業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態の状況

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より1,453百万円増加して、12,777百万円となりました。
 流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,430百万円増加し、8,206百万円となりました。この主な要因は、新株式の発行により現金及び預金が694百万円、売上の増加により受取手形及び売掛金が279百万円、商品及び製品が250百万円増加したことによるものであります。
 固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べ22百万円増加し、4,571百万円となりました。この主な要因は、減価償却費及びのれん償却額785百万円の計上により減少した一方で、社員寮の建設等により建物及び構築物が355百万円、生産設備の増強等によりリース資産が203百万円増加したことによるものであります。
 負債合計は、前連結会計年度末より421百万円減少して、7,336百万円となりました。

 流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて206百万円増加し、5,558百万円となりました。この主な要因は、仕入の増加により買掛金が149百万円、税金等調整前当期純利益の増加により未払法人税等が95百万円増加したことによるものであります。
 固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて628百万円減少し、1,777百万円となりました。この主な要因は、返済により長期借入金が495百万円、長期未払金が118百万円減少したことによるものであります。
 純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて1,874百万円増加し、5,440百万円となりました。この主な要因は、新株式の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ485百万円増加したこと、並びに親会社株主に帰属する当期純利益が1,110百万円計上されたことにより、利益剰余金が890百万円増加したことによるものであります。
 この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末より11.1ポイント上昇し、42.6%となりました。

 

② 経営成績の状況

 当社グループは食品製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 当社グループ製品の主原料である水産素材は、世界的な健康志向の高まりによる魚食の増加及び新興国の人口増加等を背景に需要が高まっており、世界的な規模での水産資源の確保が難しくなり、価格の高騰が起きております。こうした環境の中、当社グループでは、主要製品の原材料をその時々の相場価格で複数の商社・問屋から広く調達することにより、必要なサイズ、必要な数量を安定的に調達できる仕組みを構築しております。しかしながら、必要な量の確保が困難になることによる販売機会の損失や、仕入価格の高騰や歩留まりの悪化による製造コストの増加等の可能性もあり、当社グループでは、生産性の向上等による製造コストの削減や、原材料の調達可能量を考慮して可能な範囲で製品構成の調整を図る等による販売方法の見直し等を行っております。

一方、製品の主要な販売先はコンビニエンスストアをはじめとした小売チェーン店等であり、国内における高齢世帯・共働き世帯の増加、世帯人数の減少等の社会構造変化や、そのライフスタイルや価値観の多様化等、一般消費者の消費動向の変化が、当社グループ製品の販売に影響を及ぼすと認識しております。また、主要販売先の店舗展開、販売方針並びに価格政策等の経営戦略が変更になった場合、商品納入に関して同業他社との競合が発生する等、取引関係が変化する可能性も認識しております。こうした環境の中、当社グループでは、消費者及び顧客のニーズをいち早く的確に捉え、スピーディーに市場価値の高い独自商品を開発・商品化するために、顧客に最も近い営業担当者が商品開発の中心的役割を担う体制をとっております。営業担当者は日々担当商品の販売動向(POSデータ等に基づく実績値)と顧客のコメント及びニーズを敏感に察知、収集し、それらの情報を基に各生産拠点の開発部門と緊密に連携して商品のリニューアルや新商品開発への準備を行い、当社グループの主要顧客であるコンビニエンスストアのニーズに対し機動的かつ柔軟に提案を繰り返し行い、消費者の動向や嗜好の変化に対応しております。

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の流行長期化に伴い、緊急事態宣言が度々発出されたことにより大きく活動を制限されました。2021年の夏場以降、ワクチン接種率の向上とともに感染者数は減少傾向となり、同年9月末に緊急事態宣言が解除されると緩やかに回復に向かい始めました。しかしながら感染力の強い新たな変異ウイルスの流行が始まっており、再び先行きが不透明な状況となっております。

 食品業界におきましては、いわゆる「巣ごもり消費」による内食・中食需要の増加は、新型コロナウイルス感染症が小康状態となった局面においても継続しており、ウィズコロナ、ポストコロナ時代の「新たな日常」における個人消費行動の変化への対応が求められております。一方、海外におけるサプライチェーンの停滞や、経済活動再開に伴う需要増による原材料価格の高騰など、生産現場における継続的な供給に対する負荷が高まりました。

 このような環境の中、当社グループは「持続可能な原材料・製造への取り組み」「フードロスの削減への取り組み」「環境への配慮」「原料調達から製造・販売まで一貫した垂直統合型の展開」「健康志向と魚文化を重視した中食への取り組み」を基本方針に掲げ、中長期的な企業価値向上と持続的な成長の実現に取り組むとともに、新型コロナウイルス感染症対策の徹底など、食品メーカーとして消費者と従業員の安全と安心のために、安定した製造・供給を継続すべく、当社グループ全体で社会的に重要な使命の遂行に取り組んで参りました。

 販売面では、食品販売におきまして、巣ごもり需要の影響などによりカップサラダ製品などのチルド惣菜製品の販売が伸長いたしました。食材販売におきましても、上期に低下したおにぎり需要が下期には徐々に回復に向かうとともに、新商材の販売などにより持ち直しました。この結果、当連結会計年度における売上高は、26,264百万円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。

 損益面では、下期において海外需要の増加に伴う原材料価格の高騰により売上原価率の上昇を招きましたが、上期における生産効率の向上による労務費を中心とした売上原価率の改善が奏功し、当連結会計年度における営業利益は1,723百万円(前連結会計年度比30.2%増)、経常利益は1,745百万円(前連結会計年度比36.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,110百万円(前連結会計年度比33.4%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ694百万円増加し、3,243百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
 営業活動の結果得られた資金は1,490百万円(前連結会計年度は1,130百万円の獲得)となりました。これは主に、たな卸資産440百万円、売上債権279百万円の増加により資金が減少した一方で、税金等調整前当期純利益1,748百万円、減価償却費742百万円により資金が増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は518百万円(前連結会計年度は231百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出417百万円及び無形固定資産の取得による支出104百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
 財務活動の結果使用した資金は287百万円(前連結会計年度は215百万円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入962百万円により資金が増加した一方、長期借入金の返済による支出560百万円、リース債務の返済による支出280百万円により減少したことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

当社グループでは、水産原料を活用した惣菜並びに缶詰等の食品製造・販売及び、おにぎり・弁当・パスタ・サラダ等の食品製造・販売を行うデイリー惣菜メーカーへの食材(具材等)の製造・販売を行う食品製造販売事業を営んでおりますが、事業セグメントとして区分は行っておりませんので、生産、受注及び販売の状況につきましては、当社グループの管理上の区分にて、製品分類別に記載しております。

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績は、次のとおりであります。

区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

食  品

15,668,114

111.8

食  材

3,338,941

117.1

合  計

19,007,056

112.7

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.上記の金額は、売上原価により算出しております。

 

b.受注実績

当社グループは、市場動向の予測に基づく見込生産並びに顧客からの受注に基づく受注生産を行っておりますが、受注生産を行うものについては、受注当日ないし翌日に製造・出荷しておりますので、受注並びに受注残高についての記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

区分の名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

食  品

21,779,157

113.5

食  材

4,485,690

115.9

合  計

26,264,847

113.9

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年1月1日

 至 2020年12月31日)

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱セブン-イレブン・ジャパン

14,303,213

62.0

17,189,928

65.4

ベンダーサービス㈱

3,801,367

16.5

3,929,341

15.0

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に与える見積りを必要とします。これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは食品製造販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

a.経営成績等の分析

(売上高)

 当連結会計年度の売上高については、食品販売におきまして、巣ごもり需要の影響などによりカップサラダ製品などのチルド惣菜製品の販売が伸長いたしました。食材販売におきましても、上期に低下したおにぎり需要が下期には徐々に回復に向かうとともに、新商材の販売などにより持ち直しました。その結果、26,264百万円(前連結会計年度比13.9%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、下期において海外需要の増加に伴う原材料価格の高騰により売上原価率の上昇を招きましたが、上期における生産効率の向上による労務費を中心とした売上原価率の改善が奏功し19,007百万円(前連結会計年度比12.7%増)、売上原価率は72.4%(前連結会計年度比0.8ポイント減)となりました。

 その結果、売上総利益は7,257百万円(前連結会計年度比17.2%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益、EBITDA)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、売上高の増加に連動した配送費などの販売費の増加や、管理体制強化のための人員増加等により5,534百万円(前連結会計年度比13.7%増)、売上高に対する販売費及び一般管理費の割合は21.1%(前連結会計年度比0.0ポイント減)となりました。

 その結果、営業利益は1,723百万円(前連結会計年度比30.2%増)となりました。また、EBITDA(「営業利益」+「減価償却費」+「のれん償却額」)は、2,508百万円(前連結会計年度比23.3%増)となりました。

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当連結会計年度において、助成金収入や物品売却益等により営業外収益は63百万円、主に支払利息等により営業外費用は41百万円発生いたしました。

 その結果、経常利益は1,745百万円(前連結会計年度比36.8%増)となりました。

(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度において、固定資産売却益により特別利益は4百万円発生いたしました。

 その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,110百万円(前連結会計年度比33.4%増)となりました。

 

b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析

 当社グループは、安定的な製品の供給と市場シェアの向上による成長性並びに原価率や固定費率等の適正化による収益性を、基調的な改善項目と捉え、売上高経常利益率を重要指標としております。

 当連結会計年度では、水産資源に対する海外需要の増加に伴い、原材料価格が高騰いたしましたが、特にデイリー惣菜生産工場における生産効率(原材料費率、労務費率等)の向上に努めました。

 この結果、当連結会計年度における売上高経常利益率は6.6%(前連結会計年度比1.1ポイント増)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入等により資金調達を行っています。当社グループの資金調達の方針は、必要資金を円滑かつ効率的に調達することにあります。

 今後の資金需要の主なものとしては、生産キャパシティの更なる増設並びに生産性向上のための生産ラインの最適化や生産効率向上のための設備投資があり、自己資金及び借入金等による資金調達を予定しています。

 なお、キャッシュ・フローにつきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

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