有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性の事項には、以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
1.競合について
外食業界は、他業界と比較すると参入障壁が低く新規参入が多いために、非常に激しい競合状態が続いてきた業界ですが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が断続的に発生する中で、テレワークの普及により消費者の外食の頻度が低下し、また大人数での飲食を控える動きが広がるなど、外食に対する需要が減少し、競合状態は更に激化しています。デリバリー事業については需要の高い状況が続いていますが、デリバリー代行事業者の事業展開拡大によって競合先が増加し、デリバリー人員の確保も困難になるなど、競争環境は厳しさを増しております。
このような環境下、当社グループにおきましては、質の高い料理とサービスを提供することにより、業界内の競争に影響されることなく独自の店舗運営を行い、他社との差別化を図っております。また、既に有しているデリバリーの設備及びノウハウを生かして複数の業態を展開し、店舗の収益性を高める取り組みを進めております。不採算店舗については、収益や資金の状況を考慮しながら業態変更や閉店を行い、経営資源配分の効率性を改善させてまいります。しかしながら、今後、消費者における外食に対する需要の低下や、消費者の需要と当社グループが提供する価値とのミスマッチの発生、業態の陳腐化等により、既存店の売上高の減少及び利益率の悪化等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
2.当社ブランド政策について
当社グループは、出店地・顧客層・コンセプトを十分に考慮した上で複数のブランドの店舗を展開しております。競合他社との差別化のためにもブランド政策は重要であると考えており、特に主力ブランドである「XEX」及び「Salvatore Cuomo」は、ブランド政策、商標権登録によりブランドの管理に留意しております。
①商標権について
当社グループでは、店舗ブランドについて商標権の登録または出願を行っており、今後も積極的に商標権の登録を行っていく方針であります。当社グループでは第三者の商標権を侵害しないように常に留意し、外部の弁理士を通じ調査を行っております。しかしながら、「The BAR」、「こけこっこ」、「STEAK THE FIRST」等、当社が使用している店舗ブランドの中には、商標権の登録の可能性が低いものと判断し、商標登録を行っていないケースもあります。また、当社グループの調査内容が十分である保証はなく、当社の見解が法的に常に正当性があるとは保証できません。万一、当社グループが第三者の商標権等の知的財産権を侵害し、その結果、損害賠償請求、差止請求などがなされた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②MM Global LLCとのコンサルティング契約について
当社は、2015年10月にMM Global LLCとコンサルティング契約を締結いたしました。同契約は「Atelier 森本 XEX」を始めとする当社レストランに対するコンサルティング及びマーケティング支援を行うものですが、何らかの事由により、同契約が破棄された場合、関連する店舗の売上高の減少や利益率の悪化、店舗の閉店等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
3.出店政策について
①店舗展開の基本方針について
新規の出店にあたっては、出店先の立地条件、賃貸条件、店舗の採算性等を勘案して出店を決定しておりますが、当社グループの希望する条件に合う物件が見つからない場合、計画通りの出店ができないことにより成長戦略の未達成等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
②XEXグループの店舗について
XEXグループの店舗は店舗面積も大きく、運営にあたる従業員も多くなっています。そのため、当社の想定する収益をあげられなかった場合には、支払家賃や人件費が原因となり、多額の営業損失を計上する可能性があります。
③店舗の撤退について
当社グループは店舗の物件を賃借しております。賃貸借期間は賃貸人との合意により更新可能ですが、賃貸人側の事情により賃貸借期間を更新できない可能性があります。賃貸借契約の終了、店舗の不採算等何らかの理由で店舗運営が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、店舗によっては長期間にわたる賃貸借契約を締結している店舗もありますが、これらの店舗の撤退等による多額の違約金や退店時において想定以上の原状回復費用等が発生する可能性があります。これらが生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
4.減損損失について
当社グループは基本的に各店舗を独立したキャッシュ・フローを生成する最小単位と捉え、店舗ごとに減損会計を適用しております。減損会計の適用に当たっては、定期的に減損の兆候の判定を行うことで、業態変更や退店の判断を行い、経営効率の向上を目指しておりますが、外部環境の急激な変化等により著しく収益性が低下した場合や退店の意思決定をした場合、減損損失を計上する可能性があります。これらが生じた場合には、当社グループの経営成績、財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
5.会員事業について
当社グループの会員制度は、XEX各店舗での利用額に応じたポイント還元やその他各種特典を享受できる制度であり、2022年2月末日時点で約4,700名を有しております。会員によるレストランの利用は当社グループの収益基盤のひとつとなっており、会員数の減少が生じた場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
6.食材について
食材につきましては、食の安全性や環境に対する意識の高まりから、これまでにも増して安全な食材の安定的な確保が重要になっております。また、新型コロナウイルス感染症拡大や国際情勢の変化を受けた農作物の生産量減少や物流の混乱により、食材市況は大きな影響を受けております。当社グループにおきましても、安全かつ安定した食材の確保については慎重に取り組んでおりますが、食材市況に更に大きな変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
7.店舗の衛生管理について
当社グループが経営する店舗は、食品衛生法の規定に基づき、所管保健所より飲食店営業許可を取得しております。食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害防止及び公衆衛生の向上及び増進に寄与することを目的としております。食中毒事故等を起こした場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止、若しくは一定期間の営業停止の処分、被害者からの損害賠償請求、当社グループの信用力低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
8.個人情報の管理について
当社グループは、顧客へのサービス提供にあたり、会員情報、クレジットカード情報、デリバリー情報等顧客の個人情報を入手することがあります。これらの個人情報は「個人情報の保護に関する法律」に基づく「個人情報取扱事業者」としてその適正な管理をしておりますが、万が一、個人情報の漏えい等があった場合、顧客からの損害賠償請求、当社グループの信用力低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
9.人材の確保について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大及びそれに伴う自治体等からの各種要請により、飲食店は休業や営業時間の短縮、酒類の提供制限など、様々な制約を受けてまいりました。他業界と比較してコロナ禍の影響を受けやすい業界であることから、労働者の中で外食業界を敬遠する傾向が高まっているとみられ、人材の確保がこれまで以上に困難になっております。
当社は、今後の業容拡大に伴う適切な人材の充実が必要であると考えております。そのため、新卒者の採用を行うとともに、中途採用による即戦力となる人材の確保に努め、また、従業員の定着率向上や人材のレベルアップを図っております。しかしながら、今後、当社グループが必要とする人材が適時に確保できない場合は、既存店の売上高の減少及び利益率の悪化等の当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、中核となる店舗の店長や料理長といった幹部社員が退職した場合においても、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
10.有利子負債への依存度について
当社グループでは事業運営に必要な資金の多くを有利子負債で賄っており、2022年2月末現在の有利子負債残高は2,980百万円となっており、負債・純資産合計に占める割合は約61%になっております。引き続き、資金調達手段の多様化に取り組み、自己資本の充実及び有利子負債の削減を進めてまいりますが、金融情勢等の変化により市場金利が上昇した場合や、金融機関からの支援が得られない場合、また当社の希望する条件での資金調達ができない場合には、当社グループの財政状態、経営成績並びに資金繰りの状況に影響を及ぼす可能性があります。
11.新型コロナウイルス感染拡大について
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の動向と、それに対して政府等が取る対応策や、消費者の行動の変化等によって、当社グループは影響を受ける可能性があります。当社グループは、コロナ禍の影響は2023年2月期にかけて徐々に回復が進み収束に向かうと仮定して、2023年2月期の既存店売上高を、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である2020年2月期の水準に対して92%と設定いたしました。しかしながら、今後の新型コロナウイルス感染症の感染拡大状況によっては、政府等の要請を受けて店舗の休業や営業時間・営業形態の制限を余儀なくされることや、消費者の間で外食を手控える傾向が続くことも想定されます。政府等の支援制度を利用して損失を抑制し、また消費者の行動様式の変化に応じた経営資源の配分を行うなど、利益の確保に努めてまいりますが、状況によっては当社グループ店舗の売上高が想定を下回ることも考えられ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
12.継続企業の前提に関する重要事象等
新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大に伴う各国政府による渡航制限や、日本政府により発出された緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置、自治体からのその他自粛要請は、訪日客及び国内外食需要に重要な影響を与えてまいりました。
当社グループの店舗の多くが立地する東京、大阪及びその周辺地域においては、当連結会計年度のほとんどすべての期間にわたり、緊急事態宣言又はまん延防止等重点措置が実施されました。当社グループは、政府及び自治体からの各種要請に応じて店舗の臨時休業や営業時間短縮、酒類の提供中止・制限を行ったため、売上高が新型コロナウイルス感染症の感染拡大前である前々年の実績を大きく下回る状況が続きました。2021年10月から2022年1月上旬においては店舗の営業に対する制限が概ね解除され、売上高は回復を見せましたが、2022年1月以降のいわゆる第6波の到来とそれに伴う営業制限により、再び売上高は落ち込みました。
これらの結果、当連結会計年度においては、売上高の著しい減少により継続して重要な営業損失を計上しました。各種助成金等を計上した結果、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益を計上しましたが、債務超過となっております。
新型コロナウイルスの変異株の出現や国際情勢の不安定化など、外食業界を取り巻く環境の見通しはいまだ不透明であると考えられることから、営業債務の支払い及び借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。
このような事象又は状況を解消するために、当社グループでは資本の増強及び収益構造の改善を喫緊の経営課題ととらえ、以下の通り対応に取り組んでまいります。
まず資本の増強につきましては、債務超過を解消するために、期間損益の計上に加え、第三者割当増資等を含めた対応策を検討しております。なお、各種助成金の活用や、短期借入金及び1年内返済予定の長期借入金の一部について元本返済の猶予を受けることにより、手許現預金は、当面の資金繰りに懸念のない水準を維持しております。メインバンクを中心に金融機関と密接な関係を維持できていることから、今後も継続的な支援が得られるものと考えております。
次に、収益構造の改善につきましては、当連結会計年度を通じて、売上構造の見直し、数値管理強化、仕入コスト削減、及び本社コストの見直しに取り組んでまいりました。引き続き、数値管理の精度向上に努めるとともに、経営資源の選択と集中によりお客様に提供する付加価値の増大を図り、収益構造を更に改善してまいります。
以上の施策を実行することにより、当社グループの経営基盤を強化してまいりますが、資本増強の対応策については検討途上であること、新型コロナウイルス感染症が今後当社グループの業績に及ぼす影響の見通しはいまだ不透明であること、金融機関と締結した借入契約の一部については、今後の継続支援を前提とするものの一旦は契約上の返済期限が短期になっていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。
13.上場廃止となるリスクについて
当社は2022年2月期末において債務超過を解消できず、東京証券取引所が定める有価証券上場規程第601条第1項第5号の債務超過に該当し、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となっております。上記12に記載した取り組みにより、2023年2月期末においては債務超過を解消できると見込んでおりますが、これは現時点で入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、当社グループを取り巻く事業環境が当社グループの想定と異なる状況となった場合には、債務超過を解消できず、上場廃止となるリスクがあります。
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