事業等のリスク

2【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に投資家の判断に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)AI及びIT業界の動向について

AIクラウド&コンサルティング事業においては、ITの高度なテクノロジー及びAI技術を応用することで、従来では解決困難であった課題に対するソリューションを提供する企業が増えてきております。当社グループでは、利用者にとって有益なサービスを提供するべく顧客へのヒアリングやサポートを行うことにより新規サービスの開発、既存サービスの利用者拡大等に努めておりますが、これら競合他社との競争が激化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)技術革新への対応について

AIクラウド&コンサルティング事業においては、技術革新のスピードが速く、既存の技術及び知識の陳腐化が生じやすくなっております。当社グループでは最先端技術を有する企業とのアライアンス等により絶えず技術及び知識のアップデートを行うよう努めておりますが、技術動向の大幅な変更や代替技術の登場により、当社の技術及び知識が陳腐化した場合には、当社サービスの競争力が失われることにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保について

AIクラウド&コンサルティング事業においては、高度なテクノロジーやAI技術に関する知識を有する人材の確保が最優先事項であると考えております。

当社グループでは、この方針のもと、人材の採用・育成を継続して行っておりますが、人材が十分に確保できない場合や、高い専門性を有する当社グループの役職員が社外に流失した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システム障害について

クラウドソリューションサービスについては、インターネット上で提供するサービスが多いため、インターネットのシステム障害等によりサービスの安定的な提供が行えなくなった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)大手不動産ポータルサイトとの競合について

大手不動産ポータルサイトのビジネスモデルは、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに、不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりません。当社グループは、このようなユニークな立ち位置に安住することなく、様々な新規サービスを提供していく予定ですが、今後、大手不動産ポータルサイトが、当社グループのクラウドソリューションサービスのように、不動産取引のプロセス全般に対してサービスの提供を開始した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、ヤフー株式会社が単独で運営する「Yahoo!不動産」は、不動産を購入することを検討しているユーザー向けに不動産の広告情報を掲載する広告ビジネスであり、不動産取引のプロセス全般に対してサービスを提供しておりませんので、当社グループのクラウドソリューションサービスとは競合しないと考えております。

 

(6)委託先への依存について

当社グループは、少数精鋭による効率的な事業運営を行うため、AIクラウド&コンサルティング事業の開発及び保守業務の一部について外部への委託を行っております。委託先については細心の注意を払って選定し、業務を委託した業者とは良好な関係を保つよう努めておりますが、委託先を十分確保できなかったり、委託先の倒産等不測の事態が起きたりした場合には、円滑な事業運営が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)新型コロナウイルス感染症の拡大による事業継続性について

新型コロナウイルス感染症の拡大に対し、当社グループの役員・従業員の感染防止策として、①時差出勤の奨励、②リモートワークの導入及び③自席及び共用スペースにおけるアクリル板の設置等を行い、感染防止に備えております。それにもかかわらず、当社グループの役員・従業員に新型コロナウイルス感染症の感染者が出た場合、オフィス閉鎖やそれに伴う事業停止等の対応を余儀なくされ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)新型コロナウイルス感染症が不動産市場に与える影響について

新型コロナウイルス感染症によるリモートワーク拡大により、より広い居住環境を確保できる戸建を求める動きが顕著になってきている反面、今後の価格上昇を見据えた売り惜しみ等からストック数が不足している状況となっております。他方、行き過ぎた価格上昇が何らかの理由により一気に反転する可能性もあり、このような急激な不動産市場の動向の変化が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、プロパティソリューションサービスにおいては、新型コロナウイルス感染症拡大により打撃を受けたホテル・商業施設の評価が下がっている反面、行場を失った不動産投資マネーが、当社がプロパティソリューションサービスを展開する住居系不動産に集中し、価格が高騰しております。この価格高騰が続いた場合、用地の取得が困難となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)不動産に係る政策の変更について

当社グループがサービスを提供している不動産市場においては、経済政策の一環として住宅ローン減税や住宅取得における贈与税の非課税枠等、不動産関連の税制の変更等が実施されておりますが、それら政策の変更等により不動産市況が落ち込み、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)業法について

当社グループが行っている不動産テック事業においては、宅地建物取引業法や金融商品取引法等の不動産取引に関する各種法令を遵守する義務を負っております。

当社グループは、これら法令を遵守して業務を行っており、現在まで行政処分や指導を受けたことはなく、また事業継続に支障を来たす要因は発生しておりません。しかし、今後偶発的な事象等により、これら業法違反を犯したとして許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、今後、関連する法令が新たに制定又は既存の法令が改廃された場合には、当社グループの事業の一部が制約を受け、対応のために追加的な費用がかかるなど、当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。なお、現在当社グループが取得している許認可等は以下のとおりであります。

 

 

許認可等の名称

免許証番号

有効期限

主な許認可取消事由

宅地建物取引業者免許

国土交通大臣(1)第9297号

2023年1月11日

・不正な手段により当該登録を受けた場合や役員等の欠格条項違反等に該当した場合は免許の取消(宅地建物取引業法第66条)。

・不正又は著しく不当な行為があった場合は業務停止(宅地建物取引業法第65条)

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣(01)第004007号

2027年2月28日

・賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律上の監督処分事由に該当した場合の業務停止処分及び業務改善命令等

金融商品取引業登録

関東財務局長(金商)第3179号

・登録拒否要件に該当するとき(金融犯罪の罰金刑執行後5年を経過しない、役員等が制限能力者や破産者等になった、金商業を適格に遂行するに足りる人的構成を有しない等)(金商法第52条第1項第1号)

・不正手段で登録を受けたとき(金商法第52条第1項第6号)

・金融商品取引業に関し、不正又は著しく不当な行為をした場合で、情状が特に重いとき(金商法第52条第1項第10号)

銀行代理業許可

関東財務局長(銀代)第418号

・銀行法上の許可取消事由への該当

 

(11)不動産の表示に関する公正競争規約等について

当社グループが提供しているクラウドソリューションサービスやアセットマネジメント&コンサルティングサービスにおいては、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不当景品類及び不当表示防止法」により、広告宣伝活動の制約を受けております。当社グループは、効率的な集客のためインターネット上の広告等を積極的に行っており、広告等については事業部門及び法務部門で法令適合性を確認しておりますが、これらの広告が上記制約に違反した場合には、許認可の取消・更新拒絶や営業停止の処分を受け、社会的信用の低下等により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)プロパティソリューションサービスにおける土地の仕入れについて

新型コロナウイルス感染症の拡大の有無を問わず、当社グループが提供しているプロパティソリューションサービスにおいては、マンション建設が可能な広さがありかつ駅から徒歩圏内にある等の条件を満たした資産性の高い土地の仕入れが不可欠であります。当社グループは、このような仕入れを持続的に行うために不動産業界におけるネットワークの確保等に努めておりますが、これらの条件を満たした土地の仕入れが十分に行えない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)プロパティソリューションサービスにおける在庫について

当社グループが提供しているプロパティソリューションサービスにおいては、不動産市場が悪化した場合には、在庫の不動産を販売できずに滞留在庫になり原価割れで販売する、あるいは評価減を計上しなければならないというリスクがあります。当社グループではこのような事態に備え、複数の出口オプションを検討して物件を選定する等リスクの低減を図っておりますが、それでも吸収できないダウンサイドが発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(14)プロパティソリューションサービスにおける契約不適合責任について

当社グループが提供しているプロパティソリューションサービスにおいては、当社グループが購入した不動産に権利、構造、環境等に関する欠陥・瑕疵があった場合、原則として売主に契約不適合責任を追及できますが、必ずしも金銭的な補償を完全に得られるとは限りません。その結果、取得した不動産について瑕疵の修復などの追加費用等が発生する場合があります。

また、当社グループにおいては建物建設時に厳格な施工管理を実施しておりますが、当社グループが販売した不動産に瑕疵があった場合には、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、瑕疵の修復などの追加費用が発生することにより、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)不動産開発について

当社グループが不動産開発等を行う場合、地価や開発コストの高騰、工事の不備等の外的要因により計画の遅延や計画変更を余儀なくされる可能性があります。この場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)個人情報の取扱いについて

当社グループでは、個人情報の管理に細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)情報管理について

当社グループの事業遂行過程で、顧客の秘密情報を取得する場合があります。情報の取扱いについては、紙ベースのものは施錠できるキャビネットでの保管を、データ情報についてはパスワードを付したうえアクセス制限のかかったフォルダへ保管する旨義務付けており、情報漏えいには細心の注意を払っておりますが、不測の事態によりこれらの情報が外部に漏えいした場合には、当社グループの信用低下や損害賠償等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18)訴訟の可能性について

当社グループが提供する各種クラウドソリューションサービスやアナリティクス&トランスフォームサービスの利用状況やクオリティ、当社グループが管理する物件における管理状況や入退去時の状況、当社グループが販売した物件における瑕疵の発生等を原因とするクレーム又は訴訟その他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19)M&A及び業務提携について

当社グループは、同業他社等に対するM&A及び業務提携を実施することにより当社グループの事業を補完・強化するのみならず、非連続的かつ飛躍的な成長が可能であると考えており、M&A及び業務提携を積極的に検討してまいります。その際、対象企業や事業の財務、税務、法務及びビジネス等について詳細なデューデリジェンスを行う等、意思決定のために必要かつ十分と考えられる情報収集、精査、検討をすることにより、可能な限りリスク回避に努めますが、M&A及び業務提携後において、当社グループが認識していない問題が明らかとなった場合や、市場環境や競合状況の変化及び何らかの事由により事業展開が計画どおりに進まない場合、対象企業の株式価値や譲り受けた事業資産の減損処理を行う必要を及ぼす等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(20)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループでは、株主価値の向上を意識した経営の推進を図るとともに、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的として、役員及び従業員に対して新株予約権を付与しております。本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は348,013株であり、発行済株式総数16,135,837株の2.16%に相当いたします。権利行使についての条件が満たされ、これらの新株予約権が行使された場合には、将来的に当社株式の株式価値の希薄化や株式売買需給への影響をもたらし、当社の株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(21)ソニーグループ各社との関係について

① ソニーグループ各社との競合関係について

当社グループは、リアルビジネス(不動産)を内包することで実務有用性の高いDX支援を顧客に提供できるAI Saasプロバイダーであり、ソニーグループ各社との事業における競合は生じておりません。ただし、将来的にソニーグループ各社の経営方針に変更が生じた場合等には、ソニーグループ各社との事業の競合により当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

② ソニーグループ各社との人的関係について

本書提出日現在、AIクラウド&コンサルティング事業において、ソニーグループ株式会社及びその子会社から若干名出向従業員を受け入れております。なお、役員の兼任はありません。

当社グループはソニーグループ各社の人的資源を活用するため、これまで出向者を受け入れてきましたが、今後は大幅な出向者の受け入れは行わず、転籍及び出向解消等により、出向者数を限定的なものとする方針であります。また、今後、当社グループに対するソニーグループ株式会社の出資比率が変更された場合には、これらの人的関係が変動する可能性があります。

 

(22)経営上の重要な契約等

当社グループの経営上の重要な契約等は、「第2 事業の状況 4 経営上の重要な契約等」に記載のとおり(ただし、ヤフー株式会社との間の業務提携契約及び共同開発契約は2022年3月31日で終了)であります。これらの契約が、事業環境の変化、契約の相手方の方針の変更その他、不測の理由で終了したり、契約の履行に支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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