業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況(以下、「経営成績等」という。)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態

当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ3,426百万円増加し、22,804百万円となりました。これは主に、現金及び預金が4,940百万円増加した一方、有形固定資産が967百万円減少したことによるものであります。

負債合計は前連結会計年度末に比べ1,224百万円増加し、17,416百万円となりました。これは主に、長期借入金が6,210百万円増加した一方、転換社債型新株予約権付社債が1,999百万円、1年内返済予定の長期借入金が1,820百万円、短期借入金が1,100百万円減少したことによるものであります。

純資産は前連結会計年度末に比べ2,202百万円増加し、5,387百万円となりました。これは主に、資本金が2,299百万円並びに資本剰余金が2,091百万円増加した一方、利益剰余金が2,465百万円減少したことによるものであります。

 

(2) 経営成績

当連結会計年度における経営環境は、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大の影響を強く受け、長引く緊急事態宣言とまん延防止等重点措置により、飲食店や商業施設に対する休業や時短営業、酒類提供の制限が要請されるなど、飲食・サービス業界において非常に厳しいものとなりました。

このような環境の中、当社グループでは、社会的な責任とお客様及び従業員の安全を確保するため、行政からの各種要請を遵守することを基本としながら売上の最大化を図る方針で各事業を展開してまいりました。コロナ禍当初より推進している当社独自の安全基準「Hiramatsuスタンダード」について、コロナ感染状況等を見ながら事業毎により進化させ、レストラン、ブライダル、ホテルそれぞれのお客様が安心してご来店いただける環境を整えました。これに加え、レストラン事業においては、コロナ禍におけるディスタンスを確保した営業による集客数減や、列席人数減による婚礼組単価低下を補うため、各種単価アップ施策を行いコロナ禍における売上最大化を目指しました。ホテル事業においては、高付加価値のコンセプトがコロナ禍における消費者ニーズにマッチしたことを背景に既存店が堅調であったことに加え、「THE HIRAMATSU 軽井沢御代田」の新規出店効果により、ホテル事業全体の売上は過去最高となりました。

一方で、このような経営環境に対応するため、ビジネスリストラクチャリング(店舗の再配置、人件費や採用コストの削減・適正化、家賃や広告宣伝費を中心とした経費の見直し、遊休資産の売却等)にも取り組み、2店舗の閉鎖と減損損失などによる特別損失を917百万円計上いたしました。

これらの結果、当連結会計年度における当社グループの業績は、売上高9,221百万円(前年同期比47.2%増)、営業損失2,108百万円(前年同期は営業損失2,458百万円、前年同期比14.2%損失減)、経常損失1,574百万円(前年同期は経常損失2,440百万円、前年同期比35.5%損失減)、親会社株主に帰属する当期純損失2,469百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失4,111百万円、前年同期比39.9%損失減)となり、コロナ前である一昨年前の売上には届かなかったものの、前年同期に対して増収・損失減となりました。

また、長期間に及ぶコロナウイルス感染症の影響による不安定な事業環境にも耐えうるための財務基盤及び収益基盤を強化するため、2021年7月16日公表の第三者割当増資による約46億円の調達及び、2022年3月28日公表の資本性劣後ローンによる30億円の調達により当面の間の運転資金および投資資金を確保いたしました。これにより不透明な経営環境が続く中、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況が存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断し、「継続企業の前提に関する注記」の記載を解消いたしました。今後はこれらの資金をベースに収益構造の改善を進め、当該事象及び状況の早期解消に取り組んでまいります。

それに当たり、2020年9月25日に公表した中期経営計画の前提条件が、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により大幅に変動したことから、アフターコロナの事業環境を見据えたより積極的な成長戦略を考慮して、41期(2023年3月期)を初年度とした新たな3ヵ年の新中期経営計画を2022年5月13日に公表いたしました。この41期は当社の40周年メモリアルイヤーであることから好機と捉え、新型コロナウイルス感染拡大収束後に予想される本格的な消費の拡大に向けて各事業で準備を進め、新たな食の体験価値の創造にチャレンジしていくことで、更なる売上拡大を図って参ります。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(レストラン事業)

当連結会計年度におけるレストラン事業の売上高は5,731百万円(前年同期比45.5%増)、営業損失は527百万円(前年同期は営業損失935百万円、408百万円の損失減)となりました。長引く緊急事態宣言とまん延防止等重点措置により、飲食店や商業施設に対する休業や時短営業、酒類提供の制限が要請されるなど、厳しい制限の中でも当社独自の安全基準となる「Hiramatsuスタンダード」を強化したことへの評価が下支えとなり、ランチ営業が堅調に推移したことや、春の「フォアグラ×旬野菜」、夏の「オマール海老」、秋の「くまもとあか牛の一頭買い」、冬の「トリュフ」など四半期毎に行う食材をテーマにした全社プロモーションや、ソムリエによる高付加価値のノンアルコール飲料(カクテル、スパークリングワイン、緑茶や台湾青茶など)のペアリングコースなどの新たな価値提案により集客数、客単価共に昨年を上回り増収となりました。また、繁忙期のクリスマスシーズンおいて、ピークを分散し高単価メニューを長期間展開実施した「Every Day is Christmas」プロモーションは、コロナ禍で変化した消費者ニーズを捉えた企画として今後予想される本格的な消費の拡大に向けた取組みの一つとなり、着実な結果に結びつきました。

今後は、需要の回復が遅れているパーティ利用に対する法人営業の強化、更なる既存店の磨きこみによる顧客の体験価値向上によりリピート客を増やして早期の業績回復を目指します。

 

レストランにおける婚礼につきましてもイベント、大人数での会食の自粛が続き、業界全体として苦戦を強いられました。そのような中においても、酒類提供中止の対策として実施した婚礼参列者へのワインプレゼントや、家族婚、フォト婚、オンラインウエディングなど、コロナ禍における新たな顧客ニーズを取り込んだことに加え、より高品質なレストラン・ブライダルとしての提供価値による差別化や、個室を活用した少人数婚礼、顧客ニーズに寄り添ったフレキシブルな商品企画などにより、売上は前年を大きく上回ることができました。

また、新規獲得営業においても、デジタルマーケティング専属チームの発足により予約率の改善に着実な成果を出し始めていることに加え、今期注力してきたスタッフ研修による営業力の強化が進み、成約率は目標を上回る結果となりました。

今後は、創業40周年を記念した地域ごとのプランの拡販によりお客様の人生に寄り添った提供価値をさらに磨き上げるとともに、時代の先を見据えた新たなひらまつならではの体験価値の提案により売上の最大化を図ってまいります。

 

(ホテル事業)

当連結会計年度におけるホテル事業の売上高は3,333百万円(前年同期比52.2%増)、営業損失は362百万円(前年同期は営業損失415百万円、52百万円の損失減)となりました。なお、GOP(販売費及び一般管理費より地代家賃・減価償却費を控除した営業粗利益)につきましては、627百万円(前年同期比84.3%増)となっております。

緊急事態宣言発出やまん延防止等重点措置の影響を大きく受け、厳しいマーケット状況が続くなか、当社独自の安全基準の徹底と、高付加価値のコンセプトがコロナ禍における消費者ニーズにマッチしたことなどにより、既存店が昨年及び新型コロナウイルス感染拡大前となる一昨年をも上回ったことに加え、「THE HIRAMATSU 京都」および「THE HIRAMATSU 軽井沢御代田」の新規出店効果もあり、ホテル事業全体の売上は過去最高となりました。

観光地である京都は厳しいマーケット状況が続きましたが、2021年3月に開業した森のグラン・オーベルジュ「THE HIRAMATSU 軽井沢御代田」は土地の魅力を最大限に活かしたお食事や、愛犬と泊まれるドッグヴィラスイート、焚き火ラウンジなどが人気となり、閑散期である冬季においても高稼働を維持することができました。

今後も各施設の特徴を活かしたひらまつが展開する新たなオーベルジュならではの付加価値の高い食体験や、株式会社太平洋クラブをはじめとする業務提携に伴う相互優待等、国内旅行需要の取込みを強化し、引き続き客室稼働の最大化と早期の収益化を図ってまいります。

 

(その他)

当連結会計年度におけるその他の売上高は288百万円(前年同期比25.5%増)、営業利益は62百万円(前年同期は営業損失45百万円)となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による新たな顧客ニーズに対応するため、オンラインによるワイン販売やテイクアウト、デリバリーの強化を行いました。また、オリンピック・パラリンピックの開催時期にはSNSを利用し、自宅で食事が楽しめる「おうちで応援プラン」を拡販したことや、クリスマス期間限定のテイクアウトやデリバリー、おせちのテイクアウト販売等の新たな取組みも着実な成果につながりました。今後もレストランのブランド力をベースに、アフターコロナを見据えたテイクアウト・デリバリーのメニューの増強や、各店シェフ監修によるメニュー開発提携など、新事業領域における売上確保を推進し、収益多様化を加速してまいります。

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 ①生産実績

  該当事項はありません。

 

 ②受注実績

 該当事項はありません。

 

 ③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 (イ)収入実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

レストラン

5,731,987

+45.5

ホテル

3,333,550

+52.2

その他

156,454

+15.0

合計

9,221,992

+47.2

 

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2. 上記の収入実績(合計)に対する婚礼営業の構成比は、26.1%であります。

 

 (ロ)収容実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  2021年4月1日

至  2022年3月31日)

人数(人)

前年同期比(%)

レストラン

509,167

+29.2

ホテル

98,167

+49.7

合計

607,334

+32.1

 

(注)1.上記には、婚礼営業及びパーティの実績は含まれておりません。

 

 

(3)キャッシュ・フロー及び資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から4,940百万円増加し5,581百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、支出した資金は68百万円(前連結会計年度は2,695百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失2,430百万円(同税金等調整前当期純損失3,914百万円)、非資金費用項目である減価償却費861百万円(同647百万円)によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、支出した資金は63百万円(前連結会計年度は2,874百万円)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得により265百万円(同2,977百万円)の支出となった一方、保険積立金の解約による収入により131百万円(同実績無し)獲得したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、獲得した資金は5,072百万円(前連結会計年度は1,577百万円)となりました。これは、主に新株発行による収入が4,302百万円(同実績無し)、長期借入による収入が3,750百万円(同2,800百万円)となった一方、社債の償還による支出が2,199百万円(同200百万円)、長期借入金の返済による支出が460百万円(同2,111百万円)となったことによるものであります。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

  当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、新型コロナウイルス感染症については、新型コロナウイルスの変異株の感染が拡大するなど、その影響については、引き続き、不確定要素が多いため、2022年6月頃までは一定の影響が残るものとし、2022年6月以降は緩やかな回復見込みと予想しております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(イ)固定資産の減損損失

 当社グループは、営業活動から生ずる損益が継続してマイナスである資産グループについては、その帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。回収可能価額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症の収束に更に時間を要する場合など、消費動向や事業環境の変動等により、利益計画の見直しが必要となった場合、当社グループの翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。

 

(ロ)繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、将来の利益計画に基づいた課税所得の見積りを行い、将来減算一時差異等に対して繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は、決算時点で入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症の収束に更に時間を要する場合など、消費動向や事業環境の変動等により、利益計画及び課税所得の見直しが必要となった場合、当社グループの翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産の金額に重要な影響が及ぶ可能性があります。

 

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