業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1) 業績

当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種率の高まりや行動制限の緩和などにより、緩やかな回復の兆しがみられました。しかしながら、新たな変異株ウイルスによる感染症の再拡大により、雇用環境の悪化や個人消費が冷え込んだことに加えて、資源価格の上昇、ウクライナ情勢の緊迫など、景気は極めて先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社グループを取り巻く市場環境も、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による外出自粛や飲食店の休業要請等による外食需要の減少が長期化し、それによる中食(弁当・惣菜)、内食需要の増加に伴う「まとめ買い、インターネット通販の促進」など、消費者の生活様式は一変しました。これらの環境変化をふまえ、安定的な商品供給の継続を最優先課題といたしました。

このような経営環境の下、当社グループは「企業戦略の充実」と「新価値提案力の更なるアップ」を経営課題として取り組んでまいりました。

「企業戦略の充実」につきましては、加速する競争環境の変化への対応と、更なる事業体質の強化による収益性の向上を実現するために、グループ全体における生産会社及び生産工場の役割と機能を見直すことで、いかなる環境においても存続可能な変化対応型の生産体制の構築を目指しました。また、「開発」「製造」「物流」「営業」の各機能が有機的かつ効果的に連携し、生産から販売に至るまでグループシナジーを発揮することで経営資源を最大限活用するとともに海外マーケットの開拓にも注力し、企業価値の最大化を図ってまいりました。

「新価値提案力の更なるアップ」につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による影響が長期化するなか、「もっと身近で、もっと特別な永谷園」を味わっていただくべく、インターネット通販「永谷園オンラインショップ」をオープンすることで、常にお客様の視点に立ち、求められる価値を追求してまいりました。また、外出自粛等により家庭内で過ごすことが多くなるなか、ご家族で楽しめる永谷園商品を使用したアレンジレシピの提案などを積極的に行い、多様化していく価値観や変化していく環境に対応することにより、永谷園グループらしい新しい価値を提案できるよう取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は95,408百万円となりました。利益面につきましては、営業利益は4,819百万円、経常利益は6,052百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,441百万円となりました。

なお、当社グループは2022年3月期期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下、「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。このため、経営成績に関する説明において、前連結会計年度と比較しての前年同期比(%)を記載せずに説明しております。収益認識会計基準等の適用の詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

以下、セグメントの状況は次のとおりであります。

①国内食料品事業

販売面につきましては、コロナ禍における消費マインドが安心感のある定番商品を求める傾向にあることから、その中でも主力のロングセラー商品を中心に取り組んでまいりました。消費者向けには、テレビCMやWEB動画による商品紹介、SNSを活用したサンプリング企画、ぽかぽかパンダのエコ湯たんぽや東海道五拾三次カードフルセットを景品としたプレゼントキャンペーンを実施するなど、ファン層の拡大と購買意欲の促進に努めてまいりました。また、流通向けには、大量陳列コンテストや、特定の小売企業と共同で実施するプレゼントキャンペーンを通じて、店頭での商品露出強化に取り組んでまいりました。

商品開発面につきましては、アフターコロナに向けた食品の購買行動の変化に対応すべく、“暮らしを、豊かに”をテーマに取り組んでまいりました。具体的には、消費者が感じている「家事負担から解放されたい」という悩みを解決すべく、電子レンジ調理専用設計の「レンジのススメ」シリーズの開発、「野菜を積極的に食べたい」という悩みを解決すべく「青椒肉絲春雨」「五目塩焼きビーフン」を開発いたしました。また、家族みんなで野菜がたくさん美味しく摂れる「煮込みラーメン」においては、ラーメンの定番フレーバーである塩味に着目し、当期限定メニュー「鶏しお味」を開発いたしました。

以下、主要品目の状況は次のとおりであります。

<お茶づけ・ふりかけ類>

当社看板商品である「お茶づけ海苔」は、売上を支えるヘビーユーザーの利用促進と並行して、お子様の朝食利用を訴求する「めざまし茶づけ」施策により、子育て世帯の需要喚起に取り組んでまいりました。ふりかけでは、ロングセラーブランド「おとなのふりかけ」の既発売メニューである「おとなのふりかけわさび」を、わさびの辛さと生わさびのようなさわやかな風味を強化しリニューアルしたことで、売上高は12,712百万円となりました。

 

<スープ類>

主力の「松茸の味お吸いもの」と「あさげ」「ひるげ」「ゆうげ」シリーズは、食卓における汁物の価値を伝える施策として、日本各地のご当地メニューとの相性の良さを切り口に、料理との食べ合わせ提案を実施し、内食機会の増加による需要の高まりに対応いたしました。また、「あさげ」「ひるげ」「ゆうげ」シリーズは、購入レシートでポイントがもらえる購買促進施策を実施し、新規ユーザーの獲得に取り組んだことで、売上高は18,819百万円となりました。

<調理食品類>

惣菜商品は、内食機会の増加によって新たに生まれた家事負担の軽減を狙ったレンジ調理商品「レンジのススメ」シリーズを、2021年8月に発売しました。「チャーハンの素」は、キャンプ飯やボリュームのあるワンプレートごはんといった、新しい食シーンを訴求しつつ、SNSを活用したポイントプレゼントキャンペーンを実施し、販売強化に努めたことで、売上高は20,741百万円となりました。

<その他>

業務用商品は、従来からの主力商品であるお茶づけ、ふりかけ、みそ汁等に加え、災害備蓄用の「フリーズドライご飯」シリーズの継続的な取り扱い促進を図ったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で学校の登校機会減少が継続し、給食用カレーやふりかけの需要が減少したため、売上高は2,601百万円となりました。

以上の結果、国内食料品事業の売上高は54,874百万円となりました。

なお、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、外出自粛等に伴う内食需要の高まりも落ち着きを見せてきており、当連結会計年度及び翌連結会計年度とも軽微であると考えております。

②海外食料品事業

Chaucerグループでは、顧客ニーズに合わせたフリーズドライ商品の研究開発と品質向上、及び販売拡大に取り組んでまいりました。米国市場では、2017年に増強したフリーズドライ設備及び包装設備を最大限に活用し、健康食品向け等の新たな市場の拡大に注力いたしました。欧州市場では、低採算取引の見直しを進めると同時に、グローバル企業との取引拡大に努めてまいりました。アジア市場では、中国等における販路の創出、並びに当社グループの販売チャネルを活かした日本市場への売上拡大を図ってまいりました。

また、MAIN ON FOODSグループでは、米国市場において、麺商品及び粉商品のサプライヤーとして多数の外食企業、食品メーカー及び小売業との着実な取引拡大を進めてまいりました。研究開発においては、健康意識の高まりによる多様な消費者ニーズに応えるため、機能性食品等の高付加価値商品や個食のミールキットタイプの新商品の開発にも努めてまいりました。

以上の結果、海外食料品事業の売上高は29,082百万円となりました。

なお、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、外出自粛等に伴う内食需要の高まりによる家庭用食品メーカーへの原料供給が堅調に推移していることもあり、当連結会計年度及び翌連結会計年度ともに軽微であると考えております。

③中食その他事業

麦の穂グループでは、新型コロナウイルス感染症拡大への対応につきまして、お客様のことを第一に考え、また従業員が安心して働けるよう店舗における感染症予防対策を徹底する等の取り組みを進めてまいりました。このような状況の下、外出自粛をはじめとする人々の生活スタイルの変化等の対応に努めたことに加えて、手軽にご自宅で出来立て作りたてのシュークリームが味わえる「シュークリームキット」の販売や、新業態である「きなこととろり」などをオープンすることにより、顧客獲得に努めてまいりました。

以上の結果、中食その他事業の売上高は11,290百万円となりました。

なお、当事業セグメントにおける新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、商業施設の店舗を中心に来店客数が新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に戻ってきていることもあり、当連結会計年度及び翌連結会計年度ともに軽微であると考えております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加額が、投資活動及び財務活動による資金の減少額を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ540百万円増加し、当連結会計年度末の資金残高は、9,142百万円となりました。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動による資金の増加額は5,285百万円(前年度は5,561百万円の増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益等によるものです。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における投資活動による資金の減少額は4,096百万円(前年度は3,580百万円の減少)となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出があったこと等によるものです。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

当連結会計年度における財務活動による資金の減少額は1,260百万円(前年度は1,981百万円の減少)となりました。これは主に、社債の償還による支出があったこと等によるものです。

 

生産、受注及び販売の実績

(1) 生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年度比(%)

国内食料品事業

 

 

お茶づけ・ふりかけ類

15,641

スープ類

22,084

調理食品類

22,608

その他

1,158

小計

61,493

海外食料品事業

30,556

中食その他事業

9,168

合計

101,218

 (注)1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記国内食料品事業「その他」の主な内訳は、業務用商品、進物品であります。

 

(2) 受注実績

 一部の連結子会社は、受注生産を行っておりますが、受注当日または翌日に製造・出荷の受注生産を行っておりますので、受注高及び受注残高の記載は省略しております。

 

(3) 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年度比(%)

国内食料品事業

 

 

お茶づけ・ふりかけ類

12,712

スープ類

18,819

調理食品類

20,741

その他

2,601

小計

54,874

海外食料品事業

29,082

中食その他事業

11,290

その他

159

合計

95,408

 (注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 上記国内食料品事業「その他」の主な内訳は、業務用商品、進物品であります。

3 上記その他の区分は報告セグメントに含まれない事業セグメントであり、不動産事業であります。

4 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

三菱商事㈱

60,964

59.4

58,876

61.7

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月30日)現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産、負債、収益および費用の計上金額に影響を与えております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、これらの見積りを行っておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。特に以下の事項は、会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

(2) 当連結会計年度の経営成績の分析

①売上高

 売上高は、前連結会計年度に比べ7,203百万円減収の95,408百万円となりました。

 これは主に、収益認識会計基準の適用等によるものです。

 なお、業績の概況につきましては、「業績等の概要(1)業績」に記載しております。

②売上原価・販売費及び一般管理費

 売上原価は、前連結会計年度に比べ5,032百万円増加し、65,861百万円となりました。これは主に、国内食料品事業の売上原価が増加したこと等によるものです。

 販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ12,366百万円減少し、24,727百万円となりました。これは主に、収益認識会計基準の適用等によるものです。

③営業利益

 営業利益は、前連結会計年度に比べ131百万円増益の4,819百万円となりました。

④経常利益

 経常利益は、前連結会計年度に比べ、営業利益の増加により、1,482百万円増益の6,052百万円となりました。

⑤特別利益・特別損失

 特別利益は、前連結会計年度に比べ、主に固定資産売却益の減少等により、1,297百万円減少の8百万円となりました。特別損失は、前連結会計年度に比べ、主に減損損失の減少等により、2,149百万円減少の309百万円となりました。

⑥法人税等(法人税等調整額を含む)

 税効果会計適用後の法人税等の負担率は、主にのれん償却等が減少したことから、前連結会計年度の38.5%から7.3ポイント減少の31.2%となりました。

⑦親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、1,572百万円増益の3,441百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に比べ89円70銭増加の195円80銭となりました。

 

(3) 当連結会計年度の財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析

①資産、負債及び純資産の状況

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より6,665百万円増加し、91,859百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が増加したこと等によるものです。また負債は、前連結会計年度末より2,010百万円増加し、56,169百万円となりました。これは主に、社債が増加したこと等によるものです。また純資産は主に、利益剰余金が増加したこと等により35,689百万円となりました。この結果、純資産から非支配株主持分を控除した自己資本は、前連結会計年度末より3,959百万円増加の33,657百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.7ポイント上昇の36.6%となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、営業活動による現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の増加額が、投資活動及び財務活動による資金の減少額を上回ったことにより、前連結会計年度末に比べ540百万円増加し、当連結会計年度末の資金残高は、9,142百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの増減要因につきましては、「業績等の概要(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

③資金需要及び資金調達

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の製造のための原材料の購入、製造費、販売費および一般管理費等の営業費用によるものです。また、当社グループの投資資金需要のうち主なものは、製造設備の増設・更新等の設備投資によるものです。

当社グループは、これらの運転資金および投資資金は、自己資金により充当し、必要に応じて、金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。

④財務政策

 当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システムの導入により資金の効率化を図るとともに、売掛債権の流動化及び当座貸越契約の締結により資金調達の十分な流動性を確保し、より柔軟性の高い機動的な財務オペレーションを実現しております。

 また、調達コスト低減とリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、低コストかつ安定的な資金を確保するように努めております。

 

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