介護用品事業

2,371,122

102.4

合計

107,959,426

105.8

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

  総販売実績に対する販売割合が10%以上の相手先はありません。

2 セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 ②財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は399億68百万円となり、前連結会計年度末と比べ34億6百万円増加しました。主な要因は、現金及び預金が10億30百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が23億3百万円、電子記録債権が3億11百万円、無形固定資産が1億16百万円それぞれ増加した一方で、有形固定資産が3億49百万円減少したことによるものです。

 また、負債は308億75百万円となり、前連結会計年度末と比べ24億44百万円増加しました。主な要因は、支払手形及び買掛金が18億66百万円、電子記録債務が10億32百万円、未払法人税等が77百万円、役員株式給付引当金が57百万円それぞれ増加した一方で、短期借入金が3億円、長期借入金が2億20百万円それぞれ減少したことによるものです。

 純資産は90億93百万円となり、前連結会計年度末と比べ9億61百万円増加しました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益により15億35百万円増加した一方で、自己株式の取得により1億29百万円、その他有価証券評価差額金が13百万円、退職給付に係る調整累計額が89百万円、配当金により3億9百万円それぞれ減少したことによるものです。

 この結果、自己資本比率は、0.6ポイント増加し、22.8%となりました。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は前連結会計年度末に比べ10億38百万円増加し、31億49百万円となりました。主な増減要因は以下のとおりです。

営業活動による資金の増加は、24億20百万円(前期は31億26百万円の増加)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益により21億36百万円、減価償却費により4億3百万円、仕入債務の増加により28億86万円それぞれ増加した一方で、売上債権の増加により25億95百万円、棚卸資産の増加により1億58百万円それぞれ減少したことによるものです。

投資活動による資金の減少は、2億11百万円(前期は6億30百万円の減少)となりました。主な要因は、定期預金払戻による収入により8百万円、有形固定資産の売却による収入により2億27百万円、連結範囲変更を伴う子会社株式の取得による収入により35百万円それぞれ増加した一方で、有形固定資産の取得による支出により2億98百万円、無形固定資産の取得による支出により1億55百万円、投資有価証券の取得による支出により30百万円それぞれ減少したことによるものです。

財務活動による資金の減少は、11億69百万円(前期は22億62百万円の減少)となりました。主な要因は、短期借入の返済による支出により3億円、長期借入金の返済による支出により2億20百万円、リース債務の返済による支出により1億74百万円、自己株式の取得による支出により1億35百万円、当社の配当金の支払により3億10百万円それぞれ減少したことによるものです。
 また、当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりです。
 当社グループの事業活動における運転資金需要は、商品仕入代金並びに販売費及び一般管理費の支払など、日常の運転資金が主なものです。これに対する資金は、顧客への販売代金の回収及び金融機関からの短期借入金で賄います。また運転資金に加えて、設備・システム・M&A等の投資資金需要が随時発生します。これに対する資金は、上記の方法に加えて、金融機関からの長期借入金により賄います。これらの資金調達方法により、毎月末のグループ全体の現預金残高は、概ね20億円程度確保することを方針としています。

 

(3) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りを合理的な基準に基づいて実施していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものはありません。

また、新型コロナウイルス感染症による影響は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しています。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しています。

これらのリスクに対して継続的にモニタリングを行って現状把握に努めるとともに、平時から対応策を検討し、リスクの最小化・分散化を図っていきます。

 

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