文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
当社グループは、「価値ある食文化の提案」を企業理念とし、ともに働く仲間の幸福を最大限に追求し、当社で働く一人ひとりの経済的利益と精神的成長を達成することで、お客様へ最大の満足を提供し、地域社会へ貢献してまいります。
社会に必要とされる「食ブランド」を創造するために、社会の変化の中で新たに生まれたニーズに合った新業態開発、既存業態のブラッシュアップを行い、お客様に喜びと驚きを提供することを目指して事業を行っております。当社グループは常にお客様起点で、価値ある食文化を提案し続けることで、持続的な成長を図り、企業価値の拡大に取り組んでまいります。
当社グループは、持続的な成長と安定的な収益性を重視する観点から、水産6次産業化モデルの構築と店舗事業における収益基盤の再構築により、中期的に売上高営業利益率5%以上を目標としております。
外食産業において、新型コロナウイルス感染症拡大による業績への影響は大きく、収束時期の見極めが非常に困難である中、顧客の消費行動や価値観、競合他社の動向等当社を取り巻く環境は急激に変化しております。
このような状況を踏まえ、当社は「Withコロナ時代」においても業容を拡大し、収益を確保できる事業ポートフォリオを構築するため、以下のとおり事業構造の変革を進めてまいります。
コロナ禍によって、テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の外食機会における消費行動は都市部一極集中から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定しております。
当社は、住宅地を背景にもつ郊外型の店舗である大衆酒場「アカマル屋」の業態確立と出店を進めてまいりました。当業態は、投資効率の高い業態であるうえ、立地特性上、コロナ禍においてもお客様から一定以上の支持をいただいておりますことから、次期以降についても当業態の出店・拡大に取り組んでまいります。
② ノンアセット型ビジネスモデルの拡大
大きな固定投資を伴わない官公庁を中心とする飲食施設の運営受託事業は運営店舗数のおよそ4割となり、事業ポートフォリオの再構築は順調に進んでおります。また、「東京チカラめし」は、香港の現地企業とライセンス契約を締結したのち、3号店まで順調に出店をしており、今後も海外においてライセンスによる展開・拡大を目指してまいります。加えて、お客様の手元に「届ける」事業である弁当等の中食事業や自社運営サイト「ひとま」(https://hitoma-tuhan.com/)のEC通販事業等は堅調に推移しており、今後も事業の拡大に努めてまいります。
当社は、2020年9月に沼津我入道漁業協同組合(以下、「我入道漁協」という。)との業務提携により水産事業を立ち上げ、現在では、漁業者(漁協、漁師)や魚市場から直接仕入れることができるようになり、さらに2021年11月に水産仲卸・加工業の株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)及び2022年7月に豊洲市場に7社しかない水産物卸売会社(大卸)の綜合食品株式会社(東京都江東区)を100%子会社化したことにより、消費者に最も近い飲食店舗の運営者としての経験を活かして、「水産の6次産業化」及び「水産DXプラットフォーム」を展開する段階となりました。
当社では従来の飲食事業にとどまらず、当社の持つ「価値ある食文化の提案」という企業理念をより一層深め、SDGsが掲げる理念のもと持続的な成長が期待できる新規事業を構築し、これを新たな収益の柱として育成いたします。
当社グループが属する外食産業を取り巻く環境は、お客様の価値観や行動様式、ニーズの変化、中食市場の成長に加え、2020年2月下旬以降の新型コロナウイルス感染症拡大防止を目的とした各自治体からの営業自粛や営業時間短縮等の要請があり、来店客数が大幅に減少する等、依然として厳しい経営環境が続くものと予想されます。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、お客様をはじめ、お取引先様、従業員の安全を最優先とし、政府・自治体の方針に沿った店舗営業の他、全従業員一人ひとりが行うことができる感染予防対策の徹底並びに出勤の自粛や時差出勤の活用等を推進し、感染拡大を防ぐ取り組みを行っております。
また、時差通勤、テレワークといった急速に変化する生活様式に柔軟に対応し、食を通じて多くの方に幸せを感じていただける、新たな商品とサービスの形を提案してまいります。
② 収益改善施策の実施
現在、当社グループは短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。
当社グループは、コロナ禍においても大きな影響を受けずに収益を確保できる当社グループ独自の事業ポートフォリオの構築を目的として、既存事業とのシナジーを追求した水産事業の6次産業化モデルを構築いたします。
2020年12月に我入道漁協に加入し組合員となって以降、沼津で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を、当社飲食直営店舗での提供のみならず、法人営業を行い他の外食事業者並びに小売業者への販売経路を開拓しております。また、一般消費者に鮮魚の移動販売を行う等、水産事業の実績を積み重ねてまいりました。
2021年9月より、地方卸売市場沼津魚市場において当社が保有する買参権による買い付けを開始、同年11月に子会社化した株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)の水産仲卸・加工事業と沼津で行う水産事業の連携により、商品開発力を強化、さらに同年12月に我入道漁協の組合員から漁業研修船兼自社運用船として漁船を譲り受ける等、1次産業から2次産業の事業ポートフォリオ構築を進め、より一層地域に密着し信頼関係を深めることで地域生産者の課題解決に尽力してまいりました。さらに、2022年7月に豊洲市場で7社しかない水産物卸売会社(大卸)である綜合食品株式会社(東京都江東区)を子会社化いたしました。
当社グループは、これからも全国の産地に入り込み、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)と共に地域ビジネスの創出に取り組み、これまで飲食事業で蓄積した3次産業のノウハウを活かした「売れるものを創る」ことで、水産事業の6次産業化モデルの構築を引き続き進めてまいります。
当社は、当社グループのサステナビリティ基本方針に沿った持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を果たすべく、「生産者とともに歩む産地活性化プラットフォーマー」を目指してまいります。
テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。「アカマル屋」「焼肉万里」は郊外に位置しており、コロナ禍においてもお客様から一定の支持をいただいております。とりわけ「アカマル屋」は、高効率かつ高収益モデルのブランドであり、2021年10月に門前仲町店(東京都江東区)、2022年4月に鮮魚店併設店舗(埼玉県さいたま市)、2022年5月に新小岩店(東京都葛飾区)、2022年6月に阿佐ヶ谷店(東京都杉並区)を出店いたしました。新業態として「宮益坂下 酒場」(東京都渋谷区)を2022年3月に出店、当社グループの水産事業拠点(静岡県沼津市及び浜松市)から届く食材を店内仕込みにこだわり、新鮮な魚を「おすすめ商品」として提供いたします。
また、大きな固定投資を伴わない受託事業は3店舗を出店いたしました。今後もこれらの事業について慎重な出店判断を行ってまいります。
さらに、「東京チカラめし」について、2021年4月に香港の飲食企業と香港における「東京チカラめし」の出店に関するライセンス契約を締結し、同年6月に1号店、同年9月に2号店及び同年12月に3号店を出店いたしました。引き続き香港での出店に加え、今後はアジア全地域でのライセンス契約獲得に取り組んでまいります。
当社グループの取り組みとして、引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。具体的な取り組みとして、業務プロセス及びITシステムの見直しによって業務の省力化を実現することで、人件費等をより一層極小化いたします。さらに本社費用等、様々な施策によりコストを削減いたします。
2021年12月に新株予約権の行使により5億円の資金を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。
ロ.金融機関との関係強化
前述した収益改善施策の実施による営業収支の改善効果が現れるには一定の時間を要することから、今後も安定した資金繰り管理を目的として金融機関との関係強化と調達交渉に努めてまいります。
ハ.運転資金の十分な確保
売上高の減少等により資金残高が減少傾向にあることから、運転資金を十分に確保することが最優先課題となっております。事業の利益管理をより一層強化し、また、経営環境の変化を慎重に見極めながら投資を実行し、確実な回収を実現することで、運転資金の十分な確保に努めてまいります。
以上のように、当連結会計年度において進める構造改革の効果が経常的に見込まれることから、収益改善及び財務基盤の強化が図られ、これによって安定的に営業収支が改善する見込みであります。
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