文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、日本におけるピザのパイオニアとして1964年に創業しました。以来、ナン・ピタ・トルティーヤなど世界のおいしいパンの製造、チーズ加工などに業務を拡大、さらにお客様に直接お届けできる外食・中食・宅配事業を展開し、「トータルフードサービス」へと成長してまいりました。
この間、経営理念としている「食と食の文化を通じてお客様に満足と幸せを提供する」ことを一貫して追い求め、「食の安全・安心」を第一に掲げて、「“おいしい”で世界をつなぐ」をミッションに、業績の向上と財務体質の改善を図り、経営基盤の強化に取り組んでおります。
(2) 経営環境および優先的に対処すべき課題
新型コロナウイルス感染症の収束時期は見通せず、原材料・資源価格の高騰や地政学リスクの高まりによる経済活動への影響も懸念されます。消費者の生活防衛意識はさらに強まると想定される中で、原材料価格、物流コストの高騰が続いており、食品・外食業界を取り巻く環境は、より厳しさを増すものと思われます。
このような経営環境の下、重点課題として以下の6つを掲げ、「スピード感」と「実行力」をもって取り組み、食を担う企業としての社会的責任を果たすとともに、持続的成長と収益力の強化を着実に目指してまいります。
①「食の安全・安心」を最優先にした品質管理体制機能の充実
当社は、国際規格であるISO22000の認証を2020年6月29日に全工場で取得し、HACCPシステムを取り入れた食品安全マネジメントシステムに従って、製品の安全管理に努めております。
製品に使用する原材料の安全性確認、衛生的な製造環境の維持管理、安全基準に従った製造工程の管理・検証を通じて、安心して召し上がって頂ける製品を引き続きお届けしてまいります。
② 食品事業において、市場変化や原材料価格高騰に対応した競争力強化および「デルソーレ」ブランドの浸透
新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受け、食品事業における主要取引先である外食業界は依然として停滞状況にあります。一方、食品スーパー・生協・通販等の一般家庭用は、コロナ禍におけるライフスタイルの変化、更には家庭内での調理機会の増加によって、販売は堅調に推移しております。
今後とも、市場変化や原材料価格高騰に対応すべく、惣菜・ベーカリー・CVS市場の強化等によるビジネス領域の拡大とともに、工場生産性の向上、商品開発に注力し競争力を強化します。また「デルソーレ」ブランドの浸透を図るため、昨年9月に出店した「デルソーレSHOP」の戦略的活用やSNSによる情報発信等、様々な施策を展開してまいります。
③ 外食事業において、新型コロナウイルス感染症への対応および事業採算の安定化・成長への足掛かり
大手企業をはじめとしたリモートワークの拡大等に、都心部におけるオフィス立地型店舗における会食や宴会の減少も加わり、新型コロナウイルス感染症の動向が売上収益を左右する大変厳しい経営環境が続いております。
外食事業におきましては、「事業採算の安定化と成長への足掛かり」を基本方針として、テイクアウトブランド「京鳥」「おめで鯛焼き本舗」を成長ドライバーと位置づけ、業態の磨きこみによる拡大・強化を図るとともに、レストランブランドの収益回復を目指します。また、食品事業とのさらなる相乗効果を図るべく、「デルソーレSHOP」の戦略的活用、両事業協働での施策展開を推進してまいります。
④ 海外パートナー企業との取り組み・関係深化と提案型営業の強化による新たな市場・分野開拓
北欧リトアニアの海外パートナー企業との取り組み・関係の深化により、日本の顧客ニーズに合った付加価値の高い機能性に優れた商品の共同開発、ラインアップの充実を行い、ヨーロッパの本格的な冷凍パンの拡販に努めます。また、経時変化に強く再加熱性に富んだ、アメリカ産冷凍チーズの販売も推進しており、総菜・ベーカリーを中心に「時間が経過してもおいしそうな見た目と焼き立てのような伸び」が高く評価されています。
海外事業を当社の主軸ビジネスの一環として育成すべく、マーケットの変化を先取りした提案型営業により、新たな市場・分野の開拓を図ります。
⑤ ガバナンス体制および内部統制の充実による経営の健全性の確保
経営の健全性、透明性がより一層求められる経営環境の中、当社は法令遵守を基本として、事業目的や経営の意思決定が迅速かつ確実に伝達され、業務執行が効率的に行われるためのガバナンス・組織管理体制を充実していきます。また取締役及び使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを確保する体制の整備にも取り組んでまいります。
⑥ システム化、データ活用等による強固な管理体制構築と経営の効率化
新型コロナウイルス感染症の収束時期は見通せず、また市場環境や生活様式が大きく変化する中で、原材料価格、物流コストの高騰が続いており、経営環境は大変厳しく、また先行きの不透明感も増してきております。環境変化に迅速かつ柔軟に対応するためにも、引き続きシステム化、データ活用等による業務の標準化、可視化を進めることで、営業活動・業務の効率化、工場生産性の向上を図っていきます。あわせて、生産・販売の連携強化、経営管理体制の高度化にも努めてまいります。
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