(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載の通りであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限と緩和が繰り返される中、世界経済の回復を背景に製造業の収益が改善し、設備投資が増加傾向となるなど、持ち直しの動きが見られましたが、原油などの資源価格の高騰もあり、景気の先行きについては不透明な状況で推移しました。
当社グループにおける当連結会計年度の経営成績については、売上高179,907百万円(前期比25.6%増)、営業利益8,131百万円(前期比76.0%増)、経常利益7,318百万円(前期比58.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,085百万円(前期比61.8%増)となりました。
当社グループにおける報告セグメントに係る業績については、次のとおりであります。
[半導体及び電子デバイス事業]
データ通信量の増大等を背景とした世界的な半導体需要の拡大に伴い、需給逼迫が継続している中、当社グループでは産業機器向けや車載向けをはじめ幅広い分野における半導体製品への需要が高水準で推移したことに加え、顧客商権の拡大も寄与したことなどから、当連結会計年度は外部顧客への売上高156,446百万円(前期比31.1%増)、セグメント利益(経常利益)5,083百万円(前期比183.9%増)となりました。
[コンピュータシステム関連事業]
クラウドへの移行やセキュリティ対策、サーバ仮想化といった企業のIT投資は堅調に推移しているものの、当社では半導体不足の影響で納期が長期化したことに加え、「収益認識に関する会計基準」等を適用したことにより、当連結会計年度は外部顧客への売上高23,460百万円(前期比2.0%減)、IT技術者の採用に伴い人件費が増加したことなどからセグメント利益(経常利益)は2,234百万円(前期比21.2%減)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ16,174百万円増加し98,895百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が7,674百万円増加したことに加え、前払費用が4,865百万円増加したことによります。
固定資産は前期末に比べ757百万円増加し8,906百万円となりました。これは主に、当社の連結子会社である東京エレクトロン デバイス長崎株式会社における固定資産の譲渡及び取得に伴い、有形固定資産(建物及び構築物)が1,681百万円増加した一方、当社の連結子会社である株式会社ファーストに係るのれん及び無形固定資産が減損損失の計上等により1,499百万円減少したことによります。
この結果、総資産は前期末に比べ16,931百万円増加し107,801百万円となりました。
流動負債は前期末に比べ16,625百万円増加し56,622百万円となりました。これは主に、1年以内返済予定の長期借入金も含む短期借入金が6,403百万円増加したことに加え、前受金が4,275百万円増加したことによります。
固定負債は前期末に比べ2,059百万円減少し19,160百万円となりました。これは主に、長期借入金が2,412百万円減少したことによります。
純資産は前期末に比べ2,365百万円増加し32,018百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は28.7%となり、前連結会計年度末に比べ3.2ポイント低下いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べて362百万円減少し、5,028百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は891百万円(前期は3,463百万円の支出)となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の増加や前払費用の増加等の資金減少要因が、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増加等の資金増加要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は155百万円(前期は469百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は606百万円(前期は5,079百万円の収入)となりました。これは主に、短期借入金の増加等の資金増加要因が、配当金の支払や自己株式の取得による支出等の資金減少要因を上回ったためであります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において行われる判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループの売上高は通常、注文書に基づき顧客に対して商品を引渡した時点、またはサービスが提供された時点で計上されます。なお、仕入先から顧客への商品直納販売については顧客受領時、預託在庫販売については顧客使用時、受託開発取引等検収確認が必要な取引については顧客検収完了時に計上されます。
当社グループは、顧客の債務不履行等により発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の支払能力低下による入金遅延が生じ、その後速やかに回収が見込まれない等の場合は、当該顧客への債権金額の50%以上引当金設定を行うことを原則としています。また、その他一定の信用悪化が認められた顧客に対する債権については個別に評価を行い、保守的な見積もりに基づく引当金設定を行う方針としています。
当社グループは、棚卸資産の評価について原則として原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。販売価格の低下や販売が困難と認められる棚卸資産については個別に簿価の切り下げを行う他、仕入日から一定期間を経過した棚卸資産が陳腐化したものと仮定し、期間の経過に応じ機械的に簿価の切り下げを行う等、早期に評価減を実施する方針としています。なお、期間の経過に応じた機械的な簿価切り下げ額は、当社グループが定めた商品の一般的なライフサイクル期間(5年~6年)での均等償却により算定していますが、当該期間よりも早く陳腐化等が進む棚卸資産が発生した場合は追加的な切り下げが必要となります。
当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、工具、器具及び備品、ソフトウェア等を有しております。現状、2022年3月期に減損処理を行った固定資産以外に減損の兆候がみられる資産はありませんが、今後、受注状況や市場動向に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
有価証券等への投資につきましては、株式及びゴルフ会員権等の保有があります。金融商品の投資価値の下落がその時点の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合には投資の減損又は貸倒引当金の計上を行っております。なお、将来の市況悪化等により、投資の減損又は貸倒引当金の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を毎決算期に見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後、業績の悪化等により繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性に懸念が生じた場合、繰延税金資産の取崩額が費用として計上される可能性があります。
なお、評価性引当額の設定は主に、関係会社株式評価損、ゴルフ会員権評価損及び貸倒引当金に対して行っております。
当社グループの退職給付に係る負債又は資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績については、代理店契約の解消や「収益認識に関する会計基準」等の適用、納期の長期化による影響等により、コンピュータシステム関連事業の売上高が前連結会計年度に対し若干の減少となった一方、半導体及び電子デバイス事業においては半導体等の供給問題を抱えながらも製品需要は引き続き高水準で推移し、当社グループにおける顧客商権の拡大も寄与したことなどから、売上高・利益とも前連結会計年度に比べ大幅に増加したことで、グループ全体としては売上高179,907百万円(前期比25.6%増)、経常利益7,318百万円(前期比58.2%増)・経常利益率4.1%(前期は3.2%)となりました。このような外部環境も含めた業績推移のほか、連結子会社における土地・建物の交換に伴い生じた受贈益や、のれん及び無形固定資産の減損損失といった特別損益の計上により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は5,085百万円(前期比61.8%増)となり、ROE(株主資本利益率)については17.2%(前期は11.4%)となりました。
当連結会計年度が実行初年度となる中期経営計画「VISION2025」(計画最終年度:2025年3月期)では、世界全体の経済成長率が逓減していく一方で高効率スマート社会(Society 5.0)の到来を事業環境として予測・想定し、「DRIVING DIGITAL TRANSFORMATION」として、デジタルトランスフォーメーションを実現する製品・サービスの提供によって社会の持続的な発展への貢献を当社グループのミッションとして掲げております。この計画のミッションを全うしていくためにもメーカー機能を持つ技術商社から技術商社機能を持つメーカーへの移行を推し進め、技術商社機能としては、データ・サービス・ストックビジネスを利益の源泉とするビジネスモデルを確立し、安定的な利益の基盤を構築してまいります。また、メーカーへの移行に向け、当社では以下の内容を重点ポイントとしております。
a.データサイエンス・画像処理・ロボティクスを駆使した モノづくりシステムメーカー
b.設計量産受託サービスで培われた技術に基づくODMメーカー
c.強力なシステム開発力・提案力を有する 設計開発部門
d.マスカスタマイゼーション対応の 高効率スマート工場
また、この計画では以下の財務モデルを設定し、増益率が増収率を上回る増益増収を基本方針として会社の持続的な成長を目指してまいります。
(中期経営計画(VISION2025)の最終年度(2025年3月期)における財務モデル)
中期経営計画の初年度となる2022年3月期の業績については、前述の通り好調なスタートとなりました。計画の2年目となる2023年3月期の見通しとしては、半導体をはじめとする各種部材・製品の需給逼迫や地政学的リスク、資源価格の高騰等、景気に対するマイナス要素も散見され、先行きが不透明な状況となっているものの、半導体の需給動向に関しては半導体メーカーの製造ライン増設等の効果も含め、年度後半以降からは徐々に改善の兆しが出てくるものと見込んでおり、当社グループの業績についても引き続き半導体等の需給状況に連動していくものと考えております。また、新型コロナウイルス感染症に関しては、社会的な鎮静化には時間を要すると考えられるものの、当社グループの業績に与える影響は軽微なものと想定しております。このような事業環境を踏まえつつ、中期経営計画「VISION2025」の達成に向け、コンピュータシステム関連事業におけるサービス型ビジネス、半導体及び電子デバイス事業における最先端半導体と設計・量産受託ビジネスを組み合わせたサービス、プライベートブランド事業における新たな取り組みの始動や技術開発と顧客獲得等を推し進めてまいります。
(計画2年目(2023年3月期)における通期連結業績予想)
当社グループの事業活動における主な資金需要は商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その他、プライベートブランド事業におけるメーカー機能の強化を図るための設備投資や研究開発投資、M&A投資等があります。上記、運転資金については内部資金、銀行からの短期借入金及び売上債権の流動化により調達を行い、投資資金については内部資金及び銀行からの長期借入金により調達を行うことを基本としております。一方、銀行借入金の一部を長期固定金利契約とすることにより、金利変動リスクの軽減を図っております。
日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用する方針としております。なお、取引銀行6行と当座貸越契約(2022年3月31日現在、極度額合計49,001百万円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。
また、新型コロナウイルス感染症が一定の収束を迎えるまでの間は、手元資金残高を平常時よりも増やすことや資金調達時期を前倒す等により調達リスクの低減を図ってまいります。それに加え今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。
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