事業等のリスク

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、株主及び投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあると考えております。当社グループは、これらのリスクが将来発生し得るという認識のもと、発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。ただし、これらは全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できないもの、もしくは現時点では重要とは認識していないリスクの影響を将来受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)エレクトロニクス業界の業況に関するリスク

 当社グループは、カーエレクトロニクス、スマートフォン等情報機器端末、産業機器、医療機器など、様々なエレクトロニクス製品分野を対象に、国内及び海外において電子材料・電子部品、設備等を販売及び加工・組立することに加え、設計及び製造受託することを主たる業務としております。また近年では、他社ブランド製品を設計から製造(当社では製造は外部へ委託しております)まで行うODMビジネスにも力を入れております。このため当社グループの業績は、エレクトロニクス業界全体の業況の影響を受けることとなります。当社グループとしましては、より多数の顧客へ多彩な商材を提供するリスク分散経営を推進しておりますが、取引の対象であるエレクトロニクス業界全体の業況が悪化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (2)技術革新に関するリスク

 当社グループが取り扱っているエレクトロニクス製品は、技術の進歩が非常に早いため、得意先の製品のライフサイクルの影響を受けるほか、技術革新によってより有利な他社製品が出現した場合、自社で取扱う商品の競争力の低下、コモディティ化、不動在庫化、価格低下等のリスクがあります。このため常に新技術への対応をはじめ、市場調査力や商品開発力の強化、独自性のある商品提案力の向上が必要となります。

 当社グループでは営業部門、開発部、技術部及び環境・品質保証部が連携して新技術への対応や新技術を活用した企画・提案に努め、常により利益を生み出す新商材や新ビジネスの開拓に努めておりますが、こうした技術革新へのキャッチアップが十分にできなかった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3)得意先の業況に関するリスク

 当社グループの得意先は、製品の低価格化、世界的なシェア競争等の厳しい事業環境に置かれております。また国内外における様々な経済環境の動向により、短期間の間に製品の需要が大きく変動することがあります。このような中、当社グループは各得意先に対して高付加価値かつ高品質の商材を掘り起こして供給するとともに、得意先の拡大及び開拓に努めております。

 しかしながら、得意先の製品が市場での優位性を失って需要が低迷したり、それに伴う大幅な生産調整が行われたりした場合、当該得意先に商品を供給している当社グループの売上も同様に減少したり、不動在庫が発生したりすることになります。このように得意先の業況が悪化した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (4)仕入先の業況に関するリスク

 当社グループは、スリーエムジャパン㈱からの仕入割合が2022年3月期において6.8%を占めており、ディスプレイ関連部材を中心に、同社は競争力のある商材の重要な仕入先となっております。当社グループは、1982年より同社と特約店基本契約を締結しており、それ以降安定的な取引関係を維持しております。同社の事業方針変更等があった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (5)品質不良、リコール、環境基準及び品質保証に関するリスク

 当社グループが供給する商品もしくは商品が組み込まれた製品について、得意先における品質不良や市場におけるリコール等が発生し、当社グループがその損害賠償を負担せざるを得なくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また昨今、電気電子機器等を対象とした有害物質使用の規制が強まっており、これに適合した商品を供給できる品質管理体制の維持向上がより重要となっております。このため当社グループでは仕入先との連携を深め、日本を含む各国の環境基準(例えばRoHS指令等)や品質基準に適合した商品を得意先に提供できるよう、全社的な対応を行っておりますが、当社グループの取扱商品に環境基準に適合しない物質が混入するといった事態が発生し、得意先より請求される損害賠償を負担せざるを得ない事態となった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (6)海外事業に関するリスク

 多くの国内メーカーが国際的な販路の拡大、また生産コストの低減・効率化等を目的として、国内生産拠点の海外移転や海外生産拠点の集約及び再配置、もしくは海外EMSメーカー(電子機器製造における設計、製造に加えて、開発や物流管理までを請け負う受託製造サービス会社)に設計や生産の委託を行っております。

 当社グループは、こうした動きに対応するとともに海外メーカーへの販売推進を図るため、海外現地法人を通じて海外における商品の供給体制を確立し、内外でのコスト競争力と事業の収益性を高めてまいりました。この結果、当社グループにおける2022年3月期の連結売上高に対する海外売上高比率は、52.0%となっており、なかでも中国への売上高は25.1%、その他アジア(韓国、インド、東南アジア等)は23.6%となっております。このため海外各国における政治情勢、経済環境、法律や政策の変化やその国固有の事情によって、当社グループの販売及び事業活動が制限される等の事態が生じた場合や、そうした変化への対応が十分に出来なかった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (7)信用に関するリスク

 当社グループは、国内の大手企業との取引拡大に努めつつも、高付加価値を生んでいる中小企業の開拓や取引も推進しております。また中国系メーカーをはじめとする新たな海外取引先の開拓にも注力するなど、グローバルな事業展開を進めております。

 当社グループでは、こうした国内外の各取引先との取引において、売掛金等の形で取引先に対して信用供与を行っております。このため自社の与信審査制度を導入しており、取引先ごとに社内規定に基づいた信用限度額を設定して与信管理を実施するとともに、取引先の信用力について定期的なモニタリングを行い、貸倒れリスクの回避を図っております。しかしながら、日本を含む各国の経済環境や景気の変化、取引先固有の事情等によって債権等が回収不能になった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)為替変動に関するリスク

 当社グループは、今後も海外における事業の比重が大きくなることが予想されます。外貨建てでの取引に加え、当社グループの海外現地法人は、各社とも外貨建てで財務諸表を作成しております。当社グループの連結財務諸表は、これら海外現地法人の財務諸表を日本円に換算して作成していることから、日本円に対するその他の通貨価値の上昇または下落により、連結上の利益または損失が発生する可能性があります。このため当社グループでは、為替予約を活用しております。さらに2019年2月に連結子会社から当社への配当方針を変更し、連結決算における為替換算調整勘定の増減による為替変動リスクの低減を図っております。しかしながら、これによって完全に為替変動リスクを回避できるわけではなく、大幅かつ急激な為替変動があった場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (9)自然災害、新型コロナウイルス感染症等に関するリスク

地震、大雨、洪水等の自然災害や異常気象、伝染病の蔓延、戦争、テロ、暴動その他予測の範囲を超える事態が発生した場合、当社グループの社員や事務所、システム等に対する被害が発生し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。当社グループではBCP(事業継続計画)を策定し、このような事象が発生した場合における事業継続のための対策を立てております。しかしながら、これによって全ての影響を排除することができるとは限らず、こうした事象が発生した場合、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症は、依然として収束の見通しが立っておらず、国内外の人々の健康・生活はもちろん、経済活動に対して影響を及ぼしております。当社グループにおきましては、新型コロナウイルス対策本部を設置し、各国政府及び各自治体の方針に従って事業活動を継続しておりますが、感染拡大に伴う国内外経済の下振れ、取引先の減産や生産停止、航空便の減少や海上コンテナの不足に起因する運賃の高騰などが、今後の事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)気候変動に関するリスク

 当社グループにおきましては、気候変動を重要な経営課題の1つとして認識しており、「サステナビリティ推進準備室」において、重要課題(マテリアリティ)の特定を中心とした取り組みを進めてまいりました。さらに、気候変動を含めたサステナビリティに関する取り組みをより一層強化するため、当該準備室を発展させ、2022年4月に「サステナビリティ委員会」を設置致しました。今後、当該委員会の直下にワーキンググループを配し、気候変動に係るリスク及び機会が当社の事業活動や収益等に与える影響について、データの収集・分析を行い、施策の検討・立案及び取り組みを進め、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)等の枠組みに照らしつつ、その進捗に合わせて開示を進めてまいります。しかしながら、気候変動により、当社グループの事業活動及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)情報システムに関するリスク

 当社グループで使用しているシステムに関しては、適切なセキュリティやバックアップ体制を整えておりますが、予測の範囲を超える大規模停電、災害、コンピュータウイルスの感染、不正アクセスといった原因によって、システムの停止、データの消失等の事態が発生した場合、通常の事業活動に支障が生じ、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新規取引先との売上取引の実在性に関するリスク

 当社グループは、国内外で新規商材を開拓するとともに、海外で非日系得意先へ商材を展開しております。その際に、多様な仲介取引を行う商社としての性質に鑑み、架空・循環取引が行われるリスクに注意を払っております。

 それらのリスクを含む新規得意先との取引に係る2022年3月期の売上高は、連結財務諸表において1,984百万円(連結売上高の1.0%)、財務諸表において363百万円(売上高の0.2%)に上っており、これらの売上の実在性のリスクに対しては十分に注意を払っております。このため新規取引の開始にあたっては、得意先及び仕入先の調査を始めとする取引審査を行い、取引の実在性・適正性を確認しております。

 また、直送取引については、社内ガイドラインの策定・運用を行っております。これらを通して当社グループが架空・循環取引の当事者となるリスクを事前に回避する対策をとっております。

 しかしながら、当社の把握できない事情により、当社グループがこうした架空・循環取引の当事者となるような事態が生じた場合、予期せぬ損失の発生など、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

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