文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「A DECADE AHEAD 今の先鋭が 10 年後の当たり前を造る」をミッションとして掲げ、実業(リアルビジネス)である不動産事業を手掛けることでお客様・業界のニーズや改善余地を自ら把握し、AIクラウド&コンサルティング事業において不動産業界や金融業界などへ実務有用性の高いAIソリューション・クラウドツールを提供しており、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」という独自の顧客提供価値の追求を経営の基本方針としております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」であるユニークなAI/SaaS企業として持続的成長を目指しており、その中でもAIクラウド&コンサルティングセグメントにおけるAIクラウドサービスを将来的な収益の柱と位置づけ、その成長性及び継続安定性を重視しております。そのため、当社グループは、連結の売上高及び営業利益に加えて、ARR(アニュアルリカーリングレベニュー)、AIクラウドサービスの契約数及び月次解約率を重要な経営指標としてモニタリングしております。
(3)経営戦略等
当社グループは、(1)の基本方針をベースにしながら、セグメントごとに以下の戦略を策定しております。
<AIクラウド&コンサルティングセグメント>
高水準のLTV/CACを基に以下の戦略により事業拡大を加速させ、年平均成長率50%を意識した高いARR成長と持続的な利益成長を両立させたSaaSプレイヤーを目指します。
①セールス・マーケティング体制のさらなる増強によるクラウドソリューション(旧:AIクラウドサービス)
及びアナリティクス&トランスフォーム(旧:AIコンサルティングサービス)の契約獲得拡大
②クラウドソリューションにおける新規顧客への複数商材バンドルパックの提供や既存サービスの有料オプシ
ョン開発・アップセル及びAIモジュールを活用したアナリティクス&トランスフォームの差別化領域拡大に
よる顧客単価向上
<不動産テックセグメント>
以下の戦略を通してAIソリューション・ツールの活用及び創出の相乗効果を生み出し、新しい「不動産×テクノロジー」のあり方を追求してまいります。
①AIクラウド&コンサルティングセグメントと協働での新規モジュール創出及び積極的な試験導入による生産
性の持続的向上、安定収益の確保
②プロパティソリューション(旧:スマートホームサービス)におけるオフバランスビークル活用による財務
安全性の維持、国内外のテックアライアンスを通じた開発物件のDX及びESG対応
③新たな収益源としてのアセットマネジメントフィー獲得及び実務有用性の高いアセットマネジメントツール
の創出
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記(3)の経営戦略等を実行するために、以下のような課題に対処してまいります。
①「リアルビジネスを内包したテックプロバイダー」の追求
当社グループがより多くの顧客企業やパートナー企業から提供価値を認められ、持続的に成長していくためには、実業(リアルビジネス)である不動産事業とテクノロジーを提供するAIクラウド&コンサルティング事業のシナジー追求による継続的な顧客提供価値の向上及び拡大が重要であると認識しております。当社グループは、現場からマネジメントレベルまでアウトプット志向のコラボレーションを推進する仕組みを構築するとともに、経営トップ自らがメッセージ発信等の啓蒙を行っており、引き続きシナジー追求を徹底いたします。
②優秀な人材の確保及び組織体制の強化
当社グループは、持続的成長の実現に向けて、当社グループのミッションに共感し、高い専門性や技術力を有する優秀な人材の確保及び育成が重要であると認識しております。積極的な採用活動を継続していくとともに、執務環境の整備やモチベーションを向上させる人事諸制度の導入を行うことで、組織体制を強化してまいります。
③情報管理体制の強化
当社グループは、提供するサービスに関連して多くの顧客企業の機密情報や個人情報等を保有しており、その重要性について十分に認識しております。これらの情報資産を保護するため、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育・監査の実施のほか、情報セキュリティシステムの強化・整備に努めることで、引き続き情報管理体制の強化を図ってまいります。
(5)経営環境
<AIクラウド&コンサルティングセグメント>
株式会社富士キメラ総研によると、人工知能(AI)の国内市場の市場規模は2025年度に2019年度比2.0倍の1兆9,357億円に達すると予測されている他(2020年8月21日発表『2020 人口知能ビジネス総調査』)、株式会社矢野経済研究所によると、不動産テックの国内市場の市場規模は2025年度に2020年度比2.0倍の1兆2,461億円に達すると予測されており(2021年7月28日発表『2021年版 不動産テック市場の実態と展望』)、合計3.2兆円の大きな市場を当社グループのAIクラウド&コンサルティング事業のビジネスポテンシャルとして捉えております。このうち、当社グループが手掛ける既存のクラウドサービスのみで開拓しうる市場規模としても1,000億円~2,000億円の事業機会が存在していると捉えております。この市場を対象に業務効率化クラウドサービスやソリューションを提供する上で、実業(リアルビジネス)を内包することで磨き込める実務有用性の高さ、及びクラウドサービスの提供を通じて顧客から獲得することのできる良質なビッグデータが、事業の強みと堅牢性になっていると考えております。この強みに支えられた解約率の低さによる高水準のLTV(ライフタイムバリュー)と、投資対効果を意識したセールス・マーケティング施策展開による低水準のCAC(カスタマーアクイジションコスト)を両立させることで、同事業の高い収益性を実現させております。
翌連結会計年度のAIクラウド&コンサルティングセグメントを取り巻く市場環境については、新型コロナウイルス感染拡大の長期化や金融資本市場の変動等により先行きに不透明感はあるものの、コロナ禍への産業界の対応と政府によるデジタル化推進の動きが相まった業界横断のデジタライゼーション機運が継続することで、当社事業にとって良好な状況が続くと想定しております。
<不動産テックセグメント>
当社グループが提供している不動産テックセグメントの不動産仲介サービスにおいて取扱い件数の多い首都圏の中古マンション市場は、2021年1月~12月における成約件数は39,812件であり、新型コロナウイルス感染症対策の徹底やワクチン接種の進展により不動産売買の動きが持ち直したことで、前年比11%増となりました(公益財団法人東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」)。スマートプロパティ(旧:スマートホームサービス)においては、都心好立地でIoTの活用を特徴とするAIFLAT(アイフラット)に対する投資ニーズの高まりが引き続きみられます。
翌連結会計年度の不動産テックセグメントを取り巻く市場環境については、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化や金融資本市場の変動等により先行きに不透明感はあるものの、AIクラウド&コンサルティングセグメントと共同での新規モジュール創出及び積極的な試験導入により生産性の持続的向上に取り組むと同時に、アセットマネジメント事業を開始し運用物件のDXやESG対応を加速させることで、新しい「不動産×テクノロジー」の在り方実現を目指してまいります。
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