課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

  (1)経営方針

日清食品グループは、創業者が掲げた「食足世平」「食創為世」「美健賢食」「食為聖職」の4つの精神をもとに、常に新しい食の文化を創造し続ける「食文化創造集団」となり、環境・社会課題を解決しながら持続的成長を果たすことによって、グループ理念である「EARTH FOOD CREATOR」の体現を目指してまいります。

また、総合食品企業グループとして、各カテゴリーの中で常にNo.1ブランドを創造・育成していき、No.1ブランドの集合体として形成される「ブランディングコーポレーション」の実現を目指し、より一層、ゆるぎない経営基盤を築きながら、企業価値及び株主共同の利益の確保・向上に努めてまいります。

 

  (2)経営戦略等

当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」を策定いたしました。ビジョンの実現と持続的成長に向け、以下の3つの成長戦略テーマに取り組んでまいります。

 

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① 既存事業のキャッシュ創出力強化

海外事業及び非即席めん事業のアグレッシブな成長によって、利益ポートフォリオを大きくシフトさせながら持続的成長を追求してまいります。

 

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* 非経常損益としての「その他収支」の影響や、連結時円換算為替レート影響を除いた実質的な営業利益の成長

** 2020(2020年度)の値は、2020年度IFRS営業利益から、国内その他セグメントの損益や非経常損益としての「その他収支」、加えて2019~2020年度において大幅な利益増大要因となったCOVID-19影響を控除したおおよその値

 

 

(ア) 海外事業(高付加価値市場におけるトップカンパニーへ)

 グローバルブランドと呼べるステージに到達した「CUP NOODLES」のコアバリューとエリア別の競争優位性をさらに明確化・確立し、さらなる成長のドライブコアとします。またブランド戦略を各市場/事業のステージに応じたオペレーション戦略へと展開し、M&Aも活用しながらさらなる高成長を目指してまいります。

 

(イ) 国内非即席めん事業(第2の収益の柱へ)

 国内非即席めん事業については、需要・供給両面からグループシナジーを徹底追求することにより、付加価値フォーカスでの各事業の成長/収益性向上をレバレッジしていきます。

 こちらは、セグメントでいう「低温・飲料事業、菓子事業」を指すものです。ポートフォリオシフトへの強い意志を込める意味で「非即席めん」として表現しています。まだ利益の面からは全体でもおおよそ50億円程度の規模ですが、それぞれのNo.1領域を磨き続けることで着実に利益を増大させ続け、過去5年ではそれぞれCOVID-19除きでも約20%の成長率となっています。これらの利益を10年後には120億円超、構成比約15%の柱に育て上げるのが戦略目標です。

 

(ウ) 国内即席めん事業(100年ブランドカンパニーへ )

 日清食品・明星食品からなる「国内即席めん事業」については、成熟市場にあっても着実な増収増益を重ね中長期的に成長し続けるために、需要開発・ブランド浸透・市場開拓・供給力強化への取り組みをさらに深化させていきます。過去5年間においても、工場投資に伴う償却負担や各種コスト高騰はありながらも実質ベースで2%強の成長を続けています。これを支えている取り組みを深化させることによって持続的な成長を目指してまいります。

 

② EARTH FOOD CHALLENGE2030

地球との共生力を最大化することで既存事業のライフサイクルの超長期化を図ると同時に、競争力の源泉の一つ“Food Tech”を大きくステージアップさせてまいります。

 

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③ 新規事業の推進

現代は豊かな食生活が実現した一方で、飽食によるオーバーカロリーや偏食による栄養失調など新たな健康問題があります。当社グループは食の価値向上を通じて、世界的な社会問題の解決に貢献してまいります。

 

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(ア) 完全栄養食事業の展開に向けて

 おいしさと栄養のバランスがとれた完全栄養食を、いつでも、どこでも手にとって頂けるよう普及させることで、"好きなものを、好きなときに、好きなだけ楽しめる世界" の実現を目指してまいります。

 そのために私たちは、健康経営の取り組みの一助としての社員食堂での事業展開、医療機関と連携した患者のQOL改善につながるおいしい食事の提供、シニアの健康寿命の延伸およびフレイル対策のサポート、スマートシティにおける健康増進など、食を通じたWell-Beingの実現に向けて貢献してまいります。

 

(イ) 商品化 完全メシによる新たな市場の創造

 33種類の栄養素とおいしさの完全バランスを実現した「完全メシ」ブランドを発売。幅広いカテゴリーの商品ラインナップを揃えることで、多くの方々に様々な場面で、新たな価値提供を行ってまいります。

 

 

 

 

  (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

① 持続的な利益成長の考え方

成長投資の基盤となる“既存事業”の実質的成長を示す指標「既存事業コア営業利益」を定義し、これをMid-single Digitで成長させることを経済価値ターゲットの中核といたします。

既存事業コア営業利益とは、営業利益から新規事業にかかる損益および非経常損益としての「その他収支」を控除したものであり、中長期成長戦略上2022年3月期以降積極的かつ継続的な先行投資を予定する新規事業にかかる損益を分離し、その成長投資の基盤となる既存事業の実質的な成長を測定することを目的に採用している指標です。

本指標は、当社グループが中長期的に持続的な成長を目指すうえでの重要経営管理指標であり、財務諸表の利用者が当社グループの業績を評価するうえでも有用な情報であると考えております。

 

② 中長期的な経済価値ターゲット

 持続的な利益成長に加え、効率的な資本活用、安全性ある負債活用、そして安定的な株主還元の4つをCSV経営上の中長期的経済価値ターゲットとして掲げ、非財務目標との同時実現を追求してまいります。

 

価値区分

経営指標

中長期的目標

財務

成長性

既存事業コア営業利益(注1)成長率(為替一定ベース)

1桁台半ば

効率性

ROE

長期的に10%

安全性

純有利子負債/EBITDA倍率

≦2倍

安定的株主還元

配当政策

累進的配当

相対TSR(TOPIX食料品対比)(注2)

>1倍

非財務

(注3)

有限資源の

有効活用

持続可能なパーム油の調達比率(注4)

100%

水使用量(IFRS売上100万円あたり)

12.3㎥以下

流通廃棄物削減率(15年度対比/日本国内)

△50%

気候変動

インパクトの軽減

CO₂排出削減(Scope1+2) (18度年対比)

△30%

CO₂排出削減(Scope3) (18度年対比)

△15%

(注)1 IFRS上の営業利益から、積極的な先行投資を予定する「新規事業に係る損益」および非経常損益としての

「その他収支」を控除したNon-GAAPの重要経営管理指標

   2 相対TSR(TOPIX食料品対比)は、以下の算定式に基づき算出するものとします。

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A:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

B:当事業年度の1月~3月における3か月間の当社株式の終値平均

C:当事業年度を含む過去3事業年度における1株当たり配当額の累計

D:当事業年度の3事業年度前の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

E:当事業年度の1月~3月における3か月間のTOPIX食料品(配当込み)の終値平均

   3 非財務目標については、2030年度の目標値

    4 外部認証の活用および独自アセスメントによる

 

 

  (4)経営環境

今後の見通しにつきましては、インフレ懸念や地政学的リスクの高まりにより、本格的な景気回復までは見通せない状態が続いております。

このような環境の中、当社グループは、2030年に向けた「中長期成長戦略2030」に基づき、ビジョンの実現と持続的成長に向けて取り組んでまいります。

 

① 持続可能な成長に向けた取り組み

 当社グループは、人類を「食」の楽しみや喜びで満たすことを通じて社会や地球に貢献する「EARTH FOOD
CREATOR」という理念のもと、気候変動や高齢化、人口増といったESG課題/国際連合が掲げるSDGs
(Sustainable Development Goals、持続可能な開発目標)を成長の機会と位置付け、環境配慮型容器の開発や健康志向に応える製品の提供等で、社会により貢献できる企業を目指してまいります。
 ESGへの取り組みが評価され、ESGへの取り組みへの評価として、2020年から2年連続で世界的なESG投資の株価指数「Dow Jones Sustainability Indices」における「World Index」の構成銘柄に選定されています。また「Asia/Pacific index」には、2018年から4年連続で選ばれております。グループ理念の基となる創業者精神を具現化する当社グループのCSV(Creating Shared Value、共有価値の創造)経営に取り組むことで、社会価値と経済価値の双方を追求し持続的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

② 環境に関する中長期戦略

 「EARTH FOOD CHALLENGE 2030」は、当社グループ独自の環境に関する中長期戦略です。重要度の高い環境課題にチャレンジし環境との共生力を高めることで、将来の既存事業減退リスクを回避し、事業ライフサイクルを長期にわたり持続させてまいります。
 具体的には、「資源」と「気候変動」の2つの問題に取り組みます。資源をめぐる問題に対しては、環境や人権に配慮したパーム油の調達に取り組む「地球にやさしい調達」、工場で使う水の節約等に取り組む「地球資源の節約」、食品廃棄物のリサイクルや削減を行う「ごみの無い地球」の実現に挑戦し、有限な資源の有効活用を行っております。
 気候変動問題では、事業で使う電力を再生可能エネルギーでまかなう「グリーンな電力」の調達、食材や包材に使う原料を環境負荷の少ないものへ切り替える「グリーンな食材」「グリーンな包材」の活用に挑戦し、温室効果ガスの排出を削減してまいります。

 

③ 新型コロナウイルスへの取り組み

 新型コロナウイルス感染拡大を踏まえて、当社は従業員の安全確保と製品の安定供給を社会的責務と考え、従業員の安全の確保、需要動向、原材料供給、物流等の状況を把握し、迅速かつ適切な対策を講じております。

(ア) 従業員の安全確保

 政府の外出自粛要請に基づき、雇用を確保しつつ、従業員の健康を最優先に考え、在宅勤務を推奨しております。

 オンライン会議の活用、印鑑を使わない承認手続き等、出勤者が最小限となるような環境を整備しております。出勤が必要な場合にも、時差出勤や職場での社会的距離の確保、検温、手洗い、マスク着用等の感染予防策を徹底しております。

(イ) 製品の安定供給体制

 製品の安定供給のために、高度な衛生基準に基づいた生産体制のもと、工場では従業員は十分な新型コロナウイルス対策を実施したうえで、通常どおりの出勤対応を取っております。

 生活インフラである食品を消費者の皆様にお届けできるよう、主力ブランドに品目を絞った効率的な増産体制を取っております。

 

 

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