(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動に制限がある中、海外経済の持ち直しなどにより、輸出や生産活動の拡大が見られました。国内ではワクチン接種が進み感染者数が減少傾向に推移しましたが、新たな変異株の発生により感染の再拡大の兆候が見られ、その収束時期が見通せないことから、依然として景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
当社グループの主要販売先である電機・機械・自動車等の製造業においては、半導体不足などの懸念材料はあるものの、需要の増加により、生産が回復し、設備投資需要にも徐々に回復の兆しが見られました。
こうした中、当社グループでは中期経営計画「YKT Vision 100」の最終年度として電子機器及び工作機械等の主力商品の販売力・収益力の強化に取り組み、実践してまいりました。
中国市場では自動車や通信関連の設備投資需要が増加したため、電子機器の受注・販売が増加しましたが、国内市場では経済活動の制限が長引いたことにより、企業の設備投資計画が先送りとなり、期の後半にようやく受注状況が改善してまいりました。
その結果、工作機械の国内販売は減少しましたが、中国での旺盛な設備投資需要により、電子機器の輸出販売が伸長し、連結売上高は156億8千2百万円(前期比33.2%増)となりました。利益面でも、売上高の増加により、営業利益4億6千1百万円(前期比43.5%増)、経常利益6億3千4百万円(前期比38.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億3千6百万円(前期比39.3%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(電子機器及び工作機械等)
電子部品実装機を中心とした電子機器は、主に中国市場で自動車関連の車載機器やリモートワーク拡大による、通信機器、パソコン関連機器などのへの需要が増加したため、輸出販売が増加しました。また、工具研削盤を中心とした工作機械の国内販売も期の後半に経済活動が正常化に向かうとともに回復傾向にありました。その結果、当セグメントの売上高は149億4千4百万円(前期比33.1%増)、営業利益3億7千4百万円(前期比32.0%増)となりました。
(光電子装置)
光電子装置の販売は産業用及び研究用レーザー装置が増加し、当セグメントの売上高は7億4千6百万円(前期比34.7%増)、営業利益8千4百万円(前期比138.8%増)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態は、中国向け輸出販売の増加により一時的に商品残高が増加したことなどにより総資産は146億1千8百万円(前期比15.0%増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ19億3千2百万円増加し、102億7千万円となりました。これは受取手形及び売掛金が3億9百万円減少しましたが、商品残高が18億4千1百万円増加したこと、未収消費税等が4億3千5百万円増加したことなどによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ2千9百万円減少し、43億4千8百万円となりました。これは減価償却により建物及び構築物が3千2百万円減少したことなどによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ17億8千1百万円増加し、48億1千2百万円となりました。これは短期借入金が8億円、前受金が7億4千9百万円増加したことなどによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ3億7千万円減少し、28億7千2百万円となりました。これは長期借入金が3億9千4百万円減少したことなどによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ4億9千2百万円増加し、69億3千4百万円となりました。これは配当金の支払いが5千8百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が4億3千6百万円となり利益剰余金が3億7千8百万円増加したことなどによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結計年度末に比べ1億5千3百万円減少し、当連結会計年度末は32億6千1百万円(前期比4.5%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は7億9百万円となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益が6億2千7百万円となり、前受金の増加額も7億3千1百万円となりましたが、たな卸資産の増加額が18億2百万円、未収消費税等の増加額が4億3千4百万円になったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1千5百万円となりました。これは主として、差入保証金の回収による収入1千6百万円がありましたが、有形固定資産取得による支出3千7百万円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は4億9千7百万円となりました。これは主として、長期借入金の返済による支出11億3千4百万円がありましたが、短期借入れによる収入8億円、長期借入れによる収入9億円があったことによるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高(千円) |
前年同期比 (%) |
電子機器及び工作機械等 |
18,656,631 |
174.1 |
5,998,674 |
266.6 |
光電子装置 |
873,800 |
150.3 |
323,355 |
164.9 |
合計 |
19,530,431 |
172.9 |
6,322,030 |
258.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.受注高及び受注残高は販売金額によっております。なお、受注高には条件変更、為替変動等に伴う金額調整分を含めております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
電子機器及び工作機械等(千円) |
14,944,824 |
133.1 |
光電子装置(千円) |
737,724 |
134.6 |
合計(千円) |
15,682,548 |
133.2 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
WINLONG INTERNATIONAL LIMITED |
4,432,357 |
43.5 |
8,304,144 |
53.0 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績の分析
(電子機器及び工作機械等)
当セグメントの売上高は149億4千4百万円(前期比33.1%増)となりました。中国市場では新型コロナウイルス感染症の拡大を早期に抑制したことにより生産が回復し、製造業の設備投資も増加傾向にありました。国内では経済活動の制限が長引き、設備投資計画の先送りが見られましたが、ワクチン接種が進んだことにより、当連結会計年度の後半にようやく設備投資の回復が見られるようになりました。その結果、中国向けの輸出販売が増加いたしました。しかし、工作機械等の国内販売は、当連結会計年度の後半より受注環境が改善した為、売上高は減少いたしました。その結果、連結売上高は増加しましたが、販売条件の厳しい電子機器の輸出販売比率の増加により利益率が低下いたしました。
(光電子装置)
当セグメントの売上高は7億4千6百万円(前期比34.7%増)となりました。製造業で高精度な加工を目的として産業用レーザー装置や研究用レーザーの販売が増加しました。
これらの要因により、当連結会計年度の売上高は156億8千2百万円(前期比33.2%増)、売上総利益が24億7千4百万円(前期比16.5%増)となりました。「第11次中期経営計画(2019年度から3年間)」の最終年度計画(連結売上高135億円、売上総利益27億円)に対して、売上高は達成したものの、売上総利益が及びませんでした。
販売費及び一般管理費は新型コロナウイルス感染症の影響により引き続き交通費、広告宣伝費が低水準で推移しましたが、情報機器関連費用や業績回復により人件費の増加が見られ、20億1千3百万円(前期比11.7%増)となりました。その結果、営業利益4億6千1百万円(前期比43.5%増)となりました。
営業外収益では当連結会計年度より新たに本社ビルの不動産賃貸収入が計上されたこなどにより、経常利益6億3千4百万円(前期比38.0%増)となりました。
また、当連結会計年度においては特別損失として投資有価証券評価損7百万円を計上しており、親会社株主に帰属する当期純利益は4億3千6百万円(前期比39.3%増)となりました。
当連結会計年度は「第11次中期経営計画(2019年度から3年間)」の最終年度にあたります。新型コロナウイルス感染症の影響により、経済活動に制限があり経営戦略の実行が難しい部分がありました。そのため次期「第12次中期経営計画(2022年から3年間)」においても第11次計画の基本戦略を踏襲しつつ、新たな社会環境に対応した事業計画を実践してまいります。その計画の概要につきましては「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的な会社の経営戦略」に記載しております。
財政状態の分析
財政状態の分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であり、投資を目的とした資金需要の主なものは設備投資等によるものであります。
当社グループでは事業活動上必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金は自己資金及び金融機関からの借入金を基本としており、当連結会計年度における金融機関からの資金調達は長期借入金で9億円、短期借入金で8億円ありました。設備投資資金に関しましても自己資金及び金融機関からの借入金を基本としており、2020年度に完成した本社ビルに関しては、取引銀行2行とのコミットメント期間付タームローン契約により資金調達を行っており、当連結会計年度末残高は9億3千5百万円となっております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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