文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「良いつながりを広げ新たな価値を提供する」ことを使命とし、次の経営方針及び行動指針の
もと、企業価値を高める事業戦略を進めてまいります。なお、当社グループは、社会課題や環境への取り組みを
より一層強化するため、2021年12月1日付で、経営方針を一部改定しております。
(経営方針)
・多様で高品質な商品とサービスをグローバルに提供する
・常に自己革新に努め、成長の持続と社会的信用の向上を追求する
・企業統治を重視し、環境と安全に配慮しながら、企業価値の最大化に努める
・サステナビリティ基本方針のもとに持続可能な社会の実現に貢献する
(行動指針)
・お客様の立場を考え「モノ作りのパートナー」として信頼される
・活発な意見交換を行い、情熱とスピードとチームワークで挑戦する
・各人が能力向上に努めるとともに、均等な機会と公平な評価を重視する
・グループの発展と社員の幸福を追求する
(2)経営環境
世界経済は、ワクチン接種の拡大や各国の経済政策により、一部地域では経済活動の段階的正常化が進んでいるものの、ウクライナ情勢や、更なるインフレ懸念等により、当面は不透明な経営環境が続くものと予想されます。
エレクトロニクス業界におきましては、世界的な半導体等の供給不足が継続し、需給バランスの回復にはまだ時間がかかるものの、中長期的には、急速な技術革新(5G対応スマートフォンやIoTの普及、自動車市場におけるCASE化等)により、市場規模は一段と拡大していくものと予想されます。
また、中国系メーカーの台頭、米系ITプラットフォーム企業の急速な拡大等を背景に、業界構造が大きく変化しております。このような状況の中、当社グループは、市場環境の変化に柔軟に対応し、付加価値を創造し続けることで新たな需要を取り込み、以下「(3)経営戦略及び対処すべき課題」に記載の諸施策を実行することで、更なる企業価値向上を図ってまいります。
(3)経営戦略及び対処すべき課題
当社グループは、2020年4月から「エレマテックNEXT」をスローガンとした“3ヵ年の中期経営戦略”をスタートいたしました。競争が激化するエレクトロニクス業界において、考える(企画開発・設計)、集める(調達代行サービス)、作る(製造サービス)、支える(品質・環境マネジメント)、そして運ぶ(海外ネットワーク)といったサービス機能を統合し、今後さらに多様化するお客様のニーズにお応えする「統合サービス企業」として以下の戦略を遂行し、世界のものづくりパートナーを目指してまいります。
① 高付加価値型ビジネスの強化
独自の企画開発、設計機能を強化することに加え、それらを基にしたモジュール化や完成品(ODM)の提案力を強化してまいります。また、高機能な日本製商材と価格競争力に優れた新興国製商材を使い分け、顧客のニーズに合致した最適な解決策を提案してまいります。
② 国内外の有力顧客の開拓
国内有力顧客、中国系及び米系有力顧客の獲得に向け、専属チームの新設や顧客開発拠点への当社出店など、経営資源の重点配分を引き続き行ってまいります。また、これまで強化してきた技術力・品質管理能力等を活用することで、顧客ニーズの深掘りを行い、競争力のある商材や付加価値のあるサービス等を提供して、顧客基盤の拡大を図ってまいります。
③ 自動車関連ビジネスの強化
CASE(コネクティッド、自動運転、シェアリング、電動化)化等の急速な技術革新に対応するため、経営資源を重点配分することに加え、豊田通商グループの持つ様々な機能、ノウハウ及び海外拠点網を活用し、更なる成長スピードの加速を図ってまいります。
④ 成長戦略投資の実行
上述の事業戦略を推進するために、健全な財務体質の維持を図りつつ、優秀な人材の獲得、企画開発・設計機能の強化、新たな商材や商権の獲得及び他社とのアライアンスやM&Aなど、積極的な投資を進めてまいります。
⑤ コーポレート・ガバナンスの強化
すべてのステークホルダーからの信頼に応えられる経営の健全性、透明性及び効率性を確保することを目的に、リスク管理、内部統制、コンプライアンスなどへの取り組みを徹底し、持続的な成長と企業価値向上に向け、コーポレート・ガバナンスの強化を図ってまいります。
⑥ グローバル人材の育成
競争が激化するエレクトロニクス業界で、グローバルな競争に勝ち抜く人材を確保するため、優秀な人材の採用、体系的な教育の実施、多様化(D&I)の推進、海外駐在を含めた計画的な人事異動等を推進してまいります。
⑦ サステナビリティの推進
当社グループは、地球環境に配慮したビジネスの展開及び社会課題への取り組みを実践するため、事業を通じて優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しております。サステナビリティに関する取り組みを強化するため「サステナビリティ委員会」を新設し、今後、その直下にワーキング・グループを配し、全社横断的な施策の検討・立案及び取り組みを進めてまいります。事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献し、企業価値の向上を目指してまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主及び投資家の皆様を意識した経営を行うため、資本コストを上回るリターンを測る経営指標としてROE(自己資本当期純利益率)の向上を目指します。また経常利益率も、商社の販売活動の結果である売上総利益の確保と、為替の管理も含めた事業活動全体の生産性を示す有効な経営指標と考えております。これらの数値の毎年の変遷を観測し、経営にフィードバックさせてまいります。
連結でのROE及び経常利益率の変遷は以下のとおりとなっております。
|
2018年3月期 |
2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
R O E |
9.5% |
6.9% |
6.5% |
7.0% |
9.4% |
経常利益率 |
3.1% |
3.4% |
2.6% |
2.9% |
3.9% |
*「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から
適用しており、当連結会計年度に係る主要な経営指標については、当該会計基準等を適用した後の指標と
なっております。
お知らせ