業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。なお、経営上の客観的な指標等にかかる分析につきましては、1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略等をご参照ください。

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当期におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により厳しい状況が続いておりますが、基調としては持ち直しており、企業業績は改善傾向となっております。もっとも、ワクチンの普及等は進んでいるものの、変異株の新型コロナウイルス感染症拡大により感染収束時期は依然として見いだせない状況であり、景気の先行きが不透明な状況が長期化しております。また、米国を始めとする世界的な利上げが金融市場に与える影響により、国内外の景気や経済は先行き不透明な状況が続いております。

不動産市場においては、在宅時間が増えるコロナ禍においては、「すまい意識」の高まりから、首都圏中古マンションの成約件数は高水準で推移していました。しかしながら、当期第1四半期から第3四半期に引き続き、第4四半期においても同成約件数は前年同期比で下回り、前年同期比で6.0%のマイナスとなりました。また、2020年6月以降低下していた首都圏中古マンションの市場在庫件数については、2021年7月以降徐々に改善がみられ、2022年7月には同市場在庫件数は前年同月比で11.4%増となり、需給バランスの改善がみられます。

このような経済環境のもと、当社は、主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業のサービス改善及び組織体制の強化による事業規模拡大、システム開発への投資などの施策を中心に取り組んでまいりました。この結果、前年同期比で振るわない中古マンション市場にあって、当社の当期の売上高は2,766,313千円(前事業年度比70.3%増)と増大しました。他方、各段階損益については、期初から掲げている先行投資を計画通り実行したため、営業損失は773,960千円(前事業年度は営業損失358,720千円)、経常損失は795,020千円(前事業年度は経常損失358,316千円)、当期純損失は822,420千円(前事業年度は当期純損失482,465千円)となりました。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

 

a.cowcamo(カウカモ)事業

当セグメントにおきましては、主にリノベーション住宅のオンライン流通プラットフォームcowcamoの運営を通じて、中古・リノベーション住宅の仲介を行っております。当事業に係る外部環境は、新築マンションの価格の高止まりを受けた中古マンションの流通拡大およびリノベーションに対する顧客認知の高まりにより、リノベーションマンション流通市場は拡大基調にあります。

このような環境のもと、当社としては、事業のさらなる成長に向け、プロダクトの機能改善やオンラインを中心とした広告活動、物件案内を行う営業人員の拡充・教育、業務システムの開発、物件供給強化のための新サービスの開発などに取り組んでまいりました。

この結果、売上高は2,363,033千円(前事業年度比90.5%増)、セグメント損失は241,924千円(前事業年度はセグメント利益32,572千円)となりました。

 

b.不動産企画デザイン事業

当セグメントは、主にオフィス設計を中心とした設計・企画・空間プロデュースの受託事業およびコワーキングスペース・ワークプレイスレンタルサービスの企画・運営事業から構成されております。当事業に係る外部環境は、働き方の多様化やそれに基づく都心部におけるオフィス移転、分散、縮小の動きがみられ、当セグメントにおいては需要の拡大がみられました。

これらの結果、売上高は403,280千円(前事業年度比5.1%増)、セグメント利益は54,451千円(前事業年度比164.8%増)となりました。

 

当事業年度末の総資産は、2,878,842千円となり、前事業年度末と比較して159,038千円の減少となりました。

財政状態の状況につきましては、「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態の分析」に記載しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、販売用不動産の取得等により、前事業年度末に比べて589,682千円減少し、当事業年度末には1,607,621千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は1,025,358千円(前事業年度は437,819千円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失819,921千円、棚卸資産の増加377,584千円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は108,781千円(前事業年度は105,924千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出86,063千円、投資有価証券の取得による支出23,000千円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は544,457千円(前事業年度は1,221,159千円の獲得)となりました。これは主に、株式の発行による収入793,974千円等があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績及び受注実績

当社は主に、インターネット上において、中古・リノベーション住宅の売主と買主のマッチングを実現するプラットフォーム「cowcamo」の運営(cowcamo(カウカモ)事業)、スタートアップ企業等の「チャレンジする人・組織」を主要顧客として働く場を提供する「co-ba (コーバ)」の運営、主にオフィス移転を検討するクライアント企業に対して、仲介、設計等のコンサルティングをワンストップで提供するオフィスソリューションサービス(不動産企画デザイン事業)を行っております。提供するサービスの性格上、生産実績及び受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。

 

b.販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自 2021年8月1日

至 2022年7月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

cowcamo(カウカモ)事業

2,363,033

+90.5

不動産企画デザイン事業

403,280

+5.1

合計

2,766,313

+70.3

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主要な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次の通りであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を合理的に勘案し判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載しております。

なお、新型コロナウィルス感染症の影響については、今後の動向について予測は難しいものの、国内におけるワクチンの普及による感染者数の減少や、人々の生活に抑制度合の低下もあり、新型コロナウィルス感染症により当社の翌事業年度以後の業績に重要な影響を与えるものではないと仮定し、当事業年度の会計上の見積りを行っております。

 

② 財政状態の分析

(資産の部)

当事業年度末における流動資産は2,561,388千円となり、前事業年度末に比べ85,495千円減少いたしました。これは主に、販売用不動産の取得等により現金及び預金が589,681千円減少したこと等によるものです。

当事業年度末における固定資産は317,453千円となり、前事業年度末に比べ73,542千円減少いたしました。これは主に販売用不動産への振替等があり、有形固定資産が84,957千円減少したこと等によるものです。

 

(負債の部)

当事業年度末における流動負債は538,275千円となり、前事業年度末に比べて107,814千円増加いたしました。これは主に1年内償還予定の社債が22,000千円増加、1年内返済予定の長期借入金が19,445千円増加したこと等によるものです。

当事業年度末における固定負債は1,430,959千円となり、前事業年度末に比べて296,667千円減少いたしました。これは主に長期借入金が307,025千円減少したこと等によるものです。

 

(純資産の部)

当事業年度末における純資産合計は909,607千円となり、前事業年度末に比べて29,813千円増加いたしました。これは主に、新株式の発行、欠損填補及び当期純損失の計上等により資本金が16,317千円、利益剰余金が339,954千円減少する一方、資本剰余金が542,481千円増加したことによるものです。

 

③ 経営成績の分析

(売上高)

当事業年度の売上高は、2,766,313千円(前事業年度比70.3%増)となりました。主力事業であるcowcamo(カウカモ)事業のサービス改善及び組織体制の強化による事業規模拡大、システム開発への投資などの施策を中心に取り組んできたことによるもので、セグメント別では、cowcamo(カウカモ)事業は2,363,033千円(前事業年度比90.5%増)、不動産企画デザイン事業は403,280千円(前事業年度比5.1%増)となりました。

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は、921,948千円(前年同期比156.2%増)となりました。これは主に、cowcamo(カウカモ)事業における仕入取引の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,844,365千円(前事業年度比45.9%増)となりました。

(販売費及び一般管理費、営業損益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,618,325千円(前事業年度比61.3%増)となりました。これは主に、事業の拡大に伴う人員の増加による給与等の支払い及び業務委託費が増大したこと等によるものであります。この結果、営業損失は773,960千円(前事業年度は営業損失358,720千円)となりました。

(経常損益)

当事業年度において営業外収益が2,264千円、営業外費用が23,325千円発生しております。この結果、経常損失は795,020千円(前事業年度は経常損失358,316千円)となりました。

(当期純損益)

当事業年度において固定資産の減損損失26,141千円等があり、特別損失を26,141千円計上しております。また、法人税等合計を2,499千円計上しております。この結果、当期純損失は822,420千円(前事業年度は当期純損失482,465千円)となりました。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人材の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社の経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社の運転資金需要のうち主なものには、cowcamo(カウカモ)事業及び不動産企画デザイン事業における人件費、外注費、広告宣伝費等があります。必要資金の確保及び流動性リスクの未然防止または低減の観点から、市場環境や長短のバランスを勘案して、内部資金の活用及び借入により調達のほか、社債の発行等の調達手段を行い、資金調達手段の多様化を図っております。

なお、足元では新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に備え、手元流動性と資金の確保に努めてまいります。

 

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