業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの新たな変異株の登場により活動制限が再び強化され、景気への下押し圧力が強まる状況もありましたが、新型コロナウイルス対策の進展や行動制限の緩和により、総じて景気回復基調で推移しました。また、世界経済においては、オミクロン株感染再拡大により、中国においては、一部の地域でゼロコロナ政策に伴う厳しい活動制限の実施に加えて、2月下旬からのロシアによるウクライナ侵攻を受け、欧州各国はロシアへの経済・金融制裁を発動するなど、次期の我が国経済に与える影響も不透明感があります。

エレクトロニクス業界におきましては、新型コロナ感染再拡大による消費市場へのネガティブインパクト、半導体不足および不安定なサプライチェーンに伴うセット生産制約への影響が一部ではみられたものの、リモートワークを支えるPCおよびデータセンターストレージ向け、5Gの普及拡大による関連部品の需要が拡大しました。

このような状況下、当社グループは、TVおよびモニター向け液晶パネルの販売が減少したものの、データセンターストレージ向けを中心にDRAM、NAND FLASH製品の売上が拡大したこと、国内市場においてSiPビジネスの売上が拡大したこと、海外市場においては、引き続きスマートフォン向け高精細カメラ用CIS(CMOSイメージセンサー)およびMCPの売上が伸びたこと、そして、上半期のメモリー価格上昇と下半期の円安基調もあり、売上高は4,628億22百万円(前年同期比53.1%増)と過去最高を更新いたしました。また、収益性の改善により、営業利益は106億29百万円(同112.7%増)、経常利益は84億78百万円(同85.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は63億79百万円(同85.1%増)となり、利益も過去最高益となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(日本)

データセンターストレージ向けおよびPC向けにDRAM、NAND FLASH製品の売上が拡大したこと、SiPビジネスおよびファウンドリービジネスの売上が伸びたことから、このセグメントの売上高は1,684億33百万円(同44.7%増)となりました。セグメント利益は収益性の改善等もあり、48億88百万円(同147.6%増)となりました。

(海外)

サーバー・ストレージ向けDRAMおよびNAND FLASH製品の売上が拡大したこと、スマートフォン向けに高精細カメラ用CISおよびMCPの売上が伸びたことから、このセグメントの売上高は2,943億88百万円(同58.3%増)となりました。また、セグメント利益は56億19百万円(同90.6%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、82億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億33百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、58億96百万円の収入(前年同期は115億83百万円の支出)となりました。これは主に前受金の減少(101億87百万円)、売上債権の増加(12億64百万円)により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益の計上(84億78百万円)、棚卸資産の減少(57億40百万円)により資金が増加したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、1億83百万円の支出(前年同期比1億53百万円増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出(1億49百万円)によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、75億97百万円の支出(前年同期は112億96百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の減少(59億41百万円)、配当金の支払(11億56百万円)により資金が減少したことによるものです。

③仕入及び販売の実績

a.仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

213,628

143.6

海外(百万円)

295,570

151.2

合計(百万円)

509,198

147.9

(注)セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比(%)

日本(百万円)

219,626

150.0

海外(百万円)

303,909

159.5

合計(百万円)

523,536

155.4

(注)1.セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

O-film Global (HK) Trading Limited

56,700

16.8

59,251

11.3

 

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)および2 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)経営成績

当連結会計年度の売上高は4,628億22百万円(前年同期比53.1%増)となりました。品目別には以下の通りになります。

なお、当連結会計年度より、「液晶デバイス」から「ディスプレイ」に区分変更し、「その他」に含まれていた有機ELは「ディスプレイ」に区分変更しております。

このため、以下の前年同期比較は前年同期の数値を変更後の区分に組み替えた金額で比較しております。

(メモリー)

データセンターストレージおよびPC向けにDRAM、NAND FLASH製品の売上が拡大したこと、スマートフォン向けMCPの売上が伸びたことから、この分野の売上高は3,389億53百万円(前年同期比69.8%増)となりました。

(システムLSI)

国内市場において、SiPビジネスおよびファウンドリービジネスの売上が拡大したこと、中国市場において、引き続き、カメラの複眼化および高精細化により、高画素CISの売上が拡大したことから、この分野の売上高は973億23百万円(同35.6%増)となりました。

(ディスプレイ)

国内・海外市場ともに、テレビおよびモニター向け液晶パネルの売上が大幅に減少したことから、この分野の売上高は146億73百万円(同34.9%減)となりました。

(その他)

国内市場において、車載、情報機器向けMLCCの売上が伸びたこと、海外市場向けに、テレビ用バックライト用LEDの売上が伸びたことから、この分野の売上高は118億73百万円(同39.2%増)となりました。

 

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より8億38百万円増加し、37億円(同29.3%増)となりました。これは主に貸倒引当金繰入額が減少(△31百万円)しましたが、給与手当及び賞与、賞与引当金繰入額および保険料が増加(5億50百万円)したことによるものであります。

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度より20百万円増加し、1億10百万円(同22.5%増)となりました。これは主に持分法による投資利益の増加(23百万円)によるものであります。

当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度より17億35百万円増加し、22億61百万円(同330.3%増)となりました。これは主に債権売却損および為替差損の増加(16億38百万円)によるものであります。

 

2)財政状態

当連結会計年度末の総資産の残高は、1,169億90百万円(前連結会計年度比2.4%減)となりました。これは主に預け金が減少したことによるものです。

負債の残高は、776億25百万円(同10.9%減)となりました。これは主に前受金が減少したことによるものです。

純資産の残高は、393億64百万円(同20.0%増)となりました。これは主に親会社株式に帰属する当期純利益の計上、配当金の支払、為替換算調整勘定の増加によるものです。

 

b.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

1)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

2)資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の購入代金及び人件費等の販売費及び一般管理費の支払いによるものであります。

当社グループはこれらの資金需要に対し、自己資金および金融機関からの借入を基本としており、金融機関からの借入の主な通貨は日本円および米ドルであります。

なお、当連結会計年度末における金融機関からの借入金の残高は95億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は82億16百万円となっております。

 

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

中期経営計画(2020年4月~2023年3月)の2年目である2022年3月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。

売上高は新規顧客開拓や既存ビジネスのシェア拡大により、PC向けおよびデータセンターストレージ向けにDRAM、NAND FLASH製品の売上が拡大したこと等により4,628億22百万円(前年同期比53.1%増)と過去最高を更新いたしました。加えて、新規ビジネスの貢献等により、親会社株主に帰属する当期純利益は63億79百万円(同85.1%増)、ROEは18.0%となりました。

 

 

2023年3月期

(2020年4月策定)

2021年3月期

(1年目)

2022年3月期

(2年目)

売上高

3,000億円

3,023億円

4,628億円

当期利益

安定的に30億円

34億円

63億円

ROE

安定的に8%

10.8%

18.0%

 

中期経営計画2年目である2022年3月期に関しましても、経営目標を大きく上回る実績となりました。しかしながら、ロシア、ウクライナ戦争や、新型コロナ感染再拡大による中国市場のロックダウンの影響等、当社を取り巻く厳しい環境を鑑み目標は据え置き、本経営目標の達成状況も踏まえた次期中期経営目標の策定と、次のステップへ繋げていきたいと考えております。

当社グループは環境、社会、ガバナンスの各課題に積極的に取り組みを通じてSDGsへの貢献を常に意識しながら、引き続き更なる業績拡大と経営の効率化を図り、当該指標の達成に向け取り組んでまいります。

 

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