業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、前連結会計年度に引き続き新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により経済活動が制限される状態が続きました。

 当社グループのメイン事業が属するホテル業界におきましては、2021年4月から9月まで全国主要都市を対象として発令されました緊急事態宣言により国内における経済活動が制限されたことや新型コロナウイルス感染症に関わる水際対策強化の影響により国内への入国の制限が行われたことなどにより、国内利用客数及び訪日外国人旅行客数は、低水準で推移いたしました。その後、緊急事態宣言の解除により国内利用客数に若干の改善がみられましたが、同感染症の再拡大に伴い、2022年1月から全国主要都市にまん延防止等重点措置が実施されたことにより再び宿泊者数は減少いたしました。

 観光庁が公表している宿泊旅行統計調査の2021年年間速報によると、国内全体の延べ宿泊者数は3億1,497万人泊(2019年比47.1%減、前年比5.0%減)、その内訳として日本人宿泊者は3億1,076万人泊(2019年比35.3%減、前年比0.2%減)、外国人宿泊者は421万人泊(2019年比96.4%減、前年比79.3%減)となっております。

 当社グループでは、同感染症によりホテル物件の取引価格が低迷している状況下において、投資収益率及び競争力のあるホテル物件を割安に購入できる機会が増えてきているため、ホテル物件の取得を行い、当社グループがホテル物件の所有者でありホテル運営者となるオーナー・オペレーターモデルへの移行を進めました。当連結会計年度においては、3つのホテル物件に対する匿名組合出資を行い、オーナー・オペレーターモデルへの移行を行いました。オーナー・オペレーターモデルへ移行することで、賃料支払い債務が無くなる等によりホテル運営に係る損益分岐点比率が引き下げられ、株主資本利益率を引き上げることが期待できるとともに、ホテル物件の取引市場における流動性が以前の水準まで戻った際には、ホテル物件の売却による利益を計上することも期待できると考えております。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、運営ホテル数の増減、運営ホテルの稼働率及び客室単価の増減等であり、当社グループは、同感染症の感染拡大の影響による運営ホテルの稼働率及び客室単価の低下の影響を大きく受けました。

 その結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、次のとおりとなりました。

 

売上高               3,712百万円(前期比24.9%増)

営業損失(△)           △1,332百万円(前期△1,627百万円)

経常損失(△)           △1,623百万円(前期△1,685百万円)

親会社株主に帰属する当期純損失(△)△1,830百万円(前期△2,101百万円)

 

 売上高は、ホテル事業において新型コロナウイルス感染症の影響もありましたが、前連結会計年度においてベストウェスタンホテル4店舗及びKOKO HOTEL5店舗、当連結会計年度においてKOKO HOTEL2店舗がオープンしたことにより増収となりました。

 営業損益は、上記の新規ホテルの運営による新たなコストの発生もありましたが、前連結会計年度からホテルオーナーとの賃借料の削減交渉、人件費を含む経費の削減に取り組むとともに、運営するホテルの一部を休館するなど、コスト削減に最大限取り組んだ結果、前期と比較して損失が縮小いたしました。

 経常損益は、2021年11月24日に第三者割当により新株式及び新株予約権を発行したことによる株式交付費153百万円などを計上したことにより、前期と同程度となりました。

 親会社株主に帰属する当期純損益は、当期に減損損失102百万円、投資有価証券評価損9百万円及び店舗閉鎖損失78百万円を計上しましたが、特別損失の縮小により損失が減少いたしました。

 

 セグメント間の取引を含む各セグメントの業績は、次のとおりであります。

 ホテル事業は、売上高3,673百万円(前期比29.5%増)、営業損失△1,071百万円(前期営業損失△1,385百万円)となりました。主な売上は、ホテルマネジメント売上などであります。

 ホテル事業につきましては、上記のとおり新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響もありましたが、前連結会計年度においてベストウェスタンホテル4店舗及びKOKO HOTEL5店舗、当連結会計年度においてKOKO HOTEL2店舗がオープンしたことにより増収となりました。

 不動産事業は、売上高231百万円(前期比70.8%増)、営業利益27百万円(前期比128.6%増)となりました。主な売上は、不動産賃貸売上などであります。

 当連結会計年度末の当社グループの財政状態は、次のとおりとなりました。

 総資産は、12,036百万円となりました。これは、前連結会計年度末より7,039百万円の増加であります。主な要因は、販売用不動産の取得に伴う販売用不動産の増加5,914百万円、第三者割当により新株式を発行したこと、資金の借入れを行ったことなどに伴う現金及び預金の増加565百万円、匿名組合出資を行ったことなどに伴う投資有価証券の増加193百万円などによるものであります。

 負債合計は、11,843百万円となりました。これは、前連結会計年度末より6,062百万円の増加であります。主な要因は、短期借入金の増加406百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)の増加4,761百万円、長期預り金の増加1,040百万円などによるものであります。

 純資産合計は、193百万円となりました。これは、前連結会計年度末より977百万円の増加であります。主な要因は、第三者割当により新株式を発行したことに伴う資本金及び資本剰余金の増加2,800百万円、親会社株主に帰属する当期純損失△1,830百万円の計上などによるものであります。

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における当社グループの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ565百万円増加し、2,224百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、7,819百万円のマイナス(前期は1,510百万円のマイナス)となりました。主な増加要因は、減価償却費190百万円、減損損失102百万円などによるものであります。主な減少要因は、税金等調整前当期純損失1,813百万円、販売用不動産の増加5,970百万円などによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、415百万円のマイナス(前期は651百万円のマイナス)となりました。主な減少要因は、敷金及び保証金の差入による支出397百万円、投資有価証券の取得による支出204百万円などによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、8,799百万円のプラス(前期は2,946百万円のプラス)となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入5,085百万円、株式の発行による収入2,647百万円、長期預り金の受入による収入1,030百万円などによるものであります。

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、生産業務を行っていないため、生産実績の記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループは、売上高に占める受注販売割合の重要性が低いため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

ホテル事業

3,672,768

129.5

不動産事業

39,360

29.1

合計

3,712,127

124.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

 至 2021年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

SAJP IV Hospitality LLC

373,763

12.6

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界規模で深刻化する以前の2020年3月期第3四半期時点において、当社グループでは、営業利益149百万円、経常利益60百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益166百万円を計上しておりましたが、同感染症の感染拡大以降、各国政府による渡航制限や日本政府によるイベントの自粛要請等により、訪日外国人旅行客及び国内利用客は大幅に減少し、同感染症の感染拡大以降、2020年3月期、2021年3月期においては、営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する当期純損失を計上し、当連結会計年度におきましても、2021年4月から9月まで全国主要都市を対象として発令されました緊急事態宣言により国内における経済活動が制限されたこと同感染症に関わる水際対策強化の影響により国内への入国の制限が行われたことなどにより、国内利用客数及び訪日外国人旅行客数は、低水準で推移いたしました。そのため、当連結会計年度の経営成績は、売上高3,712百万円、営業損失△1,332百万円、経常損失△1,623百万円、親会社株主に帰属する当期純損失△1,830百万円となりました。

 このような状況の中で、当社グループではホテルオーナーとの賃借料の削減交渉、人件費の削減、運営するホテルの一部を休館するなどの経費削減、雇用調整助成金等の活用、役員報酬の減額、本社経費の削減、ホテル運営の効率化、不採算ホテルの営業中止などのコスト管理を徹底しております。

 また、当社グループは、前連結会計年度において債務超過となっておりましたが、当社は2021年11月24日に2,800百万円の第三者割当増資等を行ったことから、債務超過を解消しております。

 今後につきましては、過去に前例のない世界的な同感染症の拡大や収束時期を合理的に予測することは極めて困難であり、この状況がどの程度当社の企業経営に影響を及ぼすのか見通すことができない状況ではありますが、同感染症の対策を行いつつ経済活動の再開が今後、行われていくものと考えております。

 そのため、ウィズコロナ、アフターコロナに向けての取り組みとして、同感染症によりホテル物件の取引価格が低迷している状況下において、投資収益率及び競争力のあるホテル物件を割安に購入できる機会が増えてきているため、ホテル物件の取得を行い、当社グループがホテル物件の所有者でありホテル運営者となるオーナー・オペレーターモデルへの移行を進めております。また、当社グループでは、運営するホテルをハイリスク・ハイリターン型の長期固定賃料支払の賃貸借契約タイプの運営から、運営委託契約を中心とした”Fee-For-Service”(サービスの対価としてのフィー)モデルへの移行に注力する中で、運営ホテル数及び運営客室数の拡大、人的資源の共有化による人件費合理化施策の実施及びエリア単位で一括して業務を外注することによる経費削減等、損益分岐点の引き下げを図ることで強固な財務基盤の構築及び利益率の高いホテル運営を目指しております。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、経営環境や事業の状況を勘案の上、将来キャッシュ・フローの状況を把握して、資金の管理を行っており、資金需要が生じた場合には、主として金融機関等からの借入れを行っております。上記のとおり、当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴いホテル事業の経営成績が低下しており、運転資金等の資金需要が生じる可能性があります。当社グループでは、主として金融機関等からの借入れにより資金調達を行う予定であります。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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