(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が断続的に発生し、緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置が発出されるなど、先行きの不透明な状況が続きました。
外食産業におきましては、自治体からの営業時間短縮及び酒類の提供の中止・制限にかかる要請が2021年10月中に終了しましたが、2022年1月からの感染再拡大によって多くの都道府県においてまん延防止等重点措置が実施され、再び営業制限の要請を受けました。不要不急の外出や大人数での飲食を控える傾向も根強く、極めて厳しい事業環境が続いております。
このような状況の下、当社グループは、収益構造の改善及び資金の確保に取り組んでまいりました。店舗につきましては、衛生管理や店舗スタッフの健康管理等、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止策を講じて営業を行っております。
当連結会計年度におきましては、XEXグループ及びカジュアルレストラングループの既存店について、法人・団体需要の落ち込みや来店顧客数の減少、顧客の来店頻度の低下という事業環境の変化に対応し、提供する付加価値を向上させ、客単価を引き上げる施策に継続的に取り組んでまいりました。当連結会計年度のほとんどの期間は、店舗の営業について制限を受け、売上高は低調に推移しましたが、10月下旬から1月上旬の期間は通常営業を行うことができ、売上高は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である前々年の実績に近い水準にまで回復しました。一方カジュアルレストラングループで行っているデリバリー事業は、需要がイートインと反比例して推移し、イートイン売上が落ち込む時期に売上高を下支えしました。前年同期との比較におきましては、より長期間にわたって営業制限を受けたことから売上高は減少しましたが、全面的なコスト削減が進んだこと、客単価の引き上げにより収益性が改善したこと等により損失幅は縮小しました。
これらの結果、売上高は8,148百万円(前年同期比1.7%減少)、営業損失は1,446百万円(前年同期は営業損失1,905百万円)となりました。また、営業外収益として助成金収入1,616百万円を計上したこと等により、経常利益は303百万円(前年同期は経常損失1,384百万円)となりました。特別損失として減損損失102百万円を計上したこと、法人税等調整額△88百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は314百万円(前年同期は親会社に帰属する当期純損失1,502百万円)となりました。
当連結会計年度におけるセグメントの状況は次の通りです。
a.XEXグループ
「XEX」をはじめとする高級レストラン事業であるXEXグループにおいては、2021年4月下旬から5月上旬にかけて多くの店舗を休業しました。営業再開後も、当連結会計年度のほとんどの期間については制限を受けた中での営業となりましたが、提供する付加価値の向上を通じて客単価を引き上げ、収益構造を改善させることに注力したことにより、通常営業を行った2021年10月下旬から2022年1月上旬にかけての売上高は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である前々年の水準近くにまで回復し、当連結会計年度の売上高は前年同期を上回ることができました。
この結果、当連結会計年度の同グループの売上高は2,490百万円(前年同期比8.7%増加)、営業損失は354百万円(前年同期は営業損失559百万円)となりました。なお、店舗数は直営店8店舗となりました。
b.カジュアルレストラングループ
カジュアルレストラングループについても、イートインの営業は長期間にわたって制限を受けました。2021年10月下旬以降の通常営業においては売上高の復調がみられましたが、大人数での飲食を控える傾向は依然として強く、XEXグループとの比較では緩やかな回復にとどまりました。デリバリー業態は好調に推移してまいりましたが、競争環境の激化により、当連結会計年度下期については売上高の伸び悩みもみられました。
この結果、当連結会計年度の同グループの売上高は5,656百万円(前年同期比5.5%減少)、営業損失は290百万円(前年同期は営業損失469百万円)となりました。事業環境の変化を受けて、デリバリー及びテイクアウト専業の「PIZZA SALVATORE CUOMO 三鷹」を7月に出店いたしました。また、FC店「PIZZA SALVATORE CUOMO 刈谷」を10月に閉店し、店舗数は直営店43店舗、FC店30店舗となりました。
c.その他
その他は、人材派遣事業及び不動産賃貸事業等により構成されております。不動産賃借人の退去等により、当連結会計年度の同グループの売上高は0百万円(前年同期比92.5%減少)、営業損失は2百万円(前年同期は営業損失5百万円)となりました。なお、2021年11月に賃貸不動産を売却いたしました。
財政状態につきましては、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて539百万円増加し、4,905百万円となりました。
流動資産合計は2,612百万円となり、前連結会計年度末に比べ642百万円増加しました。これは主として、借入の実行、増資及び助成金収入の入金による現金及び預金の増加741百万円等によるものです。
固定資産合計は2,292百万円となり、前連結会計年度末に比べ102百万円減少しました。これは主として、減価償却費及び減損損失を計上したこと等による建物及び構築物の減少172百万円、並びにリース資産の減少21百万円等によるものです。
流動負債合計は2,442百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,515百万円減少しました。これは主として、納付猶予を受けた社会保険等の支払い等による未払金の減少429百万円及び預り金の減少520百万円、納付猶予を受けた未払消費税等の減少383百万円等によるものです。
固定負債合計は2,556百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,171百万円増加しました。これは主として、金融機関からの借入の実行による長期借入金の増加1,280百万円、長期前受収益の取崩し等によるその他固定負債の減少78百万円等によるものです。
純資産合計は△94百万円となり、前連結会計年度末に比べ884百万円増加しました。これは、増資および減資による資本剰余金の増加599百万円、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益の計上314百万円等によるものです。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におきまして、税金等調整前当期純利益を計上したものの、預り金、未払金及び未払消費税等の減少や、新株の発行による収入及び長期借入金の増加により資金を確保した結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,837百万円となり、前連結会計年度の期末残高と比較して741百万円増加いたしました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,102百万円の支出超過(前連結会計年度は99百万円の支出超過)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益230百万円に減価償却費205百万円、減損損失102百万円を加味した上で、納付猶予を受けた社会保険等の支払い等による未払金の減少435百万円及び預り金の減少520百万円、納付猶予を受けた未払消費税等の減少383百万円、仕入債務の減少47百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは91百万円の支出超過(前連結会計年度は101百万円の支出超過)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出112百万円、有形固定資産の売却による収入31百万円、敷金及び保証金の差入による支出10百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,934百万円の収入超過(前連結会計年度は232百万円の収入超過)となりました。これは、株式に発行による収入599百万円、長期借入れによる収入1,400百万円、長期借入金の返済による支出8百万円等があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
a.生産実績及び受注実績
当社グループは、店舗に来店した顧客の注文に基づき飲食物を提供する飲食事業を営んでいるため生産実績及び受注実績は記載しておりません。
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
XEXグループ(千円) |
659,491 |
116.3 |
カジュアルレストラングループ(千円) |
1,937,259 |
92.1 |
その他グループ(千円) |
- |
- |
合計(千円) |
2,596,751 |
97.2 |
(注)1 金額は、仕入価格によって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年3月1日 至 2022年2月28日) |
前年同期比(%) |
XEXグループ(千円) |
2,490,857 |
108.7 |
カジュアルレストラングループ(千円) |
5,656,897 |
94.5 |
その他(千円) |
822 |
7.5 |
合計(千円) |
8,148,577 |
98.3 |
(注)1 金額は、販売価格によって表示しております。
2 セグメント間取引については、相殺消去しております。
3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、当社グループは重要な会計上の見積りとして固定資産の減損、繰延税金資産等を識別しております。当連結会計年度における会計上の見積りに当たっては、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が及ぼす影響を仮定に織り込んだうえで見積もっております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績等の分析
当社グループの当連結会計年度における財政状態及び経営成績の状況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要① 財政状態及び経営成績の状況及び② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗支払家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装等であります。したがいまして、運転資金と設備投資資金については営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れやリース会社に対するセール・アンド・リースバック取引による資金調達を実施し充当しております。また、資金調達においては、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保しながら金融情勢を勘案し、長期資金を中心とした安定資金を重点的に調達しております。
c.継続企業の前提に関する重要事象について
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う各国政府による渡航制限や、日本政府により発出された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置、自治体からのその他自粛要請は、訪日客及び国内外食需要に重要な影響を与えてまいりました。
当社グループの店舗の多くが立地する東京、大阪及びその周辺地域においては、当連結会計年度のほとんどすべての期間にわたり、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が実施されました。当社グループは、政府及び自治体からの各種要請に応じて店舗の臨時休業や営業時間短縮、酒類の提供中止・制限を行ったため、売上高が新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である前々年の実績を大きく下回る状況が続きました。2021年10月から2022年1月上旬においては店舗の営業に対する制限が概ね解除され、売上高は回復を見せましたが、2022年1月以降のいわゆる第6波の到来とそれに伴う営業制限により、再び売上高は落ち込みました。
これらの結果、当連結会計年度においては、売上高の著しい減少により継続して重要な営業損失を計上しました。各種助成金等を計上した結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しましたが、債務超過となっております。
新型コロナウイルスの変異株の出現や国際情勢の不安定化など、外食業界を取り巻く環境の見通しはいまだ不透明であると考えられることから、営業債務の支払い及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
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