当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度の業績は、売上高450億94百万円(前連結会計年度は490億41百万円)、営業利益22億72百万円(同22億53百万円)、経常利益23億6百万円(同24億98百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益15億57百万円(同17億36百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、当連結会計年度に係る各数値については、収益認識会計基準等を適用した後の数値となっているため、対前年同期増減額及び増減率は記載しておりません。
セグメント別の状況は、次のとおりであります。
(食品製造販売事業)
売上高は447億20百万円(前連結会計年度は487億19百万円)、営業利益は20億22百万円(同20億31百万円)となりました。
(不動産賃貸事業)
売上高は3億74百万円(同3億21百万円)、営業利益は2億50百万円(同2億21百万円)となりました。
以下の経営成績に関する説明は、前連結会計年度に収益認識会計基準等を仮に適用した場合の数値との比較・分析を行ったものです。
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進みましたが、変異株の感染拡大により緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の実施などで経済活動が抑制され、予断を許さない厳しい状況が続きました。現時点でも感染症の収束時期や消費行動、企業活動への影響は先行きが見えず、依然として不透明感が続いております。さらに、ロシアのウクライナ侵攻を契機に世界的に先行き不透明な状況が広がっております。
食品業界では、コロナ禍の長期化で内食需要が高まった状態が継続しており、食シーンの変化に応じた商品の供給に取り組んでおります。
この様な状況の中、当社グループは、第71期(2019年3月期)から第74期(2022年3月期)までを対象期間とする4ヶ年中期経営計画「バリューアップ イノベーション74」の最終年度として、「基本方針」である「①安定的な売上伸長」「②全部門の生産性向上」「③積極的な人材育成」「④着実な利益成長」に全社一丸となって取り組み、特にビジョンである「品質にこだわる経営」を基本に立ち返って実践してまいりました。そして、衛生管理と感染リスク対策を徹底の上、食品メーカーとして製品の供給責任を果たしていくことに重点を置いた事業活動を行ってまいりました。
売上面では、前年度の巣ごもり需要の反動を受けましたが節約志向やプチ贅沢需要に対応した期間限定品などの新製品導入と市場定着、きめ細かい販売促進策に引き続き積極的に取り組んだことにより、増収となりました。利益面では、一部原材料の価格は引き続き高止まりしていますが、売上増とプロダクトミックスの改善に伴う利益の増加や、前年度に実施した一部製品の規格変更による効果の持続、業務の無駄取りなどあるべきコストを追求するコストコントロール等の諸施策を講じたことにより、営業利益は増益となりました。なお、経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益が減益になったのは、前年度に発生した受取保証金が今年度はなく、受取配当金、助成金収入等の営業外収益が減少したためです。
この結果、当連結会計年度の売上高は450億94百万円(前年同期比2.2%増)、営業利益は22億72百万円(同3.8%増)、経常利益は23億6百万円(同5.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億57百万円(同7.9%減)となりました。
参考 前連結会計年度に収益認識会計基準等を適用したと仮定して算出した数値との比較
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
セグメントごとの販売実績は、次のとおりであります。
(食品製造販売事業)
売上高を製品群別に分類しますと、水産加工製品は、巾着タイプのチーズかまぼこや、おやつ需要にも対応した「味付焼きかまぼこ」などが売上を伸ばしましたが、前年度に「あたりめ」などのいか製品が大きく伸びたこともあり、減収となりました。畜肉加工製品は、「18本入りペンシルカルパス」や、小袋タイプの新製品「一度は食べていただきたい おいしいサラミ」、「一度は食べていただきたい 粗挽きサラミ」などのドライソーセージ製品が好調に推移し増収となりました。酪農加工製品は、小袋タイプの新製品「一度は食べていただきたい 贅沢な チーズ鱈®」や期間限定品の チーズ鱈® 製品が売上を伸ばし増収となりました。農産加工製品は、食塩無添加のナッツ製品や期間限定品の「JOLLY PACK バタピーお買得セット」などが売上を伸ばしましたが、わずかに減収となりました。素材菓子製品は、カリカリ梅などの梅製品が売上を伸ばし増収となりました。チルド製品は、新製品「チータラ® 粗挽きブラックペッパー入り」、「まろやか チータラ® ピスタチオ」などのチルドチーズ鱈® 製品が好調に推移し増収となりました。その他製品は、「おつまみセレクション」などのアソート製品や、2021年3月にリニューアルした「酒肴逸品」シリーズなどのレトルト製品が好調に推移し増収となりました。
以上の結果、食品製造販売事業の売上高は447億20百万円(同2.1%増)、営業利益は20億22百万円(同2.8%増)となりました。
(不動産賃貸事業)
売上高は3億74百万円(同16.5%増)、営業利益は2億50百万円(同12.9%増)となりました。
当連結会計年度末の連結総資産は413億88百万円(前連結会計年度末比22億20百万円増)となりました。
資産の部では、現金及び預金が12億45百万円増加したことや、賃貸不動産の取得で土地と建物等が合わせて16億87百万円増加したこと等により、総資産が増加いたしました。
負債の部では、リース債務は返済が進み6億58百万円減少しましたが、売上増加に伴う仕入増加により支払手形及び買掛金が4億23百万円増加したことや、賃貸不動産の取得に係る資金として長期借入金を12億円調達したこと等により、負債合計は179億82百万円(同10億96百万円増)、純資産の部では配当金2億89百万円に対し、当期純利益15億57百万円で利益剰余金が10億5百万円増加したこと等により、純資産合計が234億6百万円(同11億24百万円増)となりました。
なお、自己資本比率は前連結会計年度比0.3ポイント減少の56.6%となっております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ12億47百万円増加し、45億89百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、36億69百万円の収入(前年同期は33億4百万円の収入)となりました。 主に、税金等調整前当期純利益が23億1百万円、埼玉第二工場を中心とする減価償却費が16億98百万円あった一方で、法人税等の支払額が8億29百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、21億76百万円の支出(前年同期は4億5百万円の支出)となりました。
主に、賃貸不動産の取得や、工場における生産設備の導入等、有形固定資産の取得による支出が18億7百万円あったこと等によるものです。
この結果、営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュフローは14億93百万円の収入(同28億99百万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、2億46百万円の支出(前年同期は18億24百万円の支出)となりました。主に、賃貸不動産の取得に係る資金として長期借入金を12億円調達した一方で、ファイナンス・リース債務の返済による支出が9億95百万円あったこと等によるものです。
2023年3月期のキャッシュ・フローにつきましては、収益面では厳しい環境にありますが、在庫水準、債権債務等のきめ細かい管理に努め営業キャッシュ・フローの向上に注力いたします。投資活動によるキャッシュ・フローは、商品の安全・安心の対策、老朽化設備の更新、合理化・改善のための設備投資、情報システム強化のための投資などを予定しており、更なる事業規模の拡大と企業体質の強化に取り組んでまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産)
将来の事業計画に基づき、課税所得が十分に確保され、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに基づいており、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合には、繰延税金資産の取り崩しを行う可能性があります。
(退職給付費用及び退職給付債務)
退職給付費用及び債務について、割引率、昇給率等の数理計算上の前提条件に基づき算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
(固定資産の減損)
固定資産のうち減損の兆候のある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じて見積りが減少した場合には、減損損失が必要となる可能性があります。
なお、当期の連結財務諸表の作成にあたって、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を見通すことは極めて困難な状況でありますが、その影響は翌連結会計年度も継続するものと仮定した上で、会計上の見積りを行っております。現時点においては重要な影響を与えるものではないと判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響は不確実性が高く、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの運転資金需要は主に、原材料調達のほか、製造経費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、長期の資金需要は、食品メーカーとしての生産設備、研究開発、情報システムなどの成長投資等によるものであります。
運転資金及び長期資金は、主として営業活動によって得られた自己資金を充当し、必要に応じて借入金などによる調達を実施いたします。また、当社グループの資金は、当社が全体を管理することにより、資金効率の向上を図っております。
配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
なお、2023年3月期における重要な資本的支出につきましては、埼玉工場をはじめとする各工場の増産設備や老朽化設備の入替など、総額6億円の設備投資を予定しております
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、製造原価によるものであります。
2.不動産賃貸事業においては、該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注予測による見込生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績については、「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
なお、主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(注) 前連結会計年度における株式会社山星屋に対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
現在の当社グループを取り巻く環境は、「少子高齢化を背景とした珍味顧客の高齢化や低年齢層の減少」「消費者ニーズの多様化による業種業態を超えた食品売場のボーダレス化」など、需要構造が徐々に変わってきております。これに対して、当社グループといたしましては、新たな発想による新しいおつまみの開発やおつまみ加工技術を活用し、珍味売り場向けの水産加工製品、畜肉加工製品、酪農加工製品を中心に、珍味外売り場向けの素材菓子製品、チルド製品などの開発も積極的に行い、新しい需要を創造し、成熟型社会に対応した企業基盤の確立に取り組んでおります。
当面の課題としては、世界的な原材料価格の高騰や、急速な為替円安の進行、ロシアのウクライナ侵攻に伴うエネルギー価格の上昇等に加え、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響などであります。代替原材料への切替、一部原料の調達先の国内回帰や、エネルギーの効率的使用などの対策を検討しておりますが、更なる値上げなどが発生し、当社グループの企業努力の限界を超えた場合、企業収益を圧迫することがあります。
また、食の安全を確保するための法令改正や指導が行われた場合、追加設備投資あるいは費用などにより財政状態及び経営成績に重要な影響が生じる場合もあります。これらにつきましては、「2 事業等のリスク」に記載いたしましたのでご参照ください。
経営方針・経営戦略につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしましたのでご参照ください。
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載いたしましたのでご参照ください。
2017年度(第70期)を比較基準年度として、2021年度(第74期)までの連結売上高は、当社の主力である常温の珍味売り場の売上伸長を進めながら、珍味外売り場の拡販に取り組み、既存及び新市場の維持・拡大に取り組んできた結果、実質的に4期連続の増収を達成し、収益認識会計基準等を適用する前の会計期間である2020年度までの年平均成長率(CAGR※)は2.5%、前連結会計年度に収益認識会計基準等を仮に適用した場合の2021年度の成長率は2.2%となりました。
連結営業利益は、工場と配送センターを中心に更なる生産性の向上を追求すると共に、原材料の価格変動や環境変化に対して迅速な対応策を打ち、プロダクトミックスの最適化と利益管理の更なる充実に取り組んできた結果、2021年度は2017年度に対し、CAGRが15.1%となりました。
2022年度(第75期)は、第6次中期経営計画「Next Value up for 80」の初年度として、第80期ビジョン「私たちは、『“もっと”おいしく、楽しく、ワクワクするおつまみをお届けする会社』を目指していきます。」の達成を目指して、これからも持続的に成長し続けてまいります。
※CAGR(Compound Annual Growth Rate)…複数年にわたる成長率から1年あたりの成長率を複利で計算したもの。
お知らせ